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彩―隠し事 203

獣欲 -17

店を出た二人は手をつないで家路に就く。
何気なく彩を見た健志は、クククッと含み笑いして「可愛いな」と呟く。
「なに??彩を見て笑った、嫌な感じ、ウフフッ」
「オレは何も言ってないのにスカートのボタンは下の二つを外してあるし,Tシャツの胸がポチッと突き出てエロっぽい……可愛いよ」
「健志が言ったんでしょう、夏だから彩の格好に違和感はないって……

タイトで膝丈のデニムスカートのフロントボタンを中ほどまで外し、ノーブラの胸がTシャツをツンと突き出しても夏だからそれほど注目を浴びることはない。
それでも恥ずかしい姿を見られるかもしれないというスリルに身を焦がす彩は内腿を滴る滑りに羞恥を覚え、すれ違う男性の視線が胸にとまり、デニムスカートからチラチラ見える白い内腿を物欲しげに見られるとゾクゾクする快感に襲われて並んで歩く健志の腕をギュッと掴む。
「疲れたようだからこの先の公園で休んでいく??」
「休憩すると健志の悪戯心に火が点きそうだから余計に疲れる……このまま帰りたい。休憩したいの??」
「心外だな。彩が一休みしたいのかなと思っただけだよ……本当は可愛い彩を困らせたいと思うだろうけどね、クククッ」
「アソコがグショグショ、すれ違う男の人の視線に犯されているようで今日の彩はおかしいの……早くシャワーで汗を流したい」
「気持ちいい汗だろう??流さなくてもいいのに」

繁華街を目指す様子の男性二人連れの一人が肩でもう一人の肩を押し、なんだという表情の男に顎と視線で彩を示す。
オッという表情の男は不躾を恥じることなく彩の顔を凝視し、胸を見て頬を緩ませ足先まで見つめるとボタンを外したスカートに視線を止める。
「あの人たちはヤな感じ」
「ぶっちめてやろうか??あの程度の相手じゃ1対2でも構わないよ」
「冗談よ、本気にしないで。相手にしないで早く帰ろうよ」

「おいっ、気安くジロジロ見てんじゃねえぞ。オレの女が感じ悪いからぶっちめてくれって言ってんだよ、どうする??」
「クククッ、勘弁してよ、タケさん。好い女…失礼、前からくるのが魅力的な女性だから見ないのは失礼だと思って」
「彩、よかったな魅力的な女性だから挨拶を兼ねてガンミしないのは失礼だと思ったんだって」
「アヤさん、ですか??嫌な感じがしたなら謝ります。でも、魅力的な女性を無視するのは失礼でしょう??僕たちは紳士なのでね、フフフッ。失礼します」
男たちは快活な笑顔を残して繁華街の方向に歩いていく。

「健志の友達なんだ。ヤな感じだって言ったのは内緒にしてね、ウフフッ……男二人がつるんで何処に行くのかなぁ、一緒に行きたい??」
「そんなわけがないよ。あの二人も認める魅力的な女性と一緒にいるんだよ、これ以上の贅沢はないよ」
「クククッ、サービスしてあげようか……見て……おしまい」
歩道の植え込みの切れ目に入った彩は歩く人たちを確かめ、さっとスカートを捲り上げて股間を隠すことを放棄したシルバーチェーン下着を曝す。
「恥ずかしいしドキドキする……触ってみて」
健志の手を左胸に誘導して頬を紅潮させる。
「ドキドキしているかどうかは分からないけど手の平が何か突起物に触れている」
彩に掴まれた手は左胸に押し付けられ、悪戯心の芽生えた健志は手の平が膨らみの先端に触れるか触れないか微妙な感触を楽しみながら蠢かす。
「イヤンッ、だめ、気付かれちゃう……どうしてもって言うなら帰ってからにして、おねがい」

健志の部屋から見るこの街の夜の景色はいつもと変わることなく人々を誘うために華やかに煌めき、妖しい欲望を飲み込もうとして虚飾の影を作る。
夫の不倫を言い訳にして健志に抱かれたわけではなく、仕事を離れた日々の生活が退屈で刺激を欲したわけでもなく、独り寝の寂しさを紛らわすために抱き枕代わりの男を求めたわけでもない。
優子の心と身体の奥に棲みついていた性的欲望が彩と名乗って魅惑の花を咲かせてここにいる。

彩―隠し事 202

獣欲 -16

「小粋な店だろう??」
2人のバーテンダーとカウンター席に座る客たちの耳を意識する健志は言葉と違い、彩を見つめる視線で足を開きなさいと命じる。
膝丈でタイトなデニムスカートは座ると太腿の中ほどまでずり上がり、健志が愛してやまないムッチリ腿が剥き出しになっている。

自ら四つ目のボタンを外し、いけないことをしても誰の目にも触れることのない席だと確かめ済みでもやはり気になり、グラスを口に運びながらさりげなく周囲を確かめる。
スプモーニの鮮やかな赤が妖しい思いに浸る彩の気持ちを刺激し、口中にかすかに残る苦みが迷いを吹っ切ってくれる。
「コンクリトートの打ちっぱなし壁とBGMが都会的でしゃれた感じだし、テーブルやカウンターの木が落ち着いた雰囲気を作って好い感じ」
テーブルに触れ、振り返ってカウンターを確かめながら不穏当な彩の仕草に気付く人はいないと改めて確かめ、興奮で乾いた唇を舐めて滑りを与えると同時に脚をゆっくりと開いていく。
最後の一つだけを残してフロントボタンを外したスカートが脚を開くにつれてはらりと落ちそうになるのを手で押さえる。

他愛のない会話を交えながら彩はスカートが滑り落ちるのを防ぐために添えた手で内腿を擦り、健志はバーテンダーを確かめながら自らの唇を大陰唇に見立ててクンニリングスを意識させるように舌を卑猥に蠢かし、テーブルに開いて置いた右手を握りながら人差し指と中指の間から親指を突き出してクイクイと出し入れを繰り返す。
唇を舐める舌の動きを見つめる彩の瞳は赤く燃え、健志の右手がセックスを連想させる動きを始めるとゴクッと唾を飲んでオリーブを摘まみ、花蜜を滴らせる股間に沈めてしまう。
「ウフフッ、彩はオリーブのオイル漬けが大好き。もう一つ食べちゃおうかな……ウッ」
艶めかしい吐息を漏らした彩は、見られていないよねと目配せで問いかける。
だいじょうぶと声を出さずに唇を動かした健志は、シャツを捲り上げてオッパイを見せなさいと手の動きで命じる。
ここで、いま??……小さく首を振って拒否する彩に右手の中指を跳ね上げるようにして見せなさいと改めて命じる。
スプモーニを飲みながら背後を確かめた彩は背中を丸めて上半身をわずかに沈め、スカートが太腿から滑り落ちるのも構わずに両手でTシャツの裾を掴んでオッパイが丸見えになるまで捲りあげ、すぐに下ろして再び背後を窺う。
健志の右手の動きがニップレスを剥がしなさいと命じると右手をシャツの裾から入り込み、表情を歪めてウッと声を漏らして剥ぎ取り、二枚まとめて健志に突き出す。

シャツ越しでいいから乳首を擦りなさいと命じると、両手を交差して右手指を左胸に、左手を右胸の先端に伸ばしてクチュクチュと擦る。
支えを失ったスカートは最上部のフロントボタンを起点にして左右に別れ、無毛の恥部だけではなく花蜜が滴る内腿まであからさまに曝す。
冷房の効いた店内の空気が火照る股間を冷ましてそれさえもが新たな快感を呼ぶ彩は背後を気にすることも忘れてTシャツ越しに乳輪をなぞり、先端を摘まんでコリコリ弄る。
「ウッウッ、ウゥッ~……」
自然と漏れる秘めやかな喘ぎ声を堪えようとする彩は唇を噛んで顔を顰めても乳首を弄る指の動きを止める気配はない。
健志の股間は他人に見せるのを憚るほど膨らみ、彩は声も出せない昂奮で瞳を真っ赤に染めて膨らみを見つめる。

「彩、ミニトマトマリネが美味いな。ア~ンして……」
女性バーテンダーが彩の背中を見つめるのに気付いた健志はわざとらしくフルーツフォークに刺したミニトマトを突き出す。
「美味しい……彩も作ってみよう。夏はマリネのさっぱり感がいいし、トマトは夏に食べるのがいいよね」
健志に話す彩の言葉を聞いたバーテンダーは疑念が晴れたように顔が綻び、納得の表情で洗い終えたグラスをリネンタオルで拭う。

ニップレスを外した乳首は自らの指が与えた刺激でTシャツの胸にツンと突き出て、健志はそんな姿も可愛いと口元を緩める。
場所も弁えず性的快感に支配された彩は店内にいる人たちから見えないことを好いことにして花蜜を溢れさせる源泉に指を伸ばしてオリーブを摘まみ出す。
「マリネを食べさせてくれたからオイル漬けオリーブを食べさせてあげる。食べさせてあげる、ア~ンして」
「ア~ン……美味い。もう一つ食べさせてくれる??」
「いいよ……ウッ、クゥッ~……はい、どうぞ」
もう一つを苦労の末に摘まみ出してニコッと微笑む。

「彩、もう一杯飲んで帰ろうか……マスター、グリーンティーフィズをクラッシュアイスでシェイクして二杯ください」
クラッシュアイスごと口に含んでガリガリ音を立てて噛み砕きながら飲むと火照った身体も平静に戻る。
「ごちそうさま。チーズもだけど、トマトマリネとオリーブが美味しかったよ」
「そうだろ、オリーブを漬けるオイルを変えたからな……ありがとうございました。お土産です」
「えっ、ありがとうございます」
最後に彩に向けて来店のお礼を告げて透明容器に入れたミニトマトマリネを手渡す。

彩―隠し事 201

獣欲 -15

デニムスカートのフロントボタン五個のうち三つを外しても足の付け目まで見えるわけがないしプラチナチェーン下着はスカートがしっかり隠してくれている。
それでも、股間を見られるかもしれないという不安と期待が綯い交ぜになったスリルで身体の火照りは止まることがなくフワフワと雲の上を歩いているような気がする。
これまで通勤の電車内や通りを歩くときに今ほど他人の視線を意識したことがなかった。
スタイルの好い人や女の自分が見ても美しいと思う人がいるし、若々しく溌溂として歩く姿を見るだけで楽しくなるような人もいた。
健志と歩く今、他人の視線が気になるのは恋する女がきれいに見えるからなのだろうかと自然と頬が緩む。
「ねぇ、彩は可愛い??」
「うん、どうしたんだよ。彩は可愛いしオレの大切な人だよ。知らなかったのか??」

寄り添って歩いていた健志の手が腰に伸びてプラチナチェーンを探り、指先に力を込めたり、緩めたりと背後を歩く人には違和感を与えずに彩にしか分からない動きをする。
「いやらしい、彩にしか分からない指の動きが子宮を愛撫されているようなエッチな気持ちになる……」
「クククッ、ここを少し入ったところに好い店があるから寄っていこうか」
彩の返事も聞かずに横丁に入ってすぐの店のドアを開ける。
カウンター席とボックス席が二つの小さなバーで健志は壁を背にして四人掛けのテーブルに座り、向かい合う席に彩を誘導する。

コンクリートを打ちっぱなしの壁と重厚な木のカウンターやテーブルなど飾り気のない調度がシックな雰囲気を醸し、静かに流れる女性ボーカル曲は性的好奇心で熱く昂奮していた彩の気持ちを冷ます。
「雰囲気がすごくいい。何時間でも居たいって感じで落ち着く」

「いらっしゃいませ……おほめ頂き、ありがとうございます」
黒いパンツと白いシャツにベストを着けて蝶ネクタイ姿の女性バーテンダーが彩のそばに立って微笑んでいる。
「えっ、私の言葉をお聞きになったのですか??思ったままの感想です」
照れたような彩の表情が健志の股間を刺激する。
「こんにちは。ジントニックとスプモーニをお願いします」
「かしこまりました。オイル漬けオリーブとチーズでよろしいですか??」
「プチトマトマリネもお願いします」
「タケは優しいけけど油断しちゃダメよ。案外とワルだから、ウフフッ……ごゆっくり」
振り向いた彩の視線の中のバーテンダーはモデル体型でスタイルはいいけれど、セックスの相手として健志好みではないと表情を緩める。

「一つ聞いてもいい??」
「クククッ、客と女性バーテンダー、それ以上でも以下でもない。オレはモテないし彩一筋。信じてくれるだろう??」
「彩一筋で居てくれるのはカヲルさんの言葉で信じてもいいかと思ったけど、今のバーテンダーさんやサクラさんのことを思うと信じていいか分からない……ウフフッ、彩と健志は気持ちで継がっているの??それとも彩のムッチリな身体が目当て??ねぇ、どっちなの??」
「オレが彩にプレチナチェーン下着を着けてほしいと思うのは離れていても心を縛るため、それが答えだよ」
「信じる。健志に会って月に一度くらいだけど身体の芯に溜まるコリを解してもらうようになってから仕事が順調だし、夫との関係は相変わらずだけど以前よりも平穏でイライラすることがなくなった。彩の身体が求める大切な人」

「おまちどうさま。スプモーニとジントニック、オリーブとプチトマトマリネ。チーズでございます」
「ありがとう。カウンター席が空いているのにゴメン」
「愛を語るためのテーブル席なので気にしなくていいよ。混んできたらお代わりはセルフだぜ」
「分かったよ」
「ごゆっくりどうぞ」
マスターは彩に向けて満面の笑みを浮かべて戻っていく。

「スプモーニも美味しいしプチトマトマリネも最高。家でも作ってみようかな」
「オレは彩の気持ちを確かめてみたい……見せてくれるだろう??」
「ここで??……どうしても??……見えないよね??」
「背もたれが邪魔をして見えないよ。オレの大切な彩を他の人には見せたくない……見せてくれるね??」
ハァハァッ……ゴクッ……コクッと頷いた彩は息を荒げてゴクッと唾を飲み、さりげない風を装って周囲に視線を巡らせる

健志を見つめる瞳は潤み、自らの視線を股間に向けてスカートを摘まんで左右に広げていく。
軽く腰を持ち上げて広げやすくして健志に言われたわけでもないのに四つ目のボタンを外す。

彩―隠し事 200

獣欲 -14

太陽が姿を隠しても蒸し暑く、いかにも夏だと思わせる夜の街は土曜日とあって人であふれている。
昼間は隠し事として人知れず心の奥に棲みついている欲望は、この街の昼間と変わらない人工の灯りがあからさまにしてそれは影となる。
夜の街が明るければ明るいほど影も濃くなり欲望を発露したいと思う人々が集まってくる。

元来、人見知りする質の優子は胸の奥に隠した恥ずかしい姿を見られるか見られないかのスリルを味わいたいという衝動を隠したまま通勤着で夜の街を歩くこともあったが、今は優子の性的好奇心が名前を変えた彩となってスカートのフロントボタン五個のうち二つを外して早くもほろ酔いになって歩く男の視線を太腿に感じている。
酔いに任せた野卑な視線がスカートの裾の乱れから見える白くてムッチリとした太腿だけで満足することなく、スカートが隠すオマンコやシャツに隠れたオッパイにも男の視線を感じてゾクゾクするような快感を得る。
たった一人の粗野な視線に犯される彩の快感は止めようもなく昂ぶり、すれ違う男たちすべてがスカートの裾に注目しているように思えて得も言われぬ快感で身体の疼きを止める術がない。
彩は健志の腕に両手を絡ませて縋るように歩き、意識過剰だと思いながらも夜の街を歩く人たちの視線に犯されて股間を熱くする。

「彩、どうした??変だよ、顔が赤いけどライチオレンジと梅酒の水割りで酔っちゃったか??」
「分かっているくせに……スカートのボタンを二つ外して歩くだけで興奮する」
「感じるだろう……すれ違う男たちの視線は彩のオンナノコに向いて股間が膨らんでいる。彩、男たちがチンポをモッコリさせて近付いても浮気しちゃだめだよ」
「クゥッ~、いやんっ、そんなことを言われたら歩けない」
「酔っちゃったようだね、飲み過ぎだって注意したのに……」
介抱するふりをして路地に誘い込んだ健志は背後を通り過ぎる人たちに聞こえるように言葉を口にし、唇を重ねてボタンをもう一つ外したスカートの中に手を忍ばせる。

割れ目に近付ける必要もなく指先は内腿にまで滲む花蜜に触れる。
「恥ずかしい……分かるでしょう??はしたないオンナだって笑う??」
「どうする??帰るか、それとも公園のベンチでオレを跨ぐ。以前に行ったお座敷バーも近いけどエッチするにはしばらく待たなきゃいけない……どうする??」
「帰る。銀細工師さんのオチンポをオシャブリして指で満足してもらって、健志がサクラさんのお口に放出したものを口移しで飲んだし、そのあとアキラさんの精液をお口で受けた……ライチオレンジと梅酒、精液カクテルと飲みすぎちゃったもん。お風呂に浸かりたい」
話し終えた彩が横目で見上げた健志の表情は楽しそうに笑みを浮かべている。
「フフフッ、帰ろうか。その前に……」
しゃがんだ健志はスカートの中に手を差し入れて太腿を擦りながら、
「本当に彩は好い女だな……」
「アウッ、だめ、許して……」
「フロントボタンを外したまま歩くんだよ、いいね……これは命令だよ」
リンッ……フゥッ~……プラチナチェーン下着にセットした鈴は花蜜にまみれて濁り音を立て、健志は息を吹きかけて滑りを飛ばし、残る一つをポケットから取り出して二つともセットする。

チンッ……チリリンッ……指が鈴を弾くとこの場に相応しくない涼やかな音を響かせ、彩の羞恥心は極限近くまで膨れ上がり息をするのが苦しくなるほど昂奮する。
白くてムッチリとした自慢の太腿を半ばまでチラチラさせてすれ違う男たちの視線で愛撫され、犯されるのだと思うとスカートの中で内腿を擦る健志の手を花蜜で濡らす。

「帰るよ…」
「ボタンを外したまま歩くの??」
「昂奮するだろう??彩が望むならもう一つ外してもいいよ」
路地を出て通りを歩き始めるとすれ違う人たちの視線は男女を問わず股間と太腿に感じて彩は立ちすくむ。
「彩、意識しすぎだよ。女の人の格好を見てみなよ……下着かと思う人もいるし、このままプールに行った方がいいんじゃなかと思う人もいる。すれ違う人が彩を見ているとすれば、女性は好い女に嫉妬。男はやりたくなるほど好い女を連れているオレに嫉妬しているんだよ。わかるだろ??」
「クククッ、そうなの??そうだよね。プラチナチェーン下着が見えているわけじゃないし、ツルマンが見えるはずもない、ウフフッ、、アンッ、いやっ」
チリリン、雑踏にかき消されて周囲の人たちには聞こえないはずの涼やかな鈴の音が二人だけに聞こえる。

彩―隠し事 199

獣欲 -13

「美味しいです。出汁巻き卵のふんわり感を真似したいです」
「ありがとうございます。レシピをメモしてお渡しします……ふんわり感の元が好きじゃないようですよ」
健志に視線を向けてニヤッと微笑む。
「そうだよ、オレもフワフワの元を聞いて一人の時は出汁巻き卵を頼まなくなった。世の中に迎合したくないからな」
好きじゃないモノが何かを明らかにせず、それだけを呟いた健志はポケットから取り出したモノを彩の太腿に押し付ける。
冷房が効いているとはいえ脚が感じるひんやりとした金属特有の冷たさと大きさで例の鈴だとわかる。

「ねぇ、どうするの??お願いだから変なことはしないでね。信じているよ」
言葉とは裏腹に表情には好奇が宿る。
最後の一つも残して四つ目のボタンを外し、手探りでプラチナチェーンのフックを探し当てた健志は鈴を装着する。
「健志って一見器用に見えてほんとは不器用。セックスについては器用、根っからのスケベだよね、クククッ」
声を潜める彩は性的好奇心を隠しきれず、最後は期待を交えて笑みを浮かべる。
更に一つボタンを外されるとスカートははらりと左右に分かれ、股間は空気の流れがないはずなのに風を感じる。
自然な風を装い前後左右を確認するとカウンターの中の板前は調理に集中し、カウンターに座る他の客や背後のテーブル席では料理に舌鼓を打ち、笑顔が弾け話に花が咲いているようで二人の卑猥遊戯に気付く人はいない。

健志は鮭ハラスを口に運んで満足の笑みと共に美味いなと呟き、左手はプラチナチェーンをなぞる。
健志には秘密の本当の姿である優子を忘れて彩になり切った身体と心は性的好奇心をくすぐられる誘惑から逃れることができず、周囲を気にしながら両足を徐々に開いていく。
健志の指はプラチナチェーンをなぞることに飽きて飾り毛を無くした恥丘を撫で、違えることなく割れ目の縁を一周する。
ウッ……驚きの吐息を漏らし、不安に勝る妖しい期待が閉じそうになる両脚の動きを止める。

「どうかしましたか??」
「えっ、大丈夫です。この人の手とぶつかってびっくりしちゃった」
「鶏の串焼きをお任せで適当にお願いします」何もなかったかのように健志は新たな注文をする。
「まだお腹は大丈夫ですか??」板前は彩に視線を向ける。
「美味しいし、梅酒の水割りが食欲を刺激してくれます」
板前と話す股間はそのままにされることなく綻びに侵入した健志の指が泥濘で戯れ、話の接ぎ穂が見つからない彩は平静を装い梅酒を口にする。
「美味しく召し上がっていただくと板前冥利に尽きます」
笑みを浮かべた板前は串焼きの準備をする。

真横に座って周囲を気付かれることなく淫猥遊びをする不自由さを感じる健志は膝と手で彩の脚をつつく。
催促に応じて右脚を大きく開き、スカートが一層ずり落ちてテーブル席から太腿が見えないかと不安と共に股間がジュンと熱くなる。
「ネギマとレバー、せせり、これはつくねでございます。手羽ともも肉もすぐに焼き上がりますから」
右手に持つレバーを口に運んで顔を綻ばす健志の左手は股間から離れることなく、ついには熱い蜜を溢れさせる源泉に侵入する。
「ウッ、ダメッ、ここでは撫でるだけにして……気持ち善くなって我慢できなくなっちゃうよ。いいの??」
熱く火照る股間から匂い立つ芳しいオンナが健志にまで届き、美味い料理を味わう余裕をなくす。

焼き上がった手羽やもも肉を食べ終えると鰻重とおにぎりを分け合ってお腹を満たし、デザートの杏仁豆腐を食べて支払いを済ませる。
「ごちそうさまでした。美味しかったです、また来ます」
健志が立ち上がるまでの間に大急ぎでフロントボタンを嵌めても二つは残り、急かされた彩は裾の乱れを気にしながら店を出る。

「待って、ボタンを……」
「彩、そのままでいいよ。スカートの裾から白い太腿がチラチラ見えるのはエロっぽくて好きだよ」
プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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