ベッド -5
独りエッチで昇天し、結合部から花蜜を滴らせて虚脱状態のアユはM字に開いた足を閉じることもなく、ぐったりと男に寄りかかる。
背中越しにアユを抱きしめた男は首や耳に舌を躍らせて息を吹きかけ、可愛いよと心を蕩かす。
股間に伸びた男の指が恥毛を指に絡ませて引っ張ると、クゥッ~と言う声と共に顔がゆがみ、割れ目の縁を撫でると刺激がペニスを通じてバギナに伝わり、アゥクゥッ~と艶めかしい声が漏れる。
クリトリスの根元を摘まんだ指にクイクイ力を込めると、ヒィッウッウゥ~と苦痛とも快感とも区別のつかない声を漏らし、包皮を突き破って尖り切る先端を指の腹で撫でると口がしどけなく開いて、アッアァ~ン、もっと……と、男の股間を妖しく刺激する。
窓に映るアユの裸体が艶めかしさを増して乳白色に輝き、乳房の張りや内腿の妖艶さが男の股間に力を与える。
腰に手を添えてベッドのクッションを利用して突き上げる。
「上になってあなたを跨いでいるのに自由に動いて私を悦ばせてくれる。私の身体はすっかり、あなたに馴染んじゃった」
再び身体の向きを変えて対面座位になったアユは潤んだ瞳を男に向けて、
「迷惑??」
「どうして??迷惑なはずがない……誤解しないで聞いてくれよ。今みたいな言葉がクドイとかシツコイと思わず、言葉ゲームになる関係って好い仲の証拠だと思うよ」
「フフフッ、大好き……」
言葉を終えると同時に唇に舌を這わせて滑りを与え、静かに目を閉じて顎がわずかに動いて唇を突き出す。
男は尖らせた唇をチュッと音を立てて合わせ、すぐに離れて閉じたままの目を見つめる。
「あなたのキスが好きなのに、いじわる……イヤッ、見つめられたら恥ずかしい」
子供扱いされたようなキスに抗議しようと目を開けたアユは、凝視する男に羞恥を覚えて目を伏せる。
顎にかけられた指に操られて顔を上げたアユは、はにかみの表情を残したまま両手を男の首に回して離れないように自らの手首を固く掴む。
「あなたのモノを受け入れて指や舌で愛撫されると気持ちいいけど、ちゃんとしたキスも欲しい。大人のキス……」
まっすぐ強い光を放つアユの瞳をたじろぐことなく見つめ返す男は、わずかに顔を傾げて舌先をアユの唇に這わせて反応を待つ。
待ちわびた唇が開くと上唇、下唇の順に咥えてハムハムと甘噛みし、ハァハァッ息を荒げるアユの舌が這い出るとズズッと音を立てて吸い込む。
吸い込んだ舌を甘噛みすると一層、息を荒げて自分の口に帰っていく。
その舌を追うように侵入して絡めたり重ねたりしながら口腔を舐めまわし、唾液をドロリと注ぎ込む。
白い喉を上下してゴクッと飲み込んだアユは瞳を真っ赤に染めて、
「ハァハァッ、エッチなあなたが好き。もっと感じさせて……」と、息も絶え絶えに囁く。
男の肩に顎を載せてしがみつくように抱きついたアユは髪に残るシャンプーの香りを吸い込み、肩に噛みつく
「グゥッ~……痛い……」
「気持ち良くしてくれるし、わがままも聞いてくれた。フフフッ、少しだけど、お礼をしたの。受け取ってくれる??」
「何かある度に思い出せそうだ、アユの気持ちを受け取ったよ」
「ごめんなさい。どうしていいか分からず、つい噛んじゃった。ゴメン」
「アユにとってオレが気持ちをかき乱す存在ってのは、嫌じゃないよ。嬉しいくらいだよ、アユにとって好いか悪いは別にしてね」
抱きついたまま下半身を揺り動かすと男はウッと声を漏らして尻を撫で、背中を丸めて乳房にしゃぶりつく。
生まれたばかりの赤ちゃんがオッパイを求めて吸うように技巧を凝らすことない動きにアユの母性が男の髪を撫でる。
「気持ちいぃ。そう、間違いない。あなたの触れる場所が私の性感帯」
再び唇を合わせた男はアユの腰と首に手を添えて対面座位から正常位に変化し、手櫛を入れて乱れ髪を梳き、流れのまま頬に手を添えて唇を合わせる。
ウグッ、フグッ、ハァハァッ……可愛いよ。
「もうすぐ着くからね」
「うん、待っている。バレンタインプレゼント、びっくりしないでね……ウフフッ」
もうすぐ着くという男からの連絡から4分後に解錠する音と共にドアが開く。
水曜日の午後、土曜日の朝、部屋を訪れてくれる男は必ず連絡をくれる。
「私に何か隠し事があると思って隠すための時間的猶予をくれるって事じゃないよね??」と、聞いたことがある。
「アユがオレに秘密があってもいいだろう。男から見て女性にミステリアスな部分があるってことが、好い女の条件だと思うよ。容姿端麗は美人の条件でも、それだけじゃ好い女って事じゃないと思う。アユは美人の上に好い女……いずれアユの秘密を解き明かして、オレの前じゃ普通の女にしちゃうよ」
クククッ……あなたの前では秘密を秘密として保てないことを知っているくせに、いやな男。あなたには私のすべてを知ってもらいたい、秘密を持つ必要も、その積りもない。
早く準備しなきゃ。
何度も嬉しい驚きを用意してくれたけど今日はびっくりさせてあげる。
ガチャガチャッ……もうすぐ入ってくる、驚く顔が見えないのが残念……ガサガサッ、コトッ……衣擦れの音はコートか上着を脱いだのに違いない、テーブルに何か置く気配がする。どうして声をかけてくれないの??
「ねぇ、あなたでしょう??何か言って怖い」
男から連絡がくる前に部屋を十分に暖めて下着姿になっていたアユはケータイを切って直ぐに全てを脱ぎ捨て、アイマスクとおもちゃの手錠を後ろ手にかけてソファに座って男を待っていた。
すぐそばで気配がするのに驚く様子もなければ声もかけてくれないし、触れようともしない。
「いるんでしょう??あなたでしょう??怖い……ねぇ、何か言って」
沈黙が続き、不安でドキドキするアユが足掻いても手錠は外れるはずもなく、顔を振ってもアイマスクは外れない。
立ち上がろうとしても足が震えて力が入らず徒労に終わる。
沈黙は不安を大きくし、あらぬことを考え始める。
「ねぇ、誰なの??そこにいるのは誰??これはゲームなの、好きな人を驚かせるバレンタインプレゼントで、見ず知らずの人を待っていたわけじゃないの。彼は強いよ、私に変な事をしようとしても駄目よ、敵うはずがないし、もうすぐ来るよ」
「ヒッ、ヒィッ~……やめて、許して、お願い。誰にも言わないから、すぐに出て行って」
何かが肌を這い、違和感で全身が総毛立ち動悸が激しくなって自然と手足が震える。
崩れ落ちそうになる気持ちを奮い立たせて抗議するものの、肌を這う動きが止まる事はない。
手袋をした手が這い回る。
五本の指が強弱をつけて自在に這い回る気配で待ちわびた男の動きだと分かる。
身体も心も男に馴染んだアユが間違えるはずがない。
「びっくりして心臓が止まりそうになったけど、あなたでしょう……セックスの癖、ウフフッ、あなたの愛撫に慣れた私は騙されないよ」
全身の緊張が解れて快感に酔いしれ、アイマスクの下で気配を探ろうとして見開いていた眼を閉じて足からも力みが消える。
腰を撫で、内腿を擦って腰から背骨に沿って撫で上がり首筋に息を吹きかけられると、アァ~ンと甘い声を漏らしソファに体重を預けて与えられる快感を受け入れる。
「クククッ、バレンタインプレゼントを頂戴するよ」
アイマスクをつけたままのアユには見えないものの、しどけなく開いた両足の前で跪いた男は内腿を撫でながら声をかける。
儚げな恥毛が覆う割れ目から花蜜が滴り、源泉を探ろうとする男は皮手袋を着けたままの手で内腿を付け根に向かい、綻びから覗く真っ赤なバラの花に指先を馴染ませると、クチュクチュ、ヌチャヌチャッと卑猥な音を奏で、力を込めると指先から姿を消していく。
「エッ、なに??……見えない、何をしているの??怖い」
インナーステッチのメローラ手袋は抵抗なく侵入し、自由な手でアイマスクを外すと眩しそうな表情を浮かべたアユは股間を覗き込んで目を見開く。
「うそ、手袋をしたままの指で……悪戯をされていると言うより、犯されているような、違う、オモチャ扱いされているような気がする。アンッ、気持ちいい」
付け根まで侵入するとインナーステッチとはいえ、皮手袋が膣壁を擦る刺激と先端が子宮口をくすぐる快感で思わず声が漏れる。
「アユは得体のしれない手袋に犯されても嬉し涙を垂れ流す女だったとは……がっかりしたよ」
「分かっていたよ。あなたしか鍵を渡した人はいないし、約束した時刻だし、あなたは連絡後4分で着くし、あなただって思っていたよ……ウッウッ、怖かった。泣きたくなるのを必死に我慢したんだから……ヒッ、ウゥッ~」
不安な時間を思い出したアユは言葉で強がるものの、赤く染まった眼は潤んで見える。
湧き出る花蜜の源泉に挿入した右手をそのままにして、素っ裸のアユを抱き寄せた男は瞼に舌を這わせて滲む涙を舐めとり、額に唇を合わせてチュッと音を立てる。
男の胸にしがみついたアユの髪を左手で撫でて背中をさすり、頬に手を添えて正面から見据えニコッと微笑む。
「立ちなさい」
有無を言わせぬ一言にアユは唯々諾々と従い、羞恥で朱に染めた顔を男に向けてバギナを犯す手袋の動きに合わせて立ち上がる。
膣壁を擦る皮手袋の感触に酔い、視線を合わせたまま微笑む男に寄りかかるアユは、
「バレンタインプレゼントを用意したつもりだったけど、気に入ってくれた??あなたに抱かれる度にエッチな女になっているなぁって実感する」
「クククッ、アユの素質開花の手伝いができたとすれば嬉しいよ」
「いやな男。会うたびにそう思う……ちゃんと抱いて。夕食を作らなきゃいけないし、お店の開店準備も……ねっ、お願い」
「手はどうする??」
「もう少しの間、このままがいい……ねっ」
「意地悪な男に苛められる可哀そうな女か……オレのモノに挨拶しなさい」
バギナから抜き取った手袋で唇をなぞり、這い出た舌が絡みつく滑りを舐めとるとファスナーを下ろして怒張を引っ張り出す。
ピョンと跳ね出たペニスは宙を睨み、男が腰を上下左右に振るとアユの顔をペタペタ叩く。
「アンッ、大きくて熱い棒に打たれるのって気持ちいい……ハァハァッ、アウッ、クゥッ~、オチンポさま、オシャブリさせてください」
ハァハァッ……ウグッ、ウゲゲッ……頬を膨らませて顔を前後するアユは口腔で跳ねるペニスに上顎を擦られて涙を滲ませ、横目で見た時計で夕食や開店準備の時刻が近いことを知り動きを早くする。
<< おしまい >>
ベッド -4
結合部を確かめることに飽きたアユは男の胸に背中を預けて煌めきの薄れた街の灯りを見つめ、男は窓に映るアユを見つめて何も言わずに抱きしめる。
「夜景を見ているの??それとも……ねぇ、そうなの??どっちなの??」
「そうだよ、窓に映るアユの事を見ていたよ。夜景に勝るアユの魅力を無視するほどオレは自信家じゃないからね」
「ウフフッ、私を悦ばせるのが上手……つぶれるほど強く抱きしめられると、お前はオレの女だって言われているようで嬉しい」
「アユのその言葉こそオレを悦ばせる。証拠を見せようか……」
男は一瞬、奥歯を噛みしめて股間に力を込める。
両足を開いて男の太腿を跨いでいるためにペニスは子宮口を突くほど深くまで押し入り、鈍痛と快感の区別もつかない刺激に眉根を寄せてゾクッとするほど悩ましい表情になる。
男に寄りかかるアユは自らの痴態を見ることで昂奮を新たにして乳房は勿論の事、股間も隠そうとするどころか両足を閉じたり開いたりして結合部がゆがみ、奥深くまで入り込んだペニスが与えてくれる刺激の変化を楽しみ始める。
「アンッ、いやっ……足を開いたり閉じたりするとあなたのモノがウニョウニョして子宮をコツコツってつつくの、すごい。クゥッ~」
枕を尻に敷いてヘッドボードに寄りかかった男は抱きかかえていた手を緩めて腰に添え、鼻先で髪を掻き分けて耳元で囁く。
「アユ、どんな格好をしているのか言葉にしなさい」
「恥ずかしくて、できないよ……ダメ??許してくれないの??やっぱり、意地悪な男。ア~ァ、こんな男を好きになる私はバカな女」
「女はバカなほうが可愛いって言うだろ、アユは可愛いよ」
「じゃぁ、私はバカなの。拗ねちゃうよ」
怒りを感じさせるどころか窓ガラスに映るアユは笑みさえ浮かべて嬉しさを湛えた優しい表情になる。
「バカな振りをして男の虚栄心を満たすアユがバカなはずがない。分かっていて拗ねるアユが可愛いよ」
「アァ~ア、お店の若いお客様ならバカな振りでくすぐると、得意になってくれるんだけどなぁ。あなたはダメか……」
「悪いね、世慣れたオジサンで」
「クククッ、世慣れたあなたに救われることもある……これ以上は言わないよ。ねぇ、おねがい」
男の手が確かめるように腰から腿の外側を撫でて膝の手前で反転し、内腿を付け根に向かう。
手の平で撫でていたのが付け根に近付くにつれて指先だけが触れ、繊細な動きにアユは堪えきれずに甘い声を漏らす。
「アンッ、いやっ、クゥッ~……」
妖しい期待で子宮が震え、ペニスが猛々しく動くのを待ちわびるバギナはウネウネと蠢動する。
窓に映る自分の姿を見つめるアユの呼吸と鼓動が激しくなり、しどけなく開いた口からハァハァと息が漏れる。
「今更だけど、いやらしい格好。窓ガラスの中の私を見て……スッポンポンであなたの太腿を跨いで大股開きで串刺しにされている……それより、私のお腹に必要のないお肉が付いてない??」
「想像してごらん。この格好で結合部を覗き込むアユのお腹がペッタンコのツルツルじゃ魅力がないよ。オレは割りばしで作った人形を抱きたいと思わないからね、アユの体温を感じ、二人の身体が溶け合うほどの感触を味わうには丁度いいよ。今のアユが好きだ」
「ウフフッ、そう言ってくれると思ったけど、わざと試してみたの、ウフフッ」
男の手はツンと上を向いたオッパイを掬うようにして揉みしだき、そのまま先端を指先で擦る。
「ウッ、クゥッ~……アンッ、いやっ」
むず痒いような快感を堪えようとして両足を閉じようとすると奥深くまで飲み込んだペニスが子宮口を突き、予期しない刺激に思わず声を漏らす。
「乳輪がプックリ膨らんでスケベなアユに変身している証拠を見せつけている。クリを弄ってごらん」
「見てね、恥ずかしいことをする私を見てね。笑っちゃいやだよ」
再び両足をM字に開き、ペニスン絡みつくようにする大陰唇と小陰唇を指で開いてクリトリスを剥き出しにする。
嬉し涙がまとわりつくそれは新たな刺激を求め、包皮を突き破って尖り切る。
アンッ、押し入るペニスのせいで窮屈になった付け根を指先でなぞると甘い声が漏れ、指先に自然と花蜜がまとわりつく。
付け根をなぞり、勃起したクリトリスの先端にたどり着いた指は触れるか触れないかの繊細な動きでクリトリスを愛撫する。
「ハァ~ン、いぃの。ここはね、ゆっくり優しく擦ると気持ちいいの。SM遊びはどうかわからないけど荒々しいのはダメ……イヤンッ、善くなっちゃう、逝っちゃうよ、いぃの??逝っちゃうよ」
「好いよ、気持ち良くなりなさい」
男は耳に息を吹きかけながら、囁き声で耳と脳を愛撫する。
「ヒィッ~、頭の中まで愛撫されたら我慢できない。クゥッ~、いぃ、ダメ、気持ちいい……」
余韻の残る言葉と共にアユの身体は弛緩してぐったりと男に寄りかかる。
「恥ずかしい。独りで善くなっちゃった。あなたといるとエッチな自分を思い出しちゃう。私はねセックスが好きなエロイ女」
「それなのに、最近はあまり抱いてくれない。そう言いたいのか、スケベなアユは??」
「うん、だけど身体が目的じゃないと思えて嬉しいんだよ。女は幸せになると我がままになるの……あなたに会う前の私は自己愛に恋していたかもしれない。あなたに会って幸せな女になれたと思う」
ベッド -3
「大好き……」アユの言葉に心を震わせる男は上体を起こし、騎乗位から対面座位に変化して抱きしめる。
「オレも好きだよ」
「嬉しいけど、こんなに強く抱きしめられたら壊れちゃう。私は女の子だよ」
「そうだった、ゴメン」
「あなたが……ウッ、クゥッ~」
アユの声はキスで遮られ、股間を突き上げたり蠢かしたりする刺激と口腔を舌が這い回る心地良さで男の背中に回した手は居場所を求めて這い回る。
両足は男の身体を挟んで伸ばし切り、男もアユを乗せた太腿を伸ばして動く気配もなく見つめ合う。
「いやっ、そんな見つめられると恥ずかしい」
「可愛いな、アユは。二つ目の口で大好物を咥えてダラダラ涎を垂らしていても恥ずかしがるんだからな……」
アユの昂ぶりを感じ取った男は股間を突き上げることなく、乳房や先端への刺激を加えることもなく髪や背中を撫でるだけで優しい視線を向ける。
「恥ずかしいけど、気持ちいい。激しいばかりがセックスじゃないって分かるし、大切に思われていると実感できる」
身体を密着させて体温を感じると、いつの間にか呼吸や鼓動さえもが同調する一体感で穏やかな気持ちになってくる。
アユは男の肩に顔を置いて目を閉じ、男は髪を撫でながら窓の向こうに見える街の灯りに目を細め、アユにとって悪魔の言葉を囁く。
「アユ、きれいな夜景を見てごらん」
「見えない、背中を向けているんだもん」
「そうだね、オレに背中を向けて跨いでごらん」
「うん」……唇を噛んで中腰になったアユは男の手に支えられながらペニスが抜けないように注意して対面から背面座位に変化する。
「えっ、いやっ……いじわる、分かっていたでしょう」
夜も更けて煌めく灯りの一部が眠りについた街はほんの少し暗くなり、窓ガラスが鏡のように薄ぼんやりとアユの姿を映す。
ぼやけて映るアユの姿は幻想的に見えて男は美しさに感嘆するものの、男の太腿を跨いで両足をM字に開いた姿のせいでバギナに突き刺さるペニスが余すところなく見える姿にアユは羞恥する。
「いやっ……」と、呟いたアユは顔を逸らせて目を閉じる。
恥ずかしがるアユに何も強要することのない男は内腿を撫でて鼠径部を上下し、滲み出た花蜜でしっとりする恥毛に指を絡めて戯れる。
「アンッ、私の身体で遊んでいる。あなたのオモチャになるのも嫌じゃない」
男の手はアユの身体を這い回り、右手が下腹部を擦って左手を胸の膨らみに添える。
フゥッ~……イヤンッ、くすぐったい……男が耳に息を吹きかけるとアユは身体を縮めて嬌声を漏らす。
「顔を背けたり眼を閉じたりしないで見てごらん。男なら誰でもゾクゾクするほどエロいよ」
「そんな事を言わないで、あなただけの女なの……えっ、これが私なの??」
窓に映る何もまとわず素っ裸のアユは、男の股間を跨いだ足をM字に開いたせいで何も隠すことなく卑猥な姿を晒す。
太々しい怒張はバギナを押し開いて奥深くまで侵入し、無残に散らされた真っ赤な花弁は媚びを売るかのように侵入者にまとわりついている。
胸や股間を隠そうとした手は男に掴まれ、顔を背けようとすると見なさいと叱声にも似た男の声が脳で響く。
「見ればいいの??恥ずかしい姿の私を見ればいいの??」
「エッチが大好きなんだろ、この格好ならよく見えるだろう??アユが見ているオレのモノはなんていうんだ??」
「ハァハァッ……そんなこと言えない」
「言えないのなら抜いちゃうよ」
アユの腰を掴んで持ち上げ、抜く振りをすると、
「いやぁ~、抜かないで。言うから抜かないで……私のアソコに入っているのは、あなたのオチンポ。オチンポが私を串刺しにしている……でも、はっきり見えない、ぼやけているの」
「オレのチンポに串刺しにされて嬉し涙を流しているのか、クククッ……指を添えて開いてごらん……分かるね??」
おずおずと伸ばしかけた指が途中で躊躇すると、アユと名前を呼ばれて再び指は割れ目に近付いていく。
男はナイトテーブルに手を伸ばして卓上ミラーを取り、結合部が見えるようにする。
アユの顔のそばから鏡を覗き込んで視線を合わせ、
「よく見るんだよ、結合部に触れてみなさい」
股間に伸びた指が飲み込んだペニスと膣口の結合部をなぞり、入りきらない付け根付近で膨れあがった部分を指先が擦る。
「ウッ、すごい、こんなに太いモノが……これって、尿道??オシッコの通路なの??男の人の尿道ってこんな風なんだ」
「クククッ、生娘が初めて男のモノを見たようなことを言うのも可愛いよ」
「いやんっ、ここをこんな風に触ったことがないし、観察したこともないもん。ハァハァッ、はしたない格好だけど昂奮する」
「偉そうに髭を生やしたオジサンが葉巻を咥えているように見えるな、そう思うだろう??」
「えっ、私のアソコが髭を生やしたオジサンで、あなたのモノが葉巻なの??ウフフッ……葉巻を好きな人がいる理由が分かった。葉巻を咥えると気持ち良くなっちゃうんだ、クククッ、そうでしょう??」
「葉巻は勿論、タバコも吸わないからオレには分からないなぁ」
性的昂奮と共に刻んだ眉間の皴はいつの間にか消えて柔和な表情になり、男の持つ卓上ミラーを覗き込んで裂けるほどに開ききった割れ目の周囲をなぞりペニスを擦る。
ベッド -2
望んでも叶えられないことがあるのを知っている。
人前で愛する人に愛していると言えないのが不倫。
本当の気持ちは心の奥底に秘めて他人の前では決して口にしない。
ベッドで戯れて睦言を交わすときだけは愛を語る事を許してもらう。
夜は奥様の元へ帰る男と深夜のベッドでつながることはできないと思っていた。
友人のお嬢様の結婚披露宴に出席のため大阪へ行く男が、アユの店も休みだから伊丹空港か新大阪駅で待ち合わせしないかと誘ってくれた時は一瞬耳を疑い、本当なのと聞き返した。
男のモノを受け入れて数百キロ離れた場所の夜景を見ているという事実がアユの昂奮を誘う。
セックスするのはアユの部屋かホテルのディユース、ラブホに行かないのはどうしてだと聞くと、昔、シーツの下に敷かれたビニールシートが気になって気持ち良く逝くことが出来なかったからと笑っていた。
付き合い始めた頃の土曜日、近くのホテルで夕食を終えた後、どうしてもお泊りしたいと駄々をこねたことがあった。
苦笑いを浮かべて、今回だけだよと部屋を取ってくれた男はセックスを終え、ピロートークで満足させてくれた後、
「オレは帰るけど朝食は待っていてくれよ、少し遅くなるかもしれないけど必ず来るから一緒に食べよう……念のため、デポジットを入れて帰るから、お腹が空いたらルームサービスを頼むんだよ」
有無を言わせない言葉に剣呑な響きはなく、性的に満足させてくれた悦びに浸っているアユは、うん、待っていると答えた。
デポジットを入れると聞いて、もしかすると来ないのではないかと不安に思ったけれど、翌朝、予想よりも早く来てくれた男に押し倒されて剥ぎとるように下着を脱がされた。
シャワーを使わせてと言っても許されず、ピチャピチャと音を立ててクンニされると我を忘れて男の頭に手を添え、股間を押し付けていた。
荒い息遣いと共に押し入った男は半日も経過していないのに熱い迸りを注ぎ込み、
「せっかく部屋を取ったのに一人にしてゴメンね。外泊しないっていうのはオレにとって大切なルールだから認めてほしい」
大人の男と女として付き合うことになった時、オレには大切な妻がいるから、いくつかのルールがある。それを曲げる積りはないから気に入らなければ言ってくれと、はっきり言われていたので納得できた。
我がままはギリギリのラインを設けて認めてくれる男を信じることが出来る。
そんなルールを納得したうえで、ホテルで抱かれることに幸せを感じないはずがない。
こんなに煌びやかな夜でも静かな朝を迎えるのかと思うほど華やかな夜景を見ながら騎乗位の膝に力を込め、身体をほんの少し前傾して男の股間にクリトリスを擦りつけながら下半身を蠢かすと全身の血が湧きたち、快感につながるエロスイッチが入る。
「ダメッ、我慢できない……今日の私はいつもよりエッチで好色な女。エッチでも好いでしょう??」
前屈みで倒れそうになるアユの腰と脇腹に手を添えて支える男は、早くも髪を乱して胸の膨らみに手を添えてヤワヤワ揉む色っぽさに唾をのむ。
「いやらしいアユも好きだよ。新幹線を降りた時は可憐な乙女かと思うほど清楚な雰囲気を漂わせていたけど、今は豹変したかのようにエッチで好い女」
「アンッ、ほんとう??清楚な乙女があなたに抱かれて色っぽい女に変身するの、ウフフッ……あなた色に染められたい」
アユの言葉に応えることなく両手で尻を鷲掴みしてベッドのクッションを利用し、コリコリした感触を亀頭が感じるまで突き上げる。
「ウググッ、クゥッ~、すごい、奥が、子宮をゴリゴリされる……きついっ」
顔を顰めて眉間の皴を深くしながらも嫌がる様子はなく、尻に添えられていた男の手がアユの身体から離れることなく腰から腹部へと移動するとその手を握って身体を支え、腰を上下させたり大きく円を描くように動かしたりと快感を貪る事を止めようとしない。
男を跨ぐ女性上位ながらもセックスの主導権は男が握り、アユの動きに合わせて腰を突き上げたり、握った手の動きで仰け反らせたり前屈みにさせたりと自在に操りペニスが与える刺激を変化させる。
「クゥッ~、イヤッ、あなたを苛めようと思って上になったのに、こんな事って……」
ベッドに付けていた膝を上げて足裏で身体を支えたアユはペニスが抜け落ちそうになるほど大きく上下する。
「ウッ、クゥッ~……気持ちいいよ」
カリ部が膣壁に引っかかるような刺激で込み上がる快感に声を漏らし、自由な膝が震える。
背後にある男の膝は見えないはずなのに主導権を取り戻した余裕で、震えを感じ取ったアユは笑みを漏らす。
「ウフフッ、どうしたの??気持ち良くて我慢できなくなっちゃたの??もっと気持ち良くしてあげる」
ペニスを奥深くまで飲み込んだまま前屈し、黒髪で胸や顔をくすぐったアユは、どうなの、我慢できると言いたげに口元を緩めてそのまま唇を合わせる。
舌を絡めて普段は口にすることのできない想いを伝え、ドロッと唾液を注ぎ込んで飲み込むまで唇を放そうとしない。
ゴクッ……男が嚥下したのを感じ取ったアユは顔を上げて、じっと見つめ、
「大好き……」と、囁く。