窓 -3
「立ちなさい。しゃがむとアユのエッチな身体を見たい男たちががっかりするよ……分かるね」
「あなたが窓際で立てって言うなら……あなただけに見て欲しいのに」
いないはずの観客を口実にして羞恥心を煽る卑猥遊戯に浸るアユは、夜の闇を昼間のように照らす灯りに目を凝らす。
街の灯りは誘蛾灯のように人々を引き付ける魅力がある。
普段の私も小さいながら灯りを点けている。
その灯りに気付いて来店してくれた人の友達が今や離れがたいほどに想いを募らせる、この人だ。
眼下で眩しく煌めく灯りの下で今日も色々な出会いがあるのだろう。
アユのそんな思いを知ってか知らずにか男の手は全身をまさぐり、瞳を見つめて口元を緩め視線でリラックスしなさいと伝える。
立ちなさいと強く言われた後の妄想などで強張っていた身体は微笑で癒されて緊張を解き、再び眼下に広がる夜景に見入る。
住んでいる場所から遠く離れた大阪で何も気にすることなく夜景に見入る時間があるとは思いもしなかった。
窓に両手をついて眼下の景色を見つめるアユの背中に指を這わせ、首の付け根から腰まで撫で下りると脇腹を撫であがる。
肌に張り付く産毛を一本一本起こすように逆なでされると眠っていた性感も目覚め、男の指が近付き息や鼓動を感じるだけで股間が疼き始める。
肌を這う指や吹きかける息が肌の触覚を刺激し、指先や爪で押さえられる痛覚さえもが新たな性感を目覚めさせる。
昂奮して熱く勃起するペニスを下半身に押し付けられる温覚や窓ガラスに感じる冷覚さえもがアユを羽化登仙の境地に誘う。
脇腹を這っていた男の手は身体の前部に回って下腹部を撫でまわし、首筋に息を吹きかけながら耳元で、
「今日のアユは一段と好い女だよ。窓に映るエロイ女を見なさい」と囁く。
ブルッと震えたアユの肌は一瞬にして鳥肌に覆われ、耳まで朱に染まる。
「ハダカンボで漏れそうになる喘ぎ声を我慢しながら好い女って言われるのは恥ずかしい……揶揄ってないよね」
「楽しいときは笑い、悲しいときは涙を流す。気持ち善いときはアソコが嬉し涙を流す。正直なアユが好きだよ」
「もう、怒るよ……ウッウゥ~、いいの、気持ちいぃ……いやんっ、ダメッ」
ハァハァッ……恥丘から鼠径部を撫で下りて内腿を擦ると堪えがたい快感で息を荒げ、ハハァハァと漏らす呼吸に合わせるように指先を上下するとアユの両手は男の手を掴んで動きを封じようとする。
「手を窓につけて動くんじゃないよ」
「我慢できないくらい気持ちいいの。立っているのが辛いんだもん」
「そうか、しょうがないな……我慢するんだよ」
脱ぎ捨てたバスローブから紐を抜き取った男はアユの両手を背中で縛り自由を奪う。
「なに??なにをするの??あなたは怖いことをしないって信じているけど、大丈夫だよね??」
アユの不安に応えることなく、一歩下がって全身を見た男は、
「両手首を背後で縛るだけでアユの自由を奪い、オレだけのモノだって実感できるんだから紐に感謝しなきゃ……それにしても、好い女って言葉はアユのためにあるようだな」
「そうなの??手を縛られると私はあなただけの女になれるの??何か、ゾクゾクする。もっと意地悪をされたい」
「アユを相手に意地悪なんかしないよ。嫌われたら困るからね」
手を支えに出来なくなったアユを窓に押し付けた男は乳房を鷲掴みした右手に力を籠め、左手で髪を撫でて頬に添える。
胸の膨らみがひしゃげるほど手に力を籠めるとアユの表情は歪み、頬に添えた手が優しく上下すると笑みを浮かべる。
二人の瞳は相手から離れることなく見つめ合い、熱い思いに引き寄せられるように唇を合わせる。
唇を重ねて擦りあい、つつきあっては口腔に侵入して歯茎を舐め、乳房で戯れていた男の手が股間に伸びる。
「アウッ、クゥッ~……待っていたの。嬉し涙を流して待っているのに相手してくれないんだもん……」
滲み出た嬉し涙は内腿にまで届いて粘り気を帯び、腿を合わせると不快に感じるアユは自然と腰を落としてガニ股気味になる。
「アユ……アユが好い女だって思うのは姿勢もあるんだよ。どんなに美人で高価な洋服やアクセサリーを身に着けても肩を丸めた猫背じゃいい女とは言えないだろう。ガニ股のアユじゃ興ざめだな」
男の言葉で両足を揃え、普段の自分に戻ろうとしても滑りを持つ内腿の不快感から逃れることはできず腰を落として足は開いたままの姿勢に戻る。
指先で拭い取った滑りを舐めさせた男は股間に太腿を擦りつけてアユの身体が崩れ落ちるのを防ぎ、両手で頬を挟んで唇を合わせ、唾液を流し込むような濃厚なキスをする。
ハァハァッ……有無を言わせぬ悦びを与えられるアユの身体から力が抜け、その場に崩れ落ちそうになっても男の太腿がそれを許さない。
無意識のうちに股間を腿に擦りつけて新たな快感に浸り、目を閉じて余韻を楽しもうとすると男はしどけなく開いた割れ目に指を伸ばして花弁を摘まむ。
「ヒィッ~、どうして……こんな……気持ちいぃ、たまんないの」
オナニーの時はビラビラを摘まんで指先に力を込めたり引っ張ったりすると、身体の芯からゾクゾクして気持ちいいと言った事を忘れて見悶える。
窓 -2
大きく開いた割れ目を覗き込まれている気配は感じるけれど一切の言葉を口にせず、何もされないことが羞恥を煽り、それとは裏腹に窄まりの中心がもの言いたげにヒクヒクする。
「尻の穴が何か言いたいようだな。アユ、どうされたいんだ??」
「そんな事を言われても、私からは何も言えない……分かっているくせに」
「分かっているって言われてもオレには何のことだか??」
窄まりの中心に息を吹きかけた男は、アンッと言う艶めかしい声を聞いても意に介することなく立ち上がり、アユの背中に身体を密着させて耳元にフゥッ~と息を吹きかける。
アウッ、いやんっ……男の指も唇や舌、吐く息までもが全身に散らばる性感帯を呼び起こすためにアユの身体を這い回る。
全身の毛穴が広がり、男の愛撫のすべてを受け入れようとして身体が反応しているように感じ始める。
「好き、あなたの触れる場所が私の性感帯」
男の左手がアユの左手を覆い、気色を浮かべた表情を窓ガラスの中に見るとそっと握り締めてくれる。
並んで歩いているときやペニスに貫かれて得も言われぬ悦びに浸るとき、自然と男を意識する時に手を握ってくれる。
窓に押し付けた右手や身体の前部が窓ガラスの冷たい感触で身体の火照りを冷ましてくれて心地良いと思い始めても、やはり男の左手から伝わる温かさの方に心がときめく。
「オレの可愛いアユを皆が見ているんだよ……分かるだろう??灯りの一つ一つがスケベな男たちのギラギラ光る眼だよ。オレのアユを皆が見ている、考えるだけでも妬けるよ」
「ほんとう??下着もすべて脱ぎ捨てて窓際で悪戯されている私を見ているの??オチンポをオッ立ててギラギラ光る眼で見ているの??あんなにたくさんの男たちが襲いかかってきても守ってくれるでしょう??ねぇ、そうなんでしょう??」
「あぁ、アユはオレの女だよ。誰が来てもブッチメテやるよ」
「嬉しい……ひしゃげるほど窓に押し付けたオッパイが冷たくて気持ちいい。ウフフッ、オッパイは冷たいけど、お尻をつつく棒が熱い」
「オッパイの冷たさを確かめさせてくれるね??」
耳元で囁いた男はアユの身体を反転させて瞳を見つめ、恥ずかしそうに顔を背けると胸がつぶれるほどギュッと抱きしめる。
「アンッ、もっと、もっともっと強く抱いて。手をつないでくれたり、私がキッチンに立っているとお尻をツルって撫でたりするでしょう。あなたと一緒だって感じられて嬉しいし安心できるんだよ。つぶれそうなほど強く抱きしめられるのも嬉しい」
妻がいる立場の男は、束縛されることを幸せだと感じるアユを危険だと思うものの黙って聞いている。
ここで躊躇して抱きしめる手の力を抜けばアユは男の本意を探ろうとするだろう。
一瞬の思いを振り払い右胸の膨らみを鷲掴みにして唇を合わせ、侵入させた舌を重ねて擦り合わせる。
「ウンッ、フグッ……ハァハァッ、今日のあなたは激しい。あなたも初めてのお泊りで昂奮しているでしょう??」
「あぁ、昂奮しているよ。時間を気にせずに、アユとこんな事をできるんだよ、昂奮しないわけがないだろう」
アユの頬を挟んでチュッと音を立てて唇を合わせ、頬に添えた手の指で耳をくすぐり、首を撫でる。
「ウックゥッ~、ねぇ、もう一度、聞くけど誰にも見られていないよね??」
「さぁな、見えてもいいだろ。こんなに好い女のアユを独り占めにするのは失礼な気もするしな」
「バカッ……」
男の指が首を撫で、鎖骨の窪みをなぞりながら顔を近付けるとアユの頬は羞恥で赤みを帯びる。
「そんな近くで見つめられると恥ずかしい」
唾液を交換するような濃厚なキスを交わした男の右手はアユの腰を抱き寄せ、肩を甘噛みする。
「決して消えない噛み痕をつけても好いよ。いつも、あなたと一緒にいることが出来る」
「クククッ……今の言葉を後悔するなよ」
ゆっくりと歯に力を込めていく……「ウグッ、ヒィッ、痛くないもん」
アユの顔が歪み、男の背中に回した手に力が入って指先が痕を残す。
「いたいっ、背中に爪痕が付いただろうな、大切にするよ」
男の手が股間に伸びて熱いぬかるみを探り始める。
「アンッ、すごいでしょう??自分でも蜜の滴りを感じるもん」
「すごいよ、内腿まで流れ出てビショビショだよ……熱い花蜜が湧きだす源泉を弄るとどうだ??」
指がバギナに侵入して膣壁を擦るとアユは蹲りそうになる。
「ダメだよ、アユ。我慢できなくなっても立ってなさい、しゃがんじゃダメだ」
「クゥッ~……そんな事を言われても、立っているのが辛い。気持ちいいんだもん」
窓 -1
灯りを落とした部屋で下着どころか、糸くず一本、身にまとうことなく窓に手をついて立つアユの後ろ姿は白い肌が乳白色に輝いて妖艶な雰囲気を漂わせ、見つめる男はゴクッと唾を飲む。
「ねぇ、見えない??あの窓も、あっちのビルの窓も良く見えるよ……あなた以外の男に見せたくないの。私は、あなただけの女でいたい」
「大丈夫、見えないよ。灯りの付いている、あの部屋に誰がいるか見えないだろう??アユの身体を見ているのはオレだけだよ……きれいだよ」
ソファに座ったままの男は手を伸ばして太腿に触れると、キャッと可愛い声を漏らして振り返り、下唇を噛んで怒った振りをする。
「好い女は何をしても可愛いな。素っ裸で怒った振りをするアユの新しい魅力を感じるよ」
怒った表情をしても可愛いと言われたアユは素っ裸でいることに羞恥を覚え、全身を薄桃色に染める。
「見るだけじゃ嫌。恥ずかしいのを我慢しているんだから……私の身体で遊んで欲しい、今すぐに……見られるだけって辛い」
「よし、尻を突き出してムッチリとして触り心地の好い腰や尻を強調してごらん……そうだよ、それでいい」
窓に両手をついて背中が平らになるほど尻を突き出し、妖しくくねらせると内腿にまで滲む愛液が虹のように輝き、男の悪戯心に火が点く。
背骨に沿って息を吹きかけると、イヤァ~ンと艶めかしい声を漏らして身体を揺らし、尻の割れ目を指先で刷くと、ウッ、ダメッと呟いて蹲る。
男が近付くと婀娜っぽい笑みを浮かべて上目遣いに見つめ、目の前でそそり立つペニスに指を伸ばそうとする。
「アユ。立ちなさい。しゃがんでいいと言ってないよ」
叱声にも似た声に促されて立ち上がり、窓に手をついた元の格好に戻ると男は再び腰から背骨に沿って息を吹きかけ、首筋や耳元も吐く息で刺激する。
首の周辺から始まって全身の鳥肌が立つような疼きに覆われ、
「アウッ、あんっ……次は何をされるのかと想像すると昂奮する」
「オレがアユの身体でどんな風に遊ぶか想像しなさい……言葉にしなさい。俯いて頬を赤らめるだけじゃ分からないよ」
「あなたの考える事は分からないけど、恥ずかしいと思うのは……されると恥ずかしいのは、突き出した尻の割れ目を広げられる事かなぁ……お尻の穴は見られたくない」
「そうか、臭いモノを吐き出す尻の穴を見られるのが恥ずかしいんだ。分かったよ、アユが嫌がる事はしないよ。約束する」
「えっ,ウン、嫌な事をされたくないから嬉しい。あなたに見せたくない事もあるもん」
嬉しいという声は沈み、安堵したというより期待を削がれてがっかりした様子が窺われることに満足した男はアユの背後に近付き、背中を包み込むように抱きしめて窓ガラスに押し付ける。
「ヒィッ……冷たくて気持ちいい。今日は優しさを欲しくない、先日の過ちを諫めて欲しい。あなたの言葉を信じられなかった自分を許せないの、お前はオレの女だって態度で……お願い」
「あぁ、信じさせてやるよ。アユはオレのモノだ、アユの身体にオレの記憶を刻みつけてやる」
抱きしめる手や身体に力を込めることなく体重を預けてアユを窓に押し付ける。
アユは窓についた手に力を込めて押し返そうとするとガラスが割れるのではないかと不安になり、一瞬力を抜いたものの奥様がいる男を相手の恋、居心地の好い場所にだけいられるはずがないとガラスが割れる不安を追い払う。
「それで好いよ、アユ。オレの事を信じても好いんだよ」
アユは一瞬浮かんだ考えを見透かされたようで男のすべてを信じる事にすると決意する。
「きれいな夜景だな。こんな景色をアユと一緒に見ることができるなんて思わなかったよ。誤解しないで聞いてくれよ……オレの言葉を信じられないと怒っただろ。あの時、アユにどれほど信じてもらっていたのかと嬉しかったよ。帰れって言われた時はガッカリしたけどな」
「もう言わないで、お願いだから。あの時の私は変だったの、信じてお願いだから」
「好いよ、信じるよ。オレはアユを信じる、アユはオレを信じる。これからも美術館巡りに連れてってくれよ」
「うん、嬉しい……気持ちよくなりたい」
首筋や背中に舌を這わせ、指を立てて脇腹を爪先で撫でると、アンッ、ウッウッと、艶めかしく蕩けるような表情を窓に映す。
男はその場に蹲り、丸みを帯びた尻を両手で掴んで割れ目を開く。
「あんっ、恥ずかしい……私のすべてを見て欲しいし、食べ尽くして欲しい」
「今日は時間を気にする必要がないから覚悟しろよ」
オナニー -3
目隠しをされて鋭敏になっていた聴覚や触覚は元通りに開放され、街の灯りがスケベな男たちの瞳だと告げられたアユは店での男たちの視線を想い出す。
今はカウンターを挟んでお客様の相手をするので隣に座る事はないけど、意に沿わない誘いの言葉や下品な猥談の相手もしながら、お客様のオーダーに応じてバックバーのボトルを取ろうとする時、バックバーに張った鏡に私の腰や首筋を見る表情が映ることがある。
あるいは、オーダーされた酒を用意しようと俯いた胸元に視線を感じる事もある。
そんな記憶が蘇り、キラキラ煌めく街の灯りが男たちの視線だと意識すると妖しい思いが脳裏をよぎる。
男に会えない夜の寂寥感から逃れるために店を閉めた後、電車に乗って思い出の場所に向かおうとする。
電車の振動に身を任せて目を閉じると、男の愛撫を想い出した指が乳房や股間に伸びてヤワヤワと蠢き始める。
衣服の上からの刺激では物足りなく思う気持ちが、男に会えない切なさに通じて身体の疼きが深くなる。
乳房の先端を指先で強く押したり擦ったりすると知らず知らずのうちに、ウッウッ、イヤッ、いぃの、気持ちいい……と、声が漏れる。
自らの声に驚いたアユが目を開けると、真向かいに座って驚きの表情で凝視する男と目が合う。
見ず知らずの男の視線に誘導されるように左手はブラジャーをずらしてオッパイを揉み、右手は下着の中に這い入って潤みの源泉で戯れる。
ヌチャヌチャ、ニュルニュル……ウッウッ、アウッ、クゥッ~、いいの……見つめる男を挑発するように下着の中の指が妖しく蠢き、焦点の合わない視線が宙を舞う。
風呂上がりの身体に仄かな香りをまとったアユはベッドに上がって枕を尻に敷き、股間をあからさまに晒して独りエッチに興じる。
恥ずかしさと悦びの狭間で妄想に捉われ、大きな窓から見下ろす街の灯りが見ず知らずの男たちのスケベな視線に思えて見られる快感で昂奮する。
二人で泊まれるはずがないと思っていた男と時間を気にせず戯れる事がこんなに楽しいとは想像する事すらなかった。
クチュクチュ、ニュルニュル……現実に戻ったアユは目を閉じたまま、男に見せつけるように股間の指を蠢かす。
滲み出る程度だった愛液が会陰部にまで滴る羞恥で股を閉じようとすると、
「アユ、閉じちゃ見えないだろう、腿は大きく開いたままにしなさい。それより、オレに関係のないオナネタを思い浮かべていただろう??違うって言えるか??」
「街の灯りはエッチな私を見る男たちのギラギラ光る瞳だって言ったでしょう、恥ずかしくて昂奮しちゃったの……変な事を妄想したのはあなたのせい、私は悪くないもん……ここを、クチュクチュ痛く感じるほど刺激すると堪んないの、クゥッ~、アウッ、ウッウッゥ~」
小陰唇を摘まんでコリコリ擦り、引っ張ったり捩ったりすると快感が子宮から脳天に向かって突き上がる。
「そうか、オレの言葉を信じて他人に見られることを想像して濡らすのか、アユは……こっちに来なさい」
素っ裸のままソファに座る男の股間は男根が隆々と聳え、目の前に立たせたアユの乳房に手を添え、その手を脇腹に沿ってゆっくりと撫でおろして腰から尻のムッチリとした感触に笑みを浮かべる。
「嫌な男。身体を値踏みされているようで恥ずかしい……ねぇ、私のアソコはどうなっているの??」
「ここか??」
内腿に残る花蜜の滴りの痕を見つめる男は割れ目に指を添え、広げる必要もないほど滴る蜜でしとどに濡れて真っ赤な花弁をあからさまにする。
「嫌っ、恥ずかしい……こんなのは、いつものあなたじゃない。怖い」
「オレの事を嫌いになったか??」
「なるわけないよ。あなたの言葉を信じるって言ったけど、言葉だけじゃない。あなたのすべてを信じる……ゾクゾクするほど気持ちいいの。こんなの初めて、今日の私は変なの」
「可愛いよ、窓際に行きなさい」
ヨロヨロと、しかし怖がる様子もなく窓に近付いたアユは男の意を酌んだかのように両手を窓ガラスに押し付けて立ち尽くす。
「どうされたい??アユの望みを聞くよ」
振り返って男を見ることもなく、素っ裸の自分を照らしてキラキラ煌めく街の灯りに見入る。
「急にそんな事を言われても……こんな事を想像したことないもん」
「それじゃぁ、オレの思ったままで進めるしかないな」
オナニー -2
「ハァハァッ……ビラビラを弄ると気持ちいいの。ウッウッ、クゥッ~、見てる??独りで善くなってもいいの??」
薄明りの中のアユは自ら与える性的刺激で羞恥と快感の狭間で表情は歪み、白い肌は大理石のような滑りを帯びて妖しい魅力を振りまく。
「アユ、オレは勘違いしていたのか??ムード作りはキス、エロスイッチはオッパイの先端についていてクチュクチュした後、グイッと引っ張るとコリコリして乳輪がプックリ膨らむ。そこから先は何をしてもエロイ反応しかしない……そんな風に思っていたけど、オレの勘違いだったようだね」
「だって……独りじゃキスできないし、ハラハラドキドキのあなたの愛撫もないもん。オナニーの作法は別にあるの」
二人が住む街から数百キロ離れたホテルのベッドで痴態を晒す今、想い出が走馬灯のように脳裏をよぎる。
酒は売るけど色気は売らないと決めて始めた店だけど、目の前にいるはずの男に一目惚れしてしまった。
客として来てくれていた男の友人が、「ママは株をやっているんだろう??そのうちに専業でやっている友人を連れてくるよ」と言い、人となりなどを聞くうちに興味が湧き、会ってみたいと思うようになっていた。
独りで店に来てくれた時、株式取引以外の話しを聞いて想像を膨らませていた通りの容貌や笑顔に胸がときめき、共通の興味を持つこともあって話も弾み、仕事と色恋を絡めることを避けることが徐々に出来なくなっていた。
他のお客様への対応などを考えて自分の気持ちに決着をつけるべく、はしたないかなと思いながらデートに誘った。
成熟した女が意を決した誘いに応じてくれたものの、望みのすべてを叶えられる事はなく勝負パンツだと決めていた下着を脱がされる事はなかった。
二度目の店外デートが終わって部屋に立ち寄ってくれた時に肌を重ね、その後は楽しい事ばかりを2年余り続けて先日の諍いに至る。
諍いと言っても私が彼の言葉を誤解して勝手に腹を立て、別れることを後悔して許しを請うと私を責めることなく二人でこのホテルにいる。
男に見つめられていると思うとペースが狂う。
店を閉めて家に帰り、入浴で接客の疲労感を洗い流してハダカンボのまま目を閉じると男の姿が瞼に浮かぶ。
男の愛撫をなぞるように私の両手は髪を梳き、頬を撫でて脇腹を擦る。
ウッウッ、クゥ~ン、いやっ……オナニーをする気持ちはなかったのに、独りだけの部屋で吐息を漏らす頃には身体の疼きを堪えることも出来ず、手の動きが激しくなる。
脳裏をよぎる記憶と、目隠しをされて目の前にいるはずの男が見えない事で知らず知らずのうちに自室でのオナニーと同じようになる。
記憶の中にいるいつもの男の指は脇腹から下腹部に移動して柔らかな肌の感触を楽しむように擦る。
楽器を奏でるように、あるいはシルクの肌触りを味わうように指先や手の平が優しく這い回る。
アンッ、ウッウックゥッ~……目隠しをされていても男の視線を感じて股間は熱を持ち、男の指の感触を思い出しながら刺激すると、じんわり滑りを帯びてくるのを意識する。
恥毛に指を絡めて引っ張ると自然と顔が歪む。
大陰唇の縁を擦る指は鼠径部を撫で下りて内腿をヤワヤワと撫で、しどけなく開いて乾いた唇に赤い舌を這わせる。
ハァハァッ……ゴクッ……見つめる男の息が荒くなり唾液を飲む気配がするとアユの昂奮も新たなモノになる。
アッアウッ……ウッ、クゥ~ン……眉根を寄せて口はしどけなく開いたまま閉じることが無くなり、足指が伸びたり縮んだりしてシーツに皺が出来る。
右手で股間を弄り、左手は男がエロスイッチと言った胸の膨らみの先端を摘まんで引っ張り、眉間の皺が深くなるとグッと押し込んでいく。
ピンクの乳輪が零れ落ちんばかりに膨らみを増す頃には股間で蠢く右手がヌチャヌチャと卑猥な音を奏で始める。
「エロいよ、アユ。多摩川や根川緑道でキャンバスに向かうアユを想像できないほど色っぽい」
「多摩川でこんな事をするとどうなるの??」
「そうだな、アユが想像してみなさい」
静かに立ち上がった男はカーテンを引き、窓一杯に眼下の景色をあからさまにする。
「なに、何の音??どうしたの??」
アユに近付いて両手で頬を挟み、チュッと音を立てて唇を合わした男は目隠しを外す。
「えっ??いやっ、見えちゃう……いやぁ~……」
乳首と股間の指をそのままにして悲鳴を上げたアユは、目を見開いて大阪駅周辺の景色に見入る。
「見えないよね。私はあなただけのモノだよね」
「そうだよ、見えないよ。部屋の灯りを落としてあるし、アユはオレだけの女。誰にも見せるはずがない」
「きれいな景色……窓が大きいから天井から床までキラキラと煌びやかな夜景が広がっている」
美しい景色に瞳が輝き、動きを止めていた指が妖しく蠢き始める。
「アユ……オレ以外の男にエッチな姿を見られていると想像しなさい。街の灯りはアユのオマンコやオッパイを見つめるスケベな男たちの瞳だよ」