栞 新たな一歩 -9
五人の男たちにオマンコと口を凌辱され、思うさま満足の証を注ぎ込まれた英子はぼろ雑巾のように蹲っていたが休息時間も与えられることなく浣腸された。
ブシュ、ブシュッ、ブチュブチュ、ピシュッ~……いやぁ~、見ないで、おねがい……歯を食いしばり必死に我慢しても意地悪な男に下腹部を揉みこまれては直ぐに抵抗も限界を迎え、羞恥の液体を迸らせてしまう。
バギナと口から精液を滴らせ、浣腸液を撒き散らした英子は恥ずかしくて声を出すこともできず、顔を伏せて吹き荒れる嵐が収まるのを待つ。
「20分、いや30分休憩しよう。奥さん、奥さんが頑張ってくれたからいい絵が撮れたよ。ご主人、奥様をお願いします」
女性が用意してくれたガウンを英子の肩にかけた夫は怒張が吐き出した残滓をティッシュで拭い、優しく寄り添って控室のドアを開ける。
フェイスマスクを外した栞は夫に抱きしめられてキスをされ髪を撫でられる。
「アンッ、汚いよ。男優さんに口の中にも放出されたんだもん……」
「撮影中は英子でも二人きりの時は栞。栞は僕の大切な人、すべてが僕のモノだよ」
「嬉しい、この後も頑張れる。見てね、エッチな私を。旦那様の大好きなエッチでスケベな私が汚されるのを……」
「あぁ、大好きな栞のことをずっと見ているよ。気持ち善くしてもらいなさい、ビデオの向こうでチンポをしごく男たちを刺激してあげなさい……シャワーで汚れを流してあげる。少しでいいから何か食べなよ、女優って体力勝負だと見ていて思った」
夫の手の平が汚れを流しながら労わるように全身を這い回り、自分のわがままで栞を今の境遇に置いたことを悔い、それと共に自らの寝取られ願望を満足させることに悦びを感じて複雑な表情になっているのを見て栞は満足する。
「大丈夫だよ、あなたが悦んでくれるなら私はどんなことでも平気。大切な旦那様だもん」
シャワーを浴びて濡れているからとはいえ肌はしっとりと艶めかしく艶を増し、手の平に吸い付くような感触にこんな栞を好き放題に嬲られるのかと想像して夫は興奮を新たにする。
シャワーブースを出てサンドイッチをジュースで流し込み、時刻を確認して歯磨きと化粧を済ませた英子は用意された衣装を手に取る。
真っ赤なスケスケ、サイドストリングショーツとクリムゾンレッドのベビードールで、それは背中が大きく開いて男たちを惑わせずにおかないだろう。
スタンドミラーの前でショーツを着けるとサイドストリングのためにスタイルの良さが強調されて鏡の中の自分にニンマリする。
「栞、惚れ直しちゃうよ。肌は大理石のように妖しい滑りを帯びて男たちを吸い寄せる、最高の女だよ」
鏡の中の自分に見惚れる栞の背後に立ち、髪に顔を埋めて息を吸い込み身体の輪郭に沿って手を滑らせる夫はショーツの縁をなぞり、透けパン越しに陰毛を撫でて首筋にキスをする。
「イヤンッ、感じちゃう。抱いてほしくなっちゃう……ねぇ、ほんとに私が嬲り者にされても平気なの??」
「僕の大切な栞に他人が夢中になるって嬉しい。いっぱい弄ばれて僕を挑発するんだよ」
コクンと頷いた英子はベビードールを着けて鏡を見ながらクルリと一回りする。
ショーツと生地は違うものの透け感は共通して胸の膨らみやショーツが見え、大きく開いた背中は尻の割れ目が見えそうなほど色っぽい。
フェイスマスクを被った英子と夫は惹かれ合う思いに踏ん切りをつけるため、時計を見て呼ばれる前に控室を出る。
「えっ、ゴクッ……たまんねぇな」
「次のシーンは挿入ナシだったっけ??」
「うわぁ~、奥さん、エロイなぁ……透け感のあるベビードールが身体のラインを見せてくれるからスタイルの良さが際立つし、白い肌に赤がよく似合う」
男優たちの驚嘆と感嘆の声は素人の英子の緊張感を解きほぐすためのお世辞だと思っても悪い気はしない。
赤と黒、大型犬用首輪を二つ持った雨宮が近づいてくる。
「すごい、昔を想い出してアソコがビンビン、先走り汁が滲み出てパンツがグショグショ、たまんないよ」
「今度連絡する、内緒だよ」
「えっ……待っている」
二つの首輪を交互に付けてどちらを使うか監督の指示を待つ雨宮は声を潜めて話しかけ、英子が唇の動きだけで連絡すると応えると期待に瞳を輝かせて目元を赤くする。
「シーン2、オモチャで凌辱。始めようか。スタート」
監督の声で室内は緊張に包まれ、先ほどと同じ五人の男優が英子を取り囲む。
話しが一段落したタイミングで栞は時刻を確かめる。
「ここまで、続きは明日ね……どうしたの??優子、大丈夫??」
立ち上がろうとした栞は優子の表情を見て大丈夫かと声をかける。
栞 新たな一歩 -8
栞と夫、二人だけでバスルームに入る。
「栞、ここまで来ちゃったけど大丈夫??後悔してない??」
「あなたが知っているように私は性的好奇心が他の女性よりも強いでしょう。AVに出てみたいと思ったことはないけど、偶然、雨宮君に会ったのも何かの縁、後悔なんかしてないし、あなたが喜んでくれるなら嬉しい」
AV関係の仕事をしている雨宮と会ったのは栞の謀だと口にせず、今ここにいるのは偶然を利用した夫の考えだと強調する。
「そうか、分かった。栞……じゃなかった、ここでは英子だった。英子が善がる姿を僕の目に焼き付けることにするよ。バスタブに手をついて尻を突き出しなさい」
突き出した尻をピシッと叩かれて筒先がアナルに侵入し、温められた浣腸液が直腸を刺激すると、ウッと艶めかしい声を漏らして股間が熱くなる。
フェイスマスクは最後まで外さない撮影なのでメイクさんは用意していない。自分でお願いしますと言われたので普段通りの化粧をする。
「始めましょうか」という言葉に栞が「はい」と答えると、
「英子さん、回しっ放しにするから何も気にすることなく感じたままの反応でいいからね。多少のことは編集でカバーするから撮影だということは忘れてください。いいですね……」と念を押し、英子が頷くのを確かめる。
「まず、インタビューから始めます」
「今日は新シリーズの一作目“人妻が旦那の前で抱かれる日、OL英子”の撮影です。奥さんは顔バレがまずいということでフェイスマスクをしていますが、そんな奥さんの出演を推薦してくれたご主人にお聞きします。マスクで隠した奥さんはすれ違う男たちが思わず振り返るほど魅力的ですが、目の前で他人に抱かれても平気なのですか??」
テーブルを挟んで監督と向かい合う英子は白地に大ぶりな青い花模様のワンピースを着けて清潔感と上品さを強調し、その手はサングラスとマスクで顔を隠す夫と固くつないでいる。
「大切な妻が見ず知らずの男に犯されて身悶える。妻の浮気を知った時、大切な妻を私と同じように愛している男がいると知りました。魅力的な妻をたくさんの男たちと分かち合い、もっともっとたくさんの人たちに知ってもらいたいと思うようになったのです。妻はMッ気が強い女です、乱暴に愛してあげてください」
「分かりました……奥さんを可愛がって差し上げなさい。ご主人が嫉妬に狂うほど精液まみれにしていいよ」
監督の言葉をドアの向こうで待ちわびていた素っ裸の男五人が英子に群がり、監督の指示で夫は壁際に用意されていたソファに座る。
突然の乱入に英子は抗うどころか声を上げることもできずに椅子に座ったまま両手を胸の前で組み、指は固く握りしめている。
素っ裸の男たちの股間は早くも宙を睨む剛棒がそそり立ち、魅力的な生贄を前にして躊躇うことなくワンピースに手をかける。
ビリビリッ……ヒィッ~……引きちぎられたワンピースは男たちの手の中で布切れと化し、倒れた椅子のそばで下着姿にされた英子は立ち尽くしてやっと許しを請う。
「やめてください、乱暴なことはしないでください」
英子の哀れを誘う言葉は男たちの獣欲に火を点けて荒々しさが増すことがあっても優しさが姿を現すことがない。
そんな光景を見守るしかない夫が身を乗り出して唇を噛む様子が映される。
頭と肩を抑えられて取り囲む男たちを見上げるようにしゃがみこまされ、太々しい怒張を口元に突きつけられる。
顔を背けようとしても男の力に適うはずもなく、口を固く閉じても熱くて硬い怒張でつつかれては咥えるしか逃れる術がない。
ジュボジュボッ、グチュグチュッ……ウッウゲッ、ゲボッ、ハァハァッ……荒々しく口腔を犯し喉の奥を突いた男が怒張を引き抜いても二人目の男が同じように突き入れる。
五人すべてが温かい口の感触に表情を緩めても許されることはなく、両手をテーブルについて尻を突き出す格好にされて背後から犯される。
グチャグチャッ、ヌチャヌチャッ……ウッ、温かくて気持ちいいマンコだ。出る、オレのモノを受け止めろ。ウグッ……一人が満足しても直ぐに二人目が挿入し、三目の男は、
「奥さん、俺達を満足させる穴は一つじゃないだろう」
髪を掴んでテーブルから離し、再び口腔に怒張を突き入れて腰を前後する。
「ウッ、油断すると逝っちゃいそうだ。奥さんの口マンコは名器だよ、素人のままにしとくのは勿体ない」
「ほぉっ~、本物のオマンコも絶品だよ。ウネウネと俺のモノに絡みついて奥へ引き込もうとする。こんな女を毎晩抱くと旦那は仕事をする気力も吸い取られちゃうだろ」
パンパンッ……立ちバックで責める男は英子の腰を掴んで股間を打ちつけ、グチャグチャ、ヌチャヌチャ……貫かれるオマンコは妖しい滑り音を立てる。
ウグッウグッ、グゥッ~……歯を立てるなよ、クゥッ~、口マンコは最高だ、くらえ……ウッウッ、ウググッ、グゥッ~……口腔を蹂躙する怒張は容赦なく喉の奥まで突き入り、食事をして愛を語る口を蹂躙した男は喉の奥めがけて精液を吐き出す。
ハァハァッ、口元に滴る男汁を拭うことも許されず直ぐに二人目が怒張を突き入れ、それはオマンコも同様で休む間もなく二人、三人目と犯される。
男たちが吐き出し終えた精液はオマンコからドロリと滴り、閉じることを忘れてハァハァッと息を漏らす口元からも滲み出る。
凄惨な景色と共に栗の花の匂いが広がり、その中心に肩と腹部を上下させて荒い息をする英子が蹲る。
そんな英子は許されることなく四つん這いにされて尻を高く掲げ、浣腸器がぶすりと突き入れられる。
「奥さん、次は尻の穴も可愛がってあげるからきれいにしよう」
チュルチュルッ……ウグッ、クゥッ~……中筒を押し込むにつれ英子の表情は苦痛に苛まれる。
栞 新たな一歩 -7
月曜日、週末に片付けたままの席に栞の姿はなく、欠勤したことを不安に思いながらも目を閉じて自分の為すべきことは何かと考え頬を叩く。
「お休みの深沢さんの分も頑張ろうと気合を入れたんですね、本当に仲がいいですね」
「学生時代からの付き合いで両親や夫にも言えないことも相談する仲だから一心同体、今日は一人で頑張んなきゃ」
後輩の言葉に頬を緩めた優子は半ば本気で軽口をたたく。
昼休みになったのでキッチンカーで弁当を買うと、「今日はお一人ですか??」と
言われる。
後輩の言葉もあったし改めて栞とは切っても切れない仲だと思わずにいられない。
先週と同じ公園の同じベンチに座って弁当を開いたタイミングでスマホが着信を知らせてくれる。
「栞、元気なの??」
「病気じゃないって。今日は優子と顔を合わすのが恥ずかしいからズル休みしたの……内緒だよ」
「分かっている。そうだ、時々弁当を買うキッチンカーがあるでしょう。今日は一人ですかって言われたし後輩にも同じようなことを言われたよ」
「フフフッ、ねぇ、優子、一人じゃ寂しい??私がいないと元気が出ない??」
「うん、泣いちゃいそうなほど寂しい……冗談はともかく、明日はどうするの」
「ズル休みは今日だけ、明日は出社するよ。優子にイロエロ報告することがあるし……」
「えっ、うん。今日は何も聞かない。言いたくないことは隠し事にしてもいいよ。何があっても栞と私は離れることがない親友だから」
「うん、ありがとう。じゃぁ、明日ね」
そして火曜日、いつもよりも早く出社した栞は課長と優子が席についているのを確かめて、
「課長、おはようございます。昨日はご迷惑をおかけいたしました……おはよう、優子、今日は昨日の分も頑張んなきゃ……うちの課は仕事ができる順に出社するんだ、ウフフッ」
「おはよう、栞。元気そうで安心した」
「深沢さんはうちの課のムードメーカーだから期待しているよ。昨日の分も頑張ってくれると聞いて安心しました」
その後、出社してくる同僚に快活な挨拶をする栞に普段と変わったところは感じられず優子は安心する。
昼休みは弁当を買って先週と同じ公園に向かう。
「フゥッ~……気持ちいい。仕事をするのが勿体ないような好いお天気。いつだったか約束したでしょう、優子と二人で温泉に行こうねって、こんな気持ちの好いお天気の日に行きたいね」
空を見上げて南の空に湧き上がる真っ白な雲に目を眇めた栞は顔を合わせることなく独り言のように呟き、優子は言葉を返すことなく栞の膝についている糸くずを摘まんで弁当と包装紙の間に入れる。
「ありがとう。私なら小さなゴミだからってポイッと捨てちゃうな。捨てないところが優子らしくて好き。食べながら聞いてね……」
栞は日曜の撮影について話し始める。
「普通はしないのですが監督の指示でお迎えに上がりました。用意が出来ているなら出かけましょうか」
栞とバッグを持った夫は迎えに来てくれた雨宮の運転する車に乗り込みレンタルスタジオに向かう。
「雨宮君、当日になって逃げださないかと思って迎えに来てくれたの??大丈夫よ、大切な旦那様の希望だから逃げたりしないし正直楽しみにしているの。クククッ、昔の女がどんな風に変わったか興味あるでしょう??」
「えっ、そんなことはありません。今の深沢さんは人妻、僕はしがない助監督。揶揄わないでください。ご主人、申し訳ありません。今の僕は栞さんに対して邪な気持ちは一切ありませんから信じてください」
「残念だな、昔付き合っていた栞に魅力を感じなくなったとは……好い女だと思うけどな」
「はい、素敵な女性です。僕と付き合っていた頃よりも魅力を増しています」
「雨宮さんお言葉を信じます。妻を褒めてもらって、ありがとう……一つ思いついたことがあるから、その時が来たら監督に進言してみよう」
現場に着いた二人は監督や雨宮を交えて撮影の手順について説明を受け、改めて細かい台本はなく大まかな段取りに従って進めていくと確認する。
夫の進言で決めた英子の芸名を再確認し衣装やフェイスマスクなどの小物を受け取ると監督は、
「ご主人、これで奥さんに浣腸してきて下さい。アナルセックスのための浣腸シーンは予定していますが、身が出るのは僕の趣味ではないのでお願いします」
バスルームで浣腸を済ませ、用意された衣装に着替えて戻ると、
「始めましょうか」と言う監督の一声で撮影現場らしい緊張感に包まれる。
栞 新たな一歩 -6
木曜、金曜と机を並べる栞に目立った変化はなく仕事に支障を来すこともなく終業時刻を迎える。
「優子、お先に失礼するね。旦那様と待ち合わせしているの、ウフフッ、素敵なレストランを予約してくれているはずなんだ。バイバイ」
「えっ、うん、お疲れさま。月曜日を楽しみにしている」
栞を見送った優子は時刻を確かめて伸びをし、残った仕事を片付けて翌週の予定を確かめる。
「深沢さん、お先に失礼するよ。缶コーヒーだけど飲まなかったので、よかったらどうぞ」
「課長、ありがとうございます。頂きます。お疲れさまでした」
予定した仕事を終えた優子は両手の指を絡ませて頭上に伸ばし、精一杯伸びをして身体を左右に振る。
仕事に区切りをつけ、課長から貰った缶コーヒーを飲み干すとブラックコーヒーのほろ苦さが仕事に集中することで忘れていたモヤモヤした気持ちを蘇らせる。
退社した優子は真っすぐに駅を目指し、待つこともなく電車に乗り込み吊革につかまり車窓を流れる景色に見入る。
景色は一週間前の週末と変わることがないのに彩に変身した先週末の出来事や忘れようとしても蘇る栞の話しを思い出す。
フェイスマスクで顔を隠し、浣腸を施されてオマンコとアナルに加えて口も複数の男たちに蹂躙されて思うさま嬲られる。
台本らしいものはなく栞の反応を見ながら男たちは自らの身体とオモチャを使って責め嬲り、止められるのは監督とご主人だけだという。
オマンコだけではなくアナルと口にも男たちの精液をぶちまけられて飲まされ、栗の花の匂いを香水のようにまとうのだと瞳を輝かせていた。
肌を露出することが多い季節なので人目に触れる場所に縄目を残したり妖しい遊びの痕跡を残したりすることは避けて撮影するらしい。
私の身体を男優たちが貪り、監督や旦那様の制止も忘れて責め続けてほしいし、縄に愛されてみたいけど出来ないのが残念だと言うに及ぶ頃には、昼休みの公園で告白を聞く優子は股間を濡らしていた。
栞と自分を入れ替えて一瞬の妄想に浸り、我が身に与えられる快感責めに息を荒くする優子を見た栞は、
「優子、大丈夫??責められる私が楽しみにしているんだから、そんなに心配しないでよ」と、勘違いされる始末だった。
今もまた栞の話しを思い出し、家路を急ぐ人たちで満員の通勤電車内で股間を濡らしている。
座席に座ってスマホを操作している女性がふと顔を上げると優子の股間に視線が向き、スカートに染みが浮かんでいないかと気になる。
ふと視線を巡らすと二人離れた席で上目遣いに優子を見ている気弱そうな男性と目が合う。
いつもなら不快に思う男性の行為も今日の優子は楽しむ余裕があり、思わせぶりに挑発しないものの視姦される快感に酔い、興奮で乾いた唇に赤い舌先で滑りを与える。
電車が停車すると男性は優子の視線が逸れたのを幸いに全身をねめ回して名残惜しそうに下車する。
ホームを歩く男性を見ながらフゥッ~と息を吐き、もしも気があると勘違いされたらどうするのと自分に苦笑いする。
金曜の夜は夫と食事を共にして何事もなく過ごし、土曜日はいくつかの憂いを忘れるために全身がしっとり汗ばむほどヨガに興じ、好きな音楽を聴きながら雑誌に目を通す。
日曜日は夫から「たまには外で食べようか」と誘われて昼食のために二人で出かける。
夫の浮気が原因で肌を合わせることはなくなったものの今でも嫌いではないので、ぎこちなさは残るものの心地いい時間を過ごすことができた。
食事の後のウィンドーショッピングで以前から欲しいと思っていたカメラアクセサリーを見ていると、プレゼントさせてくれよと呟いてサッサと店に入る。
「誕生日でもないのに、ありがとう」
お礼の言葉を聞いた夫の表情に屈託のない笑みが浮かぶのを見て、一瞬健志との浮気を申し訳ないと思ったのが表情に浮かんだらしく、
「優子、ごめん。いつもありがとう……」と、どうとでも取れる言葉を口にする。
おそらく夫の浮気をそれとなく気付いていると感じた詫びの言葉だろうと解釈して気持ちが鎮まる。
「浮気をしていたけど優子を愛していると改めて思った。これからは優子以外の女性に惹かれることはない」
そんなことを言われたら健志に会うことができなくなる。
私はあなたの浮気を知っているわよ。深入りしないようにしなさいね。
私は彩と名前を変えて抱いてもらえる男がいるから、私を忘れない程度の浮気なら許してあげる。
その日の夜、栞から連絡があった。
「今日は疲れたから明日は休むね。火曜日は出勤するから」
「栞、大丈夫なの??」
「うん、大丈夫。ほんとに疲れただけ、気持ちと身体はすっきりしているんだけど、何かね……事情を知っている優子と明日顔を合わせるのは恥ずかしいし、ウフフッ」
栞 新たな一歩 -5
健志と付き合っているという栞への隠し事を話す約束をしたことで優子の後ろめたさはなくなり、栞とご主人が話し合った結果、週末にAV撮影に臨むということも抵抗なく受け入れることができる。
優子と栞はいつもの公園のいつものベンチに座り週末には子供たちや家族連れ、若いカップルや互いに労わり過ぎ去った時間を振り返りながら明日を語り合う老夫婦などで賑わうはずの静かな園内に視線を向ける。
「週末にこの公園が賑わう頃に私は……ウフフッ、聞いてくれる??」
「もちろんだよ、栞は大切な友人。何があっても何をしても親友だよ」
「私が何か悪いことをするような言い方をしないでよ、クククッ。心配してくれてありがとう」
何を見るともなく公園内に視線を巡らす栞の横顔は屈託のない笑顔が浮かび、AV撮影の不安のかけらも感じさせることなく心配するのがばかばかしくなる。
「ねぇ、栞、どんなことをするのか教えてくれるでしょう??」
「ビデオが出来上がるまで焦らせたい気がするけど根が真面目な優子が私のせいで男に狂っちゃうのも困るし……どうしようかな??」
不安や恐れを全く現さない栞に苦笑いするしかない優子は思い切った行動に出る。
「栞は私を焦らすけど、私はそんなことをしない。栞のビデオを見るまで待たずに少しだけど隠し事を見せてあげる……」
覚悟を決めたはずの優子の表情は強張り、目を閉じてフゥッ~と息を吐く。
穏やかな表情のまま、そんな優子に視線を向けることなくまっすぐ前を見る栞は静かに話す。
「見せてあげるって、不倫相手とのハメ撮り動画かなんかだろうけど今はいいよ。楽しみは取っとく。フゥッ~っと息と一緒に不安を吐き出して意を決した優子の邪魔のするようで申し訳ないけど、不倫やセックス話はもっと気楽に聞きたいから」
「えっ……そうか、そうだよね。食べることや眠ることと同じようにセックスも大切。食べることに色んな嗜好が認められるならセックスでも認められてもいいんじゃないかって言う人がいた。一夫一妻制のもとでなんでもアリじゃないとわかっているけどね」
「すごい、不倫相手のお陰で真面目だと思われている優子が自分を主張している。クククッ、長い付き合いだから優子がエロイ女だってことを知っているけど知らない人も多いもんね」
「ウフフッ、そうだよ。私はエロイ女なの。ねぇ、少しでいいから聞かせてよ」
「分かった。正直に言うと詳しいことは知らないの……旦那様が監督や雨宮君と話して決めたことに従うだけ。私は英子って芸名で出演することになったらしいよ」
「英子って不倫をご主人に知られて抱かれる様子を録音しろって命じられた時、課長との社内不倫だと悟られないために使った名前でしょう??」
「そうなの、旦那様が監督に英子って名前にしてくれって進言したの。旦那様にとってエロイ私は英子、淑やかな妻は栞ってイメージしているみたい」
「淑やかな妻って誰のこと??クククッ……」
相変わらず優子に横顔を見せたまま栞は自らの記憶を確かめるように話し始める。
「私は目と口、鼻が出るだけの覆面を被るんだって。口はオシャブリのため、鼻は息をするためで快感責めの反応を声や身悶える身体だけではなく瞳に現れる悦びや不安を強調するため目隠しはしないんだって……不自然なセリフを口にして通じるほど今のAVファンは甘くないって言うの。それで監督と旦那様が話し合った結果、台本ナシで私は与えられる刺激に反応するだけでいいんだって、失礼だよね、クククッ……オマンコとお尻、口にチンポを捻じ込まれるんだって、フゥッ~、想像するだけで濡れちゃう。お尻の穴を弄ってもらう前に浣腸されちゃうでしょう、バッチイ物が出ると恥ずかしいから前の日は固形物を食べるのをやめようかな」
「そんなことをされて大丈夫なの??聞いている私が不安でドキドキする」
「ほんとう??」
「えっ、うそ」
広げた栞の手が優子の左胸を掬うようにして鼓動を確かめ、ヤワヤワと揉みしだく。
「イヤンッ、やめて。昼間の公園だよ、誰か見ているかもしれない」
「ふ~ん、見られるかもしれないから嫌なんだ。何が何でも嫌ってことじゃないんだ……不倫相手とは好い付き合いをしているようね。私のAVを見ながら白状させるよ、楽しみ」
浣腸と複数の男たちの手と指やオチンポ、彼らが操るオモチャで責められ嬲り尽くされて身悶えるんだよと言う栞は、旦那様が悦んでくれると思うと興奮すると瞳を輝かせる。
今日もまた、午後の仕事をこなすために身体の疼きを鎮めようとする優子はトイレに駆け込みスカートを下ろす。