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転身

―3

昂ぶる獣欲に支配される二人は唇を合わせ。互いの肌を擦り下半身を押し付け合う。
ウッウッ、ウグッ、ジュルジュルッ、クゥッ~、ハァハァッ……息をすることも忘れて貪り、唾液を啜りあった二人は唇を離すと赤く燃える互いの瞳を覗き込み、思いを共有していることに安堵する。
「ニーチェが、深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗くと言ったでしょう。あなたの瞳の奥を見たけど、私と同じような思いで見つめていたと感じた……間違っている??」
「ニーチェは肯定的に使った言葉じゃないと思うけど、言葉の真意を別にしてオレの気持ちを表現するのに間違いがない。オレはこんなに桜子のことが好きだけど、桜子はどうかなって覗き込んだ」
「ウフフッ、私も……あなたが私と同じくらい好きだと思ってくれているかなって、瞳の奥に隠れている思いを探ろうとした。あなたには奥さんがいる……ニーチェの真意と違うと言ったけど、浮気や不倫を怪物と考えれば間違えてないよ」
「そうか、そうだな……風呂に入ろうか」
男は衣服を脱ぎ捨てて裸になり、桜子を横抱きにしてバスルームに向かう。

「フゥッ~、背中越しに抱っこしてもらうのは久しぶり。私が連絡しなきゃ、縁が切れちゃったの??」
「う~ん、どうかな。何度も言うけどオレは自信家じゃないし傷つきやすいから、桜子ほどの好い女を誘って断れたらどうしようって考えると踏ん切りがつかなかった」
男の足を跨いで胸に背中を預け、背後から抱きかかえてくれる腕に手を添えてリラックスしていた桜子は向きを変えて両手を首に回し、男の瞳を覗き込む。
「ほんとう??信じてもいいの??」
「嘘じゃない。縁を切られるのを恐れていた」
「女はね、好きな男の言葉なら何でも信じたいの……二人のルールを提案するから聞いてくれる??」
「従うよ……聞かせてもらおうか」
「その前にキスして……」言い終えた桜子は口元を緩めて静かに目を閉じる。
そっと、唇を合わせると、
「ダメ、大人のキスが欲しい……」
閉じた目を開いて見つめる桜子は、男の瞳の奥にまで届く妖しい光を宿して欲情を隠そうともしない。

一瞬、たじろいだ男は桜子の欲情に吸い寄せられるように抱き寄せて濃厚なキスをする。
ジュルジュル、ニュルニュルッ、舌を絡ませて擦りあったり、唾液を啜ったり、流し込んだりを繰り返した二人が唇を離すと、離れがたい思いから唾液が一本の細い糸となって二人をつなぐ。

「ハァハァッ……あなたのキスは、いつでも私を幸せな気持ちにしてくれる。そして私は際限なく欲張りになる」
「オレとキスする度に幸せな気持ちになる。もっともっとキスして、もっと幸せになりたいと思ってくれるのか??」
「そうだよ、それで提案なんだけど……これから毎週、日曜日に連絡する。大好きって一行だけでも書く、それが途絶えた時はあなたと会いたくないと思った時……この提案はどう??」
「分かった、オレも桜子が好きだって返信するよ」
「ウフフッ、奥様に申し訳ないけど二人のルールができて安心した。これからは、いつ連絡が来るかなって心配しなくても済みそう」

ジュルジュルッ……ウッウッ、アンッ…手の平に吸い付くような気がするこの感触が懐かしい……ハァハァッ、もっと……安心した二人は一年半に及ぶ空白を埋めようとして濃厚なキスをしながら肌をまさぐり、息を弾ませる。
「我慢できない。オチンチン頂戴……口に入れてくれれば落ち着けるような気がする」

男は桜子の頬に両手を添えて表情を緩め、バスタブの縁に座って股間を突き出す。
桜子は両足の間ににじり寄り、半立ちのオトコを見つめたまま内腿を擦り、見せつけるようにして乾いた唇に舌を這わせて滑りを与える。
計算し尽くしたような色っぽい行為は男を刺激してやまず、半立ちのオトコがムクムクと起き上がる。
「まだ何もしていないのに、オチンチンがこんなに元気に……どうしたの??」
「オレの言うことを聞かずに桜子に従う親不孝モノだよ」
「この子は素直に私の言うことを聞いてくれる、ウフフッ……好い子にはご褒美をあげるね」

宙を睨むペニスに伸ばした指で鈴口から滲み出る先走り汁を亀頭部に塗り広げた桜子は、
「偉そうに踏ん反り返って宙を睨むこの子はよく見ると可愛い……ウフフッ、ソーセージのようだけど、ウインナーほど小さくはない、フランクフルトとボロニアソーセージ、どっちかなぁ??大切なのは、味だよね。確かめてみよう」
楽しそうに亀頭を撫でて竿を擦り、上目遣いに見つめる桜子の瞳はねっとりと男に絡み、視線の愛撫で手の中のオトコは一層猛り、火傷するほど熱くなる。

根元から亀頭までペロリと舐め、尖らせた舌先が鈴口を押し広げようとするかのようにツンツンつつく。
「ガマン汁がダラダラ涸れることなく出てくる。私の手で可愛がってほしいの??それとも、お口の中に入りたいの??……はっきり答えないと遊んであげない。もう一度聞くよ、お返事しなさい」
竿を握った右手を上下しながら、
「このまま、手の中で爆発したいの??……お返事がないね……それでは、ジュボッ、ジュルジュルッ……フゥッ~、このまま、お口の中で気持ち善くなりたい??お返事は??」
一旦、口に含んで卑猥な音と共に顔を上下した桜子は、右手に握った竿を上下しながら話しかけると手の中のオトコは意思を持っているかのようにピクピクと反応する。
「ウフフッ、好い子ね。私のお口の中で気持ち善くなりたいとお返事できたもんね」
男の顔を一切見ることなく左手の指先で亀頭をニュルニュルと撫で、再びパクリと口腔に収めて喉の奥まで飲み込んでいく。
頬を閉じたり膨らませたりしながら顔を上下し、唾液まみれにした舌を絡めると男は桜子の頭に手を添えて、
「ダメだ、これ以上されると我慢できなくなる」
「プファッ~、ハァハァッ……ベッドに連れてって……」
「その前に……」
ボディソープを振りかけた肌を擦り、互いを思う気持ちだけを残して汗と共に流した二人はバスルームを後にする。


転身 

―2

部屋に戻った二人は互いの顔を見ることも出来ず、桜子は荷物の整理を終わると、
「暑いから汗を流したくなっちゃった。お風呂の準備をしてくるね」と、言い訳じみた科白を口にしてバスルームに向かう。
男もまた、窓辺に立ってうわの空で景色を見つめ、桜子がバスルームに姿を消すと、フゥッ~と息を吐いて苦笑いする。
「しょうがねぇな、いいおじさんが何やってんだか……」

「何か言った??」
「えっ、桜子のような好い女と二人きりになって焦るオレはだらしないなと独り言を言ったよ」
「ほんとう??私も初心な少女時代に戻ったような気がする」
友人に誘われた店で、桜子がそっと手渡してくれたカードから始まった付き合いを振り返るとオレがリードしたことがあったかと忸怩たる思いになる。
「東京に行くのは土日が好いんだろう??」
「えっ、マスターの店??本当に行けるの??」
「桜子と一緒に来るって約束したからな。嘘吐きになりたくない」
「土日が好いけど、あなたの都合次第で休みを取る。農業って手抜きを出来ないでしょう??」
「それは桜子も同じだろ、大人の事情で中学生の生長点を摘むのはまずいだろう。先生の仕事は茎や根っこの端っこで成長するために細胞分裂を繰り返す手助けだろう」
「そんな風に考えたことはないけど、農業に携わるあなたらしい表現で納得した。成長の手助けをするのは間違いない。先輩の話しだけど、志望校に受かりました先生のお陰ですって報告されると受験のためだけに教えているわけじゃなくても、やっぱり嬉しいって」
「そうだよ、桜子に教わって向日葵のように太陽に向かって成長し、大きな花を咲かせる……オレはその邪魔をしたくない。それに、いい先生とは生徒を自分よりもほんの少しでもいいから立派な人に育てることだろう」
「私は向日葵を育てているの??ふ~ん、小っちゃい頃の夢だったし今更ながらいい仕事に就いたと思う……あなたの農業も夢が叶ったの??」
「そうだなぁ……流れに逆らうことなく流されるまま生きる主義だから昔からの夢と言うわけではないよ。製造業や農業などモノを作る仕事が好きだけど」
「ふ~ん、そうなんだ……汗を流したい。脱がせてくれるでしょう」

抱き寄せてセーターの裾に手を伸ばすと、
「待って、恥ずかしいから何か飲ませて……おねがい」
ミニバーを開けてワインとグラスを2脚取り出すと、1個でいいのにと囁き嫣然と微笑む。
無駄のない所作でワインオープナーを使い、冷えたグラスに注いで喉を潤して二口目を含むと目を閉じて身体を寄せてくる。
ゴクッ、喉を鳴らして流し込まれたワインを飲み込み、閉じた目を開いて、美味しいと呟く桜子の目元が羞恥で微かに赤く染まる。

男は言葉を口にすることなく愛おしく思う気持ちで口元を緩め、再び桜子が目を閉じると唇を合わせ、背中を擦る右手が腰まで下りて親指と人差し指の間にセーターの裾を引っかけてずり上げると、密着させた身体を離して脱がせやすくしてくれる。
脱がせたセーターをソファに投げ、パンツの腰部に差し入れた指でプリンとした尻を滑らせると足元に滑り落ちる。

下着姿で立ち尽くす桜子の全身を見るために二歩下がると、それまでの毅然とした態度が消えて目を伏せ、両手は下着越しに胸と股間を守ろうとする。
「待ち合わせの時、スタイルの好い桜子が白パンツとモコモコオーバーサイズセーター姿でオレに向かって走ってくる姿。近くに居た男たちは羨望の視線をオレに向け、女性たちが嫉妬交じりに桜子を見つめていたのに気付いた??」
「ほんとうなの??気付かなかった。あなただけを見ていたもん」
「そんなことを言われるとドキドキしちゃうよ。今は桜子の本当の姿を見たい……何も隠すことのない姿をね」
「ハァハァッ、私だけ裸になるの??……自分で脱ぐのは恥ずかしい」
「勘違いしちゃダメだよ。汗を流すために風呂に入るんだろう??」
「そうか、そうだったね……脱がせてくれるでしょう??」
胸と股間を守っていた両手をだらりと下げた桜子は静かに目を閉じる。

右手を尻に添えて抱き寄せ、左手でプラジャーのホックを外す。
「下着を脱がすのに手間取られるとイライラするけど、上手過ぎる男は信用できないヤツだった」
「嫌なことを思い出させちゃったね、ゴメン」
「ごめんなさい……奥様や私以外の女性に嫉妬しないと決めていたけど、つい自分のことを、ごめんなさい。私の身体や心にあなたの記憶を刻んで……」
「桜子はオレの女だよ」
「アンッ、ゾワゾワする。もう一度言って」
「可愛い桜子は誰にも渡さない。近寄るヤツはぶっちめてやる」
言い終わると同時にショーツに指を掛けたまま跪くと足元まで滑り落ち、桜子は胸の膨らみに続いて股間の飾り毛まで男の目の前に晒す。

男は右手を桜子の尻に左手を腰に添えて抱き寄せ、股間に顔を埋めて大きく口を開けて甘酸っぱい匂いで胸を満たして顔をブルブルと震わせる。
「ウッ、クゥッ~、イヤッ、洗ってないのに、そんなことを、恥ずかしい……」
「そんなことって、どんなこと??はっきり言ってくれないと分からないし、桜子のココもコレも、み~んなオレのモノだよ」
舌が花蜜を滴らせる泉に潜り込んで壁を擦りながら出入りを繰り返し、鼻頭が敏感な花芽をくすぐる。
抱きかかえていた両手を離しても桜子は逃げるどころか男の頭に手を添え、自ら股間を男の顔に押し付ける。
「ヒィッ~、身体中を電気が走るようにゾクゾクする……もっと、もっと気持ち善くなりたい……」
押し付けるだけでは満足せず、中腰になって股間をウネウネと蠢かし、
「ちょうだい、オチンポが欲しい。ナメナメしたい」
跪いたままの男を抱き起こしてベルトを外し、下着と一緒にズボンを下ろしてソファに座れと誘導する。

ジュボジュボ、ジュルジュルッ……ハァハァッ、咥えていたペニスを右手で握り、口の周りの汚れを拭おうともせずに上目遣いに男を見つめる瞳は欲情で燃える。


転身 

―1

車を降りた男は四方を見渡して待ち合わせの相手を探し、手を振りながら近付いてくる女に向けて手を挙げる。
白パンツに黄色いオーバーサイズセーターを羽織る女が満面の笑みで小走りに近付くと、周囲の男たちは二人を見比べて男に羨望の眼差しを向け、女たちはスタイルの良さと華やかな雰囲気に嫉妬混じりの視線を向ける。

男は手が届く距離に近付いた女を抱き寄せ、チュッと音を立てて唇を合わせる。
「一年半ぶりだけど桜子は変わらないどころか女っぷりが上がったようだね。オーバーサイズのモコモコが可愛いよ」
「ウフフッ、ありがとう。一年半も連絡しなかったことを後悔している??」
「今のご時世じゃしょうがないだろう。それに何度も言ったけど、オレは自信家じゃないから連絡するのを躊躇っていたよ」
桜子の言葉を待つことなく車のドアを開けた男は視線と手の動きで誘導する。

ハイヒールは、おでこにキスされた女性が唇にキスされたくて発明した。
誰が言ったのか知らないが、ハイヒールについてこんな洒落た言葉があると聞いたことがある。
長身の桜子はキスのためにハイヒールを履く必要がないのに、なぜか好む。
スタイルの好い桜子と一緒にいると、男たちの羨望ややっかみ、女性の嫉妬交じりの視線を浴びるのも心地好いが、当の桜子は気にする様子もない。

男の記憶の中と同じように優雅な身のこなしで車に乗り込んだ桜子は、口元を緩めて男を蕩かさずにおかない笑みを浮かべる。
「誘拐されてホテルに連れ込まれるの??」
「こんな好い女を逃したくないからな。とは言え先ずは腹ごしらえ」
「今は閉店時刻が早いし、あなたが予約したホテルを聞いたからレストランを予約しといたけど怒る??」
それには答えずドアを閉め、運転席に座った男の横顔を見る桜子は困惑の表情を浮かべる。
「ごめんなさい。善かれと思ったけど余計なことだったね、ごめんなさい」
「クククッ、ありがとう。この街のことは全く知らないから助かるよ」
「もう……怒っているのかと思って心配しちゃった。触ってみて、ドキドキしているでしょう」
桜子は男の左手を掴んで左胸に押し付ける。
「セーターがモコモコで可愛いと言ったけど、オッパイもモコモコで興奮する」
「クククッ、夜が楽しみ。お腹が空いた、ホテルへ行こうよ」

チェックインを済ませて部屋に案内され、二人きりになると桜子は凛として颯爽とした仮面を脱ぎ捨てる。
「食事に来たことはあるけど部屋に入ったのは初めて……駅に近いからこの街の賑わいが見えるし海も見える……ふ~ん、シャワーブースが独立しているんだ」
弾むような足取りで窓に近付いて景色に見入り、バスルームを覗く。
「今の桜子を知るには住む街を見ればいいと思ったから、このホテルにした」
「で、感想は??」
「桜子のような好い女がこの街の中学生を相手に塾の先生をしているんだろう。オレも中学生に戻りたいよ」
「この街の感想じゃないよ、採点は落第……それはそうと、どうしてベッドが二つあるの」
「一つは身悶える桜子がグチャグチャにするベッド、もう一つはオレの胸の中で可愛い寝顔を見せるためのベッド。ダブルベッドルームが良かった??」
「う~ん、満点に近い合格点をあげる。ハナマルだよ、嬉しい??」
「頑張った生徒にはご褒美があるんだろう、桜子先生」
「いつもは頑張った生徒に言葉で褒めるだけ、あなたはそれで満足しない。どうすればいいの??」
「桜子先生は何もしなくていいよ……」
男が桜子を抱き寄せて唇を合わせると、それを待っていたかのように赤い舌が這い出て迎える。
ヌチャヌチャ、ジュルジュルッ……「フゥッ~、落ち着いた。食事にしようよ。予約した時刻にちょうどいい」

エレベーターで最上階に昇り、予約したのは此処だと桜子が指さす鉄板焼きの店に入る。
案内されたカウンター席に座ると鉄板の向こうの窓に月明りが波に反射して煌びやかな海と行動制限のせいで抑制された夜景が広がっている。
「私がこの街に帰ってくる前はもっと華やかな夜景が広がっていたのに、なんだか寂しい」
「しょうがないよ……それはそうと、中学生に教えるのは楽しいだろう??世の中の人のほとんどが何かを諦めたり犠牲にしたりすることになったけど、そのお陰で得るモノもある」
「そうね、大抵の人は家族で過ごす時間が増えただろうね。私は教師になるのが夢だったし、教育実習も単位取得済み。塾の講師も好いかもしれない……オミズを経験して東京タワーが見える部屋に住むことも出来たし、クククッ、あなたに会えた」
「光栄だね。桜子が馴染みだったバー、今日の約束をした翌々日、近くに行く用があったので立ち寄ったよ。機会があれば二人で来てくれって伝言を預かってきた」
「お店はどうだった??」
「ランチタイム営業やコーヒー提供で頑張っているらしい」
「そうなんだ、行きたいなぁ。マスターには色々相談に乗ってもらったり、話し相手になってもらったりお世話になったから……」
「桜子の都合も聞かずに、直ぐにとは約束できないけど必ず来ますって返事しちゃったよ」
「お世話になったマスターだから、あなたが勝手にした約束でも守らないとね。指切りしようよ」
「クククッ、可愛いな……必ず行こう。指切りするよ」

「ワインでございます……トマトとモッツァレラチーズでございます」
紗矢はロゼワイン、健志は白ワインで乾杯しオードブルやコンソメスープを食べながらアワビをソテーする様子に見入る。
鉄板とコテが奏でる音や食欲をそそる匂いが卑猥な思いを忘れさせ、アワビに続き和牛のソテーを生わさびで胃袋に収め、ガーリックライスを炒める音や匂いに魅せられる頃には屈託のない笑顔で見つめ合う。
デザートを食し、桜子はコーヒー、男がミルクティーを飲み終えると食事を堪能し、雰囲気も含めて満足しましたと礼を述べて店を出ると桜子は男の腕を抱えるようにして身体を寄せてくる。
「カクテルを飲みたいけどマスターのバーに行くときのためにとっとく。部屋に戻ろうよ、ねっ、いいでしょう」
忘れていた欲情が蘇り、腕を掴んだ桜子の胸の膨らみを感じて男は股間に力が漲るのを意識する。

彩―隠し事 393 

性的欲望 -28

「コンビニで代金を支払うのが怖いと思ったのは生まれて初めて……まだ、ドキドキしている」
「スタイルが良く、膝下を伸ばして颯爽と歩く紗矢ちゃんが内股で腰を落としてみるからに不安な様子、可愛かったよ」
「だって、ローターの振動音が頭ン中でヴィ~ンヴィ~ン響くし、アソコからズルッと滑り落ちないか心配だし……こんなにドキドキしたことってない」
「真後ろにいても聞こえなかったけどモジモジする紗矢ちゃんに異常を感じた女性が腰回りや顔をじろじろ見ていたよ。紗矢ちゃんは気付かなかった??弁当を見ていた人だよ……」
「一度目が合ったけど視線を逸らされたのは、そういうことだったんだ。はしたない女って思われたんだね、恥ずかしい」
「紗矢ちゃんのオマンコは飲み込んだチンポを吐き出すまいとして奥へ奥へと吸い込む貪欲マンコだからローターも落とすことはないよ。子宮に入り込まないように気を付けなきゃ」
「クククッ、そんなに褒められちゃうと恥ずかしいな……そんなことを言うと思いますか、スケベだってバカにしているでしょう??」
「ウフフッ、怒った表情も可愛いな、ケンちゃんが羨ましいよ。怒っても拗ねても可愛いくて、そのうえセックスが大好きな紗矢ちゃんを独り占めにできるんだからな」
「ふ~ん、じゃぁ~あ、ケンちゃんに内緒で愛人になってあげようか……う~そ、嘘だよ」
「ますます、可愛いな。ケンちゃんと二人で夢を叶えるんだよ。応援しているからね」

ホテルに戻る途中、先ほどの路地を覗くと場所を譲ったカップルが妖しく抱き合っている。
スカートを捲り位上げた女性が壁に手を突き、ズボンを膝まで下ろした男が背後から自らのオトコを突き入れているように見える。
「すごいね。私たちが見ているのも気付かないみたい」
「そうだね、邪魔しちゃ悪いから帰ろう。遅くなると僕の紗矢ちゃんがいなくなっちゃったって心配するだろうしね」
「ねぇ……ゆっくり歩いてよ。意地悪なことをされているから早く歩けない。落っこちそうなんだもん」
「クククッ、紗矢ちゃんは楽しんでいるようにしか見えないけどなぁ……嫌なら出してもいいんだよ」
「ほんとうに意地悪。ケンちゃんが健志さんのような人でなくて良かった」
「今の言葉で彩に注意してやってくれよ。オレはケンちゃんと違って性格がワルイってね」
「嫌な男……」
横目遣いで健志を見つめる視線はゾクッとするほど色っぽく、可憐な少女の面影は微塵も感じられない。

「ただいま……バスルームで楽しそうにじゃれ合う声が聞こえたからメモを残して買い物に行ってきた。これはケンちゃん、彩さんはこれ……乾杯する??」
「紗矢、これを飲んでも僕のアレはもうピクッともしないよ。無理だよ」
「今日はケンちゃんとしたいなんて言ってない。健志さんが、もうムリだって言うので拗ねたら、ユンケルを飲めばもう一度くらいは可能かもしれないって言うから買ってきたの。ケンちゃんの分はオマケ」
「紗矢ちゃんと彩は美容のためのビタミン剤、そうなのね」
「そうだよ。彩さんはまだ出来るでしょう。私もまだまだ大丈夫なのに健志さんは……あっ、ごめんなさい。彩さんの大切な人をけなす積りじゃないの、ごめんなさい」
「ウフフッ、彩のことは気にしなくていいのよ。男の人は可哀そうだよね。一度、満足すると二度目をするのに時間が必要だし、続けて何度も出来ない……それに比べて私たちは、ユンケルなんか必要ないよね……」
「ほんとう。今までケンちゃんに嫌われたり軽蔑されたりしないかと心配で性欲を隠してきたけど、セックスがこんなにいいなんて……彩さんたちのお陰、ありがとうございました」
「紗矢、今回だけの約束だよ。信用しているからね」
「うん、大丈夫。ムラムラ、モヤモヤしたままケンちゃんのお嫁さんになりたくなかったの。すべてとは言わないけど、あんな事やこんな事も知ったうえで貞淑なお嫁さんになるって決めた、信じてくれるでしょう??」

紗矢は想像や妄想で膨れ上がる性的好奇心を抑え込めるかと不安に思い、ケンちゃんのプロポーズを受け入れる前に幾つかを経験して妄想に支配されるのを避けたのだと言い、ケンちゃんはそれを理解していると答えた。
健志に精力剤を飲ませて嫣然と微笑む紗矢は自ら音頭をとってワインで乾杯し、
「ケンちゃん以外の男性とベッドを共にする最後の夜、今日だけは健志さんが大好き」
ワインを飲み干したグラスをテーブルに置いた彩は、後ろ髪を引かれる思いで紗矢を見つめるケンちゃんの手を取り隣室に誘う。

「オチンチンをナメナメしちゃう。ユンケルを飲んだから元気がないって言わせないよ」
ケンちゃん以外の男と肌を合わすのはこれが最後と思い定めている紗矢は、獣欲を隠すことなく健志の唇と身体を貪り、健志もまた若々しい肌に酔いしれる。
「ウッウッ、クゥッ~、すごい、こんなことって……若くないからムリだって言ったのはウソでしょう、ヒィッ~、逝っちゃう、ダメ、ダメ、すごい、たまんない。気持ちいぃ……」

「ありがとうございました。私の我がままにお付き合い頂いた健志さんと彩さんのことは忘れません……また、お会いできますか??」
「夜の公園で偶然出会って、少しエッチな記憶の中にいるだけの二組のカップル。そういうことにしようよ……これは彩とオレから二人へのお祝い」
朝食を終えて部屋に戻った紗矢は改まった態度でケンちゃんを見て微笑み、健志と彩の二人にお礼の言葉を述べる。
前もって用意しておいたお祝いを手渡した健志は、
「オレたちは先に出るけど清算しておくから二人はゆっくりするといいよ」
「紗矢ちゃん、ケンちゃんと二人で幸せにね」
「はい、私は彩さんのように好い女になります」
「ウフフッ、彩のように浮気をする??」
「そうですね、健志さんのような男性に会えば、その時に考えます……冗談、本気にしないでよ」
目を丸くして紗矢を見つめるケンちゃんに優しく微笑んで見せる。

車に乗り込んだ健志は彩を見つめ、
「今日は土曜だから、このまま近くの温泉にでも行こうか、ダメか??」
「行きたい。健志と二人だけでゆっくり出来るところが好い」


プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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