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依存  

―5
「好い香り。洸希の匂いがする…洸希を独占したくなるほど虜になったかもしれない」
「ほんとう??嘘じゃないよね??…私は雅之のいない生活を想像できないから独占だけじゃなく束縛されると嬉しいかも……」
湯船に浮かぶバラの花弁を手にした雅之は洸希の胸の膨らみの先端に張り付けて背中越しに覗き込み、
「可愛い洸希がオレ以外の男に惚れるのを許さないよ」
「ウフフッ、もう一度言って、心臓が爆発しちゃいそうなほど嬉しい」
「洸希はオレの女。いつでも一緒に居られるようにドラえもんのスモールライトで小っちゃくしてポケットに入れときたいよ」
「いつでも一緒に居られるの??小っちゃくされても好いからポケットに入れられたい……でも、時々だけど雅之の若さについていけないことがある」
「そんなことはないよ。オレは年齢差を感じたことは一度もないよ」
「う~ん、年齢というより性格の違いかも分からないけどね……雅之は悪戯好きでしょう??仕事中も感じることがあるし、昨日なんて私がコンビニに買い物に行っている間にバスタブに隠れたから、私を迎えに行って行き違いになったのかと思って出かけようとしたでしょう」
「そうか、嫌ならやめるよ。ごめんね……」
「そんなことを言わないで。悪戯されるのって嬉しいんだから……私にはできないって言いたかっただけなのに……」
背中を雅之の胸に預けていた洸希は身体を反転させて顔を見合わせる格好に座り直して軽く首を傾げ、右手指で前髪の乱れを直して嫣然と微笑む。
「ウフフッ、可愛いなぁ……」
バラの花弁を互いの顔に張り付けた二人は満面の笑みで見つめ合い、唇を重ねて互いの肌をまさぐり、息を弾ませる。

気持ちのすべてを正しく言葉にして伝えることは難しいと知る二人は肌を接することで思いを通じ合わせようとする。
見つめ合うことで瞳の奥に宿る思いを探り、互いに愛おしく想う気持ちを共有すると黙って唇を合わせる。
チュッ、チュッ……少年と少女が初めてするキスのように技巧を凝らすことなく愛する気持ちを伝え、愛されていると確信して幸せな気持ちになる。
「歳の差を気にすることは止める。私は雅之を愛している…雅之よりも大切な人はいない」
「オレも洸希を愛しているし、これほど大切な人はいないと断言できる」
「ウフフッ…いつでも、いつまでも、二人は一緒だと信じる……アッ、ダメ、のぼせて倒れちゃいそう……」
「だいじょうぶ??……」
水に浸したタオルで洸希の額を冷やす雅之が声を掛けると、
「ウフフッ、うそ、冗談…いつも、雅之の悪戯で驚かされるからお返し。クククッ、びっくりした顔、愛されているなぁと感じて安心した」
「なんだよ…騙されちゃったのか、クククッ、可愛いなぁ……出ようか」

鍋に白ワインと蜂蜜、シナモンスティック、スライスにした生姜を入れて火にかけ、最期にレモンスライスを加えて沸騰させずに火を止めてカップに入れる。
「今日のホットワインは白なんだ。ホットワインって赤だと思っていたけど、さっぱりして飲みやすいから好き……辛口の白ワイン好きの雅之色に染まっていく自分が好き…ウフフッ」

カップに両手を添えてフゥッ~フゥッ~しながら口を付ける洸希の仕草が愛らしく、思わず抱きしめたくなる気持ちを抑えるために、ゴホンッとわざとらしい咳をする。
「どうしたの??大丈夫??……あっ、まさか、お風呂でのぼせそうになったと嘘を言った私への仕返しなの??」
「違うよ。しょうがねぇな、洸希の仕草が可愛くってドキドキする気持ちを隠そうとしたんだよ」
「クククッ、そうなんだ…そう言えば、寒いって言ったらホットチョコを作ってくれて、カップを両手で持って飲もうとしたら、仕種が可愛いって背中越しにギュッとしてくれた…嬉しかったなぁ……」
「ギュッとするだけで喜んでくれるならいつでも、仕事中でも抱き締めちゃうよ」
「クククッ、期待しちゃうよ。みんなの前で抱きしめられたら、たぶん嬉し泣きしちゃうだろうな」

他愛のない会話をしながら自然と身体を寄せて二人で生きる未来に思いを馳せ、ホットワインを飲んだだけではない火照りにこの上ない喜びに浸る。
「幸せ過ぎて心配がムクムク大きくなってくる」
「オレを信用できないって思うなら杞憂だよ」
「そうじゃないの…雅之といつまでも同じ仕事を出来るわけではないでしょう。私一人でやれるか不安なの、それほど助けられているんだもん」
「クククッ、それも杞憂だし、オレ以外の洸希の部下に対して失礼だよ。オレがいるから彼らが成果を出しているわけじゃないだろう??」
「そうか、そうだね…と、言いたいけど、雅之がいるだけで彼らの士気が上がるもん」
「信じろよ、彼らを。オレを助けようとして士気を高めているんじゃなく、仕事を楽しんでいるんだよ。それは結果的に洸希を助けることになるはずだよ。洸希は彼らが動きやすい雰囲気を作ってやれば結果的に成果につながる」
「うん、雅之の言葉で安心した……雅之は近いうちに昇進するだろうし…それに結婚したら、たぶん同じ課に居られないだろうし、心配だった」
「早いけど、寝ようか??」
「いやらしい、私のオナオナを見た後でエッチしたのに、また抱きたくなっちゃったの??」
「クククッ、洸希の顔を見るとエッチしたいなぁと思うのは事実だけど、今は満足しているよ」
「えっ、私に飽きちゃったの??がっかりだなぁ……」

うるせぇ……乱暴な言葉を口にした雅之は洸希を抱きかかえて寝室に向かい、荒々しくベッドに放り投げる。
「イヤンッ、乱暴な雅之も新鮮で好き、ウフフッ」

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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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