覚醒 -24
「これでカヲリと竿姉妹になっちゃった。知らないうちに竿姉妹になることはあっても目の前で姉妹の穴に出入りするオチンポを見るとは想像もしなかった……健志はどんな気持ち??」
「彩が許すとは思わなかったからオレの頭は混乱している」
「混乱した割にはしっかりと気持ち善くなったでしょう。だから男は信じられない……クククッ」
「彩、彩がカヲルに挿入しろって言ったんだよ。カヲルとセックスのために会わないって言ったのを知っているだろう??」
「ごめんね、彩。お風呂で私が彩に悪戯したのが間違いだった」
「そうだった、悪いのはカヲルだ……フフフッ、よく冷えたサングリアを飲みたい」
氷と水の入ったワインバケツの中のピッチャーを指差して彩は頬を緩める。
サングリアで満たしたグラスを掲げて、竿姉妹になった記念日にカンパ~イと彩とカヲルは声を合わせ、健志を無視したような態度をとる。
そんな光景に健志は不満顔をしながらも心の内では喜んでいる。
その後はサングリアの心地いい酔いに任せて性的な話も交えながら自然な会話で時の過ぎるのを楽しみ、ベッドは彩とカヲル、健志はソファで朝を迎えた。
開け放った窓から侵入した微風と陽光にくすぐられて目覚めた健志は窮屈な恰好で眠ったため肩や腰に張りを覚えて爽快とは言えない。
「おはよう……気持ち良さそうに寝ていたよ。クククッ、彩と私が悶着を起こさないどころか姉妹になる取り持ちまでして安心した??」
鳥ささみと大根、キュウリ、カイワレのサラダを運んできたカヲルは背中を見せて朝食作りに励む彩を見つめながら声を潜めて笑みを浮かべる。
「えっ、そうだな。安心したよ、彩を失いたくないからな」
「タケの流儀に反するんじゃない??……私が初めて抱いてくれって言った時、結婚しているか、付き合っている男はいるかって聞いたのは何だったの??」
「たとえ何であれ、人のモノはどんなに欲しくても取らないってのが主義だった」
「それはどうして??」
「人のモノは取らないからオレの大切なモノも取らないでくれってことだよ、知っているだろう??」
「私の時はマイルールを厳格に守ったけど彩は違う。特別だって事??ルールを曲げてでも欲しいの??」
「そうかもな、自分でも分からないよ」
「カヲル、なにをしているの??二人で彩の悪口??」
「オレが彩の悪口を言うわけがないだろ??」
「タケが彩の悪口を言っても私はそんな話にのらない。私は彩が好きだもん、知っているでしょう??」
「そうね、カヲルと私は姉妹の契りを交わしたもんね。健志の精液を受け止めた彩のオマンコを杯代わりにして姉妹杯㋾交わした。そうだ、その前にカヲルのオシッコを飲まされたんだ。アレも姉妹になる儀式だったの??」
フレンチトートやミルクティ、ソーセージとチーズなどを載せたトレーを運んできた彩はカヲルの表情を覗き込む。
悪戯っぽく微笑む彩の瞳は陽光を受けてキラキラ輝き、健志だけではなくカヲルをも笑顔で虜にする。
際どい会話で朝の挨拶を交わした後は卑猥な言葉を口にすることなく朝食を済ませてカヲルは帰って行った。
二人きりになると話の接ぎ穂を失い静寂が部屋を覆う。
そんな二人を救うかのように彩のスマホが着信を知らせ、ゴメンと声をかけて話し始める。
「元気にしている??……そうなんだ、それでご主人は??……ウフフッ、栞が幸せならいいよ。私がとやかく言うことじゃない……えっ、私…私は実家にいる……分かった、それじゃぁ月曜日に。うん、バイバイ」
「例の友達??」
「そう……五人の男たちに責められて喘ぎ声を漏らす様子をボイスレコーダーで確かめて昂奮したご主人に思い切り愛されたんだって。それを月曜日に教えてくれるって」
「そうか……」
そうかと言ったきり健志は口をつぐみ、彩を抱き寄せて静かに髪を撫でる。
セックスを目的の付き合いから気持ちも通じ合う関係になると厄介なことも意識されるようになる。
そんな事を嫌と思わず、肩を寄せ合うと喜びは二倍に、悲しみは半分になるような気がする。
言葉はいらない。言葉には嘘が混じることもあるし、気持ちを十分に言葉に込めるのが難しいこともある。
肩を寄せ合い、肌を通じて温もりを感じ、鼓動や呼吸が同調する頃には言葉で尽くせない思いも通じ合う。
「彩はしたい事をすればいいんだよ。彩に変身する時間を思い通りに過ごして昼間の本当の姿の時にストレスを感じなければオレは嬉しいよ」
「いいの、それで??……でも、彩は自分でも想像できないくらいエッチで性的好奇心が強いみたい。カヲルとも何の不安もなく付き合える自分が怖い」
「性欲に限らず、ふつうは何かしら我慢して生きているんだよな。彩は性的好奇心の強い友達のお陰で発散する場を与えられているんだね」
「そうか、そうだよね……でも自分が怖い。恥ずかしい姿を見られたいって思いながら昂奮することもあったけど、SMショークラブで見ず知らずの人たちの前で下着一枚になって縛られたり、大股開きで椅子に縛られてアソコの毛を剃られてオナニーするのを見せたりもした。もっと色んなことをしたいって思うようになるのが怖い……そんな事になっても、この身体は悦んで受け入れちゃうかもしれない」
「どうかな、オレといる限り嫉妬深いオレが邪魔をするかもしれない」
「えっ、フフフッ、彩を健志だけの女にしていたいの??見せるだけならいいけど、彩を男の人に触れさせたくないの??」
「そうだよ、ご主人と同じ屋根の下で寝ているのさえ辛いって言っただろう」
「キスして、彩はオレの女だと言いながら抱きしめて」
「彩はオレの女だ。オレ以外の男には触れさせない。彩に手を伸ばす男がいれば二度とその気にならないようにぶっちめてやる」
「痛いっ、でも嬉しい……」
痛いというのも構わずに思いきり抱き締めて唇を合わせる。
覚醒 -23
ソファの背に手をついて獣の恰好で背後から突き入れられたカヲルはSMショークラブや前日マンションで見た女王様然とした様子は影を潜め、欲情に支配されて快楽を貪る一人の女としか見えない。
ソファの向こうに立ちカヲルの髪を撫でて頬を擦る彩は額に唇を合わせ、
「カヲルが健志のオチンポに犯されているのを見ると昂奮する。ヌチャヌチャといやらしい音を立てているこんな姿を希美さんや美樹さんが見るとなんて言うかな??……ウフフッ、この首輪は彩がするよりカヲルの方が似合うかもしれないね」
「こんな姿を誰にも言わないで、明日から仕事をできなくなっちゃうし私も一人の女、チンポを欲しいと思うこともあれば子宮でモノを考えたいと思うこともある」
クローゼットからキャメルのボストンバックを取り出した彩は再びカヲルの前に戻り、目の前でバッグの中身を見せつける。
「使ったことはあっても使われたことがあるの??彩がオモチャで遊んであげる」
風呂上がりに自らの手で付けた犬用の赤い首輪を外し、動いちゃダメと言いながらカヲルの首に取りつけてバッグから取り出したリードを付ける。
「どんな気持ち??答えなさい」
顔が仰け反るほどリードを引き叱咤にも似た声をかけると、
「ハァハァッ、彩はすごい。いつもの私を忘れちゃいそう、ハァハァッ、責められてこんなにゾクゾクするのは生まれて初めて……タケ、もっと突いて、壊れてもいい」
「カヲル、そんな事を言っちゃダメでしょう。女王様のオマンコが壊れて痛い痛いなんて言ったら希美さんも美樹さんもガッカリしちゃうよ」
健志は自らMっ子だと言った彩が瞳をランランと輝かせてカヲルを責める様子に目を見張りセックスの深淵をわずかに覗いたような気になる。
「カヲルのことを苛めたくなっちゃう。健志とエッチする仲だったって聞いたから妬いているのかもしれないし、カヲルともっと仲良くなりたいから本当の姿を暴いちゃおうと思っているのかもしれない……ごめんね、何を考えているのか自分でも分からないの。ねぇ、気持ちいい??」
結婚するまでのセックス経験は同世代の友達と比べて誰よりも多いとは思わないけれど少なくもなく、欲求不満で性的欲求を持て余すことなく勉強や水泳、友達付き合いを重ねてきたつもりでいる。
着替えを覗かれてゾクゾクするような得も言われぬ気持ち善さに浸った経験をのちに羞恥で身体と心を熱くするMっ子と自覚したものの、妄想の中で被虐心は育ち、恥ずかしい姿を見られたいと思う気持ちに加えて縛られてみたいと思うようになった。
今は獣の姿勢で健志に犯されて善がり声を漏らすカヲルを責めてみたいと無性に思う。
カヲルの首にはめた犬用首輪を買った同じ日、バイブなどと一緒に買った真っ赤な縄を取り出してカヲルの目の前でしごいて見せる。
シュッシュッ、ピシッ……ゴクッ……自らの行為に昂奮する彩は唾を飲み、ソファの背についたカヲルの両首を乱暴に縛ってしまう。
ハァハァッ、目の前に立つ彩の股間はおびただしい花蜜が溢れ、見つめるカヲルは下半身を健志に押し付けて息を荒げる。
「カヲルの中に出しちゃダメだよ。逝くときは彩の中だよ。カヲル、彩が手伝ってあげるから逝っちゃいなさい」
縄と同じ日、最後に彩が選んだ電マを手に取り、ヴィ~ンヴィ~ンとカヲルの目の前で振動させて背中をなぞり、ここはどうかなと言いながら乳房を刺激する。
「ウググッ、クゥッ~、気持ちいい。タケのチンポでオマンコを掻きまわされて彩がオッパイを嬲ってくれる……ウグッ、ヒィッ~、いや、そんな処を電マで苛められると逝っちゃう、クゥッ~」
「カヲル、我慢しなきゃダメでしょう。カヲルは女王様でしょう、苛められたい女の子を縛ってあげるのでしょう。そのカヲルがこんな格好でイクイクなんて言っちゃダメ。我慢しなさい」
ふりとは言え、彩の嘲笑を浴びるカヲルは全身を朱に染めて身悶える。
電マはついに乳房から下腹部に移動してペニスが押し広げるオマンコに近付き、クリトリスの周辺を刺激する。
ペニスを突き入れたまま背中に覆いかぶさる健志は乳房を揉みしだき、先端を摘まんで捻ったり引っ張ったりを繰り返す。
「ウググッ、クゥッ~、我慢できない、逝っちゃう、逝っちゃう、ヒィッ~」
悲鳴にも似た声を漏らして手首を縛られた両手指が白くなるほど固く握り、背中を仰け反らして絶頂を迎える。
「彩、ダメだ。オレも我慢できない、出ちゃうよ」
「ダメダメ、最後は彩の中に出して……ヒィッ~、気持ちいい。子宮めがけて満足の証を吐き出して、カヲルと彩の身体で満足した証拠を受け止めたいの……ヒィッ~、熱い、すごい……逝っちゃう……」
カヲルを押しのけるようにしてソファに手をついた彩は背後から突き入れられたペニスに尻を押し付け、あっけなく満足して突っ伏してしまう。
ソファの背を抱くようにして息を荒げる彩の背後でカヲルは腰を落とし、手首を縛られたまま指を伸ばして開いた割れ目に顔を押し付けて膣口から溢れ出る精液をチュウチュウと音を立てて飲み込んでいく。
「ウグッ、ウグッ……プファ、ハァハァッ……」
口に溜めた精液と二人の花蜜の混じり合ったモノを飲み込もうともせずにいるカヲルの瞳は真っ赤に燃えて彩を見つめ、彩もまた興奮を隠そうともせずに息を荒げて唇を近付けていく。
彩の両手がカヲルを抱き寄せると、どちらともなく唇を合わせてグチャグチャ、ヌチャヌチャと卑猥な音を立ててキスをする。
いつ果てるともなく健志の吐き出した満足の証が彩とカヲルの口腔を往ったり来たりする様子に昂奮する股間はピクッと反応する。
覚醒 -22
カヲルが健志のペニスに手を添えても彩は自分を訝しく思うほど不安や不満に思うことがなく昂奮を新たにしてオナニーに耽る。
「ねぇ、彩、喉が渇くからタケのチンポをオシャブリしてもいい??」
「だめ、まだダメ、触ってもいいけどオシャブリはダメ」
「タケのモノをオシャブリさせてもらえないし喉が渇くからサングリアを飲ませて」
カヲルのグラスにサングリアを注いで手渡すと、
「口移しで飲ませてほしい。彩、オシャブリはダメでもキスは好いでしょう??」
「キスはダメ。口移しで飲むのは許してあげる」
価値観を議論する気はないが彩のそれは理解できないとばかりに顔を歪めたカヲルは口を突きだす。
彩を一瞥するとオナニーに耽り、二人に向ける瞳は相変わらず霞が掛かったようで焦点が合っているようには見えない。
彩から視線を外すことなく健志はサングリアを口に含み、抱き寄せたカヲルの唇に流し込む。
抱き寄せられるだけだったカヲルの手が健志の背中で力がこもり、自ら舌を挿入してヌチャヌチャ、クチャクチャと卑猥な音とともに貪り始める。
「ダメッ、キスはダメ。口移しで飲むのはグラス代わりだから許すけど、キスをするのは彩だけなの……すごい、健志のオチンポが先走り汁でニュルニュル」
カヲルの手の中で宙を睨むペニスは滲み出た先走り汁で滑りを帯び、上下にゆっくりとシゴク度にニュルニュルと卑猥な音を立てる。
「クククッ、タケ聞いた??彩はタケの口をグラス代わりと言い、私はタケのこれをバイブ代わりと言う。便利な男は好きよ、女の味方」
カヲルはバイブ代わりのペニスを握ったまま上下にしごき、滲み出る先走り汁を亀頭に塗り広げる。
「ねぇ、気持ちいいの??カヲルにしごかれて気持ちいいの??……カヲルの中に入りたいの??カヲルの子宮をグチュグチュと突きたいの??そうなの??」
二人に見つめられながらのオナニーが羞恥を誘い、羞恥が遠い昔の自室で隣家の男子に着替えを覗かせた淫靡な記憶を呼び起こす。
ハァハァッ……閉じることを忘れてしどけなく開いた口から見る者を蕩かす甘い声を漏らし、カーテンに隠れて覗き見る男子が記憶と違って股間に手を伸ばして自らのペニスを擦り始める。
「気持ちいいの??オチンポをしごく君は可愛い。私のことが好きなのね、続けなさい、見ていてあげる」遠い昔、記憶の中で彩の着替え姿を覗き見る男子に話しかける。
カヲルと健志が見つめる彩は、あらぬことを口走りながら股間に伸ばした右手を激しく蠢かし、左手は嵌めたままのシャツのボタンを引き千切るように外していき脱ぎ捨ててしまう。
「気持ちいい……シャツを脱ぐと自由になったような気がする。見てね、彩のオナオナを見てくれなきゃ、イヤッ……」
カヲルの子宮と健志のペニスを刺激する艶めかしい声と共に赤い舌が乾いた唇を一周して滑りを与える。
唇を窄めたり尖らせたりしながら舌先を出入りさせる色っぽい仕草に健志の勘が反応する。
「クククッ、チンポが私の手の中でピクンとした。彩のオマンコは忙しそうだから私の中に入ってみる??」
そんなカヲルの言葉に彩は止めてとも言わず、左手で割れ目を広げて右手でクリトリスを弄り、
「満開の花弁を開いて、ここが花唇、クチュクチュすると気持ち善いの。アンッ、健志のオチンポみたいに勃起してる。先端を指の腹でコシコシしても気持ちいいし、根元をくすぐったり全体を摘まんで優しくクチュクチュされたりするのも好き。アウッ、クゥッ~、健志はビラビラの奥の溝をベロンッと舐めて甘噛みもしてくれる……ヒィッ~、気持ちいい」
プラチナチェーンが汗と花蜜にまみれた妖しく輝き、妖艶な彩を見つめるカヲルの我慢が限界に達する。
「彩、タケのチンポを借りてもいいでしょう??彩のエロっぽさで昂奮しちゃった」
「いいわよ、貸してあげる。オチンポがカヲルのオマンコに入るところを見せてね」
立ち上がったカヲルは身に着けるモノをすべてを脱ぎ捨てて素っ裸になり、健志のそばから彩の目の前に立って両手を添えて花弁を開き、
「こんなになっちゃって我慢できないから彩のチンポを借りるね。最後は彩の中で果てるようにするから……約束する」
「信じる。もう少し近付いて……彩が舐めてあげる」
彩とカヲル、どちらが優位に立っているのか健志には分からず、それほど仲が好いのだろうと結論付けるのがいいだろうと苦笑いを浮かべる。
ジュルジュル、チュルチュル……カヲルの腰を抱き寄せた彩は股間に伸ばした舌を躍らせ、カヲルは女性同士で急所を捉えた愛撫に顔を仰け反らす。
「健志、彩の目の前でカヲルのオマンコに打ち込んであげて、こんなにマン汁を溢れさせているんだもん、このままじゃ可哀そう」
躊躇する健志に、早く入れてあげてと叱咤する表情は悲しそうでもなく、嬉しそうでもなく困っている友人を助けようとしているように見える。
健志もまた身に着けるモノをすべて脱ぎ捨てながら二人に近付いていく。
「カヲル、ソファの背に手をついて獣の姿勢で入れてもらおうね……そう、この恰好でいいよ。早くオチンポを打ち込んであげて」
「分かった、入れるよ。硬くなっちゃダメだ、緊張を解くんだよカヲル。息を吐いて、吸って……」
カヲルの腰を掴んでペニスを近付けると、彩の手が伸びてバギナに誘導し、今だよと声をかけて挿入の瞬間を見逃すまいと凝視する。
健志が腰を突き出すとペニスはあっけなく姿を没して、カヲルの口から、
「ヒィッ~、ごめんなさい……気持ちいい、温かくていいの。バイブは温めても道具、生のチンポが好い。ごめんね、彩」
「大丈夫だよ、健志のことは大好きだけどカヲルも好きだから、気持ち善くなってもいいよ。最後は彩の中だよ、いいでしょう??」
覚醒 -21
カヲルの舌が伸びると彩の舌が迎えて宙でつつき合ったり、重ね合ったりと妖しく絡み合いビチャビチャ、ヌチャヌチャと卑猥な音を奏でる。
気持ちの奥底に潜む淫靡な欲情を呼び覚ますためカヲルが仕掛けた繊細とは言えないキスに反応する彩の貪欲さに唾を飲む健志は、熟しきった自らの身体に満足することのない不安を抱いているのではないかと不安がよぎる。
カヲルの悪戯に彩は反応し、キスをしながら肌をまさぐる手に身体を押し付けて口がしどけなく開き甘い吐息が間断なく漏れる。
健志は昂奮で乾いた喉を癒すためサングリアを口にすると生温かく、フゥッ~と息を吐いて彩を一瞥して立ち上がり、ワインバケツに氷と水を入れてその中にサングリアブランカの入ったピッチャーを沈める。
ソファに座る彩の背後に立ったカヲルが舐めて湿らせた指先でシャツ越しに胸の膨らみの先端を摘まんでクチュクチュ刺激すると、
「アンッ、いやっ、そんな事をされたら我慢できなくなっちゃう」
前に座る健志が視線を逸らせることなくカヲルの指の動きを追うため、指に愛撫されていると言うよりも視線に犯されているようで昂奮の止まることがない。
彩が健志を見つめても気が付かないのか視線を合わせることなく、物足りなさと同時にカヲルの指と健志の視線の二つに嬲られる心地好さで股間が熱くなる。
「アウッ、ウッウゥッ~、イヤンッ……見ているの健志、彩は悪戯されているんだよ……ウッ、だめっ、善くなっちゃう」
「気持善くなっちゃうの、フ~ン……私は昼間の彩を知らないけど想像できる。理知的な表情、小柄だけどバランスのとれた身体。仕事のできる彩は好い女。憧れる男性社員もいれば彩を目標にする女性社員もいるんだろうな……そんな人たちはプラチナ製下着を穿いてオッパイをクチュクチュされて気持ち善いって身悶える彩を想像もできないだろうな、ウフフッ」
「いやっ、そんな事を言わないで。大好きな人の前でエッチな下着を着けて嬲られている時に昼間の彩を知る人のことなんか考えたくない……思い出したくない、ヒィッ~」
「どうしたの、彩??オッパイの先端を摘まんでいるけど特別な事はしてないよ」
彩を嬲ろうとするカヲルの言葉で課長を交えた乱交に臨んだという栞を唐突に思い出して、ヒィッ~とカヲルには意味不明の悲鳴を漏らしてしまう。
自宅前に着いたという連絡以降、何も知らされておらず寝取られ願望のあるご主人と卑猥遊戯の続きをしたことまでは想像するけれど、その先がどうなったのか思いを巡らすこともできない。
想像と妄想が入り乱れ、栞が顔も名前も分からない男たちに抑え込まれてバギナだけではなく、口にもアナルにも猛り狂う怒張を突き入れられて身悶えている。
膨れ上がる妄想を鎮めて現実に戻ろうとしても脳裏を駆け巡る栞の姿を振り払うことは出来ず、忘れるために乳首を摘まむカヲルの手に肌を押し付ける。
「そうなの、彩??もっと気持ち善くなりたいと催促しているの??……フ~ン、そうなんだ」
「忘れさせて、もっと、もっと気持ち善くして嫌な事を忘れさせて、おねがい」
焦点の定まらない視線で見つめられてカヲルに愛撫を要求する彩の真意を訝りながらも健志は優しく見つめ返す。
「忘れたい事があるんだ……私は嫌な事や忘れたい事があるときはセックスで発散するの、でもバイブ代わりのタケに頼めなくなっちゃったからこれからはオナニーで紛らすしかない。ねぇ、彩、オナニーを見せて」
栞を忘れる事かもしれないし、性的昂奮を鎮めるためかもしれない、彩自身がどうしてこんな事をするのかと思いながら自然と手が伸びてシャツ越しに乳房を揉み、顎を突き出して白い喉を見せながらしどけなく開いた唇に舌を這わして嫣然と微笑む。
「タケのそばで彩オネエサンのエロイオナニーショーを見てもいいでしょう」
彩の返事を待たずに身体を寄せて腰を下ろしたカヲルは自然な動きで健志の太腿に手を置いて内腿を擦る。
あっと言う間の出来事で健志に触れないでくれと抗議する暇もない。
自棄になったように乳房を揉み、シャツのボタンを一つ外して舐めて湿らせた指先で先端を摘まんでクチュクチュと刺激する。
カヲルと健志には指の動きを想像できるものの直接見ることは出来ず、二人を焦らす彩は両足をゆっくり開いて股間に注意を集め、
「気持ちいい、オナオナを見られるとこんなに気持ち善いとは思わなかった」
左手は胸の膨らみの先端を摘まんだままシャツの裾から忍ばせた右手が妖しく蠢き、ニュルニュル、ジュルジュルと卑猥な音が漏れ始める。
「ねぇ、見たくないの??彩のオナニーを見たくないの??」
「音が聞こえているよ。エッチな音、滑りを掻きまわしているようないやらしい音」
「音だけでいいの??……見せてあげる、ヌレヌレのアソコを掻きまわして気持ちいことをしているのを見せてあげる」
右手を股間に伸ばしたまま左手でシャツのボタンを外して左右に開き、股間をあからさまに晒す。
バギナに挿入したままの指を出し入れすると花蜜がヌチャヌチャと卑猥な音を立てて滲み出る。
「見えるよ、オマンコオナニーで芳しい花蜜を撒き散らすスケベな彩を見ているよ」
「この下着はこんな事も出来るんだよ」
割れ目の左右を下腹部から腰まで飾る二本のプラチナチェーンを摘まんでクリトリスを擦り、
「イヤァ~ン、下着が擦れて気持ちいい……見てる??エッチな事をする彩を見てね」
「彩のいやらしい姿を見ていると我慢できなくなる。少しだけタケを貸してね」
言い終わるや否やカヲルは健志の股間に手を伸ばして宙を睨むほど猛るペニスを摘まみだして彩を見つめる。
覚醒 -20
気まずいと言うよりも話をどう切り出していいものか思案する三人の口火を切ってカヲルが口を開く。
「このサングリアは美味しい。昔のことだけどタケは学生時代、酒屋でアルバイトをしたらしいの、それでカクテルにも興味を持ち続けている様よ、彩は知っていた??」
無言の彩が否定の意味で首を振ると喜ぶわけでもなく言葉を続ける。
「昨晩、彩が遊びに来たマンションは私のモノなの。そしてSMショークラブの共同経営者でもある……タケは関係ないよ、お客様の一人。私とは特殊な関係ではあったけど、彩のせいで関係は風前の灯火。私はタケが好き……あっ、誤解しないで、性的な関係がなくなっても友人としてって意味だからね」
彩を見て邪気のない笑顔を作り、もちろん、彩のことも好きだよと言う。
質問したげな態度をとりつつ口を開かずサングリアを飲む彩の様子を見た健志が話の口火を切る。
「性的な事にこだわらないけどカヲルから見て彩はどう映る??」
「そうね、バスルームで彩に言ったことと被るけど縄が似合う人。私は女性を縛ることを仕事にしているようなものだけど縄が似合う人っている。彩の肌って全体に柔らかみがあるから縄を受け入れる。硬い肌ってイメージ的に縄を弾こうとするけど、しっとりと滑らかな肌は縄を受け入れてすんなり馴染む。彩ってなめらかで艶やかな肌をしている」
「そうなんだ……表情や普段の様子から意志が強くて信念を曲げないって感じるけど、そこはどう??」
「性的な意味では何も問題はない。SM嗜好についてだけど、支配、被支配って単純化するのは間違いだと思うの。例えば好きな異性に好かれようとして一歩引いて卑屈って程じゃないけど気に入られようとすることってあるでしょう??多少媚びるようなことがあっても支配されたいとかMとかって言わないでしょう」
「そりゃ、そうだ、それをマゾって呼ぶと、たいていの鳥類のオスはマゾってことになる。鳥のオスはメスの気を惹こうとして綺麗に着飾り、ある種では子育て用の立派な家を用意してアピ-ルすると聞いたことがある」
「マゾヒズムって支配されることを快感に思うことが全てじゃない。中にはそんな人もいるだろうけど、サディズムのSはサービスのSって言うでしょう、加虐趣味の人もいるけど、SMって両方が満足しなきゃプレイとして成立しない……結果、Sの立場に立つ人はMの様子を見ながら満足しているかどうか確かめながらプレイすることになる。それがサービスのSって呼ばれる所以だろうね。そしてMは我がままとも言われる。縄を好む人、人目にさらされるような羞恥プレイを好む人、マゾヒズムの欲求は十人十色、Sはそれを見分けながら責めなきゃね」
「彩、憶えているでしょう??美樹さんは愛する夫の前で何本もの他人棒で犯されて燃え上がる人なの、すごかったでしょう。吐き出した男汁を子宮に浴びせられても拭うことも許されず次のチンポを突き入れられる。彩、見るだけでも昂奮したんじゃない??」
「彩には何人もの人に犯されたいって欲望はないけど、自分の性欲を曝け出すって羨ましいと思う。好い人だと思われたいのが理由じゃないけど、普段は自分を曝け出すのが苦手」
「……時には自分でもびっくりするほど思い切ったことをする。そうでしょう、彩。それでいいのよ、気持ちと身体のバランスを取るようにしないと壊れちゃう。こんなに色っぽい身体をシャツの下に隠しているんだもん、時には気持ちも身体も解放してあげないと欲求が内に向いて爆発しちゃうよ」
カヲルの手が彩の髪を撫で、頬を擦って耳を弄る。
耳から首を撫で下りて脇腹を擦り、顔を近付けて首筋に息を吹きかける。
フゥッ~……「アンッ、いやっ……だめっ、悪戯しないって言ったのに」
「ごめんね、彩オネエサンが可愛いんだもん」
シャツ越しに脇腹を撫で続けるカヲルの手が腰を撫で、尻を掴んで耳元で彩が可愛いと囁き耳朶を甘噛みする。
「クゥッ~、イヤンッ、だめっ。カヲルは嘘吐きなんだもん……何もしないって言ったのにバスルームでお尻を弄られたり……ハァハァッ、顔にオシッコをかけられたりした。そして今は……カヲルは嫌い……」
「……そうか、そうだよね。ゴメンね、もう止める」
「えっ、そんな。カヲルは嘘吐きだけど嫌いじゃない。彩のことを嫌いにならないで……少しだけなら続けてもいいよ」
「タケにだけ彩の恥ずかしい姿を見せてあげようか、本当の彩を見てもらいたいでしょう??」
コクンと頷いた彩を胸に抱きかかえたカヲルは健志に、いいでしょうと言葉にせずに口を動かす。