取調室
「取調室では手錠を外す規則だから外してやるが俺を甘くみるんじゃないぞ」
「何度でも言います。私じゃありません」
「オイ1時間ほど部屋を出てくれ。この女と2人にしてくれ」
「そんなことをしてもいいんですか??訴えますよ」
「犯人のオマエがデケェ口を叩くんじゃないよ」
「違法取り調べです。絶対に訴えてやる」
「いい加減に諦めて吐けよ」
「証拠を見せてください。私じゃありません」
「証拠はその身体に隠してるんだろ??」
「どこに隠すんですか??」
「俺が探し出してやる。服を脱げ」
「何を言っているんですか、殺人の証拠をどうやって身体に隠すんでか??」
「美人なら人を殺してもいいと思っているんだろ」
「美人だなんて思っていません。すこし綺麗なだけだし、この容姿は生まれながらのもので私の責任じゃありません」
「ごちゃごちゃ言ってねぇで早く脱げよ」
「絶対に許さないから……」
「それを負け惜しみって言うんだよ。俺が脱がせてやろうか」
「イヤッ、なにをするのですか。取調べの可視化って言ってますよね、きちんとこの違法取り調べを撮影してください」
「なに、殺人犯のお前をスッポンポンにして取り調べる様子を撮影してオレに楽しめって言うのか。それは名案かもしれないな、高く売れそうだしな」
「いや、ごめんなさい。もう逆らいませんから乱暴な事はしないでください」
「美人が嫌がる姿は、そそられるぜ」
「イヤァァ~……やめてぇ~……ウッウッ……」
「泣いてもだめだよ、ビリッて服の破れる音はいいなぁ」
「ヒィィ~……ウッウッゥ~……」
「美人ってのは下着姿になっても男の目を楽しませるんだなぁ。そんな格好で胸を抱え込むからブラのホックを直ぐに外されるんだよ」
「いやぁ~、許してください……私が殺しました……もうやめてぇ」
「よし、白状したな。どうやって殺したか実演してみせろ」
「此処で、ですか??」
「そうだ、此処でなきゃおかしいだろ、此処は取調室だよ」
「…………」
「なにやってんだよ、早くしろ。早く楽になりたいだろう??」
「判りました」
「ほう~、素っ裸で殺したのか??顔だけじゃなく身体もいいな」
「貴男は上着を脱いでこのテーブルに横たわってください」
「俺にサービスして目こぼしを願おうってか??よしやってみろ」
「フフフッ、覚悟しなさい。あの男と同じように死なせてあげるから」
「ウッ、シャツだけじゃなくズボンも脱がしてくれるのか??」
「黙って……殺し方を知りたいんでしょ??」
「アンタみたいな好い女に脱がされるのは恥ずかしいもんだな」
「いつまで、そんな軽口を言えるか覚えていなさい」
「うっ、そんなことをされると、たまんない、気持ち良くなっちゃうよ」
「指先と爪で上半身をサワサワしてるだけだよ、だらしないね。威勢の良さはどこへ行ったのよ」
「髪が、前髪が俺の胸を撫でるのが気持ちいいよ。予期せぬ刺激だな、それとも計算ずくなのか??」
「ウフフッ、じゃ此処はどう??」
「クゥゥ~、男も乳首が気持ちいいんだよ。それよりアンタの乳首がチンコを擦る偶然がスゲェよ」
「偶然じゃないよ、髪から足の先まで私の身体は全身が凶器だよ。これはどう??我慢できる??」
「堪んないよ、靴を履いていた足指をアンタのような好い女に舐められて我慢できる男はいないよ」
「フフフッ、そうね、正直でいい子よ貴男は……もっと気持ちよくしてあげる」
「うっ、脹脛から内腿までそんなふうに撫でられると、たまんねぇ」
「どうしたの??取り調べ前の威勢の良さはどこに行ったの??」
「足先から頭まで、何かが突き抜けていくような快感だよ」
「幸せな刑事さんね、犯人に可愛がってもらって喘いでりゃいいんだから」
「ウゥゥ~、堪んないよ……」
「これは何??こんな処にブラブラ、邪魔だから指で弾いてやろうか??」
「勘弁してくれよ、焦らさないでくれ……頼む」
「頼むじゃないでしょ、お願いしますでしょ」
「クゥッ~、限界だ、一思いに殺してくれよ、お願いします」
「ジュルジュル、ジュボジュボッ、グジュグジュ……」
「フェラチオも上手いな、気持ちいいよ」
「しゃぶりながらタマも弄ってあげる」
「ウッ、逝ってもいいか??」
「ダメ、逝かしてあげない。ほら、私のオマンコを触ってもいいよ」
「シックスナインで攻守交替だな。逝かせっこだよ」
「私に勝てる??」
「クッゥゥ~、逝かせてくれ、頼む。焦らさないで天国にやってくれ」
「貴男のクンニで私も気持ち良くなってきたのに……もう少し頑張って」
「駄目だよ……逝かせてくれよ、頼むよ」
「ウフフッ、ま・だ・ダメ」
「焦らさないでくれよ」
「我慢しなさい……死にたいんでしょ??」
「死にそうだよ、最後までやってくれ、頼む」
「ウフフッ、しょうが無いね、逝かせてあげる。天国に逝きなさい」
「ウッうぅぅ~、死にそうなほど気持ちいいよ」
「チンコをしゃぶりながらオシリも弄ってあげる、どう??気持ちいい??」
「いぃぃ~、出るよ、出る……口に出していいの??」
「ジュボジュボ、頂戴、お口に頂戴……いっぱい出して……ジュルジュル」
「ウッ……出ちゃった、ごめんね」
「ウッ……ベッ、すごい。いっぱい貯めてたんだね、手の平に乗りきんないくらい出たよ。見てて……ジュルジュル、ジュルゥゥ~」
「飲んでくれたの??」
「貴男の精子は私のお腹で死んじゃったね、きっと」
「あぁ、大量殺人だな、逮捕する」
「痛い、そんなにギュッと抱いたら痛いよ。優しく抱いて、お願い」
「今日も楽しかったよ。この次はどんなシチュエーションでプレイするか考えながら仕事を頑張るよ」
「そんなことして大丈夫なの??」
「ここへ来るって目的があるから毎日、仕事をできるんだよ」
「ふ~ん、そうなんだ。待ってるね……今日は、ありがとう。気をつけて帰ってね」
<<おしまい>>
「いらっしゃいませ」
「私の事を覚えていますか……」
「もちろん、憶えていますよ。悔恨の情と共にね」
「今日は、お酒を飲みたいので来ました」
「雨の日に独りでバーのカウンターに座る好い女」
「さりげない言葉で女を気持ちよくしてくれる、あなたは悪い男。今日はヒマそうね」
「この空模様ではしょうがない。でも、あなたが来てくれた」
「待っていてくれた??静かすぎる……」
「静かな時間は過去の自分を振り返らせてくれる。嫌いじゃないですよ」
「今の私は静かな時間を欲しいと思わない……」
━ビリィー 夢見るような レディー 心に残る恋人……━
「星空のビリー・ホリディ……覚えてくれていたんだ??」
「あれ以来、時々だけど聴いていますよ」
「フフフッ、何か飲ませてくれる??」
「どうぞ」
「これ、覚えている。初めて来た時に作ってくれた、レディ・ディ」
「いらっしゃいませ。何かおつくりしますか??」
「お酒はよく判らないので、お任せします」
「お客様は初めてですね、趣味とか好きな歌手とか何か、教えていただけますか??」
「サザンオールスターズ、桑田さんのファンです」
「判りました。少々、お待ち下さい」
━ビリィー 夢見るような レディー 心に残る恋人……━
「ありがとう……」
「このカクテルをどうぞ。フルーティですが、ウイスキーベースで強いので飲みすぎないようにしてください」
「ありがとう。ほんとうだ飲みやすい。なんと言うカクテルですか??」
「このカクテルはレディ・ディと言います」
「レディ・ディ……ビリー・ホリディの愛称ですね」
「人に歴史があるように、カクテルにもそれぞれ由来があります」
「だから人は、酒に惹かれる」
「そう思っていただけるとバーテンダー冥利に尽きます」
「マスターも何か飲んでください」
「ありがとうございます。それでは……」
「きれいなピンクですね。なんというカクテルですか??」
「それでは、お客さまにカクテルの名前を当てていただきましょうか。ヒントは永遠のセックスシンボルと呼ばれた女優さん」
「マリリン・モンロー……ですか??」
「そうです。このカクテルはマリリン・モンローと言います」
「ちょっと、飲ませてください」
「お客さまのレディ・ディより強いですよ。ウォッカベースですから」
「うわっ、ほんとだ。喉が焼けるようです、油断していました」
「ビリー・ホリディもマリリン・モンローも晩年は幸せとは言い難いですが、お客さまの幸せな明日に乾杯させてください」
「ありがとう。残念ですが、今は一番聞きたくない言葉です」
「それは申し訳ない事を言いました」
「飲みすぎちゃった、歩けない」
「それは困りましたね。タクシーを呼びますから、お待ちください」
「家が何処かも分かんない……ここで寝かせてくれると嬉しいな」
「それは構いませんが、私も男ですから」
「女にも寂しさに耐えられない夜があるの。今日は1人でベッドに入りたくない」
「住まいは2階です。お店を閉めますので待っていてください」
「酒に酔っている間は幸せだった」
「飲ませ続ければ良かったね」
「あなたは優しすぎた。私が欲しかったのはオスの強い力。男に束縛される事で自由に生きられると思える時もあるの」
「今は理解できるよ。強い力に束縛されたいと言う思い。性的な意味でも拘束され束縛される事で心の奥に隠れている淫靡な自分を解放できるし自由になれる」
「そうなの、判ってくれると思っていた」
「気付くのが遅かった。当時の私は優しくするのが愛のすべてだと思っていた」
「今からでも遅くないよ」
「いや、自棄になった女を抱く趣味はない。弱みに付け込むような真似をしたくない」
「なんか、勘違いしてない??振られたリ何か失敗したから来たわけじゃないの」
「ゴメン、どう言う事??」
「ここを出た後、誰とも付き合ってないの」
「そうなの??オレは、あなたを忘れられなくて女性とは関わらなかったよ」
「ウフフッ、私がオレに変わった。仕事を忘れて心を開いてくれたのなら嬉しい」
「あなたを見送った後の悔恨の時間に少しは学んだからね」
「そうなんだ。私は傘を持ってないんだけど雨が降っているから、泊めてくれる??」
「雨が降っているのに傘を持ってないんじゃ放り出すわけにはいかないね。泊まってきなよ、住まいは二階だから傘を持ってなくても濡れる事はないよ」
<<おしまい>>
カップ焼きそば 1/3
ピンポ~ン……「は~い、直ぐに開けるから待って……」
「こんにちは、本当に来ちゃったよ」
「いらっしゃい。本当に来てくれるかどうか、すごく不安だったから20分ほど前からカーテンの陰に隠れて通りを見ていたんだよ……上を見上げた時は見つかると思ってドキドキした。ごめんなさい、急に誘ったりして。それより、場所はすぐに分かった??」
「悪いけど、上がってもいいかな??」
「ごめんなさい。この部屋に男の人を迎えるのは初めてだから昂奮していた。どうぞ、お上がりください」
「ありがとう、これはオミヤゲ」
「えっ、これって本店でしょう??私がこの店のスイーツを好きだって言ったのを覚えていてくれて、本店まで行ってくれたの??ねぇ、そうなの??」
「川を越えればすぐだろう、わけないよ」
「勉強を楽しんでいる??」、「うん、好きな事だから楽しい」、「そうか、勉強もアルバイトも好きなままでいてくれよ」
男の目は娘を見るような慈愛と優しさに満ちている。
「今日も三杯で終わりなの??」
「そうだよ、セットに追加一本で水割り三杯。これでオシマイ、飲み終えたら帰るよ」
「うん、分かった。柏木さんて食べるのが好きですか??興味ありますか??」
「食通とは言えないけど、初めての食べ物って興味あるよ」
「ふ~ん、今まで食べた中で、これは珍しいって言うのは何ですか??」
「高知空港のウツボ定食、中国でセンザンコウ、タドリ。タイで虫の素揚げ。そんなところかな」
「ウツボ定食にセンザンコウ、タドリ、虫の素揚げ……食べちゃいけないものも含まれていませんか??」
「ワシントン条約。その時は気が付かなったし何の肉か分からないまま食べちゃったからなぁ……」
「そうなんだ、タドリって現地語ですか??」
「カエルだよ、田鶏って書くらしいよ、本当か嘘か知らないけどね。出張した時に現地工場で仲良くなった人が福建省の海岸から500㎞ほど離れた実家へ帰るときに招待してくれて、歓待を受けた時の食事。飲物は青島ビール」
「ビールは好きじゃないんでしょう??」
「ビールしかなかったから、しょうがない。ジュースはスイカとクワイ」
「クワイ??正月のクワイ??あれがジュースになるんですか??」
「クワイだって言うし、缶にはクワイらしい絵を描いてあったよ」
「なんか楽しそう……柏木さんの話ほど珍しくないけど、うちに焼きそばがあるんだけど食べに来ませんか??」
「こんな話の後じゃ断りにくいけど、沙希ちゃんの家はまずいだろう」
「どうしてですか、私は構いませんよ……地図を用意しときました。受け取ってください。いつ来てくれますか??」
「困ったなぁ。じゃぁ、明日でもいいかなぁ??」
「いいですよ。柏木さんて案外とせっかちですね、私は今日でもいいけど、アフターは付き合ってくれないもんね」
最後は切り口上で話す沙希に押し切られる格好で約束する。
「女の人の部屋に慣れているんですね、すごく落ち着いているしキョロキョロしない……私なんか柏木さんが通りを歩いてくるのを上から見るだけでドキドキしたのに……ほらっ、ねっ」
柏木の手を取った沙希は左胸の膨らみを気にする様子もなく押し付け、心臓の鼓動を確かめさせる。
「すごいでしょう??柏木さんはどうなの??……やっぱり、あ~ぁ、昂奮しているのは私だけでバカみたい。独り住まいの女の部屋でドキドキしないし、オッパイに触れてもドキドキしないなんて感じ悪い……ウフフッ」
「大した経験があるわけじゃないけど、馬齢を重ねて面の皮が厚くなったのかもしれないね」
柏木の左胸に手の平を押し付けても激しい鼓動を感じることは出来ず、にこやかに笑みを浮かべるだけの表情を見た沙希は、わざとらしく憂いを浮かべた表情を怒りに変化させ、最後には苦笑いする。
夏の日差しを浴びて火照った身体にエアコンの効いた部屋は心地好く、窓は二人の邪魔をしようとして侵入を図る眩い夏の陽光を反射してギラギラ光る。
白い短パンに青シャツを着けて袖をロールアップした沙希は若さに溢れて眩しく、それが柏木の性的好奇心の芽生えを抑えてくれる。
シンプルにさえ見える片付いた部屋に頬を緩め、机と本棚にある本の背を見て安心する。
「今の視線は娘がまじめに勉強しているか監視に来た父親のようで感じ悪い」と、軽口をたたく。
一時の昂奮が冷めた沙希は、
「水割りを作りますか??」
「えっ、沙希ちゃんて一人で水割りを飲んでいるの??」
「違いますよ、柏木さんのために用意したんです……言いたい事は分かっています。学生であることを忘れていません、たまには無駄な事をして気持ちのバランスを保つ努力をしないと……そう思うでしょう??」
「うん、人は成長する過程で年齢に応じて経験すべき事、経験した方が好いことが色々あるけど、あれもこれも経験しとくことは好いことだし必要だと思うよ。一見、無駄と思える経験も反面教師って事も含めて役に立つと思う」
「お店でもそうだけど、柏木さんてどんなことも悲観的に考えないですよね」
「意識しているよ。空元気でもいいからポジティブにってね。悲観的な見方をすると筋肉は硬直するし、考えも過去や内側に向いちゃうだろう」
「じゃぁ、私もポジティブシンキングでご馳走します。カップ麺だけど、美味しいと思ったら一つだけ私の希望を叶えてください。約束ですよ」
「チョコレート焼きそばは、どうでしたか??」
「う~ん、なんと言えばいいのかなぁ……不味くはないし、どちらかと言えば美味い。焼きそばもそうだけど麺類は好きだしチョコはよく食べるよ。液体ソースの封を破いた瞬間に漂う匂いがチョコ、嫌いになるわけがないし、いい意味で期待を裏切られた感じがする」
「そうでしょう。友達に勧めたら額に手を置いて、あんた熱がないって言われたんですよ。酷いと思いません??」
「その人の感想だから憤慨する方が大人げないと思うけど、バレンタインデーにはうけるんじゃないかな??」
「今年のバレンタインデー前に発売されていたんですよ。それはそうと、美味しいって言ってくれたんだから、お願いを聞いてくれますね」
「絶対にとは言えないよ。拒否する権利も留保させてくれるね」
「クククッ、どうしようかな……それでは二つ希望を言うから柏木さんが選んでください。それが譲歩できるギリギリの条件です」
「困ったいじわる娘だな、沙希ちゃんは……お手柔らかに頼むよ」
「いいですよ。一つ目は同伴名目でデートしてもらう……二つ目は……二つ目は、思っていたことは恥ずかしくて口に出来ないから普通にデートしてもらう。二つの中から選んでください」
カップ焼きそば 2/3
一瞬、思いつめたような表情に変化した沙希は直ぐに笑顔を取り戻し、柏木の顔を覗き込む。
「何かエッチな事をお願いすると思っていたでしょう??期待を裏切ってごめんなさい」
「沙希ちゃんに純な男心を弄ばれるとは思っていなかったよ」
「クククッ、本当??ドキドキしているか確かめてもいい??」
言うが早いか両手を左右に開いてぶつかるようにして身体を預け、柏木も抗うことなく座ったままで後ろに倒れながら受け止める。
覆いかぶさる格好で抱き留められた沙希は柏木の胸に頬を押し付けて、満足げな笑みを浮かべる。
「可愛いな、沙希ちゃんは……こんな恰好で抱きしめると、キラキラ輝く瞳が目の前にくるだろ、眩しすぎてドキドキするよ」
「ほんとう??確かめるよ、好いでしょう??」
柏木のシャツを捲り上げて剥き出しにした左胸に右耳を押し付け、鼓動を確かめようとする。
「嘘吐き、ドキドキしてない。大人の余裕なの??私なんか心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどドキドキしているのに……ほら」
柏木の首に手を回して顔に胸を被せる。
胸の膨らみが口や鼻を覆い、息苦しくなった柏木が沙希の上半身をずらそうとすると、
「ダメ、このままが好いの。息をするのが苦しくなったらオッパイを揉んだり舐めたりすると隙間ができるよ、知っているでしょう??……私は初めてじゃないし、22だよ。今日は私の希望を叶えてほしいの」
こうまで言われて今更できないというほど柏木は野暮でも聖人君子でもない。
それに、股間は早く自由にしてくれとピクピク跳ねる。
沙希の腰を抱くように添えていた両手が動き始め、指先に力を込めて尻を揉む。
まだまだ若い沙希の尻は熟す前の堅さが残り、短パン越しとは言え腿の裏を撫でても反応が薄い。
背中に手の平を這わせ、脇腹を刷くように指先を滑らせても望むような反応が得られない。
身体を入れ替えて沙希を仰向けの格好にし、肘や膝で身体を支えて体重をかけないように気遣いながら鼻孔を膨らませてハァハァッと荒い息を漏らす唇にチュッと音を立ててキスをする。
「いいんだね、後悔しないね」
「いやっ、今更そんなことを聞かないで、恥ずかしい」
顔を背けて目を閉じ、柏木にすべてを任せるとでも言うように全身から力が抜けていくのが伝わる。
青いシャツ越しに胸の膨らみに触れると閉じた目はそのままでビクッと反応し、ゆったり伸ばして開いていた手を握り、奥歯を噛み締めて緊張を隠しきれない。
柏木の指先が閉じた唇をなぞり、頬を撫でて唇を重ねる。
「ウッウゥッ~……だめっ、気持ちいぃ、ウッ、クゥッ~」
「可愛いよ……悪戯っ子には、お仕置きしなきゃ。覚悟しなさい」
「チョコ焼きそばをごちそうしたのにお仕置きされる私は可哀そう。こんな風にギュッと抱っこされたかったの」
閉じていた眼を見開いて、今更できないとか、きれいごとで誤魔化すことは許さないと瞳は訴える。
喋り出しそうな口を閉じさせるためにキスをする。
濃厚になりすぎないように注意しながら、閉じた唇を開けさせるために舌でなぞり唇を甘噛みする。その間も手は休むことなく腰を撫で脇腹を擦って乳房の大きさを確かめるかのように優しく揉み始める。
「ハァハァッ……こんな風にされたかったの、嬉しい。シャワーを浴びてから、お願い……お風呂の用意はできているの」
昨日までは一介の客とキャバ嬢に過ぎなかった二人が白昼の風呂で身体を寄せ合う。
「強引すぎる女は嫌い??」
「強引な女性は嫌いだけど、チョコ焼きそばを好む女性は好きだよ」
「クククッ、好きと嫌い、どっちが優先するの??……聞かせて」
「沙希も言っただろう、オレはポジティブシンキングの男だって」
沙希ちゃんから沙希と呼び名が変化したことで動悸が激しくなり、お客様とキャバ嬢の関係から、ほんの少し関係が濃密になったことに安堵する。
「そんなに経験が多い方じゃないから上手じゃないと思うの、どうすればいいか教えてね」
ボディシャンプーを柏木の身体に直接ふりかけ、両手をブラシ代わりにして胸を擦り首や背中、脇腹を撫でまわす。
「立ち上がって縁に座ってくれる??このままじゃ、足やなんかを洗えない」
「無理しなくていいよ」
「こんな風にしたかったんだもん。妄想の世界に入り込むと勉強に集中できない……勉強に身が入らなくなったら責任を取ってくれる??」
沙希の反応を持て余す柏木は、わざとらしく口元を歪めて肩をすくめ、バスタブの縁に座る。
「ほんとうに頭にくる。魅力的なハダカンボを目の前にしても半立ちのまま、お店では私を誘うお客様が列をなしてるって言うのに。それに……アルバイトに文句は言わないけど、お客様に心を許すなって言う柏木さんの言葉を守っているのに」
ゴクッ……沙希は昂奮を隠そうともせずに唾を飲み、両足の膝下をざっと洗って太腿に手を這わせる。
太腿を洗い終えても手の平は腿を離れることなく撫で続ける。
「沙希、オレのモノに触れてごらん……そうだよ、手の平で包み込むように握りなさい。温かいだろう……擦ってごらん、もう少し優しく。気持ちいいよ、沙希」
「いやっ、ハァハァッ、大きくなってきた……すごいっ……ゴクッ、いいの??私の手の中で気持ち良くなってくれているの??」
「そうだよ、沙希が上手だから気持ちよくなって昂奮しているんだよ」
「教えて??どうすればいいの??」
「手の平にチンチンを乗っけて、反対の手でタマタマを受けるようしてゆっくり動かしてごらん……そうだよ、沙希は上手だな。こんな事ばかり勉強しているんじゃないだろうな??」
「どうかしら……スゴイッ、何もしてないのにチンチンがピクピクしてる」
「チンチンの先っぽを舐めてごらん……クゥッ~、たまんない、気持ちいいよ。次は歯を立てないようにして口の中に……そうだよ、ゆっくりでいい……沙希の口の中は温かいからオレは気持ちいいけど、沙希も気持ちよくならなきゃダメだよ。苦しくなったらすぐに吐き出していいからね」
カップ焼きそば 3/3
ウグッウグッ、フグフグッ……手をペニスの付け根に添えて顔を前後する。
「上手だよ。沙希も気持ちよくなってくれよ、セックスは二人で気持ちよくなるのが大切なんだよ……よし、おいで」
両脇に手を差し入れて抱き起した柏木は唇を重ねて濃厚なキスをする。
沙希の唾液と自らの先走り汁が混じり合った滑りを舐め取り、舌を侵入させて歯茎や上顎に舌を這わせる。
「ハァハァッ……どうしていいか分かんない、気持ち良くてフワフワする、私の身体じゃないみたい」
「よし、今度はオレが沙希の身体をきれいにしてあげる」
股間や乳房を隠すことを許さずに立たせた沙希の身体は要所要所に柏木好みのムッチリ感があり、店で見る印象と違っていたことに目を見張る。
泡だらけにした身体の股間と胸の膨らみを残して足指から首まで手の平を這わせ、乳房に手を伸ばすとブルッと震える。
「私の身体は変じゃない??他の人と比べたことがないから自信がないの」
「お店ではデートの申し込みに客が列をなしているんだろう??可愛いよ、自信を持っていい。オレの保証じゃ信じられないかもしれないけどな」
「信じる、柏木さんだから信じる……ハァハァッ、苦しい、心臓がバクバクしている。そこは恥ずかしくて我慢できない、自分で洗いたい……」
「ダメだよ。風呂から出たらベッドに寝かせてアソコもココも舐めたり吸ったりして、沙希のマンチャンが嬉し涙を流すまで許さないよ」
「いやっ、そんな事を言わないで……ハァハァッ、苦しい。それより、アソコもココもって何処なの??まさか……違うよね、いやんっ、ハァハァッ」
「沙希の考えていることは分からないよ。楽しみにしていなさい……、オレは先に出るから、きれいに洗ってくるんだよ」
下腹部を打つほど昂奮したペニスを沙希に見せつけるようにして身体を拭いた柏木はバスルームを後にし、後ろ姿を見送った沙希は、
「自信たっぷりで嫌な男……他のお客様のように私に媚びたり威張ったりしない。いつでもマイペース……そんなところが好きなんだけど、ウフフッ。ココをきれいにして、念のため後ろも、いやんッ」
昂奮する自分を冗談めかした独り言で冷ましながら股間と背後に指を伸ばす。
クリスマスのビンゴ大会で当たったクロエの香水をつけようかと一瞬迷ったものの、無理に大人ぶるよりも普段のままの自分でいようと心に決めて、この日のために用意したピンクのブラとショーツを着ける。
ふんだんに使った刺繍は華美になることなく清楚な雰囲気を保ち、ハーフバックショーツが優しく包んでくれる身体を柏木が気に入ってくれるかと気にかかる。
よしっ……パシッ……沙希は自らを励ますように声を出し、両手で頬を叩いてパジャマ代わりの半袖Tシャツと短パンを着けてバスルームを出る。
短パンから伸びる白くて張りのある太腿は風呂上がりのせいもあって微かに朱に染まり、艶めかしさにゴクッと唾を飲む。
「眩しい、沙希には驚かされるばかりだよ。夜のアルバイトが勉強の邪魔にならないかと心配していたけど、この部屋を見る限りそんな心配はなさそうだし……オッパイもカッコいいし、腰や腿のムッチリ感はそそる。抱きたくなるよ」
「私にも飲ませて」
床に座って水割りを飲む柏木に声をかけると両手を広げて招き寄せ、腿を跨いで座らせる。
「恥ずかしいから少し酔いたい、飲ませて」
カラカラッ……グラスを傾けて水割りを口に含むと氷が音を立て、これからの時間を後悔する事はないかと二人に問いかける。
ゴクッ……沙希の背中に手を回して口移しで水割りを流し込むと薄く作ったはずなのに目元をポッと朱に染めて目を閉じる。
「美味しい。優しくしてね……息をするのが苦しいの、横になりたい」
お姫様抱っこでベッドに運んだ沙希を横たえ、苦し気に息をする唇にキスをしてそっと舌を侵入させると飲んだばかりのウィスキーの香りが残っている。
ウッウゥッ~、ハァハァ~……動きがなく、されるがまま堪えていた舌がおずおずと動き始めて手は柏木の腕と背中を擦る。
柏木の手は腰を擦り、脇腹を撫でて胸の膨らみに手を添える。
ウッ……「大丈夫だよ、力を抜いて。息を吐いてごらん……そう、それでいいよ」
「ごめんなさい、こんな風にして欲しかったの。緊張してるのかぁ、なんか震えているみたい……私の、自分の事なのに分からない」
目を閉じなさい……うん、これでいいの??……沙希のオッパイを見ちゃうぞ。
半袖のために剥き出しの腕に指を這わせ、沙希が目を開けようとすると、目を開けちゃダメと柏木の声がかかる。
柏木の指が腕を這った後に鳥肌が立ち、それは全身に広がっていく。
「くすぐったいような、気持ちが好いような……オッパイを触られたらもっと善くなるかも……アンッ、恥ずかしい。太っているなんて言っちゃ嫌だよ」
Tシャツの裾に指をかけると、アンッと声を漏らして身体をくねらせる。
脱がせたシャツを顔に被せて視線を遮り、有無を言わさずパンツも脱がせてピンクの下着姿にする。
「沙希の白い肌に優しくて可憐なピンクの下着がよく似合っているよ」
指先がピンクのブラジャーの縁をなぞり、大きすぎることなく小さくもなくオレ好みだよと話しながら腹部に移動して臍を一周する。
「くすぐったい……ハァハァッ、なんか昂奮する。特別の事をされてないのに身体の芯が熱くなってくる」
ショーツの縁をなぞり、内腿を刷いて鼠径部を撫で上がると、両足がフルフルと震え、ハァハァッと息を漏らして鼻孔が開き、口は閉じることがなくなる。
内腿や鼠径部、ショーツの縁を撫でていた指が会陰部を擦ると何を言われたわけでもないのに両足を開いて愛撫を催促するようになる。そのまま割れ目の中心に沿って撫でると、指の後を追うようにして染みが出来る。
「焦らしちゃ嫌……何だか分からないけど叫びそうになっちゃう。私の気持ちを鎮めて」
親指を除く四本の指で割れ目を覆うようにして手の平の付け根を下腹部から恥丘に押し当て、体温を伝える意識を込めて圧迫する。
「アンッ、ウッウゥッ~……気持ちいいけど、続けられるとお漏らししそう」
ビチャビチャッ、柏木の舌は音を立ててショーツ越しに割れ目を舐め、手は腿を撫でて尻を揉む。
ウッウッ、イヤッ……ショーツは滲み出た花蜜と柏木の唾液で濡れそぼち、左手の甲で間断なく喘ぎ声を漏らし始めた口を抑え、右手はシーツを掴んで眉間に皺を寄せる。
沙希の胸の内にあるドロドロとした思いが肌を通じて伝わってくる。
若さを象徴する肌の張りがしっとりと滑りを帯びたようで、可憐な少女が成熟した女性に変貌する直前の輝きを放ち、喘ぎ声は声を殺した忍び泣きにも似る。
「ウッウッ、いぃ、そこ、アッアァァ~、いやっ、気持ちいぃ、もう、ダメ……いれて、我慢できない」
あっけなく昇りつめた沙希はハァハァッと荒い息を漏らして柏木が股間に押し当てたティッシュを挟んだまま、はにかんで頬を朱に染める。
「今の沙希は可憐な少女だけど、近い将来には好い女になるだろうな」
「ほんとう??また会ってくれるでしょう。エッチしてもらったけど、これはデートじゃないからね……ウフフッ」
「沙希がイヤじゃなければ、好い女に成長するのを確かめたい。次は背中やオッパイを舐めて足や腕を擦り、全身を愛撫攻撃で感じる処を探り当てたい」
「ウフフッ、私は柏木さんに育ててもらって好い女になるんだね、嬉しい」
チョコレート焼きそばを美味そうな表情で食べた褒美としては十分に満足できる。
近寄りがたいほどの好い女になる日を見ることが出来るだろうかと眩しそうに沙希を見る。
<<おしまい>>