土曜日 露出-2
抱きしめていた彩から離れてジャケットと白い肌の境目をなぞると、アァッ~と長く尾を引く喘ぎ声を漏らし、乳房を擦り先端を摘まんでギュッと捻ると、ヒィッ~、気持ちいいぃ、もっと……と、艶めかし声が健志の耳をくすぐり下着の中のオトコが苦しいと抗議する。
チノパンの中に手を入れた健志はまとわりつく下着からペニスを解放して外に出さないものの楽な位置に置く。
ただ一つだけでスカートを守るボタンを指先で突いたり摘まんだりを繰り返し、今にも外すようなそぶりに堪えられなくなった彩は、
「ボタンを外さないで、お願い。目隠しされて何も見えないから怖い。足の震えが止まらないの、膝がガクガクして立っているのが辛い」
彩に近付き、これから起こる事を想像して楽しそうに頬を緩めて息を吹きかける。
「アンッ、いやっ……いつ人が通るかもしれない処で遊ばれるなんて、健志がこんな男だと分かっていたら……」
「分かっていたら、どうした??今更だけどオレの事を嫌いになるのか??」
「こんな事をされても好き……ほんとうは、こんな事をされたら、もっと好きになっちゃうよ……いいの??何度も言ったでしょう、健志に会う時は彩に変身している。彩は淫らな享楽に耽る奔放な女に憧れているの」
満面に笑みを浮かべて頬に手を添え、
「そうだと思っていたよ。彩の身体の奥で眠っている奔放さを解放する手助けができるといいな」
「彩はどんな事をされるの??どんな事をさせられるの??」
「そうだなぁ、感度を確かめながら考えようか??」
口を窄めて胸の膨らみの先端に息を吹きかけ、ウッと艶めかしい吐息を漏らすと、臍の周囲を吹きかけながら一回りして最後に窪みを舌先でつつく。
「ウッ、だめっ、健志に与えられる刺激を待ち遠しく思い始めている……やっぱり彩は変なのかな??」
「十人十色、色んな人がいるから新しい出会いが楽しみだし、みんな同じじゃ面白くないよ。彩に合えて良かったよ」
臍の窪みに吹きかける息は下腹部に移り、恥毛一本も守るモノのない割れ目を道端で健志の目に曝しているのだと思うとアソコがジュンと潤みを増して動悸が激しくなる。
「ねぇ、何をしているの??彩の事を見ているんでしょう??いやらしい彩の事を見ているんでしょう??いいよ、息を吹きかけても」
ヴィ~ンヴィ~ン……予期せぬバイブの振動で腰を落とし、唇を噛んで堪える彩は、
「ウッウッ、クゥッ~、ダメ、そんな事を急に……アァ~ン、いや、気持ちいいの」
先端が張り出した大振りなバイブに膣壁を押し広げられる圧迫感で股間への意識から逃れることが出来ず、鈍痛とも快感とも区別のつかない感覚でいる処に振動を加えられると、性感の発達した彩だけに一瞬にして色欲の情に支配される。
「彩、すごいよ……バイブの隙間から蜜がダラダラ滴り出てくる」
ニヤッ、笑みを浮かべた健志は上半身を隠す位置に戻ったジャケットを開いて下腹部を擦り、徐々に力を込めていく。
「えっ、嫌、やめて……そんなところを押されたたら、だめっ、漏れちゃう」
「帰るまで我慢するのは可哀そうだから出しちゃうか」
後ろ手に縛った手首はそのままにして柵に繋いだ拘束を解き、背後から抱きしめた彩の乳房を揉み耳元で、車から見えるようにもう少し前に進もうかと囁く。
「ハァハァッ……そんな恥ずかしいことは出来ない、許して」
「そうか、奔放で淫らな女に成長するのはゆっくりで仕方ないか。わかったよ」
乳房を擦っていた手が乳首を摘まんで転がし、ゆっくり引っ張ると表情が歪み、そのまま捻ると、グゥッ~と声が漏れて歯を食いしばって堪える。
胸の谷間から鳩尾を撫で下りて臍の縁をなぞり、下腹部を撫でる。
左右の手の平が剥き出しの下腹部を這い回り、温かく感じ始めたタイミングでゆっくりと押し込んでいく。
「彩、ウェストの括れと腰から太腿へのムッチリ感がたまらない魅力だけど、白い肌はねっとりと手の平に吸い付いて離れがたい魅力がある……彩は言ったよね。AV撮影を見学したらスカウトされたって、違ったっけ??」
「違わないけど、彩にそんな気はない。どこの誰とも知らない人がスケベな彩のセックスや縛られたりするのを見て昂奮のあまり独りエッチするのは想像するだけでドキドキするけど、愛を感じない人に抱かれてエッチな気分になるかどうか自信がないもん」
「会員制バーの営業時間後、客がエッチな気分になって自由恋愛で激しいセックスを楽しむ姿を見てオレに跨っただろ。何人かの男やレズに興味のあるママが物欲しげに彩を見ていたのを気付いたろ??」
「SMショークラブに独りで行って下着姿で縛られることもした。健志が上手に誘導してくれたら健志以外の男に抱かれちゃうかもしれない」
「オレの目の前で抱かれるのを見るのは辛いけど、彩が望むなら一緒にいるよ」
「うん。今はまだ、そこまでしたいのかどうか分からない。ゆっくり確かめながら歩くのに付き合ってくれる??……いやんっ、ダメ、そこを押されたら漏れちゃう、我慢できない……」
彩との会話に頬を緩め、肌を這う健志の手の平を吸いこまんばかりにネットリと接する感触に昂奮する気持ちを抑えて股間に伸ばした手でバイブを抜き取る。
ズボッ……ジュルッ……アウッ、いやんっ……音を立てて抜き取られたバイブが堰となって押しとどめていた蜜は溢れ出て太腿に滴り、その感触に彩は腰を引いて両足を蠢かす。
健志の手は容赦することなく下腹部を押し、ついに彩は屈服の声を漏らす。
「アウッ、クゥッ~……ダメ、出ちゃう。我慢できない、いぃの??漏れちゃうよ??笑っちゃ嫌だよ……ヒィッ~……アァ~、恥ずかしい。見ないで、音も聞かないで耳を抑えて」
シャァ~シャァッ~……いやぁ~、目を閉じて、見ちゃ嫌っ……ビシャビシャッ……健志は両手の親指を恥丘に添えて残る指で割れ目を開き、両膝で彩の膝の裏を突いて排尿が彩の身体に掛からないようにする。
いつ果てるともなく放尿は続き、目隠しをされたままの彩には確かめる術がないものの、歩道の植え込みのそばに跡が広がっていく。
「彩、しばらく腰を突き出してガニ股のまま立ってるんだよ。自分のモノでもオシッコでムッチリアンヨを汚したくないだろ」
放尿の後始末をした健志は手首の拘束を解き、ガクガクと両足を震わせる彩を抱きしめて、
「見ているだけで昂奮したよ……可愛い」
両頬を挟んで唇を重ね、スカートを捲り上げて剥き出しにした尻を擦り、両足の間に右足をこじ入れて股間に押し付ける。
「ハァハァッ……健志といると彩の心の奥に棲みついていた悪魔の声が耳元で囁くの。彩はもっと奔放で淫らな女だろって……」
土曜日 露出-1
「健志でしょう??……違うの??……ごめんなさい、これ、これは違うんです」
目の前にいるはずの男は彩の問いかけに応えることもなく、手を伸ばして肌に触れることもない。
健志なら股間に埋めたリモコンバイブのスイッチを入れるだろうと思うと、目の前にいるはずの男が誰なのかと恐怖で足がすくむ。
微風は頬をくすぐり、下腿を撫でるだけで心地良く感じる事もあったが、突風がフロントボタンの一番上を留めただけのデニムスカートを捲って股間を丸見えにして、デニムジャケットも風のせいで裏返ったまま、元に戻る事はなく乳房は曝け出しているはずだ。
真っ赤なショーツで目を覆われてハンカチで固定されていては確認することも出来ないが、しどけない姿を晒していることが秘めた快感を刺激する悦びと不安や恐怖の間をシーソーのように行ったり来たりする。
風が吹いて乳房をくすぐられると先端が固くしこり、剥き出しの下半身を風がなぞると恥丘や大陰唇の辺りが引きつるような感じになり意識が子宮に集中していく。
健志はどこにいるのだろうと思うものの、通りすがりかもしれない男の視線が舐めるように見つめているのを感じ、下着姿で縛られた姿を晒したSMショークラブでの身体の芯が熱くなるような得も言われぬ快感が蘇る。
「ハァハァッ、誰だか分からない人に見られるなんて……昂奮するけど恥ずかしい……私には大切な人がいるから触らないで下さい。見られるだけなら我慢します」
彩の言葉を分かったとでも言うように、わざとらしく衣擦れの音と足音を立てて近付いてくる。
「お願い、なにか、何でもいいから言って、声を聞かせて……怖いの」
哀願にも似た声も無視して無言を貫く男への恐怖で、健志の戻ってきたよの声を聞けない事を疑問に思う余裕もなくす。
「ふぅ~、きれいだ。あんたのような好い女をこんな風に素っ裸同然で道路に置きっぱなし、帰った後は好き放題に抱くんだろうな……羨ましいよ」
マスクでもしているのだろう不自然に押し殺した囁き声が彩を追い詰め、とどめを刺すように近付いた謎の男は手を伸ばして頬を擦り、髪を撫でる。
「えっ??……ウフフッ、やっぱり……健志だ、間違いない。声を変えても、頬や髪を撫でる手の平の感触や動きは変わらない……怖かったんだから、キスして、安心させて欲しいの」
髪を擦っていた手をハンカチの結び目に伸ばすと、
「もう少し、このままで……ねっ、漏らしちゃいそうなほど昂奮しちゃった。彩はやっぱりエッチで奔放な女」
「オレの知らない、昼間の彩がどれほど清楚で上品な女性なのか益々興味をそそられる」
左手で髪を撫でて首に添え、顔を近付けて鳥が餌をついばむように唇を離したりくっ付けたりを繰り返して徐々に濃密なキスになり、唇の内と外を交互に舌先が這い回り甘噛みする。
両手を遣えない彩は変幻自在に動く健志に翻弄されるばかりで、されるがまま快感を受け入れてフグフグッと喘ぎ声を漏らし、縛られた両手の自由を取り戻そうと身体を捻る。
「可愛いよ、彩。可哀そうな彩、両手が自由にならないんだね……オレじゃなく、通りがかりの人に悪戯されるかもしれないと思ったとき昂奮した??」
「正直に言うと、少し。ほんの少し、一瞬だけど夜の誰もいない場所で悪戯されたら、どんなになっちゃうんだろうって思っちゃった……怒んないで、こんな恰好で置いていった健志が悪いんだよ」
「許さないよ、オレ以外の男に悪戯されて身悶える彩を見たくないよ……ごめんなさいと言うまで両手を自由にしないし剥き出しの肌も立ち止まる人がいれば見せちゃうよ」
「絶対に謝らない。こんな恰好で縛りつけた健志が悪いんだもん。彩は悪くない、彩がエッチだって事を知っていたでしょう??」
どれほど彩がエッチなのか確かめようと言った、その時、ジョギングする小気味いい足音が近付いてくる。
ジャケットとスカートをはだけたままにして小柄な彩を抱きしめた健志は頬を寄せて、
「彩、動かないで。スケベなカップルがホテルにも行かないで、こんな所でイチャイチャしてって思われた方が好いだろう??それともオッパイやパイパンマンコを見てもらいたいか??」
「いや、見られたくない。健志だけでいいの、彩は健志のお嫁さんでしょう??」
「そうだよ。夜の彩、エッチな気分になった時の彩はオレのお嫁さんだよ。オレだけのモノだよ」
ブチュブチュッ、ヌチャヌチャ。小柄な彩を抱きしめてランナーから彩のしどけない姿を隠して濃厚なキスをする。
大きくなる足音に彩の心臓は早鐘を打ち、気持ち悪くなるほどの昂奮をする。
足音が停まり、立ち止まって二人を見ているように感じた、その時、キスをする健志が振り返り、
「ごめんなさい。あなたが走る邪魔をする積りはないんだけど、ついムラムラしちゃって」
「いいえ、私の方こそ,ごめんなさい。気にしないで続けてください、失礼します」
足音を響かせて女性が去っていく。
「ねぇ、いなくなったの??誰もいないよね??」
「あぁ、いないよ。びっくりした様子もなく走り去ったよ。ハダカンボに近い彩の姿を見せてあげたら、びっくりしただろうけどね」
「ハァハァッ……よかった、足音が聞こえた時はびっくりしてどうしていいか分からずパニックになりそうだったよ」
健志の唇が再び彩に重ねられ、乳房をヤワヤワと揉み、アァッ~、たまんないと身悶えると手は下腹部へ這い下りて恥丘を擦り、挿入されたままのバイブをクイクイッ押し込んで内腿を撫でる。
「見られたいんだろう彩は、恥ずかしい姿を見られるかもしれないと思うと昂奮するんだろう??グチャグチャ、ベトベトに蜜が流れ出てるよ」
「そんな事を言わないで……健志といる時の彩は昼間の清純な女じゃないの、セックスに飢えたケダモノなの。そんな彩が好きなんでしょう??」
「あぁ、そうだよ。オレのお嫁さんの彩は男も女も誰でもが抱きたいと思うほどエッチでスケベな女だよ」
「そうなの、彩はスケベでエッチ。セックスに貪欲なの健志から離れなくなるほど可愛がって欲しいの……」
土曜日 放置
目隠しで視覚を奪われた彩は周囲の様子を聴覚で探ろうとする。
シャァ~シャァッ~……シャァッ~……途切れることなく聞こえるのは幹線道路を走る車の音で、それに混じって時々はっきり聞こえるのは目の前を走る車の音だろう。
昼間ならともかく歩道を歩く人のいなくなった時刻に、車の中から奥まった場所にいる彩に気付く人はいないだろうと思うと気が楽になる。
デニムスカートの前ボタンは一番上だけを残してすべて外され、わずかに身じろぎするだけでも股間が丸見えになると思うと動くことも出来ない。
家を出る時に着ていたセーターは脱がされて健志のデニムジャケットを着せられている。元々小柄な彩はマリンスポーツを好むので上半身が発達しているとはいえ、健志のジャケットは十分なサイズがあり、ボタンを嵌めなくても身動きしなければ乳房まで露わになるはずがないと思うけど、今はベルトで後ろ手に縛られて植え込みの柵に繋がれているため、ほんの少し動くだけで下腹部や乳房が剥き出しになりそうで不安になる。
そんな彩の気持ちを分かっているはずの健志はジャケットの前を開いて臍の周囲を指先でなぞり、乳房の先端を口に含んでコリコリと転がす。
身体全体の雰囲気や乳房のボリュームに比して色素沈着が薄くて小振りな乳輪と乳首は、昼間の清楚で上品な人妻であることを想像させて健志の知るエロイ雰囲気を漂わす彩とのギャップに口元を緩める。
「清楚で上品な人妻を窺わせる雰囲気もあるけど、やっぱりエロイなぁ彩は」
「エロいって言われるのは嬉しいけど、この場所でこんな恰好の時に言われると彩のエッチな気持ちが止まらなくなっちゃう……ハァハァッ、昂奮が止まらない。ねぇ、誰もいないよね。健志だけの彩だよね??」
「誰もいないよ、彩はオレだけのモノ。オレ以外の他人が彩を見て昂奮して触れようとしたらブッチメテやる」
「ほんとう??彩を守ってくれるの??それともヤキモチなの??」
「どうだろうな、オレにも分からない……自慢のこの身体を見てくれる人がいないのは残念だろうけど我慢してくれよ。オレはヤキモチ焼きだから……昂奮して喉が渇いたようだから何か買ってくるから待ってなよ。チョイト手前に自動販売機があったからね」
「嫌、だめ、行かないで、彩を独りにしないで。喉なんか乾いてないから大丈夫」
「独りじゃ寂しいか、そうだな……友達を残してあげるよ」
「えっ、なに、何なの??ウッ、うぐっ、きつい……リモコンバイブで嬲られるの??」
「嬲るんじゃないよ、少しの間とは言え、彩を独りにするのは申し訳ないから友達を置いていくよ」
ヴィ~ンヴィ~ン……「クゥッ~、こんな事って」……予期した刺激に身体の芯を揺すぶられ、しどけない姿でいる事を忘れて身悶えてしまう。
「ヒィッ~、いやぁ~ン。絶対に独りにしないで、誰か来たらどうすればいいの??」
ヴィ~ンヴィ~ン……コツコツ、コツコツッ……バイブは振動を継続して靴音は遠ざかり、健志の息遣いも感じられないし近くにいるような気配もなくなった。
「ハァハァッ、だめっ。早く帰ってきて……アァ~ン、怖いの、震えが止まらない」
恐怖と不安で身体を震わせるだけではなく、自ら漏らす独り言に被虐心を募らせて息を弾ませる。
ヴィ~ンヴィ~ン……ウッウッ、いやぁ~、ダメ……股間に与えられる振動は止むことがなく、こんな処でと思えば思うほど身体の火照りと疼きが彩を苛む。
目隠しされた頬をくすぐる微風さえも愛撫に感じられ、恐怖と期待を持て余す自分自身の性感の鋭さを持て余す。
ヴィ~ン…………バイブの振動が止む。リモコンの有効距離を超えたのだろうか……健志が離れてからどれくらいの時間が経過したのだろう??
30秒、違う、もっと長い、1分、あるいは2分……分からない。
一人残される不安とバイブの刺激に酔いしれて時間の感覚が正常に働いていない。
ガシャ~ン……ヒィッ~……うふふっ、フゥッ~……遠くに聞こえる車の走る音に混じって突然聞こえた金属音に悲鳴を上げた彩は、健志が自動販売機で飲物を買った音だと気付いて安堵の息を吐く。
自動販売機での買い物が終わったのなら健志はすぐに戻ってくるはず。
そう思うと不安と期待がないまぜになって気持ちが不安定になり、小さな刺激にも気持ちが大きく反応する。
ヒュゥ~、ザワザワ……突然、木々の枝が悲鳴を上げるほどの風が吹き、スカートとジャケットは彩の身体を守る事を放棄する。
ヒィッ~、ダメッ、いやぁ~……自然と下着を着けていない無毛の股間や乳房をさらけ出す恐怖と、声を聞かれる不安で押し殺した悲鳴を上げる。
強い風でスカートは捲れたまま元に戻る事はなく、ジャケットも一部が裏返って目隠しのため確かめることは出来ないものの肌の彼方此方を風が撫でるのを感じる。
アンッ、ウッウゥ~……頬を微風が撫でるだけでも気持ちいいと感じた彩だけに乳房を刷き、先端をくすぐられては堪えることもなく、こんな状況でも甘い吐息を漏らしてしまう。
ジョギング中のカップル以外、人っ子一人すれ違うこともなかったことを思い出した彩は目隠しと後ろ手に縛られた両手を柵に固定されていることにも、昔から心の隅に隠してきた卑猥な思いをあからさまにする好い機会だと身体の奥底に隠れていた悪魔の囁きを聞く。
再び心臓が早鐘を打ち、振動で刺激することもなく股間に埋め込まれたままのバイブを物足りなく思い両足を閉じて擦り合わせる。
バイブは動くことなく、自動販売機での買い物を終えたはずの健志がどこにいるかさえ分からない。
コツコツッ……規則正しく歩く靴音が近付いてくる。
姿を見ることは出来ないものの健志が戻ってきたと思うと安堵の気持ちで強張っていた筋肉が緩み、肩や腰から力が抜ける。
コツコツッ……足音は途絶え直ぐ近くで立ち止まった気がするものの健志の声が聞こえない。
「健志……健志でしょう??」
コツコツッ……男が一人、目の前に立っている。
「健志でしょう??……違うの??……ごめんなさいこれ、これは違うんです」
幸子の愛
風俗嬢に馴染んだ私に結婚式の招待状は正直嬉しくない。
休日で大安と日柄も良い今日は、ホテルの宴会場の廊下は幸せな顔で満ち溢れている。
陽光の下、今の仕事に就く前の友人の晴れやかな表情を前にして幸せを祝うのは辛いと思うこともある。
理由を言い繕って出席しないと色々噂話をされているんじゃないかと気になり落ち着かないからしょうがなく出席する。
今日は昼間の仕事時代の友人の結婚式に招かれた。
今、住んでいるマンションは気に入っているけど、引越しをして古い友人の住所録から私の名前を消し去りたいと思う。
「本日はおめでとうございます。お招きいただきましてありがとうございます」
型通りに受付で挨拶を済ませ、ひっそりと片隅に佇み開宴を待つ。
机を並べて仕事をしていた懐かしい顔もあるが、今の仕事など知られたくない話題になることは判っているのでなるべく顔を合わせたくない。
「あれっ、由美ちゃん。今日はどうしたの??」
「あっ、柏木さん……柏木さんこそどうしたのですか??」
「新郎は学生時代からの友人なんだよ。由美ちゃんは??」
「新婦は昔、私が昼間の仕事をしていた時の同僚なの」
「ふ~ん……偶然ってあるんだね、由美ちゃんに会うとは思いもしなかったよ」
「そうですね。私も柏木さんに会うとは夢にも思わなかったです」
「ところで、披露宴が終わった後なにか予定はあるの??」
「いいえ、何もないですよ。今日は仕事もオヤスミを貰ったし」
「そう、じゃ時間くれないかな。話したい事もあるし」
「わかりました」
他人の幸せを素直に祝福できなくなりつつあった私に披露宴は退屈な時間だった。
当然のことながら古い友人たちと同じテーブルに座り、近況の話になると言葉を濁すのにも限界があり、この場を離れるのをひたすら待つ時間はやっぱり欠席すればよかったと後悔する。
今日の新婦のように晴れやかな幸福を味わう場に立つことは諦めていたけど、柏木さんに会うとは思ってもいなかった。
この後、どんなことを言われるのかと思うと不安で落ち着かない。
お客様としての柏木さんとは身体の相性も良く、営業用の対応ではなく気持ちを解き放ちすべてを委ねて真の快感を味わっていた。
私の身体を労ってくれるし他のお客様のように自分勝手に満足することもなく、仕事を通じての関係とは言え密かに恋愛感情を抱いていた。
夢の中に柏木さんは何度も出てきた。
身体の関係があると言っても仕事を通じての事であり、お金を頂戴する事を拒否したいと何度も思ったことがある。
片想いの相手とは夢の中で理想の恋愛をすることが出来る。
恋の字の心は下にあるから下心、愛の字では真ん中にあるから真心と言った人がいる。
私は柏木さんを愛している。柏木さんへの想いに下心はない。
私は夜の世界で生きている。朝日が憎い、朝日と共に夢はシャボン玉のように儚く消えてしまう
片想いなのはしょうが無い。
今の仕事を選んだのは私だし、この仕事をしていなければ柏木さんと会うこともなかった。
自分の感情を正直にぶつけることのできない切なさで枕を涙で濡らすこともあった。
それも今日まで、柏木さんの話を聞き、別れた後はすっぱり忘れよう。
「ごめんね。無理言って」
「いいえ。柏木さんは私にとって大切なお客様だから、お誘いいただいたのは嬉しかったです」
嬉しいと言いながら自然と表情が強張るのを意識する。
「客だから会ってくれたの??」
「はい……いいえ、柏木さんだから、お客様としてではなく大切な人だから、嬉しかったです」
精一杯、笑顔を作ろうとしても顔が引きつって強張りが消えることがない。
そんな私を心配する様子もなく、にこやかに話し続ける柏木さんが憎い。
「良かった……オレはもう店に行くのを止めようと思う」
「そうですよね……風俗嬢とお客様が今日のようなハレの場で会うのは良くないですよね。今までありがとうございました」
「そうじゃないよ。由美ちゃんが嫌じゃなかったらオレと付き合ってくれないかな??」
「えっ……質の悪い冗談を言わないでください」
「そんな風に聞こえるのか、オレは真面目なんだけどな。客としてではなく恋人として……いや、最初は友達としてでもいいから付き合ってください」
「……うそ……そんな冗談を口にすると私は本気にしますよ」
「直ぐでなくてもいいから、今の仕事を止めてオレのお嫁さんになって欲しい」
「……いいの??」
「由美ちゃんをお嫁さんにしたい。返事は今でなくてもいいよ……この言葉を伝えるのに時間がかかったんだから、待つことは平気だよ」
「ありがとうございます。考えることなど何もないです。私でよければお嫁さんにしてください。私は柏木さんが好きです」
「ありがとう。今日、逢えてよかった」
「私の秘密を聞いてください。由美は源氏名でほんとはサチコと言います。幸せの子と書いて幸子」
<<おしまい>>
土曜日 妄想から現実へ
気持ちいい……高校生だったあの日からこんな風にしたいと思っていた。山や草原、川もいいな。生まれたままの姿でこの身体を自然にゆだねて何の制約も受けずに自由を感じる。
憧れるのは海……空のスカイブルーと、どこまでも続くマリンブルーが遥か彼方で混じり合う。
水着は必要ない。魚の群れに混じって海と空の境を目指して泳いでいく。
イルカが遊ぼうって誘ってくれれば竜宮城を目指して潜るのもいいな。
気が付くと彩の周りはイルカだけじゃなく、人魚やサメもいるし、名前も知らない魚たちが一緒に泳いでいる。
息をするために海面に戻って顔を上げると、カモメが頭上で弧を描く。
プカリと浮かんで空を見上げると真っ青な空に浮かぶ白い雲が、
「彩、海もいいけど空もいいよ。遊びにおいでよ」と誘ってくれるの。
セーターを胸まで捲り上げたまま数歩進み、振り返ってクルリと一回りする。
彩の様子はいかにも楽し気で、時々見せていた羞恥心を感じさせることがなく、現実とも夢ともつかない話をする。
「ねぇ、そんな彩を想像してみて……景色が目に浮かんだ??」
「心のキャンパスに自然の中で戯れる絵を描いたよ。山とは言えないけど、木陰でハダカンボの彩を見た。海や草原、自然の中の彩は洋服のような人工物を身に着けずに生まれたままの姿がしっくり馴染む。自然が彩を受け入れて一体になる。彩が言葉にした恥ずかしい姿を見られたい願望って言うのは、自然の一部となってあるがままの自分でいる時間を大切にしたいって言うことと同じ意味じゃないかな」
「う~ん、そうかもしれない。人の間で生きるって事は常識や道徳感などで自分を正直に表現できない事もあるから……うん、そうかもしれない。今は、そうだと断定できないけどね」
健志はニヤリと笑みを浮かべてデニムスカートを差し出し、受け取った彩は、
「ボタンは??」
「一つだけ……セーターを脱いでこれを着なさい」
デニムスカートを着けて一つだけボタンを嵌めた彩は周囲を見回し、誰もいない事を確かめて一気にセーターを脱いで健志から受け取ったデニムジャケットを羽織り、ボタンを嵌めようとする。
「ダメだろう。スカートはスースーしているんだから、ジャケットもヒラヒラしとかなきゃバランスが悪いよ」
「ハァハァッ、いやっ、恥ずかしいのに昂奮する……アソコが渇く暇もないほどなの、触ってもいいよ。確かめたいでしょう??」
割と高い植樹帯の奥まったところに移動して柵を背にして彩を立たせると、小柄ということもあって腰から下は植え込みで隠れ、少しくらいは大胆に振舞っても歩道を歩く人や走り去る車から見えることはなさそうに思える。
「アンッ、こんな処でと思えば思うほど息をするのも苦しくなる。彩よりもエッチでスケベな女を知ってる??」
「彩よりもスケベな人など想像もできないよ。夜とは言え通りを歩きながら白くてムッチリの肌を晒して知らない人に見られかもしれないと思いながらマンコ汁を滴らせる人をオレは知らない」
街路灯の下でジャケットの前を大きく開いて夜目にも白いムッチリとした肌を剥き出しにする。
「きれいだ……大理石のようなしっとりした滑感が触れる手を吸いこまれそうに感じるし、街路灯に照らされてゾクッとするほど美しい」
健志の手は言葉通り肌の感触に酔うようにウェストの括れや成熟した女性らしい柔らかみを感じさせる下腹部を撫で、胸の膨らみの大きさを確かめるように手の平で包み込む。
「ハァハァッ……嫌な触り方、気に入ってくれた??」
「彩の身体は見るだけで満足できる。芸術的とも言えるけどエロさも兼ね備えて、抱きたくなるし苛めたくもなる」
「アンッ、彩はⅯッコなの、優しいだけじゃ物足りない女なの……こんな処で理不尽な事をされるのも嫌じゃない」
「ウッ、いやン、感じちゃう……オッパイの先端をそんな風にされたら、いぃの」
膨らみの麓を掬うように鷲掴みして乳輪を舌先でグルリとなぞり、舌で下品にベロリと舐めて先端を甘噛みする。
クゥッ~……甘噛みしたまま先端を舌先で叩き、顔を左右に振る。
イヤッ、やめて……止めてと言う彩の手は健志の頭に添えて胸に押し付ける。
健志が力を込めて抗えば押し付けられた頭と顔の自由を取り戻す事は出来るだろうに、そうはせずに甘噛みした歯に力を込めていく。
「ウッ、クゥッ~、噛むなんて……苛められるのもスキ。こんな処でオッパイを丸見えにされてスカートの裾を気にしていないとアソコも丸見えになっちゃう」
頭を押さえつけた手から力が抜けると抱き寄せられて唇を奪われ、残る手で乳房を揉まれて先端を摘ままれる。
「甘噛みと摘まむのとどっちが気持ちいい??」
「両方スキ、彩は我がままで欲張りなの。痛痒いのも好いし、優しく愛撫されるのもいい……今は、Mっ気を刺激さるのが好いかも……恥ずかしい」
「彩、匂いや湿り気があっても我慢してくれよ」
えっ、なに??……意味が分からず健志の顔を見つめるばかりの彩の目はポケットから取り出した真っ赤なショーツで覆われ、ハンカチで留めて目隠しにされる。
嫌という暇もなく健志はベルトを外し、彩の両手を背後で縛って植え込みの柵に繋ぎとめてしまう。
顔を振っても目隠しが外れる事はなく、両手を擦り合わせたり身体をひねったりしてもベルトの拘束が緩むことも外れることもない。
「怖い、目隠しを外して……お願い、ダメッ、いやっ、震えが止まらない」
哀願する声が震え、後ろ手に縛ったために隠しようもなく曝け出した乳房の先端は堅くしこり、震える両足を擦り合わせて無毛の股間を隠そうとする。
接していた身体を離して後ろ手に柵に繋いだ彩を見つめる健志は、周囲に他人の気配や通りを走る車の途絶えたことに安堵して息を吐く……フゥッ~
「彩が話してくれた海でスッポンポンの景色も見たいけど、今の彩もいいよ。幹線道路を離れているから通る車はまばらだし、歩く人はジョギングのカップル以外はいない。街路灯の柔らかな灯りが彩の身体を照らして存在を際立たせる。見惚れるばかりだよ」
「怖いの。人通りのない夜の通りとは言え、いつだれが通るかもしれないし車が停まるかもしれない」
「正直にならないとダメだよ。そんな不安も彩には前戯と同じだろう??違うって言える??」
「そんな事を言われても答えられない……」
人差し指を伸ばした健志は爪の先で乳房の先端をつつき、彩がヒィッ~と声を漏らすと頬を緩めて、乳房の谷間から撫で下りて臍の周囲をクルリと一蹴して下腹部を刷く。
「クゥッ~、気持ちいぃ。見たこともないエロ虫が性感帯を求めて彩の身体を這っているみたい……イヤッ、こんな事って。こんな処で……」