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彩―隠し事 64

土曜日 放置     

目隠しで視覚を奪われた彩は周囲の様子を聴覚で探ろうとする。
シャァ~シャァッ~……シャァッ~……途切れることなく聞こえるのは幹線道路を走る車の音で、それに混じって時々はっきり聞こえるのは目の前を走る車の音だろう。
昼間ならともかく歩道を歩く人のいなくなった時刻に、車の中から奥まった場所にいる彩に気付く人はいないだろうと思うと気が楽になる。
デニムスカートの前ボタンは一番上だけを残してすべて外され、わずかに身じろぎするだけでも股間が丸見えになると思うと動くことも出来ない。
家を出る時に着ていたセーターは脱がされて健志のデニムジャケットを着せられている。元々小柄な彩はマリンスポーツを好むので上半身が発達しているとはいえ、健志のジャケットは十分なサイズがあり、ボタンを嵌めなくても身動きしなければ乳房まで露わになるはずがないと思うけど、今はベルトで後ろ手に縛られて植え込みの柵に繋がれているため、ほんの少し動くだけで下腹部や乳房が剥き出しになりそうで不安になる。

そんな彩の気持ちを分かっているはずの健志はジャケットの前を開いて臍の周囲を指先でなぞり、乳房の先端を口に含んでコリコリと転がす。
身体全体の雰囲気や乳房のボリュームに比して色素沈着が薄くて小振りな乳輪と乳首は、昼間の清楚で上品な人妻であることを想像させて健志の知るエロイ雰囲気を漂わす彩とのギャップに口元を緩める。
「清楚で上品な人妻を窺わせる雰囲気もあるけど、やっぱりエロイなぁ彩は」
「エロいって言われるのは嬉しいけど、この場所でこんな恰好の時に言われると彩のエッチな気持ちが止まらなくなっちゃう……ハァハァッ、昂奮が止まらない。ねぇ、誰もいないよね。健志だけの彩だよね??」
「誰もいないよ、彩はオレだけのモノ。オレ以外の他人が彩を見て昂奮して触れようとしたらブッチメテやる」
「ほんとう??彩を守ってくれるの??それともヤキモチなの??」
「どうだろうな、オレにも分からない……自慢のこの身体を見てくれる人がいないのは残念だろうけど我慢してくれよ。オレはヤキモチ焼きだから……昂奮して喉が渇いたようだから何か買ってくるから待ってなよ。チョイト手前に自動販売機があったからね」
「嫌、だめ、行かないで、彩を独りにしないで。喉なんか乾いてないから大丈夫」
「独りじゃ寂しいか、そうだな……友達を残してあげるよ」

「えっ、なに、何なの??ウッ、うぐっ、きつい……リモコンバイブで嬲られるの??」
「嬲るんじゃないよ、少しの間とは言え、彩を独りにするのは申し訳ないから友達を置いていくよ」
ヴィ~ンヴィ~ン……「クゥッ~、こんな事って」……予期した刺激に身体の芯を揺すぶられ、しどけない姿でいる事を忘れて身悶えてしまう。
「ヒィッ~、いやぁ~ン。絶対に独りにしないで、誰か来たらどうすればいいの??」

ヴィ~ンヴィ~ン……コツコツ、コツコツッ……バイブは振動を継続して靴音は遠ざかり、健志の息遣いも感じられないし近くにいるような気配もなくなった。
「ハァハァッ、だめっ。早く帰ってきて……アァ~ン、怖いの、震えが止まらない」
恐怖と不安で身体を震わせるだけではなく、自ら漏らす独り言に被虐心を募らせて息を弾ませる。
ヴィ~ンヴィ~ン……ウッウッ、いやぁ~、ダメ……股間に与えられる振動は止むことがなく、こんな処でと思えば思うほど身体の火照りと疼きが彩を苛む。
目隠しされた頬をくすぐる微風さえも愛撫に感じられ、恐怖と期待を持て余す自分自身の性感の鋭さを持て余す。

ヴィ~ン…………バイブの振動が止む。リモコンの有効距離を超えたのだろうか……健志が離れてからどれくらいの時間が経過したのだろう??
30秒、違う、もっと長い、1分、あるいは2分……分からない。
一人残される不安とバイブの刺激に酔いしれて時間の感覚が正常に働いていない。

ガシャ~ン……ヒィッ~……うふふっ、フゥッ~……遠くに聞こえる車の走る音に混じって突然聞こえた金属音に悲鳴を上げた彩は、健志が自動販売機で飲物を買った音だと気付いて安堵の息を吐く。
自動販売機での買い物が終わったのなら健志はすぐに戻ってくるはず。
そう思うと不安と期待がないまぜになって気持ちが不安定になり、小さな刺激にも気持ちが大きく反応する。

ヒュゥ~、ザワザワ……突然、木々の枝が悲鳴を上げるほどの風が吹き、スカートとジャケットは彩の身体を守る事を放棄する。
ヒィッ~、ダメッ、いやぁ~……自然と下着を着けていない無毛の股間や乳房をさらけ出す恐怖と、声を聞かれる不安で押し殺した悲鳴を上げる。
強い風でスカートは捲れたまま元に戻る事はなく、ジャケットも一部が裏返って目隠しのため確かめることは出来ないものの肌の彼方此方を風が撫でるのを感じる。
アンッ、ウッウゥ~……頬を微風が撫でるだけでも気持ちいいと感じた彩だけに乳房を刷き、先端をくすぐられては堪えることもなく、こんな状況でも甘い吐息を漏らしてしまう。

ジョギング中のカップル以外、人っ子一人すれ違うこともなかったことを思い出した彩は目隠しと後ろ手に縛られた両手を柵に固定されていることにも、昔から心の隅に隠してきた卑猥な思いをあからさまにする好い機会だと身体の奥底に隠れていた悪魔の囁きを聞く。
再び心臓が早鐘を打ち、振動で刺激することもなく股間に埋め込まれたままのバイブを物足りなく思い両足を閉じて擦り合わせる。
バイブは動くことなく、自動販売機での買い物を終えたはずの健志がどこにいるかさえ分からない。

コツコツッ……規則正しく歩く靴音が近付いてくる。
姿を見ることは出来ないものの健志が戻ってきたと思うと安堵の気持ちで強張っていた筋肉が緩み、肩や腰から力が抜ける。
コツコツッ……足音は途絶え直ぐ近くで立ち止まった気がするものの健志の声が聞こえない。
「健志……健志でしょう??」
コツコツッ……男が一人、目の前に立っている。
「健志でしょう??……違うの??……ごめんなさいこれ、これは違うんです」

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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

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さむいのも嫌
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