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彩―隠し事 62

土曜日  放胆    

ランニングウェアのカップルは彩と健志に気付いた様子もなく、深呼吸をして両足のこりを解すようにマッサージしながら、
「フゥッ~、気持ちいい。ジョギングを終えた雅之さんが、あまりに気持ち良さそうだったから一緒に走らせてもらったんだよね。私のペースに合わせてスロージョギングから始めてくれたけど、いまだに走るペースを上げられなくて、ごめんね」
「俺の方こそ、ありがとうってお礼を言うよ。競技参加を目標としているわけじゃないからタイムはどうでもいいんだよ。君と走る事が楽しみになった……こんな時になんだけど、俺と一緒になってくれないか。結婚してほしい」
「えっ、なに、プロポーズ……なの??」
「うん、だめかなぁ??バツイチだし、歳も15も上だしさ……ごめん、忘れてくれよ」
「どうして??忘れたりしない、今日は一生忘れない日になったよ。小学生の頃から近所のお兄ちゃんの雅之さんに片思いしていたの。歳も離れていて挨拶は出来てもそれ以上の会話をするチャンスがなかったけど、ジョギングを終えて家に入るあなたに思い切って声をかけたんだよ」
「そうなんだ??知らなかったよ」
「ウフフッ、夢のよう……雅之さんが結婚するって聞いた時は泣いたんだよ、どうして15年待ってくれないんだって」
「15年??意味が判らないよ」
「15年後に私が雅之さんに追いつくから歳の差がなくなるって思った。15年経てば雅之さんも15年先に進んでいるんだけどね……フフフッ」
「可愛いな、承諾してくれたと思ってもいいのかな??……ほんと??良かった。今日ってわけにもいかないから一週間後、ご挨拶に伺ってもいいかな??」
「うん、お願いします。うちの両親には今日、話しとくね。私が雅之さんを好きな事を知っているからプロポーズされたって言えば喜んでくれると思う……ねぇ、キスして」

下着を穿かずにセーターだけを身に着けてかろうじて股間の露出を避け、足を伸ばして腰を下ろした健志を跨ぐ彩は、ジョギングで空き地に入ってきたカップルが休憩のために深呼吸して楽しそうに会話を始めた時はどうなるかと不安に思ったものの、思わぬ成り行きに不安を忘れて呆気にとられる。
それはカップルも同じで、キスを終えて落ち着いた二人は彩たちに気付いて身体を硬直させる。
「えっ……あっ、そこにずっといたんですか??私が彼女にプロポーズするのを見られていたんですね。ハハハッ、証人になっていただくわけにもいきませんが失礼しました」
「いえ、お二人の貴重な瞬間に立ち会わせていただいてありがとうございます。ちょっと、事情があって立ち上がってご挨拶することが出来ませんがお許しください」
「あぁ、ハハハッ、そのようですね。お邪魔をしないように早々に立ち去ります。ごゆっくり、お楽しみください」

爽やかな風とともに現れた二人は、気持ちのいい空気を残して走り去った。
「彼の言葉は、そういうこと??」
「多分、そうだろうな。彩とオレはセーターで結合部を隠していると思ったんだろうな」
「やっぱり……パンツは穿いてないけど繋がってないのに、ウフフッ、急に現れたから、びっくりしたけどドキドキしなかったのはどうしてだろう??」
「それは彩が言う、普段は人見知りするけどスイッチが入ると自分でもびっくりするほど大胆な事をすることがあるって言ったことじゃないの??」
「ブラジャーもパンツも穿かないでセーターだけを着けて、灯りに照らされることを楽しんでいるってことなの??」
「そうとしか思えないよ。SMショークラブでブラジャーを外されたり、会員制バーのエロナイトイベントでオレ以外の男に抱かれることを夢見たり……案外と彩はそんな事に憧れているんじゃないか??まぁ、憧れる事と現実は常に同じである必要はないけどね。それに彩はオレだけの彩でいて欲しいけどね」
「ここじゃ落ち着かないし帰ろうよ、抱いて欲しい……本当につながりたい」

立ち上がった彩はセーターの裾を引っ張り、
「このまま歩いたら見えちゃうかな??」
「どうかな、彩が普通に歩けば見えないだろうと思うけど、ムッチリ太腿のほとんどを見せて歩くから目を引くし見るなって言う方がムリだから、どこまで自然に振舞えるかだな」
「震えて歩けなくなるまで、このまま歩いてみたい。だめっ??」
「平日は清楚で上品な人妻が週末には彩という名の女性に変身して、今はまだ蛹だけど性に奔放かつ淫らで華麗な蝶に変身する日を待っている。成虫になるためには隠された欲求を一つずつ消化するのも好いだろうね。彩が艶やかな蝶になるのを近くで見ていたい」
「ウフフッ、すごい買い被り。彩はエロ女神じゃないよ。普通にエッチな女、性癖を素直に表現できないお堅い女なの」
彩の欲求は普通の女性よりも深いよという言葉は口にせず、ポケットの中のショーツとブラジャーを握りしめて、そこはかとなく感じる温もりに口元を緩め、股間から抜き取ったままのリモコンバイブの滑りをこれ見よがしに伸ばした舌で舐め取る。
「いやらしい、彩のアソコに入っていたものだから、クチュクチュ舐められているようでズキズキする……いやぁ~ン、感じちゃう」
表情は悦びで満たされているというより顰め面にしか見えず、苦笑いを浮かべた健志は、
「彩の表情を見るとセックスで嘘を吐けない女性だと安心できるよ」
「そんなに酷い表情だった??」
「感じるって言うより、苦痛で表情が歪んでいるとしか見えなかった。オレがヘタだと今のような表情になるのかなと思ったよ」
「ウフフッ、パートナーの女性が美しくなるのも歪んだ表情になるのも男次第。彩は健志によって変わる……ほんとだよ。最近、主人とても笑えなかったもん、健志といると何をしても楽しい」

健志の持つ縄やアナルグッズなどのオモチャが入った袋を奪い取りように手にした彩は不審気な表情に応えて、こんな風にも使えるでしょうと股間の前にぶら下げる。
週末とは言え住宅街の20時過ぎということで人通りは少なく、もしもすれ違う人がいれば見えそうになる股間を紙袋で隠す準備をして歩き始める。
前にも後ろにも車道を挟んだ歩道にも歩く人の姿は見えず、車道を走る車のヘッドライトだけが行き交う。
セーターだけを身に着ける彩は他人の視線を気にする必要のない事に慣れて大胆に振舞い始める。

紙袋を持ったまま両手を左右に開いて身体を回転させる。
勢いをつけて身体を捩るとセーターの裾がなびき、無毛の股間が健志の瞳を刺激する。
「気持ちいい。多摩川緑地公園で木陰に隠れたり、ここで植木と建物の間に姿を隠してハダカンボになるより、セーターを着ていても、両手を大きく開く今の方が気持ちいい」
「紙袋はオレが持つよ」
一台の車が走り去ると、その車に向かってセーターをたくし上げ、白い乳房を剥き出しにする。
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ちっち

Author:ちっち
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