2ntブログ

偶然 -6

ホテル-朝

ベッドで戯れて身体と気持ちを満足させた二人はシャワーで汗を流し、窓際のソファで二本目のワインを開ける。
ソファに座る貴志の両足の間で床に座り込んだ麻美は逞しい太腿の感触に安心感を抱き大阪の街の夜景に見入る。
駅前の高層ビルから洩れる整然とした灯りで気持ちが穏やかになり、阪急、阪神、曽根崎警察署前の交差点を行き来する車に感じる大阪のダイナミズムが貴志との未来を期待させてくれる。

「ハーフボトルのワインって二人で飲むには丁度いいね」
「そうだね。二人が一杯ずつ飲んで気持ちを昂らせて三杯目は身体に垂らしたりイロエロ楽しめる。ボトルは前戯の一部でディルドの代わりにもなるし」
「酷い言いかた。丹精込めてワインを作った人が怒るよ」
「一本目はセックスに誘うけど二本目のハーフボトルは人生を語らせる」
「これは二本目だけど人生を語るの??」
「当然だよ。今日はこれで寝るとして明日をどう生きるか、それが問題だ」
「そうだね、それは私も同感。私たちはどうするの??まさか、何もナシで解散とは言わないでしょう??ねぇ、どうなの??」

太腿に手を置いて振り返った麻美は本音を聞き出そうとして視線を逸らすことがない。
「……明日の夜までに帰ればいいんだろう??」
「うん、貴志が夜まで一緒にいたいとお願いすれば付き合ってあげるよ」
「麻美の明日を欲しい。麻美といられるなら大阪でも何処でもいい……帰りは羽田に車を置いてあるから、まずオレの家を教える。その後で麻美の家の近く、指定する場所まで送る。明後日以降の選択権は麻美が持つ、オレは麻美が決めたことに従うと約束する」
「私が貴志に連絡しなければ行きずりの関係で終わりってことなの??……自信家なのか、私の魅力不足なのか考えちゃう」
「オレといることで麻美が幸せだって感じてくれると嬉しいけど、幸せじゃないと思う麻美を見たくないからね」
「ふ~ん、そうなんだ。憶えとく……だけど、勘違いでなければ私の幸せは貴志の幸せと重なるはずだよ、違うの??」
「麻美……」
「な~に??」
「ここへおいで。麻美の顔を見たい」
「どうしたの??私のハダカンボを見たし、舐めたり揉んだりしたでしょう??」
こぼれんばかりの笑顔で見つめて小首を傾げる麻美の仕草に貴志は頬を赤らめてドキドキが止まらなくなる。
「どうしたの??顔が赤いよ、熱があるんじゃない??ウフフッ、フフフッ、幸せ」

背後から抱きしめて麻美の髪に顔を埋めて息を吸い込んだ貴志は、
「好い匂いがする」
「クククッ、シャンプーの匂い??それともトリートメント??」
「いやな女だなぁ、それでも嫌いになれない……眠くなったから寝ようか」
「貴志に抱かれて可愛い女になれるって信じていたのに、嫌な女のまま。ウソ吐き」
嘘吐きという言葉に棘がなく、楽しんでいるように聞こえる。
「可愛いな、麻美は……言っただろ、オレにとっての好い女は我がままな女でもあるって。麻美はイヤな女だけど好い女だよ」
「貴志はイヤな男……私を抱っこしてベッドに運びたいと思っているでしょう、違う??」

「そうだよ、麻美はオレの考えていることを何でも分かるんだな」
「惚れた男の事は何でも分かるの、貴志を逃がさない。可愛い女にするって約束を果たしてくれるまで離れてあげない」
寝かせた麻美にシーツを掛けて腕枕した貴志は、
「わがままな麻美にお仕置きをしなきゃいけないな」
「お仕置きされちゃうの??何をされるのか不安でドキドキする」
「おやすみ……麻美には腕枕だけで何もしないのが一番のお仕置きだろう」
「どうしようかな、腕枕されたままオナニーをしちゃおうかな……えっ、嘘でしょう。本当に寝ちゃったの??」
ス~スゥ~と落ち着いた息は眠ったとしか思えず、貴志の顔を覗き込んだ麻美は呆れたような顔をして次の瞬間には幸せそうに笑みを浮かべる。
腕枕をする貴志の腕を戻してシーツを掛け直し、静かに唇を合わせて身体を接するように仰向けになり目を閉じる。
眠ろうと意識すればするほど目が冴えて貴志の寝顔を見つめると自分だけが昂奮するのがバカバカしくなり、深呼吸して目を閉じるといつの間にか夢の中の住人になっていた。


夜景を楽しみながらスパークリングワインを飲み、そのままベッドに入ったためにカーテンを開け放ったままの窓から陽光が入り込んで麻美の顔を優しくくすぐる。
身体を起こした麻美が窓外に目を向けると、あちこちのビルの窓に反射してキラキラ輝き乱反射する。
目を眇めてこの街の朝の景色と気持ちの好い一日の始まりに頬を緩めた麻美が貴志に視線を向けても目覚める気配がない。

貴志と出会った食堂の町で育ち、たまたま帰省した実家から今住んでいる国立に戻ろうとしたときに母に引き留められて予定より遅くなって電車に乗り遅れた。
母のせいで一便遅れ、それがまた遅延したために伊丹空港で羽田行に乗り継ぐことが出来なくなった時は呪いたくなったが、貴志の寝顔を見ていると神様と母に感謝の言葉、ありがとうと呟く。
ウフフッ……誰に見られることなく微笑んだ麻美はシーツに潜り、ナイトウェアの裾をまくって半立ちの股間に、不満の言葉を漏らす。
「つまんない、朝立ちしてない……フフフッ、大きくなぁ~れ」
ペニスに指を添えておまじないをするように上下に擦った麻美はパクッと口に含む。
口に唾液を溜めて舌を絡ませるとペニスは口の中でムクムク育ち、シーツの中で頬を緩ませた麻美は顔を上下する。
ジュルジュル、ニュルニュルッ……口の中で勃起するペニスに愛おしさを覚えてフェラチオは熱を帯びる。

「おはよう。気持ちいいけど許してくれないかなぁ」
「ウフフッ、気付いた??だって、可愛いんだもん。半立ちのチンチンが私の口の中でズンズンって大きくなるんだよ。愛おしくなっちゃう」
「おいで、可愛いお顔を見せてくれよ」
プファッ~……口元を拭こうともせずにシーツを剥いで姿を現した麻美を抱きかかえ、舌先で汚れを拭いながら挨拶代わりのキスをする。
「アンッ、おはようのキスで元気を注入してもらった。貴志の先走り汁も混じっているかもしれないよ」
「かまうものか」
「ねぇ、私の提案を聞いてもらえる??」
「もちろんだよ」
「昨日、羽田から貴志の家を教えてもらって私の家の近くまで送ってくれるって言ったでしょう。そうじゃなく、私ンチで明日の通勤着を用意して貴志の家に泊まるってダメかなぁ??」
「オレはその方が嬉しいけど、いいのか??」
「住所を見ると貴志ンチの方が会社に近いしね……そうだ、これからは雨っぷりの日は泊まっちゃおうかな、ダメ??」
「それも嬉しいな。益々麻美との距離が縮まるような気がする」
「好い事を教えてあげようか……男と女が本当に理解し合うのに大切なのは言葉じゃなくセックス。そうでしょう??」

嫣然と微笑む麻美は貴志に覆いかぶさり唇を重ねる。
濃厚なキスをしながら偶然の重なりに思いを巡らし、二人の幸せな明日に思いを馳せる。
食堂で会ったこと、飛行機の座席が隣席だったこと、飛行機が遅れて羽田まで帰れなくなったこと、今の住まいが2㎞程しか離れていないこと、貴志がツインルームのシングルユースだったこと、一つ一つは何でもない偶然でも積み重なると神様に導かれた必然としか思えない。
窓から侵入した陽光に包まれてつながり、幸せな明日を与えてくれた偶然に感謝する。


<<< おしまい >>>

初恋 -1/2

想い出 

「いらっしゃい。いつ帰ってきた??」
「金曜の夜」
「顔を出してくれないから帰ってこないのかと思っていた」
「色々忙しくて来られなかったんです」
「そうか……」
大型連休の最中とあって閑散としたカウンターに座った男にバーテンダーは親し気な軽口をたたく。
コトッ……オーダーを確かめることなくライムを添えたジントニックが男の前に置かれ、それを絞った男は美味そうに飲む。
「ジンとトニックウォーターにこだわりはないし、ライムは生でもジュースでも良いと言うのはジントニックに失礼かもしれないけど、先輩のジントニックは特別です。いつ飲んでも本当に美味いと思います」
「ありがとう……いらっしゃいませ。どうぞ、お好きな席に」
微かな香水の香りと共に女性客が入ってきた。
カウンターの男は新しい客に目もくれずバックバーを見ながらグラスに手を伸ばす。

「カクテルは詳しくないのですがワインベースで何かお勧めのものを頂けますか??」
「スパークリングワインでもよろしいですか??」
「はい、結構です」
バーテンダーとやり取りする声が気になる様子の男はチラリと女性客を盗み見て驚いた表情になる。
「こんにちは、3年ぶりですね」
男の驚いた表情とは違い、ニコッと微笑んで挨拶の言葉を口にする。
「えっ、うん、3年経ったんだ」
「なんだ、知り合いか??お客さまは初めてですよね??」
「はい、初めてです。この人は高校時代の友人でこの先でたまたま見かけたので跡をつけてここまで来ました」
「そうですか……」

「今日は待ち合わせなのか??」
「違うよ、独りで飲みたかっただけです」
「そうか、30分ほど買い物に行ってくるから二人で店番していてくれ……任せたよ」
バーテンダーは二人のぎくしゃくした様子を見て、いない方が好いだろうと察して女性客の前に紫がかった赤いカクテルのフルートグラスを置き、
「キールロワイヤルです。スパークリングワインとカシスリキュールのカクテルです……申し訳ないけど買い物に行ってくるので留守にします。店は閉めていくので30分ほど飲んでいてください」
二人の関係を知ろうともせずに女性客に声をかけ、男に頷いて見せたバーテンダーは店の照明を暗くして出ていく。
カチッ……シャッターこそ下ろさないものの鍵をかける音を聞くと残された二人の緊張が高まり静寂が店内を覆う。

「マスターは気を利かせてくれたようだけど、この店はよく来るの??」
「帰ってきたときは必ず来るよ。マスターは高校の4年先輩だよ」
「そうなんだ、私にとっても先輩になるんだね。ふ~ん」
女性客は店内を見回し、男の顔を見据えて視線を逸らすことがない。
堪えられなくなった男は目を伏せて、
「ご主人やお子様は元気ですか??」
「3年前もそうだったけど、その話し方は落ち着かない。私の想い出の中にいるタケの話し方が好いな……厚かましいお願いだって分かっているけど、ごめんなさい」
「緊張しているんだよ、ゴメン」
「そうなの??私の相手をするのに緊張するんだ、フ~ン……夫は単身赴任中で娘は友達を訪ねて長野県に行っているし、近くに住んでいる長男は家族旅行……寂しい独身生活。タケは??」
「オレはいつもと同じ実家生活。夜は友達と賑やかにやっているよ」
「相変わらずね、タケの事を色々耳に入れてくれる人がいるから……3年前は聞きたくても聞けなかったことだけど、質問を一つだけいいかな??」
「いいよ、答えられる範囲なら」
「……父の海外赴任に付いて行ったんだけど、もし私が日本に残っていればタケとの関係は今と違っていた可能性があった??」
「それは偶然会った3年前に頭を過った事だけど、正直に言うと分からない……30年前の事だろう、時間を戻すことができないからなぁ……」
「そうか、そうだよね……忘れていた積りだったけど、50歳近くなった頃から時々思い出すの、父に付いて行かなければ私の人生が変わっていたかなぁって……正直に言うと父も色々と考えちゃったみたい。タケの事じゃないよ、私は1年休学したでしょう、そんな事が良かったのかどうかって……母が亡くなって、父には負担をかけたから単身赴任で私の事で心配かけちゃいけないと思ったから付いて行ったんだけどね」
「お姉さんは結婚した後だったっけ??」
「そう、結婚して札幌に住んでいたの。大学が地元だったから姉の家に厄介になることが出来なかったからね」
「苦労したんだ、力になれなくてゴメン」
「そうだよ、タケにはそばにいてほしかった……私だけ帰国して復学。中学が同じで家も近くの岡田君からタケが学生結婚したって聞かされたの。岡田君とは今でも会うんでしょう??」
「昨日も一緒に飲んだし、明日はウチに来ることになっている」

「奥さんとは結婚前提で付き合っていたの??」
「……正直に言うと、将来を考えていたわけじゃない。突然、子供が出来たって聞かされたんだよ。その時はややこしいことを考えないで結婚しようって言った記憶がある」
「タケらしいと言えるけど、岡田君に結婚してるって聞かされた時は目の前が真っ暗、父の勤める会社を呪いそうになった……ウフフッ、でも今は幸せ。夫が単身赴任って言うのが癪だけどね。私の幸せを奪う単身赴任」
「一緒に行けばよかったのに」
「そうすると、今、この時間は存在しない……タケはその方が良かった??私って面倒な女??」
「困らせるなよ。ゴメン」
「謝ってばかり……高校3年生の冬休み、英語の先生の家に行ったのを覚えている??」
「憶えているよ。マコの担任だったよな。気が付いたら夜11時過ぎ、遅くなったことを気にした先生がマコの父親に電話して謝るから、オレに家まで送って行けって言った」
「そう、歩いて帰ったら12時。父が、タケの家は遠いから泊って行けばいいよって言ったんだよね」
「そうだった……はっきり覚えていないけど、お父さんに遅くなったことを詫びて逃げるようにして帰った記憶がある。そのお父さんも亡くなっちゃったんだよな」
「うん……タケが葬式に来てくれたのに会えなかった。後で芳名帳を見て知ったの、どうして声をかけてくれなかったんだろうって、奥様を気にしてなの??いい、返事は必要ない……で、あの日、タケが帰った後、父がお前から聞いていたより真面目な子だなって言ったのを思い出した。ウフフッ……あの時、引き留めて一緒の部屋で寝ればどうなっていただろうって、気になるなぁ」
「どうにもならないさ、自慢じゃないけどオレは経験してなかったからな」
「それも、岡田君から卒業した年の5月か6月に聞いた。女性経験がないからって福原の、そういう店に行ってやり方を教わったらしいって……本当なの??」
「本当だよ、マコとエッチするために受験勉強そっちのけで福原のソープに行ったよ。そのお陰で無事マコに童貞を捧げることが出来た」
「ひどい話、童貞はソープのお姉さんに捧げたんでしょう??私は二番目、結局はタケの一番目の女になれない運命だったんだ」

初恋 -2/2

秘かな告白

「高校2年の時、私がタケに電話をした……違うか、電話に出たのは妹さんだったでしょう。お兄ちゃん、女の人から電話って言うのが聞こえて、いないって言っといてというタケの声も聞こえた」
「ゴメン、それは忘れてくれてって頼んだだろう??」
「クククッ、忘れてあげない。頭にきたから次の日タケの教室に行って、どうして居留守を使ったって言って、許して欲しければデートに誘いなさいと言ったんだよね……二人は付き合っているのかって言う人がいたから、たぶん私の名前も知らないと思うって訳の分かんないことをしゃべっちゃった」
「忘れてくれよ、デートだ、好きな女子がどうだこうだっていう話に興味がなかったからしょうがないだろう。で、付き合ってくれって言わされた」
「女の子に興味がなかったタケは私が初恋の相手でしょう??違うの??」
「違わない、本当の事だよ」
「ウフフッ、よかった……私は初恋じゃなかったけど、可憐な乙女が女に目覚める切っ掛けになった。タケと付き合ったからだよ」
「オレは……いや、この先は言わない」

「初体験じゃないけど二度目のエッチを私とした後は女好きの血に目覚めたんでしょう??」
「それこそ酷い言われ方だなぁ」
「岡田君が色々教えてくれたし、トッコちゃんがタケの家に近いから色々な噂話をね……タケが結婚した後も私に未練が残っていたのを知っている人が少なくとも2人いたからしょうがないでしょう」
「岡田は出入り禁止で住所録から抹消処分だ……マコは今、幸せなんだろう??」
「幸せだよ。夫は真面目で優しいし二人の子供も夫に似て好い子に育っているしね」
「しっかり惚気てくれて気持ち好いな」

タケから視線を逸らせて正面のバックバーを見つめ、フゥッ~と息を吐いたマコは、
「……50年余り生きてきて、折に触れて思い出すのは17歳から21~22歳までの事。後悔じゃないけど別の人生もあったかなって」
「自惚れだと申し訳ないけど、オレもその中にいるのかなぁ??」
「タケが主役だよ。いい歳になったのに高校時代から22歳までの数年が頭から離れないの。夫にも時々言われるんだよ、忘れられない想い出があるんだろうって……タケにも忘れられない想い出ってある??」
「あるよ。時々思い出すのは想像やら妄想が混じって真実じゃなかったかもしれないけど、それでもいいか??」
「うん、聞きたい」

「30年位前の話だけど、豊島園に遊びに行って風船を買った女子がいたんだって……その日の夜、当時走っていた夜行急行の銀河に乗って終着の大阪駅まで。翌朝、阪急電車で自宅に帰ったんだけど18歳の可愛い女子が風船を持って電車に乗るのって恥ずかしかったって話、しかもその風船が1週間ほどで萎んじゃって見る影もなくなったんだって……」
「ふ~ん、大切な風船だったんだと思うよ。30数年経った今でも持っているかもしれないね、きっと持っているよ。他にもある??」
「そうだなぁ……高校生カップルがいて、二人の住む街から大阪と神戸の距離は変わらないんだけど遊びに行くには乗り換えのない大阪が便利。ある日、女子が4人連れで神戸三宮を歩いていたら、向こうからくる男子三人連れがいて、カップルの二人が示し合わせたんだろうと疑われたけど、それぞれのグループで三宮に行こうと決めたのはカップルの二人じゃなかったんだって、気が合うんだなぁってオチ。つまんないか??」
「そんなことない、想像だけど女子はすごく喜んだはず。二人だけのデートに変更して映画のフラッシュダンスを見たんだと思う……なんかスッキリした。ウフフッ、このカクテルなんて言ったっけ??」
「キールロワイヤル。白ワインとカシスリキュールのカクテルがキール。白ワインをシャンパンやスパークリングワインにすればキールロワイヤル……スパークリングワインのシュワシュワが好いだろう」

「私の事をすべて忘れたわけでもないんだ……すべての事が思い通りにならないのは神様が悪戯するからかなぁ??でも。モヤモヤが晴れたような気がする、ありがとう」
「3年前にも言ったと思うけど、大阪へ行こうとするとマコの家の近くを通るだろう、そのたびに記憶が蘇るんだよ、これからも忘れることはないよ」
「ウフフッ、ウジウジ悩んでいたのがバカバカしくなってきた……私が忘れられないのはウェディングドレスを見た時のこと……」
「阪急三番街だったよな。それを言われると冷や汗が出るよ」
「私がウェディングドレスを着るときは隣に誰がいるのかなぁって言ったんだよね。クククッ……マコって呼んで、ギュッと抱きしめてキスしてくれた。高校三年生だよ、それも童貞の男子が回りにいる人を気にすることなくね、すごく嬉しかった……そうか、その時だ、私が女に目覚めたのは。そうに違いない」

カチッ……解錠する音がして30分ほど買い物に出かけると言ったマスターが帰ってきた。
「ただいま。話は済んだか??もう一度、買い物に行ってこようか??」
「いえ、ありがとうございました。美味しいキールロワイヤルを飲みながら二人で想い出話をして胸のつかえが下りました。マスターのお陰です、本当にありがとうございました」
「それは良かった。お客様の表情が明るくなったような気がします。キールロワイヤルの効果でしょうか??」
「そうです、思い悩んでいたことが泡になってシュワシュワッと飛んでっちゃいました」
「バーテンダー冥利に尽きます。お代わりを作りますか??」
「いえ、今日はこれで帰ります。ごちそうさまでした……タケ、今度誘ってくれる??」
「えっ、あぁ、今度帰ってきたときに連絡するよ」
「じゃあ、電話番号を書いとくね」
電話番号をメモしたカードをタケに手渡し、
「楽しみにしている。もう一度、思い出話をしたいだけだから安心して」と、告げて席を立つ。

「お前の事だから約束は守るだろう……誘っても大丈夫なのか??」
「想像しているようなことはしないですよ。ご主人やお子様と幸せに暮らしているようだし、人のモノは欲しがらない質ですから」
「人のモノは欲しがらないか、理由は??」
「妻を取られたくないから人妻や誰かと付き合っている女子を誘わない、それだけです」
「分かり易くて納得できる。久しぶりに奥さんと来てくれよ、待っている」
「帰るまでに一度来ます……お代わりをください」

取り留めのない話をしながら二杯目のジントニックを飲み干したタケは、いつも通り三杯目はクラッシュアイスでガムシロ抜きのグリーンティーフィズをガリガリ齧りながら飲み干し、
「2.3日の内に妻と一緒に来ます。ごちそうさまでした」
店を出て空を見上げても曇り空が広がり月も星も見えない。
マコと会う日がたとえ闇夜になっても帰り路を迷うことはないだろうと自らの心の内を確かめる。


                                             <<< おわり >>>

男と女のお話

記憶 1/2

そぼ降る雨に通りを歩く人は傘を差し、傘を持たない人は肩をすぼめて早足になっている。
そんな人たちに紛れても意に介する様子もなく胸を張って歩く男は颯爽と歩いてくる女性を見つけて頬を緩める。
スプリングコートのポケットに片手を入れ、膝下を伸ばして歩く姿は凛として近寄りがたい魅力を備えている。
あと数歩という距離まで近付いた女性はにこやかに笑みを浮かべて真っすぐに男に向かって歩く。
あれっという表情の男が道を譲ろうとすると女性もその方向に進路を変えて、目の前で立ち止まる。
「ごめん……」
不快な表情をすることなく男が歩道の隅に立って進路を空けても女性は進もうとせず、またしても男の前に立ちふさがる。

「私の記憶にない人だと思うけど何か迷惑をかけましたか??」
「ほんとう??あの頃、女として侮辱されたと不満に思いましたよ。そのことをお忘れですか??」
「女性を侮辱した記憶はないし、あなたのように美しい人を忘れるはずがないし困ったな」
「ヒントを差し上げます……三杯目は少しだけ濃く作りますね」
何かに気付いた様子で女性の顔をまじまじと見つめる男は、
「あれっ、もしかすると、エリちゃん??そうなの??」
「そうです絵梨奈です。今は深雪ですけど、あの頃はお世話になりました」
「そうか、私が知っているのは源氏名で本当は深雪さんって言うんだ。知らぬこととはいえゴメンね」
「そんなことで謝らないでください、分からなくって当然です……そんな事より、私は一目見て柏木さんだと分かったのに、気付いてくれなかった。罰として夕食をご馳走してください、ダメですか??」
「えっ、ダメじゃないけど……困ったな」

「約束があるのなら諦めますが、念のため申し上げると私は付き合っている人はいないし、夫と呼ぶ人もいません……柏木さんは人のモノは何であれ欲しがらない、そう言ってましたよね??」
「分かった、気付かなかったお詫びにご馳走させてもらうよ。何が好い??」
「ウフフッ、やったぁ。2年以上前ですが、私が大学を卒業するから店を辞めるというと卒業祝いだと言って連れて行ってくれたお店があったでしょう。あの店はダメですか??」
「憶えているよ。高級感のある佇まいで庭も素晴らしく記念日などのイベントには重宝する懐石料理の店だったけど閉店しちゃったよ。エリちゃんじゃなかった、深雪さんが美味いと言って飲んだ系列のクラフトビールも止めちゃった」
「そうですか残念だなぁ……柏木さんにお任せします。今日は金曜日だから月曜の出勤まで時間はたっぷりあるし、食事の好き嫌いはありません。それと深雪さんじゃなく、ミユキと呼んでください。いいでしょう??」
「分かった。ミユキちゃん、雨を避けられる場所に移動しようよ」
「ウフフッ、やせ我慢は辛いですか??」
「雨だからって肩をすぼめて歩くのは雷さんに負けたようで癪だからね。ミユキちゃんも傘ナシで颯爽と歩く姿は凛として格好良かったよ」
「誰が見ているか分からないから精一杯虚勢を張っていました。柏木さんに会ったから、一応目的は達成です」

「ミユキちゃん、走るよ」
歩行者信号が青になると柏木は深雪の手を握って駆けだす。
横断歩道を渡り切った柏木は手を引いて傘の間をすり抜けて目の前のビルに入る。
ハンカチを取り出して頬に当て、髪を拭いて湿り気を吸い取ろうとする。
「ありがとう……優しくされたら惚れちゃうよ」
「えっ、おう……エレベーターに乗るよ」
「クククッ、照れている??赤くなっているよ」

八階で降りた二人は石畳風の入り口を入って居酒屋に入る。
金曜日とあって個室はすべて塞がっているため座敷席にする。
コートを脱いで優雅な仕草で座る深雪のスカートがずり上がり、白い太腿を目にする柏木の表情が一瞬変化する。
淫蕩な視線とは言えないものの成熟した女性として見られたと感じた深雪は満足し、窓から見える華やかな駅前の夜景と賑やかさに感嘆の声を漏らす。
「きれい。この街を8階から見るとこんな景色なんだ……卒業と就職で離れたこの街を懐かしく思って久しぶりに来たんだけど、柏木さんに会えるとは思ってもいなかった。私の記憶違いかなぁ??高い処が苦手だって聞いたような気がするけど、まさか2年や3年で克服できるとも思えないし……ウフフッ」
「ミユキちゃんを見ていれば高い処にいることは気にならない……暗いので高さを感じないから平気だよ」

白ワインで生ガキと焼ガキを堪能すると気持ちが一層解れて会話も弾む。
深雪が卒業旅行に行くと聞いた柏木が両替しないで持っていたユーロ紙幣をプレゼントし、お土産としてベルトを買ってきたことや希望通りに就職することが出来て充実した日々を送っていることなどを話した。
ワインを冷酒に替えて刺身や牛肉と野菜の朴葉焼きなど数種類と〆のお茶漬けを食べ終わると満面に笑みを浮かべた深雪は、まだ解放してあげないと酔った振りをする。
「帰れなくなっちゃうよ」
「いいの。今日はホテルに泊まるって決めたから、どこかで飲みたい。連れて行って……奥さんに怒られちゃう??」
絵梨奈の源氏名でキャバクラ勤めをしていた頃、毎回のように20時のオープン直後に来店し、延長1回で帰る柏木に規則正しいのはどうしてだと聞くと、エリちゃんに会いたいし妻に怒られたくないしと言ったのを思い出した。
「じゃぁ、宿泊するホテルのバーに行こうか。雨の中ウロウロしなくても好いし、そうしよう」

店を出ると柏木は買い物をするかと聞いて、深雪が必要ないと答えると5分ほど此処で待っていてと告げて雨の中を走りだす。
帰宅が遅くなることを奥さんに連絡するのを聞かれたくないのだろうと降る雨を見つめていると、お待ちどうさまと声をかけた柏木が傘を差して歩いてくる。
「傘を買ってきてくれたの??」
「そうだよ。二度も雨の中を走らせるわけにはいかないだろう」と、微笑む。
歩いて数分のホテルでフロントに向かう深雪は女性の飛び込み客である事を心配したが、柏木が何度も利用しているらしくて不都合なくチェックインすることが出来た。
「1人で宿泊するこの人を明朝迎えに来るつもりだけど、念のため現金でデポジットを入れときます」
「いつもご利用いただいていますから結構ですよ」
「もしも、来られなくなった時のためですから、預かってください」
部屋の鍵を受け取るとバーに向かう。

柏木はウィスキーの水割り、ミモザ色で甘口アルコール度数も高くないミモザを飲み終えた深雪はバラライカを飲み始める。
「ペースが早すぎるよ、大丈夫か??」
「いいの、久しぶりに懐かしい人にあったし気分は最高。今日はこのホテルに部屋を取っってもらったし酔っぱらっても介抱してくれる優しい人がいるしね……お代わりください」

歩くことも覚束なくなった深雪を部屋に送り、コートをハンガーに掛けてベッドに横たえた身体から上着を脱がせて、
「ミユキちゃん、このまま寝かせるわけにもいかないからスカートも脱がせるよ」
「ウ~ン……ここはどこなの、ベッドなの??苦しい、スカートもブラウスも脱がせて、早く……飲み過ぎちゃったみたい」
「脱がせるよ、動いちゃダメだよ」
スカートを脱がせ、ブラウスのボタンを外し始めると焦点のあっていなかった深雪の視線が柏木を見据えて淫蕩な光を宿したように思えたが、卑猥な感情が芽生えた自分の勘違いだろうと言葉にせずに言い聞かせる。
脱がせた上着やスカート、ブラウスもハンガーに掛けた柏木は、

朝食を一緒に摂れるように迎えに来るから待っていてくださいとメモを残し、深雪の額に唇を合わせて灯りを落として部屋を出る。

「なんだ、つまんない。抱いてほしかったのに……」
身体を起こした深雪が笑みを浮かべながら不敵な独り言を漏らしたことを柏木は知らない。
「シャワーを浴びてさっぱりしよう」
下着を脱いでハダカンボになった深雪はバスルームに向かう。

男と女のお話

記憶 2/2

バスタブを泡まみれにして下着とブラウスを洗いながら柏木を思い出す。
コートと上着を脱がされてベッドに横たえられ、ブラウスを脱がせてくれと頼んだ時の柏木の表情に一瞬とは言え卑猥な思いが宿ったことは間違いない。
それが証拠に部屋を出る寸前に額にキスをしてくれた。
部屋に酔っぱらった女性と二人きりでいる時にサヨウナラの挨拶代わりにキスをするだろうか、それに私の容姿は誰にも負けないというほど自惚れ屋でもないけど、それなりに好い女だという自負もある。
そんな私が酔っ払った振りをして何をされても受け入れる積りでいたのに……明日の朝は絶対に逃さない。
結婚している柏木さんを深追いする積りはないけど、キャバ嬢としてアルバイトをしていた時から一度は抱いてほしいと思っていた。
同伴を何度かしてもらって卒業が決まるとお祝いだと言って懐石料理を振舞ってくれたし卒業旅行に行くと話すと餞別もくれた。
お土産を渡すために連絡しても食事だけで、それ以上の事は何も求めず店にいる時と同じ爽やかな笑顔で別れを告げるだけだった。
紳士的な振る舞いで傷つく女がいることを分からないのだろうか……

下着とブラウスを洗い終えた深雪は一旦湯を抜いたバスタブに立ち、自らの全身に手を這わせてニコリと微笑む。
「なかなかのモノよ、深雪。あなたは好い女、自信を持ちなさい」
当時も容姿を含めてそれなりに自信を持っていたが、柏木には冗談も含めて一度も口説かれなかったことを癪に思っていた。
客として好意を持っていたが愛する対象ではないと思っていた。口説かれないことへの恨みも混じっていたかもしれない。
一度だけでもいいから抱いてほしい。
奥さんを愛していることは当時も今日も言葉の端々から感じられるのでそれ以上を望むものではない、一度だけでいい、どのお客さまよりも気になっていた柏木に抱かれたい。
偶然、出会った柏木であったが、もしかすると私の潜在意識が再会を望んでいたのかもしれないと思うと苦笑いが浮かぶ。

下着の替えを用意していなかったので素肌にナイトウェアを着けようと手に取ってみたが、鏡の中の自分を見て何も身に着けずに素っ裸のままベッドに入る。
目を閉じて眠ろうとすると、道を譲ろうとする柏木の前に立った時の怪訝な表情を思い出して自然と笑みが浮かぶ。
ウッウッ……無意識のうちに左手が乳房に伸びてヤワヤワと揉みしだき、右手が下腹部を撫で始める。
シーツに包まって閉じていた両足がしどけなく開いて右手が伸びるのを待っている。
「アンッ、いやっ、我慢できない」
柏木に抱かれることを期待している身体は久しぶりのオナニーを我慢できるわけもなく、右手が股間で蠢くと泥濘が生まれ、左手が胸の膨らみの先端を摘まんでコリコリクチュクチュ刺激すると股間の泥濘は涸れることのない泉のように花蜜が溢れ出る。
「ウッウッ、気持ちいい……」
目を閉じて股間を弄ると狂おしいほどの昂ぶりであっという間に昇り詰めてしまう。


目覚めた深雪は時刻を確かめてバスルームに向かう。
今朝の柏木に期待する就寝前の昂奮も久しぶりのオナニーで身体が満足すると安眠することが出来た。
全身を泡まみれにして卑猥な思いを封じ込め、スッキリした気分で薄化粧を施して髪を整えたタイミングでドアチャイムが鳴る。
期待と不安で動悸が激しくなったのを深呼吸で落ち着かせて初めてナイトウェアに袖を通して前は留めず、窓のカーテンを閉めてドアに向かう。

「おはようございます。本当に迎えに来てくれるか不安だったけど安心しました」
「おはよう……風流な恰好は嫌いじゃないけど目の毒だよ。前を留めてくれたら嬉しい」
「あら、どうして??私のオッパイじゃ満足できないの??」
「言葉は淑女、格好は娼婦。ミユキちゃんのような好い女がオッパイを見せつけて迎えてくれると勘違いしちゃうよ」

深雪の腰に手を回してドア近くの壁に押し付けてチュッチュと唇を合わせて直ぐに離れ、
「悪い子だ。ミユキちゃんが望んでいた仕事に就いたようだし、想像以上の好い女になっていたからお祝いを兼ねてドライブに誘おうかと思ったけど、その前にお仕置きをしなきゃいけないな」
「イヤンッ……そんなことを言われると立っているのも辛くなる。お仕置きをされるの??……怖いけど嬉しい」
深雪を抱き上げてベッドに運んだ柏木はカーテンを閉めてあるのを見て、
「ミユキちゃん、眠れたかい??」
「こんな風にしてもらおうと昂奮したけど、久しぶりにアレをしたら熟睡できた」
「悪戯されようとしてカーテンを引いてあるんだね。ミユキちゃんを観察させてもらうよ」

両足を垂らしてベッドに寝かされた深雪は両足の間に入り込んだ柏木の脚が膝を抑えるので閉じることは出来ず、両手を掴まれて抑えつけられると昂奮で息を荒げるばかりで逃げることも出来ない。
ハァハァッ……見つめる視線に羞恥を覚え、身体を捻ろうとしても叶わず、顔を背けて目を閉じる事しかできない。
柏木の唇が閉じた瞼にキスをして舌先が刷く感触に、ウッと艶めかし吐息を漏らして目を開ける。
「どうした??昨日は酔った振り、今日はオッパイとマン毛を見せつけて挑発した悪戯子猫ちゃんだろ……可愛いよ」
「いやっ、お店にいた時も昨日も私に欲情する気も見せなかった。こうするしかないでしょう??その気になってもらえないと惨めだけど……」
「学生だった当時はともかく、昨日のミユキちゃんは眩しくて必死に我慢していた。帰りがけに額にキスしたけど、それは許して欲しい」
「ウフフッ、額にキスして我慢してくれたの??今は我慢しちゃ嫌、もう大人の女だよ」
柏木が額にキスしたのは性的欲望を我慢するためだと想像したことが間違いではなかったと知る深雪は自信を取り戻す。

ナイトウェアを咥えて左右に大きく開き、オッパイも股間の茂みも露わに晒し、胸の膨らみの先端を口に含み、膝を抑えていた太腿を股間に押しつけて蠢かす。
「アンッ、そんな事をされたら……だめっ、気持ち善くなっちゃう」
掴んでいた手を離した柏木は羞恥に染まる深雪の頬に手を添え、
「子猫ちゃんの巡らした罠に嵌って我慢できなくなっちゃった」
深雪の唇に舌を這わせて甘噛みすると息が荒くなり、艶めかしい吐息が漏れて両手を柏木の背中に回して抱きしめる。

我慢の限界を迎えた柏木は壊れ物を扱うように優しく白い肌に唇を這わせて息を吹きかける。
「アウッ、いぃ、気持ちいい。抱いてほしいと思っていたけど、今は恥ずかしい」
「シィッ~、男と女は凸と凹。相性が良ければピタリとはまる。ミユキちゃんとオレの相性を確かめてみよう」
柏木の手が頬を撫でて唇を刷き、深雪がその指を噛もうとすると上手く避けて首から肩を経て脇腹を擦り、腰の肉付きを確かめるように撫でて内腿を擦る。
「イヤッ、そこは嫌。恥ずかしい……」
溢れ出る花蜜で股間は濡れそぼち、指先で拭い取った柏木は深雪の唇に押し付ける。
「イヤンッ、いじわるな人……美味しい」
「蜜の味は本当の深雪の姿。甘いだろう、好い女の証拠だよ」
「ハァハァッ、私のすべてを味わって、本当に好い女かどうか確かめて……クゥッ~」
深雪の表情は険しくなったり柔和になったりを繰り返し、昂ぶりと羞恥、貪欲な欲望と満足感の間を行ったり来たりして彷徨い続ける。

白い乳房を揉みしだき、先端を咥えて甘噛みしながら顔を振ると深雪は上半身を仰け反らせて白い喉を見せる。
両手で胸の膨らみと先端の突起を弄り続けると乳輪が膨らんで淡いピンク色だったのが濃くなりはっきりと勃起する。
鳩尾の辺りから下腹部まで一気に舐め下りて飾り毛を咥えてハムハムと引っ張り温かい息を吹きかける。
「ヒィッ~、いやんっ……」
柏木の髪の毛を掴んで腰をせり上げて顔を圧迫し、もっとと叫んで貪欲に愛撫を催促する。

グチュグチュ、ジュルジュルッ……涸れることなく滾々と花蜜を溢れさせる泉の源泉で舌や指が躍り始めると、深雪の両足は柏木の上半身に妖しく絡んで逃すまいとする。
「ダメ、欲しいの、入れて……凸と凹の相性を確かめて、早く、おねがい、我慢できないの」

「ヒィッ~、くる、来る。感じる、ようやくつながった……温かくて気持ちいい」
「オレもだ、深雪に包まれて気持ちいい」
花が美しく咲くのは虫を誘って、その仲介で受精するため。
女性が美しさと妖しい魅力を撒き散らすのは男を誘うため、二人のこれからは深雪の気持ちで決まる。
キャバ嬢を辞めて絵里奈から深雪に戻った時に携帯の番号は変えた。
バッグに入っているスマホに柏木の番号は残っている。


<< おしまい >>
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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