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彩―隠し事 217

栞 新たな一歩 -6

木曜、金曜と机を並べる栞に目立った変化はなく仕事に支障を来すこともなく終業時刻を迎える。
「優子、お先に失礼するね。旦那様と待ち合わせしているの、ウフフッ、素敵なレストランを予約してくれているはずなんだ。バイバイ」
「えっ、うん、お疲れさま。月曜日を楽しみにしている」
栞を見送った優子は時刻を確かめて伸びをし、残った仕事を片付けて翌週の予定を確かめる。

「深沢さん、お先に失礼するよ。缶コーヒーだけど飲まなかったので、よかったらどうぞ」
「課長、ありがとうございます。頂きます。お疲れさまでした」
予定した仕事を終えた優子は両手の指を絡ませて頭上に伸ばし、精一杯伸びをして身体を左右に振る。
仕事に区切りをつけ、課長から貰った缶コーヒーを飲み干すとブラックコーヒーのほろ苦さが仕事に集中することで忘れていたモヤモヤした気持ちを蘇らせる。

退社した優子は真っすぐに駅を目指し、待つこともなく電車に乗り込み吊革につかまり車窓を流れる景色に見入る。
景色は一週間前の週末と変わることがないのに彩に変身した先週末の出来事や忘れようとしても蘇る栞の話しを思い出す。

フェイスマスクで顔を隠し、浣腸を施されてオマンコとアナルに加えて口も複数の男たちに蹂躙されて思うさま嬲られる。
台本らしいものはなく栞の反応を見ながら男たちは自らの身体とオモチャを使って責め嬲り、止められるのは監督とご主人だけだという。
オマンコだけではなくアナルと口にも男たちの精液をぶちまけられて飲まされ、栗の花の匂いを香水のようにまとうのだと瞳を輝かせていた。
肌を露出することが多い季節なので人目に触れる場所に縄目を残したり妖しい遊びの痕跡を残したりすることは避けて撮影するらしい。
私の身体を男優たちが貪り、監督や旦那様の制止も忘れて責め続けてほしいし、縄に愛されてみたいけど出来ないのが残念だと言うに及ぶ頃には、昼休みの公園で告白を聞く優子は股間を濡らしていた。

栞と自分を入れ替えて一瞬の妄想に浸り、我が身に与えられる快感責めに息を荒くする優子を見た栞は、
「優子、大丈夫??責められる私が楽しみにしているんだから、そんなに心配しないでよ」と、勘違いされる始末だった。

今もまた栞の話しを思い出し、家路を急ぐ人たちで満員の通勤電車内で股間を濡らしている。
座席に座ってスマホを操作している女性がふと顔を上げると優子の股間に視線が向き、スカートに染みが浮かんでいないかと気になる。
ふと視線を巡らすと二人離れた席で上目遣いに優子を見ている気弱そうな男性と目が合う。
いつもなら不快に思う男性の行為も今日の優子は楽しむ余裕があり、思わせぶりに挑発しないものの視姦される快感に酔い、興奮で乾いた唇に赤い舌先で滑りを与える。
電車が停車すると男性は優子の視線が逸れたのを幸いに全身をねめ回して名残惜しそうに下車する。
ホームを歩く男性を見ながらフゥッ~と息を吐き、もしも気があると勘違いされたらどうするのと自分に苦笑いする。

金曜の夜は夫と食事を共にして何事もなく過ごし、土曜日はいくつかの憂いを忘れるために全身がしっとり汗ばむほどヨガに興じ、好きな音楽を聴きながら雑誌に目を通す。
日曜日は夫から「たまには外で食べようか」と誘われて昼食のために二人で出かける。
夫の浮気が原因で肌を合わせることはなくなったものの今でも嫌いではないので、ぎこちなさは残るものの心地いい時間を過ごすことができた。
食事の後のウィンドーショッピングで以前から欲しいと思っていたカメラアクセサリーを見ていると、プレゼントさせてくれよと呟いてサッサと店に入る。
「誕生日でもないのに、ありがとう」
お礼の言葉を聞いた夫の表情に屈託のない笑みが浮かぶのを見て、一瞬健志との浮気を申し訳ないと思ったのが表情に浮かんだらしく、
「優子、ごめん。いつもありがとう……」と、どうとでも取れる言葉を口にする。
おそらく夫の浮気をそれとなく気付いていると感じた詫びの言葉だろうと解釈して気持ちが鎮まる。

「浮気をしていたけど優子を愛していると改めて思った。これからは優子以外の女性に惹かれることはない」
そんなことを言われたら健志に会うことができなくなる。
私はあなたの浮気を知っているわよ。深入りしないようにしなさいね。
私は彩と名前を変えて抱いてもらえる男がいるから、私を忘れない程度の浮気なら許してあげる。

その日の夜、栞から連絡があった。
「今日は疲れたから明日は休むね。火曜日は出勤するから」
「栞、大丈夫なの??」
「うん、大丈夫。ほんとに疲れただけ、気持ちと身体はすっきりしているんだけど、何かね……事情を知っている優子と明日顔を合わせるのは恥ずかしいし、ウフフッ」
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ちっち

Author:ちっち
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さむいのも嫌
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