2ntブログ

彩―隠し事 173

海の見えるホテル -11

「おはよう、起きて。日の出を見る約束でしょう」
覆いかぶさる眩しく感じる
笑顔と、開け放たれた窓から忍び込む微風に顔をくすぐられて目覚めた健志は今この瞬間を理解しようと記憶を巡らせる。

露天風呂を出てボトルに残るシードルをグラスに注いでいるとコンビニスイーツを手にした彩が近寄り、
「私のバナナを出して、ホイップクリームを塗って食べるんだからね」と、嫣然と微笑む。
陰毛に隠れたペニスは疲れ切った身体を休めて元気を取り戻そうとしていたのに彩によって起こされ、女性らしい柔らかい手の中でヤワヤワ揉まれて休息することもままならなかった。
ホイップクリームを塗りたくり仕上げだと言ってイチゴジャムで装飾されては起き上がるしかなく、疲れた身体に鞭打って精一杯背伸びした。
「ウフフッ、彩の手の中で大きくなった」
気色を浮かべた彩は竿に舌を這わせてクリームを舐めとり、パクッと口に含んで顔を前後する。
「彩の口の中は温かくて気持ちいい……ウッ、そんな風に舌でくすぐられると我慢できなくなっちゃうよ。早く寝なきゃいけないんだろう??」
「そうだった。待っていて……」

濡らしたタオルでペニスを拭った彩は、
「バナナを食べるのは明日にする」と、呟いて健志の手を取りベッドに向かう。
「関東地方で一番早い日の出を見るチャンスだから逃さないようにしなきゃ」
「こんなチャンスは大切にしないとね。一緒のベッドだと邪魔されそうだから彩はこのベッドで寝る……おやすみなさい」
「彩、日の出の時刻は確かめた??」
「うん、海の日の頃の日の出は4時半頃で日の入りは19時頃らしいよ」
「分かった。4時過ぎに起こしてあげる。おやすみ、彩」
「おやすみ……」

5分と待たずに健志が横たわるベッドにもぐりこんだ彩は、
「おやすみのキスをしてくれないから眠れない……ウ~ン」
唇を尖らせて顎を突き出す彩に、訪れた眠気を邪魔されても苦笑いするしかなく、唇を合わせてチュッと音を立て、終わるや否や背中を向けて寝るふりをする。
「別に寝るのがいいの??彩と同じベッドじゃ寝たくないんだ、そうなんだ」
ベッドを降りようとする彩を抱き寄せて、
「腕枕するから一緒に寝ようよ」
「クククッ、一緒に寝てくれって頼まれればしょうがない、同じベッドで寝てあげる……ねぇ、どうしてツインルームにしたの??」
「ツインルームしかないらしいよ。予約するときにダブルをお願いしますって言ったけどツインルームしかないって言われた。このホテルで、やり狂うカップルはいないってことだね、きっと」
「ウフフッ、このホテルは彩と健志ほど仲の好いカップルを迎えたことがないんだ」


そうだ、そんなことがあった。
「健志が嘘吐きだと思ってもいなかった。4時過ぎに起こしてあげるって言ったのに、それを待っていたら日の出を見過ごすことになっていたかもしれない」
「ゴメン、彩の夢を見ていたらあまりに楽しくて起きるのを忘れていたよ」
「ふ~ん、コーヒーを淹れるから目を覚まして」
「ありがとう、顔を洗ってくる」
歯を磨いているとコーヒーの香りが洗面所まで漂い5時間余りの睡眠時間でも頭がすっきりしてくる。

コーヒーをサーバーからカップに注ぐ、それだけの動作でも彩がするのを見るのは楽しい。
「なに??おかしい??……見つめられるのは慣れてないって言っているでしょう??」
「ゴメン。彩が動くだけで気になるし無駄のない動作に惹かれる」
「クククッ、何度も言ったけど、ややこしく褒めないで素直に彩のことが好きだ愛しているって言えばいいのに、どう??」
「そうだ、オレは彩が大好きだし愛している」
「クククッ、そんなにはっきり言われると恥ずかしい」

バルコニーで椅子に座り夜明け前の海を照らす白い灯台と規則正しく回転する道標の灯りを見ていると暗い海が魅力的に思える。
誰もいない二人だけの海で何も身に着けずに風と波に身を任せ、世間のしがらみを忘れる自由に思いを巡らせていると湯気の立ち昇るコーヒーの香りが現実に引き戻してくれる。
「どうしたの??何か考え事をしていたでしょう??」
「スッポンポンで人知れず二人だけで泳ぎたいって話しただろう、彩が素っ裸で泳ぐ姿を想像していた」
「エッチ、二人きりの時間にそんなことを想像するのは嫌いじゃないよ……見て、きれい……」

彩の指さす方角に目をやると、姿を見せる前の太陽が日の出を待つ人たちに合図をするかのように空に浮かぶ雲の東側をオレンジ色に染める。
押し寄せる波が岩にぶつかると砕け散り、白い波しぶきとなって孔雀の尾のように広がる。
大きな弧を描く水平線は地球の丸いことを実感させてくれ、視線を左に向けると白さを強調する灯台が仕事から解放されてせを伸ばして緊張を解いているように見える。
「すごいっ、きれい」
頭の先端を見せる太陽はオレンジ色でこんなにも大きいのかと思わせ、直接目にしてもわずかな眩しさしか感じさせない。
そんな景色を見つめる彩はコーヒーカップを手にしていることも忘れて頬を緩める。
やがて波頭が陽の光を浴びてキラキラ輝く頃には太陽は眩しくて手をかざしてもその姿を見ることができない。

「イヤンッ……こぼしちゃった」
ほとんど飲み干したコーヒーカップを持ったままでいることも忘れていた彩が悲鳴を上げる。
「大丈夫??火傷してない??」
「うん、ほとんど飲んでいたから熱くない。浴衣に染みが残るかもしれないけど」
「彩、染みが残ると困るから浴衣を脱いじゃいなよ」
帯を解き脱がせた浴衣を露天風呂に投げ入れて、
「たぶん、これで染みは残らない。ほんとにハダカンボが好きだなぁ、彩は」
「寒い、抱っこ」
寒いはずもないのに羞恥を浮かべた彩は健志の腿を跨いでしがみつく。
オレンジ色に輝いていた空は7月らしく白く輝いてじりじりと陽光が照り付け、彩の尻と腰に添えた手から伝わるムッチリとした感触に健志の頬は自然と緩む。

「入れちゃう??」
「ムリだよ」
「競馬の人気種牡馬は1日に2~3回やっちゃうらしいよ。負けて悔しくないの??」
「オレは人気がなくてもいい。彩一人がいてくれればそれで満足なんだけど」
「ダ~メ、彩は弱い男は好きじゃない。どうする??」
彩の手は浴衣の帯を解き、健志の胸に手を這わせて撫でまわし、固い膨らみの先端を摘まんでクチュクチュ擦る。
「どうするの??」

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
FC2 Analyzer FC2 Analyzer