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偽者 ~PRETENDER~ -2

部屋

約束時刻の5分前にオートロックパネルの前に立った内藤は、さおりに到着したことを告げる。

「いらっしゃい。お呼び立てして申し訳ありません」
エレベーターホールまで出向いて内藤を迎え、挨拶を済ませて先に立つさおりはブルーの花柄ショートパンツにカットソーというカジュアルな衣装で白い足や腕が艶めかしく、音を立てずに唾を飲み天井を睨んで息を吐く。
「どうぞ、お入りください……」
ドアを引いて身体を寄せたさおりは内藤を招き入れる。
部屋に入った内藤は失礼にならない程度に部屋の中を見回して清潔感のある匂いで胸を満たし、シンプルに整った部屋に頬を緩める。
「色気のない部屋でしょう??ごちゃごちゃと飾り立てるのが好きじゃないの……お座りください。コーヒーでよろしいですか??」
「いただきます。女性の部屋は久しぶりなので緊張しています」
「うそ……この仕事を長くやっていると表情や会話でお客様の心理状態がある程度わかるの。声の調子が変わったり早口になったり口数の変化などの話し方、視線の動きや表情、女性をじっと見つめて執着を表す……おそらく、内藤さんは普段と同じでしょう」
「すごいな、客商売で一流になるというのは……容姿端麗だけじゃダメだと思っていたけど、さおりさんの話を聞いて改めて確認できました」

コーヒーを淹れると言いながら窓際でカーテンに隠れるようにして外を見るさおりは振り返り、
「私などはまだまだだけど、もう一つ好い事を教えてあげましょうか??」
「なんですか??」
「美香ちゃん、内藤さんには何といったか分からないけど、私には手助けすることがないから二人で相談してくださいって言ったの……その美香ちゃんは今、どうしているか知っていますか??」
「さぁ、私には分からないなぁ??」
「フフフッ、美香ちゃんが可哀そう、心の内を理解されなくて……この部屋を見張っていますよ、内藤さんの事が好きなんだろうな……内藤さんの後をつけたのか、見張っていたのか分からないけど、今はマンションの向かいにあるカフェに入ったよ」
立ち上がった内藤がさおりの反対側でカーテンに身体を隠してカフェを見ても窓は夕日を反射してキラキラ光るばかりで美香の姿は確かめようもない。

「うっ、こら、やめろよ」
「動いちゃダメ、こっちからは光って見えなくても美香ちゃんには見えているわよ。きっと……」
この部屋の様子を窺っているであろう美香の視線を避けるように遠回りで内藤の背後に位置を変えたさおりは、胸を押し付けて頬を寄せる。
シュッシュッ~……チノパンのファスナーを下ろして下着の中に指を侵入させ、萎れたままのペニスを摘まむ。
「これでも、男たちが列をなしてデートの予約待ちをしているんだけどなぁ……内藤さんの目には私は映ってないの??」
「話は変わるけど、来週の事は嘘じゃないよね??」
「嘘じゃないわよ、内藤さんが頼りなの……協力していただく、これはお礼の一部だと思ってもらってもいい」
「段取りは??」
「両親は私がキャバクラ勤めなのを知ってる。だから心配してくれているの。当日は用があって近くまで来るんだけど、私の出勤前に様子を確かめに来るから長居はしないはず……両親が着いたら内藤さんに知らせるので、ついでに立ち寄ったって雰囲気で顔を見せてもらいたいの……内藤さんを見れば両親は納得するはず……お願いできますか??」
「分かった、さおりさんを信じて自然体で立ち寄るよ」
「ありがとう……それと、さおりは源氏名じゃなく本名で、漢字を平仮名にしただけ。両親は私の事を本名の佐緒里って呼びます」
「名前呼び違えては叱られて、って歌があったけど、間違えなくてよさそうだ」

「ウフフッ、そうですね……打ち合わせは終わり。美香ちゃんを心配させるのは本意じゃないから、そんなに時間がないでしょう??カフェばかり見ちゃダメよ」
さおりの手の中でムクムクと鎌首をもたげ始めたペニスに気を良くして言葉が弾む。
ベルトを外して下着ごとチノパンを脱がせ、抱きすくめるように背後から回した手でペニスを愛撫して陰嚢を擦る。
「美香ちゃんをまだ抱いてあげてないでしょう??味見をして美香ちゃんに教えてあげようかな」

さおりの誘惑をあえて断る理由もない内藤はされるがまま立ち尽くし、カフェばかりを見つめて美香に不信感を与えるのを避けて顔を大袈裟に動かし、通りのあちこちを見る。
股間は男らしく反応しても言葉を漏らすことのない内藤を歯がゆく思うさおりは、胸を押し付けて身体を揺すり、手はペニスを擦ったり内腿を撫でたりと刺激を繰り返す。
カットソーの中にブラジャーを着けていないため、心地好い乳房の感触に股間が反応しそうになるのを、唇を噛んで堪える。
「ねぇ、私って魅力がないの??」
「こんな積りじゃなかったから、どうしていいか戸惑ってる」
「私はバツイチの独り身。嫌いじゃなければ抱いてほしい……独りエッチだけで満足できるほど私は枯れてないの……私が嫌い??」
「佐緒里さんを嫌いって言えるほど自信家じゃないよ」
「そうなの??内藤さんは何があっても自分を見失わない人だと思うの。行きずりの女を抱いても、淡々と自分のペースを守るはず」

嫣然として跪いた佐緒里は内藤の内腿に舌を這わせ、腿の裏側に指先で何やら文字のようなモノを描く。
「いいよ」
「ほんとう??なんて書いたか分かったの??」
「文字は分からないけど、佐緒里さんがチンポに飢えているのは分かる」
「クククッ、ほしいって書いたの。でも、どんなチンチンでもって訳じゃない。目の前のこれが欲しいの」
佐緒里の白くて冷たい指が内腿から鼠径部を撫でるとペニスはピクッと反応し、次の瞬間に温かい口に含まれる。

ジュルジュル、ジュボジュボッ……ウグッグッ、フグッ……佐緒里の顔が前後する度に内藤のオトコは硬度を増して膨れ上がり、表情に喜色が浮かぶものの苦しそうな声が漏れる。
「ハァハァッ……久しぶり、チンチンの感触を忘れるところだった。目の間にこんなに愛おしいチンチンがあるって安心できる」

視線を外すことなく見つめたまま佐緒里を抱き起した内藤は唇を合わせる。
「ハァハァッ……美香ちゃんには内緒にしてね」
「二人とも美香ちゃんに秘密が出来ちゃったね」
「今日、二人で会う事について美香ちゃんは何か言ってた??」
「二人っきりになっても変な事をしちゃ嫌だって言ってたかなぁ……」
「やっぱり、フフフッ……私は悪い女、あなたも悪い男……悪い女は美香ちゃんに何もしていないってアリバイを作らなきゃ」
立ち上がって窓辺に近付いた佐緒里は何気ない様子でカフェに目をやり、髪を搔き上げる。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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