2ntブログ

酒と女は二ごうまで

ここに書き連ねているのはイメージを膨らませた妄想の世界。
もう一つは、微かな事実を十重二十重に覆って現実を虚構の世界に置き換えたモノ。
先日、学生時代の友人と度を越して酒を飲んだ際に記憶の底で澱のようになっていた想い出が蘇り、遥か以前の記憶をチョイト虚構の世界に置き換えたくなっちゃった。
前半は2018年9月、私の誕生日直後に書いた妄想交じりのモノ。
友人と酒を飲んだ際に脳裏をよぎったので、続きを現実とはチョイト違えて妄想を膨らませることに。


酒、、、(2018年9月)

「いらっしゃいませ」
「急に雨が降り始めちゃったよ」
「二日連続は珍しいなと思いましたがウチは傘代わりですか??」
「傘は差して歩けるけど、マスターの店を担いじゃ歩けないですよ」
「そうでした、傘の代わりはできないですね。ウチは雨宿り用の軒先ですね……ジントニックでよろしいですか」
よろしいですかと言いながら氷を入れたタンブラーに水を注いでステアし、グラスを冷やし始めている。

「ふぅっ~……」
独りでカウンターに座っている女性客がバーテンダーと男性客の言葉遊びを意に介する様子もなく溜息をついてバックバーを見つめている。
「おまちどうさま……悪い癖だよ」
「そうだな……ごめん」
興味深げに女を盗み見る男をバーテンダーがたしなめると、眉毛をあげて好奇心を捨て去りジントニックを口にする。
「美味いな……ジンやトニックウォーターにこだわりがなかったけどマスターの作るジントニックを口にすると、タンカレーの香りが口の中に広がる。初めての時は冷やさないのはどうしてだろうと思ったけど、香りを楽しむにはこれが好いんだな」
「こだわりがないって言うけど、違いを感じてもらえるのは嬉しいよ。酒は人生の彩、酒は喜びを二倍にし、悲しみを半分にしてくれると言った人もいるからな」
マスターは男と会話を続けながらチラッと女性客に視線を向ける。

「お代わりください……キールロワイヤルをお願いします」
飲み干したスプモーニよりもアルコール度数の強いカクテルをオーダーする。
フルートグラスとカシスリキュールを用意したマスターは、シャンパンストッパーで封をしたシャンパンを冷蔵庫から取り出す。
「このシャンパンは、昨日、彼と二人で乾杯したクリュッグ社のシャンパンで高級とされるものです。昨日、十分すぎる料金を貰っているのでキールロワイヤルはサービスさせていただきます」
「よろしいのですか??」
「魅力的な女性が憂鬱な表情をされることに私も彼も堪えられるほど強くないのです」
「フフフッ、お世辞と分かっていても今の私には嬉しい言葉です」

フルートグラスの脚をいじり、口にすることもない女性客はマスターに話しかける。
「酒は喜びを二倍にし、悲しみを半分にしてくれると言うのは本当ですか??」
「さぁ、どうでしょうか??……酒を飲むのは嫌な事を忘れるためだと言った人もいます」
「酒を飲めば嫌な事を忘れられるのですか??」
「どうですかね??どんな嫌な事を忘れたいのだと聞かれて、酒のせいで嫌なことが何だったのか忘れちゃったと答えたらしいですよ」
「ウフフッ、酒のせいで一時忘れるだけですか……そうか、そうですね。酒を飲んでも逃げるだけか……」
「楽しくないことがあったのですか??……失礼なことを申し上げました。聞かなかったことにしてください」
「仕事でミスをしちゃったんです。付き合っていた彼と別れたばかりで、頭の中が整理できていないのです。酒ですべてを忘れることが出来ればいいのですが無理ですね。こんな女じゃダメですよね、どう思います??」

女はジントニックを飲む男に問いかける。
「えっ、いやぁ、美人ですよねぇ」
「褒めてもらうのは嬉しいけど、お世辞は好きじゃない」
「あなたがお世辞と言うのは他の女性に失礼ですよ……容姿は勿論だけどグラスを口にする時の姿勢が好い。制服というか、仕事をする時の衣装が似合っている人は一流だと思っています。あなたは仕事帰りでしょう??スカートスーツが似合っています。如何にもできる女性って雰囲気がします。掛け値なしに好い女です」
「ありがとう……私を誘ってもらえますか??口説いてくれますか??自信を取り戻したい」
「疲れている女性、しかもあなたのような好い女が参っている時に付け入るような真似はしたくないのでお断りします。それに自分を安売りする女性は好きじゃないです」
「そうですか……一か月後、いえ、二週間後に私が立ち直っていれば口説いてもらえますか??」
「一つ、忠告していいですか??」
黙って頷く女に向かって、
「酒は飲んでも乗られるなって言った人もいますよ」
「えっ??……飲んでも乗られるなって、まさか……ウフフッ。大丈夫です、二週間後に立ち直っていれば酒のせいにして安売りするようなことはしませんから」

「気になる男女なら酒のせいにして過ちを犯すのもいいんじゃないですか。過ちから始まる幸せもあるはずですよ」
「ウフフッ、私はそれでもかまわないけど、どう思いますか??」
「酒と女は二ごうまでとも言うから飲み過ぎなければね」
「えっ、待って、えっ……奥さんがいるの、それとも付き合っている女性がいるの??」
「はははっ、酒は二合までの部分だけです、付き合っている女性も妻もいません、マスターが証人になってくれます」
「良かった……二度と立ち直れなくなるところだった。それより、私が男性を誘うことになると思わなかった……どうしてだろう??」
「運命ですよ。お客様はスプモーニとキールロワイヤルという赤いカクテルを飲まれました。今日は情熱的で活動的な気持ちだったのでしょう」
マスターの言葉で二人は顔を見合わせて笑みを浮かべる。

「三杯目を飲むなら私に選ばせてください。プースカフェスタイルのオーガズムをどうですか??」
「オーガズム……いやらしい名前。エッチなカクテルですか??」
ジントニックを美味そうに飲む男をわざとらしく睨みつけて、マスターに質問する。
「全然エッチなカクテルじゃないですよ。バーテンダーの腕を問われるカクテルです。コーヒーリキュールを底にして比重の大きい順にリキュールが層になるように注ぐカクテルです」
「ふ~ん、興味があるけど飲み過ぎて嫌われるのは嫌だから二週間後に頂きます……昨日二人で乾杯したと聞きましたが、お祝いするようなことがあったのですか??」
「マスターが振られちゃったので慰めたのですよ」
「振られた……それで乾杯するの??」
「酔っぱらった彼が、二人で飲もう。酒で忘れちゃいなよって、このシャンパンを開けたんですよ、彼の奢りでね」
「ウフフッ、忘れることが出来ましたか??」
「忘れるよりも、ヒドイ男ですよ、こいつは……マスター、明日以降、最初に独りで来た女性客を口説いちゃいなよ。この世にブスはいない、ウォッカが足りないだけだって言うロシアの諺があるからって言ったのに、最初の女性客をこいつが口説くことになっちゃったんだから。それに、こんな美しい女性が最初だったのに」
「えっ、私のせいですか、ごめんなさい……それにしてもひどい、最悪の男。ウォッカを飲めば好いなんて女をバカにしてる……ありがとう。元気になりました。今日は帰ります。二週間後に来ます、その時に嫌じゃなければ口説いてください」
「二週間後、何があっても口説きに来ます。スプモーニやキールロワイヤルがこんなに似合う女性は初めてです。おやすみなさい」

<< おしまい >>


ここから先は上記の続きで実よりも虚を基に妄想を膨らませます。


酒と女は二ごうまで 1/3

「お待たせ……マスター、オレに口説かせないように酔っぱらわせたんじゃないよな??」
開店前のバーはマスターと女性客が一人いるだけでジャズピアノ曲が静かに流れ、息せき切って重厚な木のドアを開けた男は二人の様子を見て問いかける。
「遅いよ。何時だと思っているの??待ちくたびれちゃった」と、女の蓮っ葉な言葉が響く。
カウンターに突っ伏す女の周囲は空になったグラスが並び、右手が摘まむ脚付きリキュールグラスはプースカフェスタイルのオーガズムが満たしている。
「まだ七時だよ。こんなに飲んでどうするんだよ……酒と女は二ごうまで、口説く積りだったけど止めとくわ」
「クククッ、飲んでないわよ……マスターの言う通りだった。生き方を曲げない男は信用できる。お泊りセットを用意してきたから……口説いてもらうわよ」
だらしなく突っ伏していた女は姿勢を正して男を見つめ、自分を取り囲んでいるグラスをまとめて男の前に滑らせる。
男はカクテルグラスを手に取って匂いを嗅ぎ、残った液体を飲んで首を傾げ、次に手にしたコリンズグラスの匂いを確かめて底に残った液体を飲み干す。
「クククッ……」と、破顔する。
「どうかなさいましたか、柏木さま??」
「オレの名前はマスターが??……二人に揶揄われて弄ばれた気分だよ。面倒な口説き文句は止めた。これを受け取ってもらえますか??」

「ホテルのキーなの??口説き文句代わりだと思って受け取ります。一目惚れですから……」
「オレも名無しの女性に一目惚れ……ごめんね。本当はマスターが口説くはずの女性だったのに」
「マスター、ごめんなさい。付き合っていた男性と別れた直後にお勤め時代の友人と会って人恋しくなったの。お仕事の邪魔をしちゃいけないと思って、マスターじゃなく柏木さんに誘ってほしい、口説いてくれますかと言ったんだけど、本当にごめんなさい」
「そんな謝り方をされると惨めになっちゃうよ。オレは開店の準備があるから、酒は他の店で飲んでくれよ」
「マスター、彼女にもう一杯飲ませてあげてよ」と、柏木と呼ばれた男はマスターにウィンクする。
「いいよ、二人の付き合い始めのお祝いに、こいつが好きなジンベースのカクテルを作ろうか」
マスターもまた男に向けてウィンクし、男は女に、
「手の平を見せてくれる??」
言い終えた時にはすでに女の右手を取って手の平を見つめ、女の視線をマスターから逸らせる。
「ウフフッ、やっぱりそうだ。あなたとオレは相性最高。この世に生まれる前から付き合うことを神さまが決めていたらしい」
「ほんとう??一目惚れは神様の意志に従ったことなんだ。ウフフッ、安心した」

「お待ちどうさま。出来たよ。ジン・,ホーセズネックです。ジンとジンジャーエールのカクテルに長く剥いたレモンの皮、レモンスパイラルと言いますが、これを飾ったカクテルです。ホーセズネックはブランデーとジンジャーエールのカクテルにレモンスパイラルを飾ったものだけど、ブランデーをジンに変えました……どうぞ」
「ジンとジンジャーエールのカクテルってジンバックですよね。ふ~ん、レモンピールの端をグラスの縁に引掛けるのですね……白い部分が全然ついてない。バーテンダーさんの腕のいい仕事だと思います。目でも味わえます……レモンの香りが移って爽やかで美味しい」
「白い部分は苦みの元になりますからね」

その後は言葉もなく開店準備をするマスターの動きを見ながら女はジン・,ホーセズネック、柏木はジントニックを飲みながら時計を気にする。
「行けよ。時刻が気になるんだろう……明日でなくてもいいから、付き合い始めたと報告はしてくれよ、待っている」
支払いを済ませた柏木はジン・,ホーセズネックを飲み終えた女を促す。
「それじゃあ、行こうか……ごちそうさま」
「ごちそうさま。美味しかったです……また来ます」

「柏木さんは私を好い女だと言ったけど、ホテルの部屋を見れば私の評価がどれほどのモノか分かる……そうでしょう??違う??」
「そこまで考えていなかったなぁ。あなたを誘うことだけを考えていたよ」
「そうか……柏木さんにとって私は誘えばやれる、その程度の女なんだ。大切な人なら初デートのホテル選びにもこだわりを持つと思うけどなぁ……」
それを最後に女は口を開くことはなく、タクシーの車中でも身体を接することを避けて窓外の景色を見るだけで柏木に対して心を閉ざしたように見える。

ホテルの車寄せでタクシーを降りると態度はガラッと変わり、ドアマンに向ける笑顔は柏木が嫉妬するほど魅力的でさりげなく腕を絡ませるさまは初デートとは思えない。
チェックインを済ませ、ベルガールの案内で重厚な雰囲気の漂う廊下を歩くうちに高揚しつつあった滾る思いは脚が沈み込むほどのカーペットの感触で穏かになり、部屋に入ると女の表情がカメレオンのように変化する。

非常口や部屋の設備などの説明を終えたベルガールがいなくなると女は満面の笑みと共に柏木の首に手を回し、
「クククッ、ワインと花で迎えてくれるホテルの部屋、柏木さんが依頼しなきゃあるはずがないよね……お前に惚れた、絶対に逃がしたくないって正直に言ってもいいよ……何も言わなくていい。今は言葉なんて必要ない」
言い終わるや否や女はしゃがみ込み、柏木の穿くズボンの上から股間を撫でる。
「ねぇ、学生のあなたは私よりも若いと分かっているけど後悔しない??」
「好きになるのに歳なんて関係ないだろう。それに、あなたは若いよ……おいで、オレが好きになった女性の顔を見せてくれるだろう」
「ダメ、あなたの坊やにご挨拶するまではお顔を見せてあげない」
摘まみ出した半立ちのペニスをパクリと口に含み、顔を前後すると上顎を突き上げるようにムクムクと立派なオトコになる。
「ウグウグッ、フグフグッ……大きくなった。私のお口の中って気持ちいい??……ダメッ、抜いちゃダメ。もっとあなたを感じていたい。フグフグッ、ウッウッ、クゥッ~」
引き抜こうとする柏木の腰を抱きかかえて一層喉の奥深くまで咥え込み、ジュボジュボと卑猥な音と共に顔を前後する。
「気持ちいい……クゥッ~、ダメだ。我慢できない、これ以上されると逝っちゃうよ」
「ウグッ、グゥッ~、出して、口であなたのオトコを感じたい」
オトコを咥えたまま上目遣いに見つめる女の瞳が妖しい光を帯び、凄艶な色気に柏木は尻から脳天まで駆け上がる電気のような衝撃に前触れもなく絶頂を迎えてしまう。
「ウッ、ウッ、ゲボッ、ウグッ……ウッ、ハァハァッ、すごい、火傷するほど熱い迸りが喉の奥まで……」
「ゴメン、我慢できなかった」

蹲ったまま微かに滲む涙を拭おうともせずに見上げる女は口腔に残ったオトコを飲み込み、隠しきれない羞恥で目元を朱色に染める。
柏木は女に手を添えて抱き起こし、意思を確かめることもなく濃厚なキスをする。
「バカッ、あなたのオトコがお口に残っているよ。クチャクなかった??」
「オレのモノを口で受けてくれたし飲み込んでくれた…この唇や口とキスすることが嫌なわけがないだろう」
「クククッ、ムリしてない??ねぇ、お風呂に入ろうよ」
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード