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彩―隠し事 359

余波 -16

夫が泊りなので誘ってくれという彩の言葉に相好を崩した健志は、表情を引き締め、
「彩、どうだろう、明日の出勤にはオレンチの方が近いから泊っていきなよ」
「そうだなぁ、旦那は泊りだし確かめたいこともあるから泊めてもらっちゃおうかな」
「タクシー乗り場に戻ろうか」
「歩くと20分、走ってくれば約10分でしょう??歩きたい…早く聞きたいこともあるし」
健志の部屋に戻ってから深刻な状況になるのは嫌なので確かめたいことは歩きながら問いただしたいと思う。

左手で健志の右手をつつくと躊躇うことなくギュッと握ってくれて歩き始める。
前を見たまま彩に視線を送ることなく、何か買い物はあるかと聞くので、何もないと答えると、そうかと言ったきり握る手に力を込める。
「痛いよ。怒っているみたい……泊めてくれと言ったのが気に入らないの??」
「ごめん、嬉しいに決まっているだろう。英子さんとのことをどう話そうか考えている」
「考えることはないよ。色っぽかった??抱きたいと思った??その二つを知ればいい」
「それなら簡単だ。英子さんのヌードは見ていないし抱きたいと思っていない。嘘じゃない」
「素人とはいえエロビデオ女優の一糸まとわぬ姿を目の前で見たり触ったりするチャンスだったんだよ、見なかったって言うのを信じると思う??」
「信じてもらうしかない。彩よりも大切な人はいない、嘘じゃないよ」
「ふ~ん、グラスを持って窓際に立っていたのは見ないために部屋を出た。そして、採寸を終わった英子を駅まで送って後姿に手を振っただけだって言うの??」
「えっ、どうして知っているんだよ??……監視していた??」
「悠士さんの店の前にカフェがあるでしょう。駅前はアチコチに見張り用のカフェがある。尤も、二人が悠士さんの店に入るところから見張った訳じゃないから英子のハダカンボを全然見ていないかどうかは分からない」
「信用してもらうしかないな。それより、彩以外の女性に惹かれることを気にして、嫉妬もほんの少しは混じっている??」
「いけないの」
わざとらしく怒った振りをする彩を愛おしく思う健志は歩く人たちを気にすることなく抱き寄せて額にチュッと唇を合わせる。

「イヤッ、こんな中途半端なのは嫌。彩が好きなら、分かるように態度で示して」
言葉は震えて語尾は掠れ、隠しようのない欲情が健志を刺激する。
「ここで??オレは構わないけど、彩は通勤着のままだし誰が見ているか分からないからまずいだろう」
「えっ、そうだね、ごめんなさい。DVDを見て興奮した英子のハダカンボを見る前後に二人きりになる時間があるから心配して変なことを想像していたけど杞憂だった。安心したから興奮しちゃった」
「今日は激しいことはできないから、帰り道で彩の興奮を冷ましておこうか」
「イヤァ~ン、いつかのように暗い公園でハダカンボにされちゃうの??エッチな健志に付き合いきれないよ」
言葉とは裏腹につなぐ手はジットリ汗ばみ、息を荒げて身体を摺り寄せる。
そんな彩の手を引いてコンビニに入った健志は、
「マンゴーアイスバーでいい??」

封を解くことなく彩の手を引いて公園に入った健志は通りに面した入り口が見える位置のベンチに腰を下ろす。
昂奮を冷まそうと言ったのはアイスバーを食べる事かと拍子抜けした彩は、公園に入ると動悸が激しくなりベンチに座ると卑猥な想い出と共に妖しい妄想で身体を熱くする。
「このベンチは座ったままつながった場所じゃない??向こうのベンチでカップルがエッチしていた。ねぇ、そうでしょう??」
「そんなこともあったけど今日は誰もいないよ。アイスが融ける前に食べよう」
二人がアイスバーを食べ終わる頃、視線を外さずにいたベンチにカップルが座る。
「えっ、来ちゃった」
「ほんとうだ、どうする??」
「あの二人次第ってことにしない??始めたら彩たちも……何もしなければこのまま帰る」
「面白そうだけど、彩の明日に影響しないか心配だなぁ」

二人が座るベンチは愛を語り、堪えきれない欲望を発露しても立木が公園灯を遮るために薄暗くすべてを見られるわけでもないが、彩の視線の先にあるベンチは注意深く見れば表情さえも分かるほどに明るい。
そんなことを承知しているはずのカップルは彩と健志を誘うかのように顔を逸らすことなく、互いの身体をまさぐり始める。
男の手が頬を擦り、唇を合わせて遠目にも濃厚なキスを始めると全身の緊張を解いた女の手が男の腿を擦り徐々に股間に近付いていく。

決して広くはない公園と言えど、聞こえるはずのない吐息や喘ぎ声が耳をくすぐるような感覚に捉われる彩は身体の芯から湧き上がる獣欲を持て余す。
「ねぇ……いいでしょう??」
目を閉じて顎を突き出す彩に手を添えた健志が突きだした舌で唇をつつくと、ハァハァッと息を荒げて舌を突き出す。
楕円形の公園の対角線の位置にいるカップルを意識する二人の舌は宙で戯れ、彩の手は健志の股間に伸びて健志の手は上着をはだけてブラウスのボタンを一つ、また一つと外していく。
スカートからブラウスを抜き取り、すべてのボタンを外してもはだけることなく凝視するカップルを焦らす。
「ウフフッ、悪い男。彩の肌が見えないから、あの二人は焦れて……ほら、見て」

ズボンのファスナーを下ろして宙を睨むほどに屹立したペニスを握った女の手は妖しく上下する。
そんなカップルを視線の端に捉えて舌先が彩の口をつついて催促すると赤い舌が宙に踊り、そのまま健志の口に吸い込まれる。
舌を引き抜こうとすると健志の唇は固く窄み、舌と唇の粘膜がこすれ合う感触が股間を刺激する。
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ちっち

Author:ちっち
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さむいのも嫌
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夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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