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桜子 -12

挿入

「青いキャミソールを着けた桜子も魅力的だけど白い素肌も色っぽくてそそられる」
「本当??腰から太腿がもう少しムッチリした方が好いんでしょう??」
「桜子は今のままでいいよ。バランスが崩れちゃうだろう??」
「ほんの少しムッチリするだけで??」
「美人もそうでない人も、鼻、口は一つ、目は二つ。大きい小さいって言ってもそれほど差があるわけじゃない。福笑いでもそうだけど、ほんの少し場所が変わるだけで印象は大きく変わる。今のままの桜子が好きだよ」
「今のままの私が好いと言われると安心して気持ち善くなれる……あなたが大好き」

柏木の指が脇腹を撫で下りると両手を後ろ手に縛られた桜子は額を窓に押し付け、くすぐったいようなむず痒いような奇妙な快感に上半身をくねらせる。
ビィーナスのえくぼをなぞり、
「桜子の美しさは神様から与えられただけではなく、努力していることも想像できる。だから生き生きしている、そんなところが好きだよ」
「そんな風に言ってもらったのは初めて、スタイルが好いとかきれいだと言ってくれる人がいるけど、そんな褒められ方は嬉しくない。何もしていないみたいだもん」

桜子を窓に押し付けたまま髪に手櫛を入れて首筋に唇と舌を這わせ、意地悪な言葉を囁く。
「窓ガラスは冷たい??」
「火照った身体に冷たいガラスが気持ちいい」
「後ろ手に縛られて不安になる??」
「縛ったのは、あなた。不安に思うどころか期待でドキドキしている。確かめてもいいよ」
クククッ……窓と右乳房の間に手をこじ入れようとしても身体を窓に押し付けて許そうとせず、楽しそうに含み笑いを漏らす。
力ずくで手を差し入れて鼓動を確かめることはできるだろうが、それではつまらない。
首筋に息を吹きかけると、イヤンッと甘い声を漏らして全身が弛緩し、そのすきに手を差し入れて右乳房を包み込む
「アンッ、オッパイを掴まれちゃった……分かる??ドキドキしているでしょう」
「うん、ドクドクしているのが分かるよ。オレのアソコもドクドクと昂奮しているのを確かめてみたいだろう」

後ろ手に縛った桜子の手に股間を押し付けると、
「クククッ、嬉しい。こんな格好で嬲られて何も反応してくれないと悲しいもん。あなたが私の身体で昂奮してくれる、ウフフッ」
背骨に沿って指先が這い下り、ヴィーナスのえくぼでクルリと円を描いて尻の割れ目に沿って滑らせる。
「ヒィッ~、いやん、変な感じ……気持ちいいけど、恥ずかしい」
「桜子が嫌がることはしないよ」
「ごめんなさい……」
「謝ることはないよ」
柏木の指は産毛の感触を確かめるようにゆっくりと、触れるか触れないかの繊細な動きで背中を撫で上がる。
「可愛い桜子が気持ち善くなってくれるとオレは嬉しい。緊張したダメだよ、刺激をそのまま受け入れなさい」
スゥッ~……ハァッ~……ゆっくり深呼吸した桜子は目を閉じて柏木の指がなぞる背中に意識を集中する。
ウッウッ、クゥッ~ン……歯を食いしばって閉じていた口がしどけなく開いて甘い吐息が漏れる。
立っているのも辛そうに膝が落ちそうになり、再び額を窓に押し付け縛られた両手を固く握る。

「ウッ、イヤッ、気持ちいい」
指が撫でた後をなぞるように唇と舌が愛撫し、桜子が艶めかしい声を漏らして身体を捩ると柏木の手が腰を抱いて股間に伸びる。
「ショートパンツ越しでも分かるよ。桜子にも分かっているだろう、ベチョベチョに濡れていることを」
「あなたが気持ち善くしてくれたからだもん、責任取ってくれるでしょう??」
桜子の背中で指が這い回る。
「ウフフッ、分かった……さくらこ、って書いたでしょう。続きを書いてくれる??それとも終わりなの??ガッカリしちゃう」
「クククッ、続きを書くよ」
指が背中を這い、桜子はくすぐったいのか身体を捩る。
「そんなに動くと分からないだろう??」
「書いた字は読めなくても私は心眼で感じることが出来るはず……違う??」
「オレの気持ちが分かればね」
「ふ~ん、じゃあ、分かる……二文字だったから、スキ、って書いたでしょう」
「正解、ご褒美を上げなきゃいけないな」

繊細な動きの指が脇腹を撫でて唇が肩から首筋を這い、股間を太腿に押し付ける。
「熱い、鉄の棒を押し付けられているみたい。私の身体で昂奮してくれると嬉しくてゾクゾクする……」
ハムハムと肩を甘噛みし、小さな虫が這い回るような繊細な刺激を繰り返す唇と舌が背中を這い回る。
ゾクゾクするような快感に崩れ落ちそうな身体は柏木に支えられ、嬉し涙を滲ませる股間は刺激を求めて妖しく蠢く。
背後から抱きかかえるようにして動きを封じ、ただ一つ桜子を守るショートパンツに指をかける。
「スッポンポンに脱がされるのは怖い。見えない??見えないよね??」
「見えないよ、桜子ほどの好い女がオレのモノだって自慢したい気もするけど見えないよ……オッパイが冷たい窓ガラスに触れて気持ち好いんだろう。ジュルジュルのオマンコも気持ち善くなるよ」
「アンッ、ハァハァッ……触って、グジュグジュのアソコを掻きまわして欲しい」

ズルッとショートパンツを膝まで下ろして抱きかかえたままの両手を股間に伸ばし、嬉し涙を滲ませる綻びの縁を指先で撫で始める。
「ハァッ~、アウッ……気持ちいい、もっと激しくされたい」
割れ目の縁に添えた指を動かしてパクパク広げたり閉じたりを繰り返し、右手中指を予告もなく膣口に擦りつけてズルッと侵入させる。
「ヒィッ~、たまんない、そんな事をされると、クゥッ~……」
「そんな事をされると、どうした??はっきり言わないと分からないよ」
「いやっ、恥ずかしいからいえない」
「そうか、こうするとどうだ??」
中指に加えて薬指を挿入しても、ジュルジュルに濡れそぼつバギナは抗う事もなく膝を開いて中腰になり、奥深くまで向かい入れようとする。
二本の指を奥深くまで挿入して膣壁を擦り、親指でクリトリスを刺激する。
二本の指と親指は互いの動きに連動して入り口までも刺激し、桜子は頬を窓ガラスに擦りつけて与えられる快感を貪る。
窓に映る桜子の表情は悦びに震え、しどけなく開いた口は間断なく喘ぎ声を漏らす。
「アッアウッ……クゥッ~、そんな事をされたら壊れちゃう、もっと、ンッンッ、アゥ、アワワッ……」
後ろ手に縛られて自由を奪われた両手がペニスを求めて妖しく動き、
「居ない、どこ??私のオチンチンに触りたい」
「どうだ、いただろう。桜子が大好きな、ぶっといチンポだよ。オチンチンじゃなく、チンポって言ってみろ。言わないと桜子のモノにならないよ」
「イヤッ、恥ずかしい。そんなこと言えない……オチ、オチンポ」
羞恥を堪えて囁くような声でオチンポと言う。
「ダメだ、聞こえないよ。もう一度」
「いじわる。チンポ、私のオチンポを頂戴」
ペニスを求めて桜子は叫ぶ。

「よし、くれてやるよ。壊れるほど奥まで挿入するよ」
膝に引っかかるショートパンツを剥ぎ取るように脱がせて右足を抱え上げ、腰を蠢かしてダラダラ先走り汁を滴らせるペニスを膣口に擦りつける。
「ハァッ~、つながるの??あなたのオチンポを入れてくれるの??」
「そうだよ、ンッ、クゥッ~……」
「ヒィッ~、来る、奥まで、すごいっ、ゆっくり突いて」
力を込める必要もなくペニスはあっけなく姿を消していく。

桜子 -11

欲情

バスローブを脱ぎ捨ててナイトウェアに着替えた柏木は窓辺に立って青葉山公園に視線を向ける。
遮る建物はないものの2㎞程も離れていては木々が邪魔をしなくても政宗公騎馬像は見えるはずもない。

「何を見ているの??」
静かに近づいて背後から抱きついた桜子は背中に顔を埋めるようにしてくぐもり声で問いかける。
「伊達政宗像を探したんだけど見えないな」
振り向いた柏木は驚いた表情で桜子の肩に手をかけて距離をとり、青いペイズリー柄のキャミソールとショートパンツで飾る姿を見てゴクッと唾を飲む。
「どうしたの??……似合わない??それとも、こんな格好は嫌い??」
風呂上がりの上気した顔で小首を傾げ、言葉とは裏腹に自信に満ちた態度で
蠱惑的な美貌と姿態を柏木に見せつける。

青い空はこの世の善悪すべてを包み込み、青い海は果てのない遠くまで続く。
青色の魅力を身に着ける桜子に見つめられると抗しきる自信が揺れる。
「家でも桜子はこんな格好しているの??」
「家では普通の長袖パジャマ。この間、シーワールドに行った日だけど、送ってもらって部屋に来てくれるかと思って用意しておいたの……やっと着ることが出来た。似合わない??」
「桜子が想像する以上にオレのハートをぶち抜いたよ。白い肌によく似合っているし清潔な色気が溢れている」
「本当は腰から太腿がもう少しムッチリ感がある方が好いんでしょう??そう言ったよ」
「もう少しムッチリした方が抱き心地が好いのかなって思うけど、桜子は今のままでいい。オレ色になんか染まんなくていいんだよ。見たまま、感じたままの桜子に惚れたんだからね」
「クククッ、どんな言葉でもあなたの口から出ると私を蕩かしてくれる。ねぇ、もう一本ワインを開ける??」
「その風呂で飲んだ残りでいいよ。氷を入れればいいだろう」
「氷を持ってくるね」

空のグラスと氷で一杯にしたグラス、飲みかけのスパークリングワインをトレーで運んできた桜子は、椅子に座りオットマンに足を伸ばした柏木の太腿を跨いで正対する。
「重い??大丈夫??」
「眩しいな……」
「眩しい??夜だよ……えっ、もしかすると、私??」
はにかんで俯く姿が愛おしく、二か月前には存在も知ることのなかった桜子が手を伸ばせば抱きしめられる距離にいることに頬が緩む。
「どうしたの??急に笑った。笑われるようなことをしていないのに……」
「こんなに可愛くて魅力的な桜子が手を伸ばせば届く距離にいる。笑顔になるのはしょうがないだろ」
「ウフフッ、嬉しい……シュワシュワを飲みたい」

グラスに氷を入れてスパークリングワインを注ぎ、桜子の口に近付けると頬を膨らませて首を振る。
ハハハッ……柏木の微笑みはついに破顔大笑するまでになる。
「聞かせてくれないか……桜子と付き合っている積りだけど桜子はどう思っている??返事を聞いてないよ」
「付き合っているかどうかなんて確かめる必要ないでしょう。私は惚れているの、大好きなの。仙台まで来ないかって言われて嬉しかったんだよ」
「ありがとう」
柏木がワイングラスに口を近付けると桜子は目を閉じ、わざとらしく突き出した口を尖らせる。
口移しでワインを流し込むと柏木の背中に回した両手に力を込めてキスをねだる。
舌を絡ませたり重ねたりして自在に蠢き、桜子は切ない思いを両手に込めて背中を擦り、柏木の左手は桜子を支えて右手は頬を擦り、乳房を掬うように揉み始める。
アウッ、ウッ……ハァハァッ……舌が激しく踊り、唇を甘噛みして吐息を漏らし、息を荒げて伝えきれない思いをキスに込める。
桜子は胸を押し付けて上半身を揺すり、乳房で快感を得ようとして動きに激しさを増す。

ワインを飲み干して二杯目を注いだ柏木は氷を摘まんでキャミソールのストラップを氷でなぞる。
「アンッ、冷たい……クククッ、もっとやって」
氷が溶けてなくなるまで左右のストラップをなぞり、唇を押し当ててチュ~チュ~音を立てて吸い取り、グラスのシャンパンを胸に垂らす。
「アンッ、ウフフッ、あなたを挑発しようと思って用意したキャミソールなのに、こんなにされちゃった……ビショビショで気持ち悪い」
太腿を跨ぐ桜子と入れ替わって椅子に座らせ、柏木はオットマンに腰を下ろす。
二つ目の氷を摘まんで複雑なペイズリー柄をなぞるように這わせる。
「クククッ、冷たい」
「似合っているよ」
「二度目にお店に来てくれた時のネクタイはバレンシアガのペイズリー柄だったでしょう。調べてみると今は製造していないデザインだった。大切な人からのプレゼントか好きなデザイン……私は後者に賭けたの、気に入ってくれた??」
「プレゼントじゃないよ、バレンシアガのペイズリー柄は今でも何本か持っているけど十年以上も新作がないのが残念だよ」
「私の身体で遊んで、楽しそうにしているあなたを見ると私は幸せな気持ちでいられる……それに、気持ち善くなりたいし」

桜子を抱きしめて唇を合わせ、濃厚なキスで息を荒げると胸にむしゃぶりついてキャミソールを濡らすワインを吸い取ろうとする。
「クククッ、くすぐったい……イヤンッ、そこも濡れているの??そんな事をされたら気持ち善くなっちゃう」
チュゥ~チュゥ~……胸の膨らみの先端を口に含んで音を立てて吸いつくと艶めかしい声を漏らして柏木の髪を掴んで胸に押し付ける。
「フゥッ~、苦しい、息が出来なくなっちゃうよ」
桜子を抱き起して背中に覆い被さるようにして窓に押し付ける。
「イヤンッ、見られちゃう。他の人に見せたいの??」
「こんなに可愛い桜子だから、それもいいな」
髪に髪を埋めて息を吸い込み、窓に押し付けたまま尻を鷲掴みして、キャミソールと背中の縁に舌を這わせる。
「アウッ、クゥッ~、気持ちいい」
背中から首筋に沿って這い上がった舌が耳をくすぐり穴に入り込む。
ハァッ~、丸めた舌で耳穴を刺激して息を吹きかけると、ヒィッ~と悲鳴にも似た悦びの声を漏らし、全身が総毛だつような気持ち善さに襲われる。

尻を掴んでいた手がキャミソールの裾を捲り上げながら脇腹を撫で上がり、首まで押し上げて噛んで落ちないようにする。
指が顎を撫でて唇を刷くと自然と口が開いて指を舐め始める。
桜子はファラチオを施すような気持ちに酔いしれ、ピチャピチャと音を立てる。
キャミソールの背中側は首まで押し上げられ、ワインをかけられて肌に密着する腹部側も引き上げられて脱がされてしまう。

剥ぎ取ったキャミソールで両手を後ろ手に縛り、痛くないかと静かに問いかける。
「痛くない。優しくしてね……ハァハァッ、昂奮する……ハァハァッ、息をするのさえ苦しい」
何も身につけずに窓に押し付けられた上半身は冷たく感じるはずなのに、身体の火照りのせいで気持ちいい。
ひしゃげた胸の膨らみさえもが心地好く、秘所が嬉し泣きして蜜を滴らせるのを感じる。

桜子 -10

バスルーム

「バラの花に埋もれた桜子を見たいから先に入りなよ」
桜子はバッグからナイトウェアを取り出して身体に合わせ、
「可愛い??」と囁いて嫣然として微笑む。
「家では、いつもそんな格好しているの??」
「どうして??もしかすると、色っぽくて、惚れちゃいそう??抱きしめたいなって思っている??……ダメ、楽しみは後にとっとくの」
柏木が一歩踏み出すと両手を伸ばして制止し、唇を尖らせてキスの恰好をしてバスルームに向かう。

「惚れちゃいそうだよ」
桜子のいなくなった部屋で独りごとを漏らし、冷蔵庫を開けてスパークリングワインを取り出してシールを切り取り、シャンパングラス2脚と共にバスルームに向かう。
「入るよ」
「ありがとう。フラワーバスなんて予想していなかったからドキドキするほど嬉しい……えっ、シャンパン??そうじゃないの、あなたと飲むならスパークリングワインもモエエシャンドン以上に美味しいはず」
ワインとグラスを桜子に手渡し、かけ湯代わりにシャワーブースに入るとわざとらしく柏木を無視してバスタブに浮かぶバラの花を身体の周囲に集め、立ち昇る香りにうっとりした表情を見せる。
桜子の周囲を飾るバラの花は桜子の活き活きとした魅力を際立たせる。
赤や真紅のバラの花の華やかさ、白やピンクの清潔感、黄色い花に感じる可憐な印象は桜子の魅力にそのまま通じる。

バスタブに浸かって屈託なく笑みを浮かべる桜子を挑発するように萎れたままのペニスをしごく振りをすると、満面の笑みと共に掬い取った湯をシャワーブースにかける。
大袈裟に驚いたふりをすると笑顔を浮かべていた表情が文字通り破顔大笑して早くおいでよと手招きする。
シャワーブースを出てバスタブに浸かると、華やかなバラの香りが鼻腔をくすぐる。
「早く開けて」と、スパークリングワインを差し出す。

ストッパーを外してコルクが飛ばないように親指で押さえたボトルを傾け、ガスをゆっくりと抜いて開栓する。
「フフフッ、上手。コルクを飛ばさないしガス抜きも巧くできた、格好いいよ」
「桜子に褒めてもらうと嬉しいな。すごい事をしたような気になるよ」
グラスにスパークリングワインを注いで乾杯する。
冷えたワインが喉を通る心地好さに酔いしれ、冷静さを取り戻すとバスルームを満たすバラの花の香りで幸せな気分になる。
「サプライズは嬉しいけど、洒落たことを何度もされるとあなたの過去に嫉妬しちゃう……初めてお客さまとして迎えた時、あなたは高浜さんに聞かれて、今は付き合っている人がいないって答えていたでしょう??あれは本当なの??」
「あれから2か月近くなるだろう。今は付き合っている女性がいる積りだよ……桜子と付き合っている積りなんだけど、オレの勘違いかなぁ??」
一瞬曇った桜子の表情が真っ赤なバラの花のように輝きを取り戻す。
「クククッ、あなたの触れる場所が私の性感帯だって言ったでしょう。今は耳が性感帯になったようで言葉が心地好い。お口も性感帯かどうか確かめてみて……」

鳥が餌を啄むように互いの唇をつつき、突き出した舌をつつき合い絡ませたりする内に隠しようの無い性的昂奮で瞳が赤みを帯びてハァハァと息を荒げる。
「可愛いよ……オレは桜子と付き合っている積りなんだけど、間違いないよな??」
「アンッ、そんな事は聞かなくても分かるでしょう。私はあなたに惚れているの、一目惚れ」
柏木がワインを口に含むと桜子は目を閉じ身体を寄せてくる。
そっと抱き寄せて唇を合わせ、ワインを流し込むと白い喉を上下して嚥下する。
「ウフフッ、美味しい。辛口のスパークワインって冷やして飲むものだって思っていたけど温かくても美味しい」
「桜子が美味しいって言ってくれるとオレは飲まなくても美味い気分になるよ」
「口移しだと百倍も美味しくなる。バラの花と芳香に包まれてワインを口移しで飲ませてもらう……インフルエンザに罹って辛いと思っていたけど、そのお陰でお休みを貰って仙台のホテルにいる。インフルエンザって好きになっちゃいそう」

「おいで、オレの背中に寄りかかるようにしなさい」
「これでいいの??お顔が見えないのは寂しけど、背中越しに抱きしめられると、あなたに守られているようで落ち着くし幸せな気分になる。いつまでもこのままでいたい気持ちになっちゃう」
「バラの香りに包まれて桜子を抱っこしていられるならずっとこのままでも好いな。ほら、オッパイに自然と触れることが出来るし、下腹部から腰や太腿を撫でることも出来る。フゥッ~、耳に息を吹きかけて、桜子好きだよ……愛を語り、髪に顔を埋めて桜子の匂いを胸いっぱいに吸い込む。桜子のすべてに触れることが出来るような気がする」
「すごく穏やかな気持ちになれる」
シャンパングラスを手に取って口に運び、
「私の味覚はいい加減。シャンパンでもスパークリングワインでも辛口は十分に冷やさないと美味しくないと思っていたけど、温かくなっているのに美味しい」
店での印象は淑やかにして穏やか、静かな女性と思っていた桜子が能弁になり、性的好奇心を隠そうともせずに腕の中にいる。

桜子を背中越しに抱きしめたまま手に持つグラスを桜子の口元に近付けるとゴクゴクと音を立てて飲み干す。
「シャボンまみれの身体を擦りつけて洗いっこしようよ」
柏木はバラの花を集めてトレーに載せ、手にしたボディソープを桜子の胸に谷間に垂らして塗り広げる。
「ダメだ、桜子は触れちゃダメ。オレの楽しみを奪わないでくれよ」
「クククッ、くすぐったい……あなたの身体にも振りかけて、こうするの」
バスタブの中で立ち上がり、向かい合って抱き合った二人は身体の接触を絶やすことなく上下左右に擦り合う。
手の平でソープを掬い取って背中や腿の裏側を擦り、身体を密着させたまま唇を重ねる。
ニュルニュル、ジュルジュルッ……妖艶なバラの香りに覆われていても清潔感のあったバスルームが二人の発する欲情が充満し、卑猥な空気で満たされる。

ボディソープにまみれて身体を擦り合い、気持ちの昂ぶりをぶつけ合った二人は濃厚なキスをしてバスタイムを終わらせる。
「あなたが先に……ベッドで待っていて……」
改めてシャワーを浴びた柏木はバスローブを着けてバスルームを出る。

桜子 -9

二度目のデート

朝食はルームサービスで済ませ、11時過ぎにチェックアウトするまでベッドから離れることなくじゃれ合っても飽きることはない。
二人で朝を迎えるのが初めてと思えないほど気持ちも身体も馴染んでいた。
互いの記憶を身体と心に刻み込もうとしてまさぐり合うと性的渇望が蘇り、自然と男と女の象徴に手が伸びる。
二度目のセックスでようやく欲望が治まり平静を取り戻すことが出来た。
昼食を終えて桜子が住むマンションに送り、美味しいコーヒーを淹れるから寄って行くかという誘いを楽しみは次に取っておくと言って婉曲に断った。

桜子の誘いに嬉々として応じ、ダボハゼのように食らいついた一度目のデートを思うと次はオレが誘うと約束したものの連絡するのを躊躇する。
二週間を過ぎて、そろそろ連絡しないと記憶から洩れるかなと思い始めたタイミングで仙台の近郊に住む友人から誘いを受けた。
日帰りの予定で誘いを受け、これも何かの切っ掛けと思い、帰宅後、連絡することにした

当日、用を済ませて仙台駅に送ってもらったタイミングに合わせたようにスマホが着信を知らせてくれる。
「もしもし、私……分かるでしょう??」
「えっ、うん、分かるよ、もちろんだよ」
「じゃあ、名前を呼んでくれる??」
「桜子ちゃん」
「良かった、忘れられたのかと思っちゃった」
「明日にでも連絡しようと思っていたから驚いちゃったんだよ。それより、どうした??」
「インフルエンザに罹っちゃって寝込んでいたんだけど、完治したって先生のお墨付きを貰ったの。お店からもらった休みは残っているし、それで連絡したんだけど今は何しているの??」
「仙台駅で帰りの新幹線の切符を買うところだよ」
「東京駅、それとも大宮駅??インフルエンザは完治したから迎えに行ってもいいでしょう??」
「……仙台まで来ないか??帰るつもりだったけどホテルを予約するよ。急でムリかな??」
「無理じゃない、すぐに出る。長い間、待たせちゃ悪いもんね」


新幹線ホームから階段を下りてくる桜子は病み上がりとは思えないほど溌溂として歩く姿も凛として格好いい。
周囲を気にする様子もなく柏木に向かって手を振り、気付いた人は桜子と視線の先で微笑む柏木を見比べる。
「待たせちゃった??急いできたんだけど、ごめんね」
「来てくれてありがとう。バッグを持つよ」
バッグを持つ柏木に手を添えて歩く桜子は笑みを絶やすことなく横顔を覗き込み、
「初めての時は私がホテルのラウンジであなたを待っていたでしょう。私はあなただと直ぐに分かった。駅で待っていてくれたあなたは私が直ぐに分かった??ねぇ、どうだった??」
「分かったよ、桜子を見間違うわけがないだろう」
「ウフフッ、惚れているって言っても迷惑じゃないよ」

ホテルを目指して10分ほど歩き、部屋に案内されると桜子の頬が紅潮する。
「青葉山公園ですか??」
天井から床までの窓の向こうに見える景色を指差してベルボーイに問いかける。
「左様でございます。広瀬川を渡れば青葉山公園で政宗像がございます。明日、お時間があるようでしたら散策されるとよろしいですよ」

ベルボーイが退室するとテーブルに視線を移して、この間のシャンパンの様なサプライズがないのかと不満顔になる。
「インフルエンザ完治のお祝いをオプションで用意してもらっているよ。食事から帰った後の楽しみにしておこうか」
「ほんとう??ねぇ、なに??教えてよ……いじわる、ウフフッ」
「牛タンを食べに行こう」
フロントに立ち寄り、何軒かの牛タン専門店を教えてもらって中央通りを国分町に向かって歩く。

「不謹慎な言いかたになっちゃうけど、国分町って震災からの復興途中で賑わったところでしょう??夜の仕事を始めた頃、先輩に聞いたことがある。東京からも流れて行った人がいるらしいって……」
「何かで聞いた記憶があるよ。復興に携わる人たちも人間だから、食欲、睡眠欲、性欲の三大欲求から逃れることはできない。オレの実家は関西で神戸淡路震災の直接の被害はなかったけど、近くのJR駅は被害があったし親戚や友人が被害を被った。数か月前に結婚したばかりの友人もね……震災後、ビルの地下で営業していた風俗店の再開は早かったらしいよ。水さえあればってことでバケツの水で……衣食足りてナントカって言うけど、性欲は生きる力にもなるんじゃないかな」
「クククッ、じゃぁ、牛タンで食欲を満たした後は、性欲、睡眠欲の順で満足させてくれるの??」
「仙台の牛タン、桜子の身体、桜子を抱いて眠る。幸せな夜になりそうだ……桜子に連絡してよかったよ」
「あのね、連絡したのは私。あなたじゃない、忘れたの??」
「ごめん、そうだった。明日連絡する積りだったから勘違いしちゃった」

地下に続く階段を下りた店で定食、牛タン冷しゃぶ、牛タンスモークなどを堪能し、
「せっかくの国分町、どこかで飲んでいこうか??」
「ホテルのバーでもいいし、部屋でも飲める。帰ろうよ」
高浜に言わせると、店では凛として口説く隙も見せてくれないという桜子が柏木の腕を巻き込むようにして歩くのを見ると、どう反応するかと思うと自然と表情が緩む。
「どうしたの??ニヤニヤして気持ち悪い」
「えっ……桜子のような好い女と歩いていると思うと嬉しくなっちゃうのはしょうがないだろう」

ホテルに戻った桜子は欲情を隠そうともせずにキスをねだり、お風呂の準備をしてくるねとバスルームに向かう。
桜子の喜ぶ顔を想像するとこみ上がる笑みを堪えることが出来ず、フンッと咳払いをしてコーヒーメーカーをセットする。
「大好き……花を浮かべたバスなんて南国のリゾートホテルみたい。お湯を足せばいいんだよね」
「花に埋もれてバスタイムを楽しむ桜子。桜の花じゃないと思うけど似合うだろうな。コーヒーを飲む??」
「うん、飲む、バスタイムは昂奮を鎮めてからにする」


桜子 -8

ピロートーク

湯を張ったバスタブに浸かり夜の東京湾を照らす煌びやかな夜景に魅せられる柏木はバスルームのドアが開く気配に視線を向ける。
柏木に視線を向けることなくシャワーブースに入り、背中を見せたまましゃがみ込んで股間を洗い終えると振り返り、羞恥を浮かべてニコッと微笑む。
邪知のない可憐な笑顔に股間が反応しそうになり、両手で湯を掬ってブルブルッと顔にかける。
「私の背中を見たい??それとも正面??」
「桜子の顔を見ていたい」
「ウフフッ……これでいい??」
足を伸ばしてゆったり浸かることのできるバスタブの反対側に入り、足を絡めるようにして顔を見合わせると柏木は視線を外して夜景を見る。

「私に興味がないの??それとも意気地なしって呼ばれたい??」
「そうだな……興味はあるよ。桜子に興味がないって言うほど野暮じゃない」
「ウフフッ、意気地なしなんだ……こんな風にするとドキドキする??」
柏木の両足を跨いで少しずつにじり寄り、顔が接するほど近付いていく。
「私に興味がないわけじゃないんでしょう??どうして顔を逸らすの??」
「困らせるなよ。オレは自信家じゃないから、そんなことを言われても……」
「出ようよ。続きはベッドで問い詰めてあげる」
「取り調べのようだね」
「そうだよ、覚悟してね」

カーテンを開け放ったままナイティを着けてベッドに上がるとサラサラとしたシーツの感触が心地好く自然な振る舞いで柏木は左腕を伸ばし、桜子もまた当たり前のように腕枕される。
「幸せ……はしたないと思われたらどうしようと思いながら誘って良かった。断られたら店を辞めたかもしれない。そうなったら、あなたの責任だったんだよ」
「次もアリなら、オレが誘ってもいいか??」
「あれっ、今度はあなたが誘ってくれるって約束したのを忘れたの??お店は遠いから高浜さんに誘われた時だけで勘弁してあげる。店の外で会いたいの、忙しいって言うなら私があなたの家まで行くよ」
「オレが愛撫する処が性感帯になると言ってくれたけど、琴線に触れるとは桜子がオレにかけてくれる言葉の事だよ……」
「ウフフッ、ほんとう??じゃぁ、ご褒美を頂戴」

腕枕したまま体重をかけないように覆い被さり額に掛かる髪を整えると眩しそうに見上げて、
「早く、焦らしちゃ嫌」
柏木は舌を突き出して唇をつつく。それに応えるように桜子の舌が這い出て宙でつつき合い絡みつく。
舌が躍り、絡み合う二人は昂奮で息を荒げる。
ハァハァッ……ジュルジュル、ヌチャヌチャッ……桜子の上下の唇を甘噛みして舌先で唇を刷くと、柏木の首に両手を回して抱き寄せ、焦らすのは嫌だと言わんばかりに濃厚なキスを自ら仕掛ける。
覆い被さる柏木がゾロリと唾液を流し込むと瞳を真っ赤に染め、白い喉を上下して嚥下する。

クククッ……再び腕枕をしたまま横たわる柏木を見ることもなく暗い天井を見つめたまま桜子は思い出し笑いする。
「どうした、気持ち悪いな。何か思い出しちゃったか??」
「だって、おかしいんだもん。同伴でしゃれたお店や高級な食事をごちそうになることはあるけど、シャチのショーを見て水浸し……あんなに笑ったのは久しぶり」
「しゃれた店を知らないし、桜子に喜んでもらおうと考えたらシャチに思い至っただけだよ。おかしいか、そうか、そうだよな、ゴメン」
「誤解しないでよ、楽しかったんだから。食事を終えてこの部屋に戻った時、シャンパンを用意してくれたでしょう……しゃれた店を知らない人のする事じゃないよ。あなたの過去に嫉妬しちゃいそう」

「退職してからも高浜さんともう一人、三人の付き合いはずっと続いているんでしょう、いい事を教えてあげようか」
「うん、聞きたい」
「どうしようかな……ただじゃ嫌、ご褒美をくれたら教えてあげる」
柏木は右手の人差し指で桜子の左胸をつつく。
「アンッ、ポッチンに当たったけど、これじゃご褒美じゃない」
胸の膨らみの先端を指先で擦り、腕枕した左手が右胸の麓をヤワヤワと揉み始める。
「イヤンッ……クゥッ~、ねっ、言ったでしょう。あなたの触れる処が私の性感帯」
「嬉しい事を言うね」
指の腹で擦り、手の平で擦る。手の平がくすぐったく感じるまで円を描くように蠢かすと、桜子は眉間に皴を刻み、舌が唇を這う。
「アンッ、そんな事をされると……ウッ、クゥッ~、もう一度、抱いてくれるの??我慢できなくなっちゃう」
「好い事って何か、教えてくれるんだろう??」
「アンッ、意地悪……」
柏木の指が先端を摘まんでキュッキュッと捻ると目を閉じ、下唇を噛んで顔を仰け反らせる。
白い喉が艶っぽくて思わず唇を重ねようとすると、桜子が目を開ける。

「男の人には可愛げのない女に見えることもあるらしくて、しばらく男性と親しく付き合ったことがないの……それで、高浜さんに好い人いないかなって言ったら、居るよ。気に入るかどうか分からないけど、気後れすることなく桜子ちゃんの相手をする男がって、今度連れてくるからって言ってくれたのが柏木さんだったの」
「光栄だね、ハマはオレの事を何て言ったの??」
「クククッ、背の高い桜子ちゃんにサイズ負けすることはないし、上品で清楚、加えてスケベな好い女が好き……酷い言いかたでしょう。元同僚って聞いたから、粗野でがさつ、何か問題を起こしてクビになった男性を想像したの」
「それはヒドイな。桜子が悪いのかハマの言いかたが悪いのか分からないけど。で、印象は崩れた男って事だったのか」
「言ったでしょう、崩れたって言うのは好印象だって、会社帰りでスーツ姿のお客様が多いから新鮮だったの。それに一目惚れしたから……ウフフッ、今は腕枕をしてもらっている。私の印象がどうだったのか聞かせて……」

胸の膨らみを包み込むように添えた手を動かすこともなく、耳元に顔を近付けて息を吹きかける。
「イヤンッ、あなたの触れる場所が性感帯になっちゃうんだよ。気持ち善くなったら責任取ってくれる??」
「クククッ、桜子が相手なら一晩に3回は出来るだろうな、試してみるか??」
「バカッ、無理しなくていいよ。ねぇ、私の印象を聞かせて」
「水割りを作るとき流れるような動きで無駄がない。姿勢が好いし、表情が良かった。無理に合わせようとして不自然な笑顔を浮かべることはないし、凛として格好良かったよ」
「じゃぁ、どうして誘ってくれなかったの??」
「自信家じゃないから、桜子のような好い女を口説くには水割りの量が足りなかった」
「酔っぱらわせないと口説いてもらえなかったんだ。ザンネン……はしたないかなと思ったけど私が誘って正解だったんだ。ウフフッ、ねぇ、私の事が好き??」
「あぁ、好きだよ」
「指切りして、ねぇ、指切り……私の事を誘って店の外で会うって約束してよ」

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のます、指切った……約束したよ」
「これからはオレが誘うって約束するよ」
「うん、安心したら眠くなった。寝るのは時間がもったいないけど、楽しい明日は寝ないと来ないもんね」
「夢ン中で桜子がドッカへ行っちゃわないように腕枕してるよ」
「私が迷子にならないように心配してくるの??嬉しい」
「おやすみのキスをしよう」
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

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