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桜子 -10

バスルーム

「バラの花に埋もれた桜子を見たいから先に入りなよ」
桜子はバッグからナイトウェアを取り出して身体に合わせ、
「可愛い??」と囁いて嫣然として微笑む。
「家では、いつもそんな格好しているの??」
「どうして??もしかすると、色っぽくて、惚れちゃいそう??抱きしめたいなって思っている??……ダメ、楽しみは後にとっとくの」
柏木が一歩踏み出すと両手を伸ばして制止し、唇を尖らせてキスの恰好をしてバスルームに向かう。

「惚れちゃいそうだよ」
桜子のいなくなった部屋で独りごとを漏らし、冷蔵庫を開けてスパークリングワインを取り出してシールを切り取り、シャンパングラス2脚と共にバスルームに向かう。
「入るよ」
「ありがとう。フラワーバスなんて予想していなかったからドキドキするほど嬉しい……えっ、シャンパン??そうじゃないの、あなたと飲むならスパークリングワインもモエエシャンドン以上に美味しいはず」
ワインとグラスを桜子に手渡し、かけ湯代わりにシャワーブースに入るとわざとらしく柏木を無視してバスタブに浮かぶバラの花を身体の周囲に集め、立ち昇る香りにうっとりした表情を見せる。
桜子の周囲を飾るバラの花は桜子の活き活きとした魅力を際立たせる。
赤や真紅のバラの花の華やかさ、白やピンクの清潔感、黄色い花に感じる可憐な印象は桜子の魅力にそのまま通じる。

バスタブに浸かって屈託なく笑みを浮かべる桜子を挑発するように萎れたままのペニスをしごく振りをすると、満面の笑みと共に掬い取った湯をシャワーブースにかける。
大袈裟に驚いたふりをすると笑顔を浮かべていた表情が文字通り破顔大笑して早くおいでよと手招きする。
シャワーブースを出てバスタブに浸かると、華やかなバラの香りが鼻腔をくすぐる。
「早く開けて」と、スパークリングワインを差し出す。

ストッパーを外してコルクが飛ばないように親指で押さえたボトルを傾け、ガスをゆっくりと抜いて開栓する。
「フフフッ、上手。コルクを飛ばさないしガス抜きも巧くできた、格好いいよ」
「桜子に褒めてもらうと嬉しいな。すごい事をしたような気になるよ」
グラスにスパークリングワインを注いで乾杯する。
冷えたワインが喉を通る心地好さに酔いしれ、冷静さを取り戻すとバスルームを満たすバラの花の香りで幸せな気分になる。
「サプライズは嬉しいけど、洒落たことを何度もされるとあなたの過去に嫉妬しちゃう……初めてお客さまとして迎えた時、あなたは高浜さんに聞かれて、今は付き合っている人がいないって答えていたでしょう??あれは本当なの??」
「あれから2か月近くなるだろう。今は付き合っている女性がいる積りだよ……桜子と付き合っている積りなんだけど、オレの勘違いかなぁ??」
一瞬曇った桜子の表情が真っ赤なバラの花のように輝きを取り戻す。
「クククッ、あなたの触れる場所が私の性感帯だって言ったでしょう。今は耳が性感帯になったようで言葉が心地好い。お口も性感帯かどうか確かめてみて……」

鳥が餌を啄むように互いの唇をつつき、突き出した舌をつつき合い絡ませたりする内に隠しようの無い性的昂奮で瞳が赤みを帯びてハァハァと息を荒げる。
「可愛いよ……オレは桜子と付き合っている積りなんだけど、間違いないよな??」
「アンッ、そんな事は聞かなくても分かるでしょう。私はあなたに惚れているの、一目惚れ」
柏木がワインを口に含むと桜子は目を閉じ身体を寄せてくる。
そっと抱き寄せて唇を合わせ、ワインを流し込むと白い喉を上下して嚥下する。
「ウフフッ、美味しい。辛口のスパークワインって冷やして飲むものだって思っていたけど温かくても美味しい」
「桜子が美味しいって言ってくれるとオレは飲まなくても美味い気分になるよ」
「口移しだと百倍も美味しくなる。バラの花と芳香に包まれてワインを口移しで飲ませてもらう……インフルエンザに罹って辛いと思っていたけど、そのお陰でお休みを貰って仙台のホテルにいる。インフルエンザって好きになっちゃいそう」

「おいで、オレの背中に寄りかかるようにしなさい」
「これでいいの??お顔が見えないのは寂しけど、背中越しに抱きしめられると、あなたに守られているようで落ち着くし幸せな気分になる。いつまでもこのままでいたい気持ちになっちゃう」
「バラの香りに包まれて桜子を抱っこしていられるならずっとこのままでも好いな。ほら、オッパイに自然と触れることが出来るし、下腹部から腰や太腿を撫でることも出来る。フゥッ~、耳に息を吹きかけて、桜子好きだよ……愛を語り、髪に顔を埋めて桜子の匂いを胸いっぱいに吸い込む。桜子のすべてに触れることが出来るような気がする」
「すごく穏やかな気持ちになれる」
シャンパングラスを手に取って口に運び、
「私の味覚はいい加減。シャンパンでもスパークリングワインでも辛口は十分に冷やさないと美味しくないと思っていたけど、温かくなっているのに美味しい」
店での印象は淑やかにして穏やか、静かな女性と思っていた桜子が能弁になり、性的好奇心を隠そうともせずに腕の中にいる。

桜子を背中越しに抱きしめたまま手に持つグラスを桜子の口元に近付けるとゴクゴクと音を立てて飲み干す。
「シャボンまみれの身体を擦りつけて洗いっこしようよ」
柏木はバラの花を集めてトレーに載せ、手にしたボディソープを桜子の胸に谷間に垂らして塗り広げる。
「ダメだ、桜子は触れちゃダメ。オレの楽しみを奪わないでくれよ」
「クククッ、くすぐったい……あなたの身体にも振りかけて、こうするの」
バスタブの中で立ち上がり、向かい合って抱き合った二人は身体の接触を絶やすことなく上下左右に擦り合う。
手の平でソープを掬い取って背中や腿の裏側を擦り、身体を密着させたまま唇を重ねる。
ニュルニュル、ジュルジュルッ……妖艶なバラの香りに覆われていても清潔感のあったバスルームが二人の発する欲情が充満し、卑猥な空気で満たされる。

ボディソープにまみれて身体を擦り合い、気持ちの昂ぶりをぶつけ合った二人は濃厚なキスをしてバスタイムを終わらせる。
「あなたが先に……ベッドで待っていて……」
改めてシャワーを浴びた柏木はバスローブを着けてバスルームを出る。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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