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彩―隠し事 187

獣欲 -1

洗濯や掃除を手早く済ませて夕食の準備も終えた優子は仕事の資料をリビングに持ち込み、彩から優子に戻った丁度そのタイミングで夫が帰宅する。
「ただいま……これはお土産」
「おかえりなさい、疲れたでしょう。お風呂の用意もできているけど、どうする??」
お土産を受け取った彩は自分でも驚くほど素直に労いの声をかけ、夫はテーブルに顔を近づけて食欲をそそる匂いに表情を綻ばせ、食事を先にすると伝える。
ぎこちなさは残るものの以前のよそよそしさは少なくなり、連休中の話題を避けて点けっぱなしのテレビを話題にして楽しく食事を済ませる。
夫が出張の話題を避けるのは同行したはずの不倫相手とのことがあるからだろうが、彩がその間どう過ごしたのかと聞かれることがないので安心できる。
食後の後片付けも手伝ってくれた夫は、
「先に風呂に入らせてもらう。疲れたからそのまま寝るよ、おやすみ」
「おやすみなさい」

昔のように身体を寄せることも愛を語ることも無かったが久しぶりに屈託のない夫の笑顔を見た気がする。
夫の笑顔の裏に不倫という事実があり、優子がそれに気づいているかどうか不安に苛まれていたのが笑顔と共に食事できたので安心できたのだろう。
優子の笑顔は彩に変身して妖しい思いを現実のものとし、更にもう一歩進もうとしていることを隠すためのもの。
浮気している夫を嫌いになれない。彩に変身して浮気しても夫を忘れることができない。
夫を愛し、夫に愛された幸せな日々を忘れることができない。忘れるとその時の自分を否定するような気がする。
明日からの仕事の確認と準備を終えた優子は入浴の準備をする。
タオルに続き下着を手に取ると彩の心を縛るプラチナチェーンを思い出して手が伸びる。

温かい湯に浸かり目を閉じると健志が思い出される。
健志の顔を打ち消そうとして目をこするとアキラの顔が浮かび、夫を思い描こうとしても現れてくれない。
ハッとして目を開けると目の前に夫が立っている。
「どうした……の……ウフフッ、気のせいか。どうかしている」
彩に変身して浮気どころか見ず知らずの男に抱かれようとする欲望を抑えろと罪深さを注意されているのかと思って身震いする。
何げなく全身に手を這わせると指先がプラチナチェーンに触れて躊躇する気持ちは霧散し、全身の血が滾るような高揚感で欲情が沸々と育つのを感じる。

「栞、おはよう」
「おはよう。優子は三連休をどうしていたの??……私は大変、旦那様の嫉妬がメラメラ、沸々、縛られたり舐められたりオモチャを三つの穴にぶち込まれたりで身体が持たない。連休はもういらない、フフフッ」
「三つの穴って……前と後ろと……」
「後ろ手に縛られてオッパイが歪になるほど縄を掛けられたの。シックスナインの格好で優子の言う前と後ろをオモチャで可愛がられて口マンコはこれでも咥えてろってチンポを舐めさせられちゃった。アソコはグチャグチャッ、ドロドロで口は涎がダラダラ、最後は溢れんばかりの男汁をお口に吐き出されちゃった。気持ちよかったなぁ」
「そう、そうなの、よかったね、栞」
「ごめん、優子は寂しい三連休……ごめん、一人で楽しい……ごめん、ごめんなさい」
「クククッ、いいよ、栞、気を遣わなくても私なりに幸せな三連休だったから」
「えっ、指とオモチャが友達で満足できる身体になっちゃったの??チンポが必要な時はいつでも紹介するから言ってね。遠慮なんかしなくていいよ」
いつもと変わらない栞のあけすけな話に毒気を抜かれ、親友を相手の隠し事はなくそうと思っていたが話すきっかけをなくしてしまう。
栞が言うには時間の許すかぎりご主人の責めは続き、帰るなり素っ裸にされて命じられれば寝室だけではなくバスルームや食事中にもご奉仕させられるという。そう話す栞の頬は紅潮して、嫌がるどころかオチンポをしゃぶりながら股間を濡らしてしまうともいう。
転勤が理由で清算した課長との不倫は、ご主人の責めが待ち遠しくて家に帰るのでこの先、会うつもりはないと伝えたという。
栞の抜け目のなさと要領の良さをご主人は信じているらしく、
「この次はAVに出演させようか、それとも僕の前で他人棒に犯させるか、あるいはレズッ気のある女性に一晩預けようか」などとネチネチ言葉責めも交えるらしい。
栞の様子から当分の間、お泊りに来ることはなさそうで心を縛られているプラチナチェーンを見られることはなさそうだと安心と隠し事を続ける申し訳なさが綯い交ぜになる。

新任課長は以前、仕事を一緒にしたこともある先輩で優子がプロジェクトリーダーとなっている仕事にも理解があり支障をきたすことなく進んでいる。
仕事も栞とも関係もこれまで通り、変化のないことが順調と感じられる。
夫は不倫している引け目と優子が浮気を感づいていないかもしれないという安心感で、接するぎこちなさが薄くなり自然体で振舞ってくれている気がする。
優子は彩に変身して健志との浮気を楽しみ、以前から身体の奥に棲みついていた妖しい欲望を一つまた一つと現実のものにし、それがきっかけとなって夫に対する不満やイライラすることがなくなり、それが二人の関係にあったぎくしゃくした感情を薄めているように思う。

仕事も夫との関係も不安に思うことがなく、栞がお泊りに来ることは当分なさそうで下腹部を飾るアクセサリーの秘密を話すこともなさそうだと安堵する。
安心感が独り寝の夜の卑猥な思いを育て、指が自然と股間に伸びてオナニーに耽る。
唇を噛んで漏らしそうになる喘ぎ声を堪え、目を閉じて妄想の世界に遊ぶと浮かんだ健志の顔が銀細工職人の顔に変わり、肌をまさぐる繊細な指の動きに足を突っ張り、気付くと指がオマンコに没してグチャグチャ、ヌチャヌチャと卑猥な音を奏でる。
暗い天井を見つめ、健志に会いたいと呟いて太腿で挟んだ枕に股間を押し付ける。

連休明けの火曜から金曜まで仕事でも栞や夫との関係にも何の憂いも残さず、あっという間に過ぎて終業時刻を迎える。
「鍬田さん、打ち合わせを兼ねて1時間ほど時間をいただけませんか??勿論、深沢さんも一緒に」
「私は構わないけど栞…深沢さんはどう??」
「オマケの私が色々言うのは申し訳ないけど、主人と約束があるので1時間なら大丈夫です」
「深沢さんは新規事業の渉外関係を担当しているんだろう??事業全般の現状と経過を知っておきたい。もちろん口出しすることはないから安心していいよ」

仕事が残っているので申し訳ないけど社外ではなく会議室でいいだろうということで移動する。
「改めて、お久しぶりです。当時は先輩として色々教えていただき、今度は直属上司としてご指導いただきます。よろしくお願いいたします」
「私こそ宜しくお願いします。鍬田さんを頼りにしています……会社は事情を知らないからしょうがないけど、わだかまりナシで頼むよ」
「あの~、以前お二人が一緒に仕事をしたのは知っていますが、それ以外にも事情があるようなので私は失礼します」
「あっ、ゴメン。前任課長から二人は学生時代からの親友だと聞いています。深沢さんにだけは本当のことを話しておきます」
「はい……でも、私のことは気になさらないでください」
「いや、過去の事情を聴いてもらった方がすっきりするよ……ご主人と結婚するというのを知らなくて鍬田さんにプロポーズしたんです。思い出すと今でも冷や汗が出ます……今は私も結婚して妻を愛しているので懐かしい思い出です。そういうことです」
「ごめんなさい……」
「深沢さんが謝ることはないよ。この話はこれでお終いということにしてください」
その後は新規事業を中心に課長の部下としての仕事などを確認し、予定より早く40分ほどで話は終わり、優子と栞は会社をあとにする。

「優子と課長にそんな過去があったなんて知らなかった」
「栞に話すのは課長に失礼かなと思って黙っていた。当時は課長じゃなかったけどね、ごめんね」
「当然だよ、私にも秘密にする優子が正しい……焼けぼっくいに火がつく、その時は教えてね、社内不倫の先輩としてイロエロ教えてあげる」
「ばかっ、そんなことにはならないよ……それじゃぁね、ご主人に苛めてもらってヒィヒィ善がり啼きしなさい」
「妬いてんの、バイバイ。また月曜にね」
「月曜まで、ごきげんよう。クククッ」

焼けぼっくいか、何人も同時に付き合えるほど器用な女じゃないよ。
車窓を流れる景色を見ながら思い出すのは課長でもなく夫でもなく健志のこと。
自然と手は腰を擦りプラチナチェーンを意識する。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
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夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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