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彩―隠し事 395

温泉-2

「フゥッ~、気持ちいい……やっぱり、温泉は最高。そうだ、ねぇ、温泉の効能はってヤツをやってよ」
仲居さんがいなくなると同時に身に着けた衣服を脱ぎ捨てて露天風呂に飛び込んで満足気な表情の彩は、ジーパンやシャツ、下着を拾い集める健志に声をかける。
「彩が望むならやるけど、笑うなよ……石和温泉は湯量が豊富で泉質はアルカリ性単純温泉、効能はめんどくさいことはポイで肌がすべすべになる美肌の湯として知られています」
「美肌の湯か……本当だ。肌がツルツル、スベスベになったような気がする」
左手を見せつけるように高く掲げ、右手で肩から手首まで擦った彩は肌の感触を確かめて笑みを浮かべる。

「気持ちよさそうだな……オレも入ろうかな」
シャツを脱ぎベルトのバックルに手を伸ばす健志が近付くと、
「ダメ、お酒を飲みながら彩の入浴シーンを堪能するんでしょう??今は彩が露天風呂を貸切りなの」
二人で入っても手足を伸ばしてゆったり浸かれそうな湯船で彩は嫣然と微笑む。
「やっぱり可愛いなぁ。家に戻んないでここに来てよかったよ」
湯に浸かることを拒否されても健志は笑みを絶やすことなく頬は緩み、目隠しの竹フェンスの遥か向こうに連なる山々を背景に手足を伸ばしてリラックスする彩を見ると、前夜、紗矢ちゃんとケンちゃんを相手に淫ら遊戯で身悶えた妖艶さは姿を消して成熟した女性のしっとりした色気を漂わせ直ぐにも抱きしめたくなる衝動を堪える。
「モエ・エ・シャンドンを飲みながら可愛い彩の入浴シーンを見学するよ」

ポンッ……無駄のない動きで開栓し、フルートグラスに注いだモエ・ロゼ・アンぺリアルのピンク色とフレッシュな香りを堪能した健志は口に含み酸味と喉越しを楽しんだのちに二脚目のグラスにも注いで彩に手渡す。
「口移しで飲みたかったのに……」
「オレも口移しで飲ませてあげたいけど、せっかくのロゼ・アンペリアルに失礼な気がする。美しい色や香りを確かめて爽やかな喉越しを楽しまなきゃ」
「そうね、最初から口移しじゃ、せっかくのモエシャンに失礼かも……きれいなピンク色……」
フルートグラスを近付けてピンク色に頬を緩め、ゆっくり揺すって香りを立たせて息を吸い込み、満足感と共に目を閉じて口に運んだグラスを傾ける。
白い喉を見せてゴクッとモエシャンを嚥下した彩は、
「やっぱり、シャンパンは美味しい。シュワシュワを飲むときはシャンパンが好いな」
「彩と飲むときは、モエシャンのロゼ・アンペリアムにするよ。ピンクのシュワシュワが彩の白い肌や清潔感に似合う」
「辛口なのが健志の好みでしょう……トマトのカプレーゼが美味しそう。食べさせて……はやくぅ……」
怒ったように告げる彩の表情は緩み、甘く伸びる語尾に健志の股間がピクッと反応しそうになる。
トマトとモッツァレラチーズをフォークで突き刺して彩の口元に近付けると、
「危ないし、まとめてお口に入らない」
フォークから外して半分に切ったトマトとモッツァレラを咥えると、ウフフッと笑みを浮かべた彩は濡れた手を健志の首に回して抱き寄せ、唇を近付ける

「美味しい……椅子に戻ってもいいわよ。彩の入浴シーンを見たいでしょう??」
「ワインを飲みながら可愛い彩を見ることにするよ」
体よく露天風呂のそばを追い払われた健志は不満を漏らすことなくグラスに残ったワインを飲み干し、シュワシュワと立ち昇る泡を見ながら二杯目を注いで部屋に戻り、濡れ縁につながる掃き出し窓のカーテンを引き、手足を伸ばす彩を覗き見する。
「クククッ、いやらしい……昔々、純情で清楚な可愛い少女がいたんだって……隣家の1コ下の男子がカーテンに隠れて着替えを覗き見しているのを気付いたのに気付かない風を装ってブラもパンツも脱ぎ捨て、素っ裸になって着替えをしたんだって。そんなことは初めてだったのに、身体の芯から熱くなって頭ン中は止めようって言っているのに手が勝手に動いてスッポンポン。ゾクゾクするような感覚に捉われて妄想が徐々に育っていったんだって」
「ふ~ん、彩よりも可愛い少女だったらオレも覗き見したかったなぁ」
「彩よりも可愛い人がいたら乗り換えちゃうんだ。ふ~ん、そうなんだ……」
「クククッ、惚れている彩を差し置いて他の女性に惹かれるはずがないと知っているのに拗ねた振り、可愛いなぁ」

カーテンの向こうに姿を隠した健志は見えないけれど、惚れていると臆面もなく話す言葉に相好を崩す表情を見せまいとして背中を見せる。
「彩の背中って色気がある??」
「オレの目には色気ムンムンだよ。モデル体型でスタイルが好いって言われる女性よりも要所要所にメリハリのある彩のような女性が好きだよ。肩のラインが象徴するのはスポーツを愛する健康な身体、張りのあるオッパイ、ウェストの括れに続く腰から太腿に続くムッチムチのラインは、色気というよりもエロケを感じさせる」
「プレイボーイのシンボル、バニーガールのウサチャンのように性欲が強いって言いたいんでしょう??」
「そう言っても怒らないといいけど……」
「怒ったりしないよ。機嫌を損ねたらこんな格好はしないでしょう??」
背中を向けたまま肩越しに健志を見つめた彩は位置を変え、露天風呂の縁に頭を置いて伸ばした両脚も縁に伸ばして仰向けに寝る。
15時前の日差しをまとった白い肌は温泉に浸かっていることもあって艶々と輝き、胸や股間を剥き出しにしても健康的な色気を撒き散らす。

「スケベな覗き見さん、可愛い女のオッパイやツルツルマンコを見て催しちゃった??」
「えっ……どうして分かるんだよ」
挑発するような彩の格好を見ても健康的な美しさに目を細める健志は、欲情を催すほどに刺激されていないのに言葉に合わせて昂奮している振りをする。
「クククッ、彩が露天風呂に一緒に入ってあげないって言ったから、カーテンに隠れて覗き見をしているんでしょう。オチンチンがビンビンになって、先っぽから涎を滴らせているのを想像できるよ」
「なぁ、彩。エロイことは置いといて馬券を買いに行かないか??」
「ウインズ石和??……行きたい。明日のローズステークスの前売りを買いたい」
時刻を確かめた彩は大急ぎで身体を拭き、出かける準備をする。

「彩はオルフェーブル産駒のメモリーレゾンを軸にして馬連と3連単で勝負する。オルフェーブルの阪神大章典を思い出したから、その産駒を応援しなきゃ」
「オレはマイシンフォニーを軸の三連複にする。春は主戦の武豊騎手にウォ-ターナビレラという有力馬がいたからだと思うけど出走レースに首をひねることがあったし、凱旋門賞出走のドウデュ―スと同じ馬主、はなむけ代わりの激走期待」




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ちっち

Author:ちっち
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