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彩―隠し事 365 

余波 -22

カーテンを開け放った窓から忍び込む9月の陽光が好きな男の匂いに包まれて眠る彩の顔をくすぐる。
「うぅぅ~ン、眩しい……えっ??」
手を伸ばしてもあるはずの感触はなく、眠気眼で男を探してもベッドはおろか寝室の何処にも姿がない。
ベッドを降りた彩はドア越しに気配を確かめ、わずかに開いた隙間から覗くと鼻歌交じりで楽しそうに朝食を作る健志の後ろ姿が見える。
「おはよう」と、声を掛けそうになるのを両手で口を塞いで防ぎ、満面の笑みでベッドに戻る。
「フフフッ、やっぱり彩に惚れているな、あれは……クククッ」
忍び笑いは堪えようもなく、漏らすまいとすればするほど嬉しさと幸福感がこみ上げてくる。
健志が使っていた枕を顔に押し付けて漏らしそうになる笑い声を堪えていると突然ドアが開く。

「おはよう。食事の用意ができたよ。持ってこようか??」
「朝なの??まだ早いよ、真っ暗じゃない」
「クククッ、可愛いなぁ、彩は。枕を顔に押し付けたんじゃ真っ暗なはずだよ」
枕を外した健志は、チュッと音を立てて額に唇を合わす。
「これで明るくなっただろう。追い出すわけじゃないけど大切な仕事があるんだろう??」
「そうだ、起きなきゃ……ウ~ン、タマゴの好い匂い、あとはなんだろう??」
小首を傾げて考える彩の可憐な様子にドキッとする健志は、
「昨晩からベランダではハダカンボになるルールになったような記憶があるけど、朝はルール外ってことにしようか、どう??」
「うん、彩もそう思っていた」
「ベランダに運んどくよ……チュッ」
頬に両手を添えて、鼻頭に唇を合わせると健志は背中を見せて遠ざかる。
もう少し遊んでくれてもいいのにと後姿に口を尖らせた彩は、ヨシ、と自らを励ます声をかけて起き上がる。

ベランダのテーブルには寝室の開け放ったドア越しに匂っていたオムレツ、塩代わりに塩昆布を加えてネギやソーセージがたっぷりのオートミール、温野菜と湯気と香りが食欲をそそるミルクティなどが並んでいる。
立ったままテーブルを見つめて舌なめずりする彩は健志の視線を意識して頬を緩め、両手をついて突き出した尻を健志に見せつけてリズムよく左右に揺する。
出勤前に相応しくない姿の彩は白い短パンで腰の辺りのラインに視線を惹きつけてムッチムチの太腿を見せつけ、ピンクのノースリーブは脇チラと柔らかな二の腕を強調して成熟した女性らしい清潔な色気を醸し出し健志の性感を刺激しようとする企みは十分に果たしている。
「イヤな女だな、彩は……時間がないのにオレをその気にさせるようなことをして。その挑発に反応してしまうオレもどうかと思うよ」
「どうして??好い女を見て色っぽいな、抱きたいなと思うのは男として当然の反応だし、何も感じないとすれば、それはそれで失礼だと思うよ……ウフフッ、美味しそう、いただきます」

温野菜を頬張り、オムレツにスプーンを入れた彩は、
「チーズオムレツだ。フワフワ、トロットロで美味しそう……パセリもいい感じ。パンに乗っけて食べたかったな」
「ごめん、今度はオートミールじゃなく、パンを用意しとくよ」
「いいの、欲には限界がないから我慢しなきゃね。色っぽい彩を見てもオチンチンを出さずにチンポウしている誰かさんみたいにね、クククッ」
「ヒデェ駄洒落だな」
本気とも冗談ともとれる会話も楽しく、残暑の気配を残す朝も苦にせずに朝食を摂る。

出勤準備をする彩を鏡の中に見つめる健志が、
「会社の近くまで送るからね」と言うと、
「駅まで歩きたいから送ってもらわなくてもいい。ベランダで手を振って見送ってくれる健志の視線を背中に受けて駅に向かうって、アソコがジュンとするほど幸せな気分になると思うから試したいの」
「クゥッ~、たまんない。彩の言葉でオレの息子はビンビンダラダラになりそうだ」
化粧を終え、前日のスーツに替えて健志の部屋に置いてあったビジネススーツを着けた彩は鏡を離れて健志の前に立つ。
「どう、きれい??それとも可愛い??……下着を着け忘れたから穿かせてもらえる??」
「ウ~ン、上品で可愛い。彩を見るだけ水割りを2杯は飲めるよ。1杯目でドキドキして2杯目で猛獣になる。とびっきり強いオスの獣にね」
「アンッ、そんな言葉を聞かされると我慢できなくなる。今日は休んじゃおうかな」
「クククッ、休んじゃいなよ。仕事着のスーツを脱いで、この部屋での制服のスッポンポンになろうか」
「魅力的な誘いだけど……いつまでも彩のままではいられない」
「そうだね……どっちにする??右手それとも左手??」
右手に白いショーツ、左手にプラチナチェーン下着を持って意地悪な笑みを浮かべる。
「どうしようかな??そうだ、彩は目を閉じるから、右手と左手の下着を持ち換えて分からなくしてくれる??」

左手を揺すって、ガチャガチャとプラチナチェーンの擦れる音を立てる。
「右手のパンツを穿かせてくれる」
右手のショーツをテーブルに置き、プラチナチェーン下着を右手に持ち替えると同時に彩は閉じた目を開く。
「残念、オマンコ丸出しパンツを選んじゃった」

カチッ……アンッ……導かれるままプラチナチェーン下着に足を通した彩は、鍵をかけられると艶めかしい声を漏らして両足がフルッと震える。
「行ってくるね。金曜日は食事前に着替えたいから早めに帰ってくるようにする」
「連絡してくれれば迎えに行くよ」

下り坂を駅に向かって歩きながら振り返ると、満面の笑みで手を振る健志に胸が熱くなる。
再び歩き始めて背中に感じる視線は予想したように股間を刺激するほど性的なモノではなく、自然と顔が綻び、歩幅が長くなり清々しく気持ちになってくる

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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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