桜子 -15
期待
熱い迸りを受け止めた桜子は何かが身体の中で爆ぜるような気がして、めくるめく悦びに浸り緊張していた身体が弛緩する。
柏木は満足の証が出口を求めて狭い通路を走り出る快感で桜子を愛おしいと思う気持ちを再確認する。
「クククッ……抱きしめられるのは嬉しいけど、強すぎる。私は女の子だよ、壊れちゃうよ」
「ごめん、桜子にオレの気持ちを上手く伝えられなくて、つい抱きしめる手に力が入ってしまう」
「ウフフッ、ほんとう??嬉しい……あっ、また笑ってた。あなたといると素直な気持ちでいられる。迷惑??」
「迷惑なわけがないだろう。オレの気持ちを分からないかなぁ??」
桜子の乱れ髪に手櫛を入れて髪を擦り、じっと見つめる。
「もう、見つめられるのは恥ずかしいし、慣れていないって言ったのに……何かついてる??それとも変な顔をしてる??」
「桜子の虜になっちゃったようだよ。桜子を見ているだけで幸せな気持ちになる」
「嬉しい、そんな風に言われても見つめられるのは恥ずかしい。ねぇ、キスして」
萎れ始めたペニスが抜け落ちないように意識しながら唇を合わせて濃厚になることなくキスをする。
「イヤンッ、抜けちゃう」
柏木はナイトテーブルに手を伸ばしてティッシュを取り、結合部に押し当てる。
「抜くよ」と告げて、腰を引き、新たなティッシュでペニスを覆ってバスルームに向かう。
じゃれ合うようにして汗を流し、窓際のソファに座る柏木に抱きかかえられるようにして窓外の景色に見入る。
国分町や仙台駅など華やかな夜の景色は見えず、青葉山公園の静かな夜景を目にして自然と心が落ち着く。
背中越しに抱きかかえてくれる柏木の腕に手を添えて目を閉じる。
170㎝の身長のせいもあって男性にとっつきにくいと言われることもあり、店でもプライベートでも自然と笑うことを忘れていたような気がする。
幼少期は明るいと言われていた記憶があるものの学生時代に付き合っていた男性から、身長が同じくらいの桜子がヒールの高い靴を履くと僕が貧相に見えて嫌だと言われた。
それが原因で目立たない服装や話し方などを意識するようになり、独りで行動することが多くなった。
夜の仕事に就いた早い時期に、デケェ女だなぁと言われた事が切っ掛けで笑うことが無くなった。そのお客様は決して否定的に口にしたわけではなく、背が高いからスタイルも好いしモテルだろうと言ってくれたのだが、いつまでも忘れることなく
気持ちのどこかに引っかかっていた過去のトラウマがデケェという言葉に過剰反応してしまった。
そんな時、柏木の友人でもある高浜が、美人でスタイルの好い桜子ちゃんに笑顔を忘れたような表情は似合わないよと言われたので、好い男を紹介してよと話して口を尖らせた。
「その表情は可愛いな。桜子ちゃんにサイズ負けしない好い男を連れてきてやるよ」と言って、紹介してくれたのが柏木だった。
「ねぇ、私の第一印象はどうだった??」
「容姿端麗、座る姿勢も好いし水割りを作ってくれる所作も無駄がないし、見ているだけで気持ちが好い。こんな女性と付き合う男は幸せだろうなと思った」
「ウフフッ、じゃぁ……もう一度、連れてきてほしいって高浜さんにお願いした時はどう思った??」
「何かを期待したわけじゃないけど嬉しかったよ」
「期待しなかったんだ。私の片思いだったんだ……じゃあ、連絡が欲しいって書いたメモを渡した時は??」
「ほんの少し期待したし嬉しかったよ。だから翌日電話した」
「もう少し待っていれば、あなたが誘ってくれた??」
「多分、誘わなかったと思う。桜子は高嶺の花だと思っていたからね」
「そうか、はしたないかなと思いながら誘ったのは間違いじゃなかったんだ。そうだよね」
「申し訳ないけど、その通りだよ……桜子とオレ、住む場所などで交わることのなかった二人が今、こうしているのは桜子のお陰だよ。ありがとう」
手を添えるだけだった柏木の腕に頬を押し当ててうっとりと目を閉じる桜子は、ニヤッと笑みを浮かべて振り返る。
「明日、帰る前に持ちきれないほど買い物をしようかな……車じゃなく新幹線だから荷物が多くて困っている私を東京駅で放り出したりしないでしょう。当然、私の部屋まで送ってくれる……この間はコーヒーを淹れると言ったのに部屋に来てくれなかった。そうだ、そうしよう」
「えっ、そうだなぁ……」
「イヤなの??私とこれ以上親しくなりたくないの??そうなんだ、私は都合のいい女、身体だけが目当てなんだ」
「可愛いな、桜子は。何をしても何を言っても可愛いとしか思えない」
「もう、真面目に答えてよ。あなたにとって私は都合のいい女なの??」
「分かった、桜子は明日もう一泊する。但し仙台ではなく、オレの部屋だよ……明後日、桜子の家に送る。これで納得してくれないかなぁ」
「クククッ、大好き。約束だよ……それじゃぁ、寝ようよ。眠っちゃうと今日が終わるから嫌だなぁって思っていたけど、あなたの家に行けるなら明日が待ち遠しいもん。早く寝ようよ」
翌朝はモーニングエッチは許してあげるという桜子の言葉に苦笑いを浮かべ、仙台の街をのんびり散策して12時頃の新幹線に乗車した。
柏木の気が変わると嫌だから早く行こうと急かされて15時半頃に到着した。
「着いたよ。このマンションだ」
「ふ~ん、予想通り。装飾が少なく必要最低限の家具しかないシンプルな部屋」
「この部屋に彩りが必要と言うなら桜子がいれば解消できるだろう??」
「本気??名案だと思うよ、私が住みやすい部屋にしてあげる」
「毎日じゃなくてもいいから、来てくれると嬉しい。桜子の家にも店にも高速利用で1時間もあれば大丈夫だろう……深夜でも平気だよ」
「クククッ、あなたは私に惚れている。そうでしょう??正直に言っちゃいなよ」
「あぁ、オレは桜子に惚れている。文句ある??」
「クククッ、正直な人が好き。ご褒美をあげる……殺風景な部屋に彩りを与えてあげる」
留守にしていた部屋の換気で窓を開けっぱなしなのも気にせず、頬を紅潮させた桜子は下着まで脱ぎ捨てて素っ裸になってしまう。
「きれいだよ。殺風景な部屋に色気が加わった」
クローゼットを開けて品定めしながら、
「あなたのシャツをルームウェアにしてもいいでしょう??」
光沢のあるブルー系のシャツを身に着ける。
背の高い桜子は袖を3回まくりでリラックスした雰囲気と可愛さを醸し出す。
「どう??似合う??」
「可愛いよ。オレの息子に昂奮するなって必死に諭しているよ」
確かめるよと言い、股間に手を押し当てて破顔する。
焦ることなく、穏やかな気持ちで互いを理解する時間はたっぷりとある。
「お腹空いてないか??食べに行こうよ」
<<< おしまい >>>
熱い迸りを受け止めた桜子は何かが身体の中で爆ぜるような気がして、めくるめく悦びに浸り緊張していた身体が弛緩する。
柏木は満足の証が出口を求めて狭い通路を走り出る快感で桜子を愛おしいと思う気持ちを再確認する。
「クククッ……抱きしめられるのは嬉しいけど、強すぎる。私は女の子だよ、壊れちゃうよ」
「ごめん、桜子にオレの気持ちを上手く伝えられなくて、つい抱きしめる手に力が入ってしまう」
「ウフフッ、ほんとう??嬉しい……あっ、また笑ってた。あなたといると素直な気持ちでいられる。迷惑??」
「迷惑なわけがないだろう。オレの気持ちを分からないかなぁ??」
桜子の乱れ髪に手櫛を入れて髪を擦り、じっと見つめる。
「もう、見つめられるのは恥ずかしいし、慣れていないって言ったのに……何かついてる??それとも変な顔をしてる??」
「桜子の虜になっちゃったようだよ。桜子を見ているだけで幸せな気持ちになる」
「嬉しい、そんな風に言われても見つめられるのは恥ずかしい。ねぇ、キスして」
萎れ始めたペニスが抜け落ちないように意識しながら唇を合わせて濃厚になることなくキスをする。
「イヤンッ、抜けちゃう」
柏木はナイトテーブルに手を伸ばしてティッシュを取り、結合部に押し当てる。
「抜くよ」と告げて、腰を引き、新たなティッシュでペニスを覆ってバスルームに向かう。
じゃれ合うようにして汗を流し、窓際のソファに座る柏木に抱きかかえられるようにして窓外の景色に見入る。
国分町や仙台駅など華やかな夜の景色は見えず、青葉山公園の静かな夜景を目にして自然と心が落ち着く。
背中越しに抱きかかえてくれる柏木の腕に手を添えて目を閉じる。
170㎝の身長のせいもあって男性にとっつきにくいと言われることもあり、店でもプライベートでも自然と笑うことを忘れていたような気がする。
幼少期は明るいと言われていた記憶があるものの学生時代に付き合っていた男性から、身長が同じくらいの桜子がヒールの高い靴を履くと僕が貧相に見えて嫌だと言われた。
それが原因で目立たない服装や話し方などを意識するようになり、独りで行動することが多くなった。
夜の仕事に就いた早い時期に、デケェ女だなぁと言われた事が切っ掛けで笑うことが無くなった。そのお客様は決して否定的に口にしたわけではなく、背が高いからスタイルも好いしモテルだろうと言ってくれたのだが、いつまでも忘れることなく
気持ちのどこかに引っかかっていた過去のトラウマがデケェという言葉に過剰反応してしまった。
そんな時、柏木の友人でもある高浜が、美人でスタイルの好い桜子ちゃんに笑顔を忘れたような表情は似合わないよと言われたので、好い男を紹介してよと話して口を尖らせた。
「その表情は可愛いな。桜子ちゃんにサイズ負けしない好い男を連れてきてやるよ」と言って、紹介してくれたのが柏木だった。
「ねぇ、私の第一印象はどうだった??」
「容姿端麗、座る姿勢も好いし水割りを作ってくれる所作も無駄がないし、見ているだけで気持ちが好い。こんな女性と付き合う男は幸せだろうなと思った」
「ウフフッ、じゃぁ……もう一度、連れてきてほしいって高浜さんにお願いした時はどう思った??」
「何かを期待したわけじゃないけど嬉しかったよ」
「期待しなかったんだ。私の片思いだったんだ……じゃあ、連絡が欲しいって書いたメモを渡した時は??」
「ほんの少し期待したし嬉しかったよ。だから翌日電話した」
「もう少し待っていれば、あなたが誘ってくれた??」
「多分、誘わなかったと思う。桜子は高嶺の花だと思っていたからね」
「そうか、はしたないかなと思いながら誘ったのは間違いじゃなかったんだ。そうだよね」
「申し訳ないけど、その通りだよ……桜子とオレ、住む場所などで交わることのなかった二人が今、こうしているのは桜子のお陰だよ。ありがとう」
手を添えるだけだった柏木の腕に頬を押し当ててうっとりと目を閉じる桜子は、ニヤッと笑みを浮かべて振り返る。
「明日、帰る前に持ちきれないほど買い物をしようかな……車じゃなく新幹線だから荷物が多くて困っている私を東京駅で放り出したりしないでしょう。当然、私の部屋まで送ってくれる……この間はコーヒーを淹れると言ったのに部屋に来てくれなかった。そうだ、そうしよう」
「えっ、そうだなぁ……」
「イヤなの??私とこれ以上親しくなりたくないの??そうなんだ、私は都合のいい女、身体だけが目当てなんだ」
「可愛いな、桜子は。何をしても何を言っても可愛いとしか思えない」
「もう、真面目に答えてよ。あなたにとって私は都合のいい女なの??」
「分かった、桜子は明日もう一泊する。但し仙台ではなく、オレの部屋だよ……明後日、桜子の家に送る。これで納得してくれないかなぁ」
「クククッ、大好き。約束だよ……それじゃぁ、寝ようよ。眠っちゃうと今日が終わるから嫌だなぁって思っていたけど、あなたの家に行けるなら明日が待ち遠しいもん。早く寝ようよ」
翌朝はモーニングエッチは許してあげるという桜子の言葉に苦笑いを浮かべ、仙台の街をのんびり散策して12時頃の新幹線に乗車した。
柏木の気が変わると嫌だから早く行こうと急かされて15時半頃に到着した。
「着いたよ。このマンションだ」
「ふ~ん、予想通り。装飾が少なく必要最低限の家具しかないシンプルな部屋」
「この部屋に彩りが必要と言うなら桜子がいれば解消できるだろう??」
「本気??名案だと思うよ、私が住みやすい部屋にしてあげる」
「毎日じゃなくてもいいから、来てくれると嬉しい。桜子の家にも店にも高速利用で1時間もあれば大丈夫だろう……深夜でも平気だよ」
「クククッ、あなたは私に惚れている。そうでしょう??正直に言っちゃいなよ」
「あぁ、オレは桜子に惚れている。文句ある??」
「クククッ、正直な人が好き。ご褒美をあげる……殺風景な部屋に彩りを与えてあげる」
留守にしていた部屋の換気で窓を開けっぱなしなのも気にせず、頬を紅潮させた桜子は下着まで脱ぎ捨てて素っ裸になってしまう。
「きれいだよ。殺風景な部屋に色気が加わった」
クローゼットを開けて品定めしながら、
「あなたのシャツをルームウェアにしてもいいでしょう??」
光沢のあるブルー系のシャツを身に着ける。
背の高い桜子は袖を3回まくりでリラックスした雰囲気と可愛さを醸し出す。
「どう??似合う??」
「可愛いよ。オレの息子に昂奮するなって必死に諭しているよ」
確かめるよと言い、股間に手を押し当てて破顔する。
焦ることなく、穏やかな気持ちで互いを理解する時間はたっぷりとある。
「お腹空いてないか??食べに行こうよ」
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