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イルミネーション (桜子)

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「いらっしゃいませ」
「こんにちは…マスター、約束を守りましたよ……どうですか??」
「この方ですか??……桜子さん、たぶん合格でしょうが太鼓判を押すのはお帰りまで待っていただきます」
店は開店直後らしく他に客がなく、桜子とバーテンダーは気安く言葉を交わす。
男は何やら自分の品定めをされているようだと察しがついても不快な感じはせず、二人の会話を聞きながら店内に視線を巡らす。
桜子の話から普通のバーだと思っていたが実はシガーバーらしくウィスキーボトルのそばに葉巻が飾られている。
タバコを嗜まない男は匂いが苦手だが葉巻の香りは嫌ではない。
落ち着いた雰囲気の店内は照明も明るすぎず、節度を弁えた客がカクテルや葉巻を楽しむのに相応しい店だと感じさせる。

「マスター、このイチゴを使ったフルーツカクテルをお願いします……あなたは??」
カウンターに盛られたイチゴを指さした桜子はバーテンダーに任せ、男を見つめて小首をかしげる。
「ウィスキーにも魅かれますが最初はジントニックをお願いします」
バックバーに並ぶウィスキーに未練を残しながらジントニックをオーダーする。
「かしこまりました」

「桜子さん、今まで見せたことのない可愛い表情でしたよ……熱い気持ちをほんの少し冷やして差し上げます」
バーテンダーは何種類かのリキュールとクラッシュアイス、生イチゴをブレンダーに投入し、ソーサーグラスに盛り付けて最後に生イチゴをトッピングする。
「うわぁ、イチゴのかき氷。美味しそう」
「口当たりがいいからと油断しないでください。フローズンカクテルですからね……ジントニックでございます」
「ありがとう……いただきます」

「イチゴの花言葉はキリスト教由来の“尊重と愛情”、親株から多数の蔓が出るということで“幸福な家庭”というのもあります」
バーテンダーは博識で話は芸術やスポーツにまで及び、時間はあっという間に過ぎていく。
桜子がストロベリー.マティーニ、男は勧められたウィスキーをロックで飲み干すと、
「もうこんな時間、もう一杯頂いて帰ろうよ」
他の客の相手をするバーテンダーを見ながら桜子は瞳に淫蕩な思いを宿らせて囁く。
「分かった……マスター、最後の一杯をください。お任せします」

持ち手のついた脚付きグラス、アイリッシュウィスキーのジェムソン、コーヒー、砂糖、生クリームを用意したバーテンダーは、グラスにブラウンシュガーとジェムソンを入れてグラスごと温め、熱いコーヒーを加えて生クリームを浮かべる。
「店を出ても二人で歩くと12月の寒さも気にならないでしょうがアイリッシュコーヒーで温まってください」
「お気遣い痛み入ります。いただきます……身体の芯から温まります」
「美味しい……マスター、どうですか??」
「桜子さん、私の太鼓判が欲しいですか??」
「はい、マスターは経験豊富なようだし今までも折に触れ色々と相談させていただきました」

「お客様、お名前も知らないのに失礼ですが一つ質問させていただいてよろしいでしょうか??」
「どうぞ……美味しいお酒を飲ませていただいたお礼に分かる範囲でお答えいたします」
「失礼なことをお聞きしますが、桜子さんになめられて立つモノってありますか??」
「ハハハッ、どちらをお答えすれば合格なのか……そうですね、彼女には少々なめられても腹は立たないですよ」
「ユーモアも理解するし私の話も退屈せずに聞いていただいて気持ちのいい相槌もいただきました。ウィスキーを気にしながらジントニックをオーダーするいい意味での頑固さもある。桜子さんに相応しい男性だと思いますよ……今の質問の答えから夜にも自信があるとお見掛けしました」
「フフフッ、そうなの、見掛け倒しではなく夜も満足させてもらっています。なかなか会えないのが不満だけど……」
話し終えた桜子にねっとり見つめられると股間が反応しそうになる。

「美味い酒だけではなく楽しい時間をありがとうございました。彼女が自信をもって誘うわけですね」
「マスター、ありがとう。ストロベリー・フローズンカクテルもアイリッシュコーヒーも美味しかったです。ごちそうさまでした」
「私こそバーテンダー冥利に尽きる時間を過ごすことができました。また、お二人をお迎えするのを楽しみにしています」

手袋をしたままつないだ手をコートのポケットに引き入れて離そうともせず、チュッと唇を合わせる。
「ウフフッ……」
「また思い出し笑いかよ。可愛いな」
「だって……クククッ、マスターが私になめられて立つモノってあるかって聞くんだもん、びっくりしちゃった」
「なめられて腹以外に立つモノってあるか??相手が桜子なら腹も立たないよ」
「私もあなたなら、なめられても立たない」
「嘘だろ、桜子を舐めるとオッパイの先端が立つし、クリもボッキッキ~しちゃうと思うよ」
「自分だけ……フンッ、そんなことを言うと今日は寝かせないよ。私がもう止めてって言うまで可愛がってもらっちゃうからね」
「今日は変態チックに責めちゃうぞ……興奮を高めるために桜子を抱っこしちゃおう」

「クククッ、恥ずかしい。ほら、笑っているよ」
「構うことはない。可愛い桜子をお姫様抱っこするんだからオレは幸せだよ」
「抱っこされるのって記憶も定かでないほど昔、両親に抱っこされて以来、ウフフッ……二日前だけど、高浜さんが後輩の方と一緒にお店に来てくれたの。それでね、付き合っているだろうって聞くから、ご想像にお任せしますって答えちゃった。怒る??」
「古い付き合いだから嘘は吐けないよ。桜子がオレと付き合ってくれるなら話しても構わないよ」
「クククッ、付き合っていると思ってもいいんだね」
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ちっち

Author:ちっち
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さむいのも嫌
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