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休館日 -3

「ダメ、動かないで。動くと拭けないでしょう……もう少しだから我慢して」
仁王立ちの男をバスタオルで包み込んだアユは全身を拭き、自分の身体からも水気を拭い取って唇を突き出す。
男がアユの腰を抱き寄せて唇を合わせると、
「せっかち、ハダカンボの私を見て昂奮するのは分かるけど焦る男性は好きじゃない。ベッドに運んでくれるでしょう??」
「女性は……いや、アユは複雑だ」
「好い女は謎があり複雑なんでしょう??あなたのために好い女になる努力をしているの」
「アユ、相談があるんだけど……バスタイム、ルームサービス、エッチ1回の順だって言ったけど、我慢できそうもないよ、どうだろう??」
「クククッ、どんな順番にしたいのか分からないけど、好いよ、あなたの希望通りにしても……」

アユを抱きかかえてベッドに運び、そのまま覆いかぶさってキスをする。
両手で頬を挟み、ツンツンと唇をつつくと焦れたアユが口を尖らせる。
「いやっ、焦らさないで。場所が変わればエッチなあなたに会えると思って、連絡してもらった昨日から身体が疼いて熱いの……ねぇ、確かめて」
自分の言葉で羞恥に駆られ、期待で高鳴る鼓動を意識するアユは静かに目を閉じて男の指が股間に伸びるのを待つ。
指は潤みを確かめることなく乱れ髪を整え、覆いかぶさったままの男から感じる圧迫感で息が荒くなる。
「ハァハァッ、どうしてアソコを確かめてくれないの??」
「ジュルジュルぬれぬれのアソコを確かめる必要はないさ。アユは気持ち善くなると瞳が濡れて霞がかかったように艶めかしくなる。目尻がわずかに朱を帯びる……今のようにね」
「いやな男、私の事は何でも分かったような事を言う」
「分かるさ。アユの事が好きだから何を望んでいるのかなって、いつも考えているからな」
「ウフフッ、そうなの??期待しちゃうよ……」

「ヒッ、イヤンッ、くすぐったい。クククッ」
男の手が脇腹を撫でると甘えたような嬌声を漏らしてうつ伏せになり、胸の下で腕を交差して身体を丸める。
そんなアユを気にする様子もなく肩から背中に広がる黒髪を束ねて顔を押し付け、アユの匂いがすると呟いて首筋に舌を這わせる。
「アウッ、クゥッ~、気持ちいぃ……こんな時間に、こんな所で、こんな事を……」
ベッドで俯せのまま窓外に目をやると真夏の陽光が降り注ぎ、眩しさに思わず目を閉じる。
フゥッ~と息を吐いて目を開けると通りを挟んだ位置の公園や、そのまた向こうのビルが太陽を反射してキラキラ輝いている。
夜の仕事で昼間は暇とは言え、何も隠すことなく照らす太陽の元でセックスに耽ろうとしている自分を訝しく思う。
「私の部屋だと昼間あなたに可愛がってもらっても何も思わないけど、今日は、こんな事をしてもいいのかなぁって申し訳なく思っちゃう」
「クククッ、月曜の午後、仕事をしている人たちに申し訳ないから不埒な行いは止めようか??」
「いやっ、今日も夜は仕事をするんだから今は好いの。あなたにエネルギーを注入してもらったら元気になれる」

俯せで横たわるアユに覆いかぶさる男が左手を重ねると、指が蠢いて繋ごうとする。
男は重ねた左手でアユの手を固く握り、右手指の爪先で脇腹をゆっくり撫で上がる。
触れるか触れないかの繊細なタッチで愛撫するとアユは俯せのまま唇を噛んで身体がピクリと反応し、つないでくれる男のを握り返す。
白い首筋の産毛が逆立ち、それを見つけた男は一本一本、起こそうとするかのように舌先で舐める。
指先と爪で背骨の両側を往ったり来たりしながら撫で下り、耳元で可愛いよと囁いて耳朶を甘噛みする。
耳穴に乾いた舌先を捻じ込み、背骨に沿って撫で下りた右手が尻を揉んで内腿を優しく擦る。

「ウグッ、クゥッ~……気持ちいぃ」
悦びの声を漏らした、その瞬間、アユの頭の中で何かが弾けて妖しい言葉が口を衝く。
「ねぇ、済んだらルームサービスを頼むでしょう……シーツが乱れていたら、恥ずかしい」
「うん??お腹が空いたか??性欲よりも食欲優先にしょうか」
「いやんっ、こんなになって我慢できるわけがないでしょう……あのね、大阪のホテルで窓に押し付けられて逝かされたでしょう。あんな風にされればベッドが乱れることがないかなって思ったの……同じようにしてほしいって事じゃないんだよ、勘違いしないでね」
「クククッ、まっ昼間、男と女がホテルで休憩。誰が考えても目的は一つ、今更、恥ずかしいってことはないだろう??」
「もう、怒った。名古屋まで来てくれって言うから来てやったのに、そんな事を言うなんて……」

自分で名古屋を指定して、このホテルのディユースを予約したことは口にせずに駄々をこねるようなアユが可愛くてしょうがない男は目を細めて笑みを浮かべる。
アカンベェをしたアユはベッドを下りて大きな窓辺に立ち、うだるような暑さに負けずに通りを歩く人たちを見つめ、ビルの窓に反射してギラギラ輝く陽光に目を細める。

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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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