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鏡ー1 焼肉

<エクスペンタブルズ3>のポスターの前で、スタローン、ハリソンフォード、アントニオ・バンデラス、ジェイソン・ステイサム、ウェズリー・スナイプス、ジェットリー、シュワルツェネッガー・・・と小さな声で出演者を確認していると、
「この映画を見るの??」
「いやっ、2年前の前回作と出演者は一部替わったんだなぁって思いながら見ていただけだよ」
匂いに惹かれて声の主を見るオレの心臓がドクドクと早鐘を打ち、全身の血が顔に集中したように熱くなる。
「うん??私の顔が交番に貼ってあった??・・・重要指名手配犯を見つけたような表情だよ」
「クククッ・・・あなたが指名手配犯なら、世界中を敵にしても守って見せる。身柄を私に任せる気はある??」
女の軽口にオレは正気を取り戻し、舐めるが如くに全身をねめ回す。
「どう??割と好い女でしょう。見た目には自信があるんだ」

デニムパンツにワークシャツを合わせただけなのに、元々の素材の良さを隠しきれない魅力は自慢するだけの事はある。
「う~ん、どうかな??・・・あなたの辞書には謙遜って言葉も載ってるようだね。割とじゃなく文句のつけようのない好い女」
「クククッ・・・あなたもなかなかのものよ。好い女を目の前にしても、どぎまぎしない、それだけで立派な紳士」
「それは嬉しいね、ありがとう・・・ところで・・・??」
「そうそう、ヒマそうだけど私にプレゼントする時間がある??」
「確かに、忙しそうに見えないだろうね。自信家じゃないけど食事位なら大丈夫だと思うよ」
「焼肉屋に誘ってもらえると嬉しいんだけど・・・独りで入るのは苦じゃないけど、男たちが何かとね」
「想像できるよ、蜂蜜に群がるアリたち。食事中だから邪魔しないでくれるって追っ払っても、先延ばしの効果しかないだろうな」
「自意識過剰って思われちゃうだろうけど、実は、当たらずと雖も遠からず・・・ウフフッ、可愛くない女だと思ってるでしょう」
「そう思う男がいるとすれば、正直なあなたに気圧されての事だろうね・・・私は嫌いじゃないよ」
「嫌いじゃないって、好きって事を回りくどく言ってるの??それとも、好きじゃないけど嫌いでもないって事??・・・いぃ、答えてくれなくても、こんな事を言うから可愛くないんだよね」
「あのね、続きは食べながらにしない??」

「タン塩とコリコリ以外は任せる。ビールとね」
「コリコリとは、好い女は食べるものも小粋だね」
「そうぉ、ステーキを食べたければそう言う。焼肉って言う限りはホルモンでなきゃ、しかも肉を食べてる感はコリコリのように気取ってちゃ歯も通らないのが最高・・・間違ってる??」
「間違っちゃいない・・・肉を食べて男も食べる。やっぱり好い女だな」
「クククッ・・・あっ、オーダーを取りに来たよ、続きは食べながらね・・・」

「カクテキとオイキムチ、タン塩・コリコリ・ハラミ・上ミノ・ハートにセンマイ、焼き野菜、チシャ、生中・チューハイ・・・お願いします」

「今のお兄さん、好い男だよね。どう思う??」
「私とあなたが親しい間柄なら答えられるけど、食事を付きあっただけで他の男が好いか悪いか、面白くない質問だな」
「ウフフッ、仕返しなの、あなたも随分と失礼な事を言ったよ。肉を食べて男も食べるって言ったでしょう・・・どういう意味なの??まさか、焼き肉を食べる男と女は、その後アレをするなんて言う陳腐な事を言わないでしょうね??」
「食欲と性欲は生きるために必要な事で裏表の関係だと思っているんだけど、食べるのが好きな女性は男を食べるのも好きに通じるかなって・・・」
「ふ~ん、それも、当たらずと雖も遠からずね・・・男を食べるのは好きよ。グルメ以外に男好きに通じる女っている??」
「カラオケ好きはノリが良く、デュエットで肩を抱いてそのままベッドに、アロマテラピー好きな女性は癒されたい願望が強いから、優しく抱きしめてあげれば心も身体も開いてくれるし五感をくすぐるようなセックスに憧れを持っている。旅行好きな女性は非日常を求めているからセックスも野性的なのを好む」
「クククッ・・・あなたにかかればどんな女性も身体を開いちゃうの??」
「もちろんダメ女性もいるよ・・・エクササイズなどを好む女性は自分の内面にこだわりを持ち厳しく律する事が多い、男に対しても要求が高いから私ごときじゃ歯牙にもかけてもらえない」
「ウフフッ・・・あなたこそ謙虚な処もあるんだ。私はグルメじゃないけど、食べるのが好き・・・当然男を食べるのも好き。ここを出た後、あなたを食べさせてもらえるの??」
「私は礼儀を弁えた男の積りだから上の口を満足してもらった後は、下の口も満足してもらえるように努力するよ」
「そう、じゃぁユッケを追加してもらえる??生肉は男にむしゃぶりつくのに通じるから」

「少し歩こうか・・・大丈夫??」
「デニムパンツにスニーカーだから大丈夫だよ。どこに行くかは聞かない事にする」
明治通りを北に歩き六丁目の交差点の先で左に曲がる。
着いたよ・・・決して新しくはない建物に入り、男は手慣れた様子で部屋を選ぶ。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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