清算 ―2/2
キネティックアート展に行きたいと言うアユに誘導されるようにデートに誘ったものの、初デートでは初心な少年のように手を握ることも出来なかった。
待ち合わせ場所まで送ると、
「今日は勝負パンツを穿いていたし着替えも用意していたのにがっかりした」と挑発され、泊りでもいいけど先ずは美味しいコーヒーを淹れると魅惑的な誘いを受けたが断って帰路に就いた。
数日後、店に行ったとき、
「もう来ないのかと思っていた」と言われた時は、「ママのような好い女に挑発されるのは慣れていないから、正直になれなかった」と言い訳をして次の機会を与えてもらった。
妻に制限されているので親しく話すのはオチャケ女子だけ。
そんな時、話すのを嫌がっていないと感じた時は、遊びに行こうと誘うのは女性に対する礼儀だと思っているけどベッドに誘う言葉をかける勇気がない
初デートで挑発してくれたアユのような女性だとオレの下半身は直ぐに元気になるし考える前に身体が反応してくれる。
二度目のデートで欲望を抑えることなくアユの身体にぶつけると、男の温もりを肌で感じるのは久しぶりだと言い貪欲にオレの精を貪った。
アユが芸術を愛する源泉は妖しい想いの発露かと思うほど性的欲望を露わにするのを持て余すこともあった。
店で見るアユはスナックバーのオーナーママにも拘わらず水商売ずれしたところがなく、色気で切り盛りしているようにも見えなかった。
そんなアユが二人きりになると欲情を漲らせてセックスを求め、飽きることなく時間の限りオレの身体を貪った。
毎週、水曜の夕方アユの部屋で会い、夕食を済ませたアユが店に向かうのを見送り適当な時間をおいて何気ない振りで客として店に向かう。
土曜日はアユの部屋で過ごすだけではなく妻への愛を隠すことのないオレが泊りは出来ないと告げてあったため、日帰り可能な美術館巡りやサイクリング、釣りなど野外で過ごすこともあった。
店の客に会うことを恐れる二人は遠出することを厭わず、新潟県十日町市の国宝・火焔型土器や愛知県の徳川美術館へ日帰りで行ったこともある。
アユの希望で一度目の徳川美術館へ行ったときは定休日で、名古屋市内のホテルのディユースを予約してあったのは休館日と知っていたからだろうが、そんなことも些細ないたずらと思うほど親密な仲になっていた。
いつしか互いが空気のような存在になり、そばにいて当たり前、いなくなることを考えることも無くなっていた。
ある時、
「いつか、一度でいいからあなたとお泊りしたいな」
「そうだな、いつって約束できないけど、一泊でホテルに行こう」
「ディユースじゃなくて??」
「もちろんだよ。温泉でもいいよ」
「嘘、そんな事を言うあなたは嫌い。あなたは、夜、絶対に奥様のところへ帰る、たとえ奥様が留守の日でも帰るでしょう。寂しいなって思うけど、決めたことを守るあなたを信用できた」
「…………」
「何か言ってよ。守れない約束をする人は信用できないし、大嫌い。好きな男の言うことは信じたいの、嘘って分かっていても信じるのが女なんだよ。あなたは守れない約束をする人じゃないと思っていた……嫌い、信じられなくなった。帰って、もう会いたくない」
唐突過ぎる提案だったと悔やみながらもアユを見ると普段の慎ましさをかなぐり捨てて怒りを隠すことなく露わにしている。
こうなっては納得してもらう術もなく、部屋の鍵をテーブルに置いて出ていくしかない。
数日後、アユの連絡で仲直りの機会を与えられたオレは2か月足らず先になるけど、友人のお嬢さんの結婚披露宴に招待されたので大阪で一泊するけどアユも来ないかと誘った。
そして、二か月後、「来ちゃったけど本当にいいの??」と、はにかむアユを新大阪駅の新幹線ホームで迎えた。
知る人が誰一人いるはずのない街の夜のそぞろ歩きで解放感に浸ったアユはホテルの部屋に戻ると欲望を解き放ち、
「今日の私は夜が好き。いつもは夜が嫌い。今日のあなたは奥様の待っている家に帰る事を寂しく思う必要がない。朝を一緒に迎えられる……ごめんなさい、忘れて……」
「いいや、忘れる必要はない。ごめんな……可愛いよ。一緒に泊まることは出来なくても、たまには喜ばせてあげられたらと思うよ」
「ほんとう??絶対にお泊りできない人だと思っていたのに、こんな機会を作ってくれた……あなたの言葉を信じる」
「期待が膨らみすぎるのも困るけど、アユの笑顔が好きだよ」
「ウフフッ……私を喜ばせてくれるのを期待してサービスしちゃう。見てね……」
ホテルのベッドでアユは目隠しをしてオナニー姿をオレに見せつけて大胆に身体を開き、窓に手をついて夜景を見ながらオレを迎え入れた。
クリスマスは店があるので直後の土曜にシャンパンを開栓するのが恒例だった。
ハダカンボのサンタコスで迎えてくれるアユにオレの股間は反応して、その後は満足したことを態度で示して見せた。
自らのヌード写真を16分割したカード2組でトランプの神経衰弱ゲームのように遊ぶのは罰ゲームとセットで色々楽しめた。
そんなアユがオレも知っている男と結婚したという。
アユも大切だが一番大切な人は妻。大切な妻を守るために人妻や親しく付き合っている人のいる女性は誘わないし付き合うこともない。
記憶を消すのは難しいが連絡する術は削除したし、アユと付き合った痕跡は可能な限り処分した。
これからアユはオレの記憶の中だけに存在する。
いつか、こんな日が来ると分かっていたし今はアユの幸せを願うばかり。
そして、妻を除けばアユは親しく付き合う最後の女性になるだろう。
<< おわり >>
待ち合わせ場所まで送ると、
「今日は勝負パンツを穿いていたし着替えも用意していたのにがっかりした」と挑発され、泊りでもいいけど先ずは美味しいコーヒーを淹れると魅惑的な誘いを受けたが断って帰路に就いた。
数日後、店に行ったとき、
「もう来ないのかと思っていた」と言われた時は、「ママのような好い女に挑発されるのは慣れていないから、正直になれなかった」と言い訳をして次の機会を与えてもらった。
妻に制限されているので親しく話すのはオチャケ女子だけ。
そんな時、話すのを嫌がっていないと感じた時は、遊びに行こうと誘うのは女性に対する礼儀だと思っているけどベッドに誘う言葉をかける勇気がない
初デートで挑発してくれたアユのような女性だとオレの下半身は直ぐに元気になるし考える前に身体が反応してくれる。
二度目のデートで欲望を抑えることなくアユの身体にぶつけると、男の温もりを肌で感じるのは久しぶりだと言い貪欲にオレの精を貪った。
アユが芸術を愛する源泉は妖しい想いの発露かと思うほど性的欲望を露わにするのを持て余すこともあった。
店で見るアユはスナックバーのオーナーママにも拘わらず水商売ずれしたところがなく、色気で切り盛りしているようにも見えなかった。
そんなアユが二人きりになると欲情を漲らせてセックスを求め、飽きることなく時間の限りオレの身体を貪った。
毎週、水曜の夕方アユの部屋で会い、夕食を済ませたアユが店に向かうのを見送り適当な時間をおいて何気ない振りで客として店に向かう。
土曜日はアユの部屋で過ごすだけではなく妻への愛を隠すことのないオレが泊りは出来ないと告げてあったため、日帰り可能な美術館巡りやサイクリング、釣りなど野外で過ごすこともあった。
店の客に会うことを恐れる二人は遠出することを厭わず、新潟県十日町市の国宝・火焔型土器や愛知県の徳川美術館へ日帰りで行ったこともある。
アユの希望で一度目の徳川美術館へ行ったときは定休日で、名古屋市内のホテルのディユースを予約してあったのは休館日と知っていたからだろうが、そんなことも些細ないたずらと思うほど親密な仲になっていた。
いつしか互いが空気のような存在になり、そばにいて当たり前、いなくなることを考えることも無くなっていた。
ある時、
「いつか、一度でいいからあなたとお泊りしたいな」
「そうだな、いつって約束できないけど、一泊でホテルに行こう」
「ディユースじゃなくて??」
「もちろんだよ。温泉でもいいよ」
「嘘、そんな事を言うあなたは嫌い。あなたは、夜、絶対に奥様のところへ帰る、たとえ奥様が留守の日でも帰るでしょう。寂しいなって思うけど、決めたことを守るあなたを信用できた」
「…………」
「何か言ってよ。守れない約束をする人は信用できないし、大嫌い。好きな男の言うことは信じたいの、嘘って分かっていても信じるのが女なんだよ。あなたは守れない約束をする人じゃないと思っていた……嫌い、信じられなくなった。帰って、もう会いたくない」
唐突過ぎる提案だったと悔やみながらもアユを見ると普段の慎ましさをかなぐり捨てて怒りを隠すことなく露わにしている。
こうなっては納得してもらう術もなく、部屋の鍵をテーブルに置いて出ていくしかない。
数日後、アユの連絡で仲直りの機会を与えられたオレは2か月足らず先になるけど、友人のお嬢さんの結婚披露宴に招待されたので大阪で一泊するけどアユも来ないかと誘った。
そして、二か月後、「来ちゃったけど本当にいいの??」と、はにかむアユを新大阪駅の新幹線ホームで迎えた。
知る人が誰一人いるはずのない街の夜のそぞろ歩きで解放感に浸ったアユはホテルの部屋に戻ると欲望を解き放ち、
「今日の私は夜が好き。いつもは夜が嫌い。今日のあなたは奥様の待っている家に帰る事を寂しく思う必要がない。朝を一緒に迎えられる……ごめんなさい、忘れて……」
「いいや、忘れる必要はない。ごめんな……可愛いよ。一緒に泊まることは出来なくても、たまには喜ばせてあげられたらと思うよ」
「ほんとう??絶対にお泊りできない人だと思っていたのに、こんな機会を作ってくれた……あなたの言葉を信じる」
「期待が膨らみすぎるのも困るけど、アユの笑顔が好きだよ」
「ウフフッ……私を喜ばせてくれるのを期待してサービスしちゃう。見てね……」
ホテルのベッドでアユは目隠しをしてオナニー姿をオレに見せつけて大胆に身体を開き、窓に手をついて夜景を見ながらオレを迎え入れた。
クリスマスは店があるので直後の土曜にシャンパンを開栓するのが恒例だった。
ハダカンボのサンタコスで迎えてくれるアユにオレの股間は反応して、その後は満足したことを態度で示して見せた。
自らのヌード写真を16分割したカード2組でトランプの神経衰弱ゲームのように遊ぶのは罰ゲームとセットで色々楽しめた。
そんなアユがオレも知っている男と結婚したという。
アユも大切だが一番大切な人は妻。大切な妻を守るために人妻や親しく付き合っている人のいる女性は誘わないし付き合うこともない。
記憶を消すのは難しいが連絡する術は削除したし、アユと付き合った痕跡は可能な限り処分した。
これからアユはオレの記憶の中だけに存在する。
いつか、こんな日が来ると分かっていたし今はアユの幸せを願うばかり。
そして、妻を除けばアユは親しく付き合う最後の女性になるだろう。
<< おわり >>