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彩―隠し事 344

余韻 -1

午後、彩の最寄り駅に近く人通りが少ない、いつもの場所まで送った健志は名残を惜しむキスを交わして股間に手を伸ばす。
「アンッ、思い出しちゃう。離れている間はこのプラチナチェーン下着で心を縛られている。そうでしょう??身体や心を縛られて感じる自由もある。彩はМッコだから……行かなきゃ。しばらく会えないけど我慢する」
「結婚指輪は二人を結び、心を縛るモノだと思うけど結婚指輪を送る術もないオレが彩を縛る象徴。象徴である証に鍵は彩が持っている……今日から独り寝だけど、シーツの交換を断ったから彩の匂いに包まれて眠れるよ」
「彩と離れて独り寝の夜は、夢の中で彩を自由自在に操るんでしょう??そんな健志を想像すると、独り寝の彩は濡れちゃう……オナオナの友達はこのバイブだね。ウフフッ」
お土産だよと言ってDVDと共に渡されたバイブをバッグ越しに指さし、
「行くね、連絡するから電源は入れといてね」
夫と暮らす家に帰ると言わず、あえて行くという彩に愛おしさがこみ上げる健志は姿が見えなくなるまで笑顔で手を振る。

途中、ロードサイドのショッピングモールで買い物と食事を済ませた健志は帰路に就く。
帰宅した健志は京都で作られたジンとグラスを冷蔵庫から取り出し水割りを作ってソファに腰を下ろす。
一口含むと和を感じさせる風味が口の中に広がり、いかにも京都で作られたクラフトジンだと思わずにいられない。
二口目を飲んで目を閉じると彩の姿が瞼に浮かぶ。

学生時代からの親友が隠し事をすることなく彩に打ち明けたというアダルトビデオ出演。
そのDVDを見ながらの淫猥遊戯で満足したはずの彩と健志だが昼間のベランダで再び愛を交わし、マンション横の通りを歩く人や隣室の住人に見られるか見られないかのスリルで昂ぶりは収まることを知らず、身体の奥底に棲みついていた卑猥な想いが白昼に姿を現し淫蕩な欲望の虜になっていた。
彩が帰るまでという約束の夫婦ごっこの時間が残り少なくなると健志は想いをぶつけるように彩の身体を貪り得も言われぬ快感と共に絶頂に到達した。

「シャワーを先に使って、彩は後でいいの……しばらく会えなくなるから、きれいな彩を見てもらいたい」

シャワーで汗とセックスの残滓を流した健志は白いチノパンと青いTシャツ姿で炭酸水を美味そうに飲み、フゥッ~と満足そうに息を吐いてバスルームに視線を向ける。
肌と床をたたくシャワーの音が消えて暫らくしても出てくる様子がなく、大丈夫かと声をかけようと一歩近づくと白いバスローブを羽織って上気した表情の彩が姿を現す。
「上気した表情が色っぽい。可愛いなぁ……抱きしめたいよ。飲むだろう??」

飲んでいたのと同じ炭酸水のボトルを手渡すと白い喉を見せてゴクゴクと音を立てて飲み、「ありがとう、美味しい」と呟いてニコッと微笑む。
「おう……」色っぽいと感じた彩に正面から見つめられた健志は、ドキッとして視線を逸らして目元を赤らめる。
「彩を見るのが恥ずかしいの??可愛い……ウフフッ、暴れん坊オチンポの持ち主とは思えない」
「うるせぇ。きれいな女性に見つめられて平気なほど厚かましい男じゃねぇよ」
「ウフフッ、褒めてくれたから、そうだなぁ……明日以降しばらくの間、お泊りはムリでも時間に余裕があれば食事に付き合ってあげようか??迷惑??」
「迷惑じゃねぇよ、嬉しいよ。期待して待っている」
「絶対ってわけじゃないからね、時間に余裕があればだよ。それでもいい??」
「いいよ。一日二十四時間、いつでも待っている」

時刻を確かめた健志は笑みを消して硬い表情になり、
「もう帰る時刻だろ、送るよ……その前に彩の心を縛る下着を穿かせるからバスローブを脱ぎなさい」
「ここで??」
「そうだよ……どうしても嫌だと言うなら強要はしない。寝室で着けてきてもいいよ」と告げてプラチナチェーン下着を持つ右手を突き出す。
「いじわる。断らないのを知っているのに、そんな言い方をする。脱ぐから見てね」
紐を解いたバスローブに右手を差し入れて左肩から滑らせようとした彩は一瞬躊躇し、許してと呟いて後ろ向きになり左肩、右肩の順に滑らせるとハラリと足元に落ちる。

パンと張り出した腰から太腿に続くラインは成熟した女性らしい丸みを帯び、マリンスポーツやヨガの効果で崩れることなく存在感を示す尻もまた健志には好ましく、ヴィーナスの笑窪が健志に向かって微笑んでいるようで抱きしめたくなる。
背中から腰を経て太腿に至る白い肌は染み一つなく、凛とした後ろ姿と共に顔や髪形、衣装だけではなく自分では気付きにくい後ろ姿にも気配りの行き届いた女性だと思え、そんな彩と濃密な時間を過ごせる自分に笑みが浮かぶ。
「彩、こっちを向いて顔やオッパイを見せてくれよ」
胸を左手で、股間を右手で覆った彩は向きを変えて健志に正対し、
「夫婦ごっこは楽しかったし生まれ変わったら健志と結婚してもいいかなと思っていたけど止める」
「どうして??オレが嫌いになった??」
「嫌いになった訳じゃないけど、クククッ、健志と一緒だとセックスに忙しくて他のことは何もできなさそう……セックスは大切だけど他のこともね。恥ずかしい、早く済ませて」
「夫婦ごっこはダメ。生まれ変わってもオレと一緒になるのは嫌……オレは今を楽しむしかない。帰る時刻ギリギリまでこのままだよ」
前屈みになってムッチリとした内腿を見つめ、次の瞬間には上半身を仰け反らせて頭の天辺からつま先まで彩のすべてを記憶に刻もうとする。
「スマホに残してもいいのに」
「大切な彩をこんな小っちゃくて狭い中に押し込みたくない。離れていてもすぐに想い出せるように頭ン中のキャンパスに描いとくよ。幸いなことに頭ン中のキャンパスに描く絵は画才のないオレでも上手に描ける」
そんなことを想い出しながらジンの水割りを飲み干した健志は睡魔を追い払うことができず、彩の匂いと感触が残っているシーツに顔を埋める。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

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さむいのも嫌
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夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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