2ntブログ

COVID-19(coronavirus disease 2019)  -2

橋の上から見る多摩川は両岸に茂る木々の緑が覆いかぶさり、流れる水は岩で砕けて白くなり少し先の瀞で穏やかな姿に戻り見ていて飽きることがない。
景色をカメラに収めたアユは荷物を持つ男にカメラを向けてシャッターを押す。
手をかざして見上げると昨日の雨空と違って青い空が広がり、両手を荷物でふさがれた男は遠慮がちに伸びたアユの手が触れて我に返る。
「きれいだね。吸い込まれそうな気がする……見て、あれはカヌーでしょう??涼しそう、ねぇ、やったことがある??」
「ないよ。この景色は見ていて飽きることがないけど下りようか」
「うん、帰ってからも予定があるから急いだほうがいいね……違うの??」
苦笑いする男の顔を覗き込んだアユは面白そうに言葉で絡む。
「なにか分からないけどアユには予定があるらしいからね。昨日までの雨で滑りやすいから気をつけなよ」

肩に掛けたバッグと両手に荷物を持つ男の腕に手を添えて河原に続く下り坂を歩くアユの表情は久しぶりの好天に負けずに晴れ晴れと明るい。
「一つだけでも荷物を持とうと思わないかなぁ……」
「奥様が言っていたよ。あなたは女性に頼まれごとをされるのが好きで、可愛いと思うって……奥様は可愛いと思っても私は違うの??ア~あ、私は愛人だからかなぁ」
「オレにすべての荷物を持たせてノーパンの膝丈スカートをヒラヒラさせて坂道を下るアユは可愛いよ」
「あっ、下着を着けてないのを忘れていた。誰も見てないよね、気付いた人はいないよね??」
「アユが漆黒のマン毛をヒラヒラさせているのを知っているのはオレだけだよ」
「漆黒のマン毛……剛毛の持ち主みたい。私のアソコはジャングルじゃないよ、いじわる」
客とママの関係からさりげなく誘ったアユの言葉をきっかけに始まった付き合いだが今日ほど戸外であけすけに性的な言葉を口にすることがなかった。

「ここが好い」
景色を確かめながら河原を行きつ戻りつするアユは両手の指を合わせてキャンバスになぞらえ、満足できる場所に陣取りイーゼルを立ててキャンバスを用意する。
「油彩は時間も必要だから水彩にしたし彩色は帰ってからでいい。早く済むと嬉しい??」
「昼食が早くなりそうで嬉しいよ」
「えっ、可愛くない。スカートの中が気にならないの??……暑いなぁ、家に帰ればすぐにシャワーを浴びて、その後は他人の目を気にする必要がないからスッポンポンのままで居ようかな」
「そうか、他人の目を避けたいのか。アユを送った後は直ぐに帰るよ」
「怒るよ。あなたにとって私は他人なの??」
「怒った顔も可愛いよ……提案なんだけどアユを送った後、部屋でミルクティを飲ませてくれないかな、一杯でいいんだけど」
「紅茶だけじゃなくウィスキーの水割りもジントニックも飲みたければ私のジュースも飲ませてあげる。ウフフッ、あなたの腕次第だけどね……退屈なら寝てもいいよ、終われば起こしてあげる」

レジャー用折り畳み椅子に座って描き始めたアユの少し前で、ここがいいと呟いた男はレジャーシートを敷いて横たわり川面を見つめる。
「久しぶりに姿を見せてくれた太陽が波に反射してキラキラ……眩しいから眠れないな」
反転すると川面とは違う眩しい景色が目の前に広がる。
「クククッ、期待通り。こうなることを期待して下着を穿いてこなかったの、嬉しい??」
「小さいころから絵を描くのが苦手だったけどこの絶景を頭ン中のキャンバスにだけ残すのはもったいない……そうだ、カメラを貸してくれる??」
「あなたのスマホの方が好いんじゃない??」
「それはダメだ。年上を気にする姫に写真を禁じられているからね。アユの写真があるのを気付かれるとまずい」
「ふ~ん、いいよ」
カメラを手渡したアユは背後や左右を見て二人に注目する人がいないのを確かめる。
「早くして、今は注目する人がいないけど気になる」
新型コロナウィルスの感染を警戒する中、例年ほど人が多いわけではないものの久しぶりの好天とあって全くいないわけでもないし、近くにある人気の蕎麦店の開店を待つ人も河原の周辺にいるようだ。

スカートの中の淡い陰りにカメラを向けると再び左右を見渡して両足をゆっくり広げていく。
ハァハァッと荒い息遣いが男に伝わり、両脚はわずかに震えを帯びてアユの健気さに男は二枚だけでカメラを返す。
「もういいの??こんなことをしたことがないから心臓はバクバクするし脚は震えちゃった、ごめんね」
「ありがとう。落ち着いて眠れそうだよ。終わったら起こしてくれよ」
脹脛を擦り、膝から内腿に這わせた指がアユの秘所に近付くとそれより奥に進むことはせずに手を引っ込めて顔にハンカチを被せる。
それで終わりなのと思う間もなく寝息が漏れ始める。
「ウフフフッ、奥様の言う通り。話し終わると2分と経たぬ間に寝ちゃった」  
誰に聞かせるでもなく呟いたアユは景色を描くことに集中する。

COVID-19(coronavirus disease 2019)  -1

「ごめん、待たせちゃったね」
「待ち合わせの時の私の楽しみを知ってる??」
「うん??楽しみ??わかんないな、なんだろう??……考えながら歩くよ、車はその先に停めたから」
アユの持つ大きな荷物を受け取り歩き始めた男の腕に手を添えた女の横顔は梅雨の晴れ間のわずかな陽光に照らされて上気し、それを見た男は頬を緩める。
「顔に何かついている??チラチラ横目で見られるって恥ずかしい」
「可愛いなぁと思って……、それより、待っている楽しみって何か教えてくれよ。気になってしょうがない」
「話すと楽しみがなくなっちゃうかもしれないけど、いいよ、教えてあげる。待っている私を見た時のあなたの表情が面白いの。約束の時刻よりも早く着いたのに待たせちゃったって困ったような顔をするのに気付いてないの??」
「そうか、オレの表情が面白いのか。5分前に着いてもアユの笑顔が待ってくれている。これより早く着くのは何のための約束時刻だかわからないし5分前はオレの主義だから変えられない」
「いいの、私は約束の10分前に着いてあなたを待つのが主義だから。ウフフッ」
「そうか、アユとオレの主義がうまい具合に調和しているんだ……可愛いよ」
男の手がキャップのアジャスターから伸びるポニーテールに触れて指先でクルクル回す。
「イヤンッ、遊ぶだけならいいけどポニテがペロペラかスクリューになって私が飛んでっちゃったらどうするの??クククッ」
後部席に荷物を置き助手席のドアを開けて目配せすると、満面の笑みで優雅に乗り込むアユにまたもや相好を崩した男は、閉めるよと声をかける。

新奥多摩街道で青梅を目指し多摩大橋交差点を過ぎると車窓の景色に見入っていたアユが口を開く。
「先週、雨が降った日に奥様が来た。お客様がいない時間帯だったんだけど、いつもの通り車だからごめんねと言ってウーロン茶を飲みながら、あなたから二度目の援助があったかって聞くの……」
「えっ、オレには何も言わなかった……どんな話し方だった??」
「心配??……私も侑美ちゃんも一瞬緊張したんだけど奥様が、誤解しないでね、今は大変な時期でしょう、あなたが沢山お小遣いを持っているはずだから困ったときは遠慮なくおねだりしなさいっておっしゃった」
「そうか、そんなことを……聞かなかったけど、ゴメン。今はどう??」
「大丈夫、一度目の援助がまだ残っている。侑美ちゃんも実家から家賃と学費は届いているから大丈夫だって、あなたの援助もほんの少し手を付けただけでほとんど残っているって言っていたよ……ウフフッ」
「なんだよ、思い出し笑いだろ??何があったんだよ」
「ごめんなさい。侑美ちゃんが奥様に聞いちゃったの、我慢の限界だったらしい」
「言わなくていい、想像がつくから……どうせ、浮気をして平気なのかって、そんな事だろ??」
「当たり、それとお小遣いって、どれくらいなんですかって好奇心を抑えられなかったみたいよ」
「しょうがないな、それで??」
「株取引で一定額以上の利益があると臨時のお小遣いを上げるとおっしゃって、今は調子がいいからねって」
「姫が帰った後の侑美ちゃんはどうだった??」
「クククッ、聞きたい??たぶん想像通りだよ」
「夫にはしたくない男だって言ったようだね」
「それと、歳は食っているけど見た目が好いから恋人ならいいかもって、会ったことはないけど私の大学の後輩らしい姪御さんと同じことを言ったよ。クククッ、嬉しい??」
「オレと姫にとっては最高の誉め言葉だね」
「奥様も??……ウフフッ、奥様は浮氣をしないんでしょう??悪いと思ったことがある??」
「返事は差し控えさせていただきます。この話はオワ……それより脚を閉じてくれないかな。事故を起こしても責任を取れないよ」

「私のことが嫌い??私のことを見るのが嫌なの??」
「好きだからこそ気になってしょうがない。アユのチラリズムのせいでシフトレバーが二本になっちゃったよ」
「あらっ、大変。間違えないでね、私んチに帰って時間があったら予定があるんだから」
「ふ~ん、知り合った頃のアユはそんなことを言う人じゃないと思ったけどな」
「穏やかに過ごしていた私にエロイことを思い出させたのは、あなた……あなたはこんな格好を好きでしょう??」
しどけなく開いたままの両脚をそのままにしてスカートをじりじりとたくし上げながら若々しくつやつやした内腿に指先を這わせる。
ゴクッ……「ダ~メ、事故が怖いからおしまい。続きは後でね」
男が唾を飲み、左手を伸ばして太腿に触れそうになるとアユは脚を閉じスカートを下ろして嫣然と微笑む。

「着いたよ。キャンバスやイーゼルはオレが持つからアユは弁当を頼むよ」
御岳峡谷に下りる途中に気に入った景色があるとカメラに収めたいということで弁当も男が持つはめになる。


プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード