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彩―隠し事 225

栞 新たな一歩 -14

リードごと首輪を外そうとする男に朱に染めた瞳を向けた英子は嫣然と微笑む。
「どうして外すの??首輪は支配と服従の象徴でしょう……私を支配したくないの??」
「奥さん、俺たち五人は指や舌に加えてオモチャを使ってあんたを悦ばせようとしているけど奥さんは、首輪は支配と服従の象徴。この一言で俺たちのSっ気を刺激して責めを催促するのだから大したものだ」
「ほんとうだ、俺たちを言葉一つで操るのだから素人とは思えないよ。本当の仕事でも営業や商品企画など心理を読むことに長けているんだろうな」

……えっ、優子にも、栞は直感で他人を判断することがあるけど私はそんな才能を信じている。プロジェクトの対外折衝では頼りにしているからねと言われたことがあるけど、案外そんな才能があるのかな……そんなことが脳裏をよぎって苦笑いが浮かぶ。

「ニヤッと笑っただろう、奥さん。笑顔から善がり啼きに表情を変えてもらおうか」
誤解だと言い訳もせず、背後から声をかけた男を肩越しに見つめると女の扱いに慣れているはずの男がポッと目元を赤らめ、照れ隠しのように英子の背中に手をかけて押し倒す。
首輪を着けたままリードを外された英子は背中を押されて四つん這いになり、新たなローションを垂らされて、イヤァ~ンと艶めかしい声を漏らす。
ハァハァッ……期待で息を荒げる英子に五人の男たちが群がりベビードール越しにローションを塗り広げる。
ニュルニュルッ、チュルチュル……「アウッ、クゥッ~、気持ちいい」
ローションまみれのベビードールはピタリと肌に張り付き、ニュルニュルと十本の手が這い回る。

背中を這い回る手、左右の肩から二の腕を経て前腕部まで撫でる手や腰から太腿に至るラインを滑らかに滑り、脹脛から足指までつるりと撫でて足指を一本一本揉みこんでいく。
ウッウッ、クゥッ~……男たちの手はローションの滑りに乗り、強弱をつけて全身を這い回り、大胆かつ繊細な動きで英子の性感を刺激する。
背中や四肢を撫でるだけでは飽き足らず、ついに胸の膨らみを掬うように揉みしだき、尻の割れ目に沿って会陰部から大陰唇を撫で始める。
襲い来る快感に耐えきれず身体を支える手足から力が抜けて崩れ落ちると仰向けにされて胸から腹部に新たなローションを垂らされる。
ニュルニュル、グチャグチャッ、十本の手が英子の肌をまさぐり胸の膨らみや腕、下腹部から股間や太腿と誰がどこを撫で擦っているのか分からないほど這い回り、「ヒィッ~、気持ちいい。アウッ、アワワッ、たまんない。クゥッ~……」
悲鳴にも似た悦びの声が間断なく漏れて口は閉じることを忘れて両足も大きく開き、瞳は男たちが手にしたオモチャを見つめる。

「奥さん、待ちに待ったオモチャ責めだよ。嬉しいだろう??」
「イヤッ、オモチャで嬲られるよりオチンポで突かれるのが好き……ダメッ??」
フゥッ~……媚びるような甘え声に男たちは顔を見合わせたり宙を睨んだりして英子から意識を遠ざけ、撮影中だということを忘れて息を吐く。
ヴィ~ンヴィ~ン、オモチャのスイッチを入れると男たちは英子に対する優位の気持ちを取り戻し、甘い蜜に群がるアリのように英子の肌に群がる。
ローションにまみれた乳房を揉みしだかれ、股間に押し付けられた電マの振動が身体の奥に隠れたままの性感を呼び起こす。
「もっと気持ち善くしてくれるでしょう……あなた、見てる??五人もいるのに私を善がり啼きさせてくれないの。そんな私を見たいって言っていたのにゴメンね」

「俺たちは遠慮が過ぎたようだ。本物の素人奥さんに手加減することもあったけどそれは無用のようだ」
ビリッ、ビリビリッ……男たちの嗜虐感に火が点き、ベビードールの裾を掴んだ手に力を込めて左右に引っ張るとあっけなく裂けてしまう。
「奥さん、これを咥えろ。奥さんのマンコを可愛がってくれるバイブにご奉仕するんだよ」
ウィ~ンウィ~ン、目の前に突き出された黒いバイブは蛇が絡みついたように節くれだち、獲物を求めてグルングルンと首を振る。
ジュルジュル、ジュボジュボッ、ウグッ、ゲボッ……英子の口腔を蹂躙して唾液にまみれたバイブはショーツを穿いたままのマンコに挿入され、異物を押し出そうとしてもショーツが抜け落ちるのを阻止して許してくれない。
ニュルニュルッ、グニュグニュッ、乳房が形をとどめないほど揉みしだき、摘まんだ先端を捩ったり引っ張ったりと思うさま嬲られる。

「ゴクッ、ハァハァッ……しお、ハァハァッ、英子、気持ちいいんだね、スゴイよ」
夫は思わず本当の名前を呼びそうになったものの、かぶりつくように撮影するカメラを目にして英子と呼び直す。

男の一人が英子の両脚を掴んでグイッと持ち上げると、別の男が手にしていた小ぶりのバイブをアナルに押し付ける。
浣腸を済ませているアナルは十分に解れているしローションまみれになっているので抗うことも無くすんなりと飲み込んでしまう。
ウィ~ン、ウィ~ン……ヴィ~ンヴィ~ン……ヒィッ~、ウググッ、グワァァ~……宙に向けた股間は前後の穴に咥え込んだバイブがウネウネと首を振り、バイブの尻に電マを押し付けて新たな振動を加えると獣じみた喘ぎ声が響く。

彩―隠し事 224

栞 新たな一歩 -13

休憩中は外されていた大型犬用首輪を巻かれた英子はマットレスの中央に引き出され、天井から下がる鎖にリードをつながれて動きを封じられる。
しゃがもうとしても首輪につながるリードで吊り上げられてはそれも叶わず、クリムゾンレッドのベビードールの透け感は真っ赤なサイドストリングショーツを露わにし、背中が大きく開いているためにほんの少し前かがみになるだけでショーツと共に尻の割れ目さえもが見えて男たちの獣欲を刺激する。

男たちの十本の手が英子に伸びて五十本の指が肌をまさぐり五つの舌がなめくじのように首を這い、腋下を舐める。
「クゥッ~、イヤンッ、ハァァッ~……あなた見ている??あなたの妻が、いやらしい男たちに嬲られているの……アァ~ン、たまんない。気持ち善くなってもいいの??」
「気持ち善くしてもらいなさい。ほんの少し乱暴にされるのがいいんだろ??お願いしないと気持ち善くなれないよ」
予想外の夫の科白が男たちを刺激する。


「奥さん、男の手が十本も肌を這い回ったことはないだろう??たっぷり可愛がってやるよ」
「見ている??ねぇ、いいの??あなたの手や舌、吐く息にさえ身悶えるほど気持ちいいのに五人の男の人に可愛がられると狂っちゃうかもしれない……ヒィッ~、ローションがヌルヌルして気持ちいい」
肩や胸の膨らみに垂らしたローションはベビードール越しに塗り込められ、男たちの手は英子の性感帯を求めて這い回る。
「アンッ、イヤッ、気持ちいい……もっと気持ち善くして、五人もいるんでしょう」

「この人には特別な性感帯はないんじゃないか、全身が性感帯。OLにしとくには勿体ないな。AV女優になるべきだよ、奥さん」
「旦那の吐く息にさえ身悶えるって言っただろ、性感帯を集めて作り上げた女性だろうな」
「そうか、責めがいがあるなここを触るとどうだ??」
男の指が胸の膨らみの先端を摘まむと、アンッと男たちの獣欲を刺激する艶めかしい声を漏らし、ベビードールの裾からローションに滑りに合わせて内腿を撫で上がると、クゥッ~という喘ぎ声と共に全身を震わせて崩れ落ちそうになる。
「アンッ、苦しい……可哀そうな私。気持ち善くなってもしゃがむことも許されない。もっと苛めて、五人もいるのに焦らすだけなの??バイブや電マを使わないの??ねぇ、早く」
男の一人が夫に視線を移すと意図を察して頷き、愛する妻が乱れる姿を想像して乾いた唇に舌を這わす。

ヴィ~ン、ヴィ~ン……五人の男たちが電マを手にして英子を取り囲み、そのうちの一人が手枷で後ろ手に拘束する。
「奥さん、この拘束具にはクッションの効いたカバーを付けてあるから傷や痕が付くことがない。奥さんの気持ち次第だけど明日の仕事に支障を来すことはないはず、
安心して身悶える姿をご主人に見せてやりなよ」
ヴィ~ン、ヴィ~ン……男たちが電マを操り英子を嬲り始めると身体を捩らせる。
「ヒィッ~、イヤンッ、こんな事って……」
二人の男が胸の膨らみの先端を狙って電マを押し付けると英子は身体を捩って逃げようとする。
首輪とつながるリードが天井から下がる鎖につながれていては逃げることも叶わず、両手を後ろ手に拘束されているのでオッパイに悪戯する電マを払い除けることもできずに必死の形相で拘束具を外そうとする。

三人目の男が操る電マが拘束具に振動を伝えると英子の抵抗は止み、固く握られていた指は緊張を解いて開く。
ヴィ~ン、ヴィ~ン……開いた指を挨拶代わりに擦った電マは前腕部を撫でていく。
「奥さん、白い腕に青い血管が浮かんでエロッポイ」
男は前腕部から上腕部にまで青い筋に沿って舌を這わせ、首筋をベロッと舐めて耳を甘噛みする。
後ろ手に拘束して電マで責める荒々しさは影を潜め、舌は繊細にかつ大胆に英子の性感を燃え上がらせる。
「アウッ、イヤッ、気持ちいい……」
首筋や耳が感じる気持ち善さで前かがみになるとオッパイを刺激する電マの勢いが増し、身体を捩って避けようとすると下半身に陣取る男二人がローションまみれの太腿を擦り内腿の付け根を電マが刺激する。
「アウッ、ウググッ、クゥッ~……グゥッ~、だめ、首が苦しい」
首輪につないだリードで吊り上げられた身体は与えられる刺激に反応すると首は苦痛に襲われる。
「リードを外して横たわらせてあげる。ローションと電マの快感地獄の入り口だよ、奥さん」

彩―隠し事 223

栞 新たな一歩 -12

両手両足をついて牝犬歩きする英子を見つめる男の一人が尻を打つ。
「イヤンッ、もうぶたないでってお願いしたのに、いじわる……」
声は甘えを帯びて上目遣いに抗議する視線は色っぽく男は一瞬の躊躇と共に顔を逸らして、フゥッ~と息を吐く。
「奥さん、あんたの旦那に同情するよ。奥さんのようにエロッポイ牝犬がそばにいたんじゃ寝る間もないだろうよ……」

「ご主人、すみません。栞…すみません、英子さんの魅力に負けた男優がご主人の存在を忘れたようです」
そっと近づいた雨宮が撮影の邪魔にならないように小声で話しかける。
「興奮しています。見てください、身体の震えが止まらないんです」
椅子から転げ落ちんばかりに前のめりになって見つめる夫は指が白くなるほど固く握りしめ、言われるまでもなく傍から見てもはっきり分かるほど身体が震えている。
「大丈夫ですか??これからもっと激しくなりますよ。別室に移られるならご案内します」
「いいえ、愛する妻が責められて身悶える姿をこの目に焼き付ける覚悟で来ています」
夫の言葉を聞いた雨宮は監督に視線を移して頷いて見せ、静かにその場を離れる。

夫の顔が分からないようにカメラは興奮で震える背中を映し、その向こうでは四つん這いのまま止まった英子のベビードールが捲り上げられる。
「牝犬には尻尾が付いているよな……動くんじゃないよ」
ショーツがわずかに引き下ろされて割れ目を開かれ、抗う暇もなく窄まりの中心にローションを塗り込められて尻尾代わりに房の付いたディルドを挿入される。
取り囲む男たちの間を引き回されると尻尾が揺れ、それを嘲笑するような揶揄いの言葉が英子の被虐心を募らせる。
犬歩きのシーンが終わると尻尾代わりのディルドが引き抜かれて次のシーンの準備のために10分間控室に戻るように指示される。

「雨宮君が教えてくれたけど、次は衣装はそのままで男たちの操るオモチャで弄ばれるらしいよ。男優さんは僕と違ってバイブの扱いに慣れているだろうし五人同時に責められると栞はどうなっちゃうんだろうな、見てくれよビンビンになって先走り汁がトロットロ。パンツもグチャグチャになっちゃった……しゃぶってほしいけど無理だよな」
愛する夫の股間に手を伸ばした栞は嬉しさを隠そうともせずに妖しく微笑む。
「我慢してね。すぐにシャブシャブして飲み干したいけど今日の私は女優で仕事中。帰ってからね、ウフフッ」

トントン……「英子さん、おねがいします」
「は~い、すぐ行きます……大好きなあなたの前で逝き狂っちゃっても嫌いにならないでね」
「嫌いになるわけがない。僕を嫉妬でビンビンにしてくれる栞が大好きだよ」
「キスして……いやっ??」
ドアに押し付けた栞の瞳を覗き込んだ夫は視線を逸らしたり泳がしたりすることなく見つめ返すことに強い決意を感じ、たじろぎながらも貪るように唇を合わせる。

夫は自分の中にサド気質とマゾ気質が同居していることを実感している。
栞の浮気を知った時、嫉妬と共に嗜虐感が頭をもたげて縛ったり床に這わせたりして責めることで性的快感を得た。
興奮が収まりサド気質を自覚すると同時に、このきっかけとなったのは栞の浮気であり愛する妻が見知らぬ男に組み伏せられて善がる姿を想像して全身が熱くなり動悸が激しくなるのを意識した。
それは同時に自分の中にマゾ気質も同居しているからであり、見知らぬ男たちに責められて善がる栞の姿を想像して嫉妬に呻吟することにも悦びを覚える。

「栞、怖くないか??もう止めたいと思ったら合図しろよ、僕は何があっても栞を守るから」
「大丈夫、大好きなあなたが見てくれているから堪えられる……キスで元気ももらったしね、あなたのキスで逝きそうになっちゃた」
控室を出て先ほどの部屋に戻るとマットレスが敷かれて準備が整い、撮影スタッフがバイブや電マ、ローションなどのチェックをしている。

「棒読みの科白を口にするのは嫌だって言う奥さんとご主人の希望で台本らしいものは用意しなかったけど奥さんのエロっぽさ、失礼、魅力を生かすには台詞もあった方がいいと思う。感じたままの反応でいいから自由に口にしてください。君たちは奥さんに自然な形で合わせてくれよ」

彩―隠し事 222

栞 新たな一歩 -11

水曜日、優子と栞は朝の挨拶を交わした後は互いを意識することを避けて仕事に集中する。
昼休みになると顔を見合わせて、ウフフッと笑みを交わしていつもの公園に向かう。
「はい、優子のお弁当」
「ありがとう。ごめんね、私は味噌汁とお茶を用意するだけで……」
「いいの、旦那様のお弁当を作るのが楽しみで優子と私の分はついでだから……それにね、弁当を三つ作るのを見た旦那様が一つ多いけど誰のって聞くから、優子のだよと答えたんだけど、そういえば最近お泊りしてないだろうって。近いうちにお泊りを許してくれるかもしれない」
「そうなの??嬉しいような嬉しくないような、隠し事を根掘り葉掘り問いただすって言ったよね??」
「そうだよ、私はAV出演の経験を隠すことなく話す、優子は善がり啼きさせてくれるチンポを私が納得するまで話す。それが親友でしょう、違う??」
「うん、分かった。栞はセックスの先生、いろんなことを教わったもんね。相手の迷惑にならない範囲で話すって約束する。あっ、そうだ、栞はアキを知っている??」
「あき??あっ、課長の奥さんになったアキのこと??会社の陰謀で優子と離れ離れになった時、優子が机を並べていたアキ??何度か会ったから覚えているよ。どうしたの??」
「栞と一緒に遊びに来てほしいって、今はパート勤めをしているんだけど昔の同僚にして夫が世話になっているから会いたいって、どうする??」
「私は優子のオマケだろうけど、いいよ、会いたい。優子と課長のいきさつを知っているんでしょう??だいじょうぶなの??」
「大丈夫みたい。課長が言うには、私が断ってすぐにアキが振られたんなら私が面倒見てあげるって言われたんだって……結婚披露宴に招待された時、アキからそれらしいことも言われたしね」
「えっ、どんなことを言われたの??」
「アキが言うには、ひそかに課長、当時は課長じゃなかったけど好きだったんだって。それで、ありがとうって、結果として残り物だけど私には宝物だよって惚気られた」
「ふ~ん、今のご主人じゃなく、課長と結婚していたら優子と私は今ここで弁当を開くことはなかったよね……不思議だね、ちょっとした言葉で何年か先の人生は想像もできないほど違うものになっちゃうんだから」
「ほんと、栞の言う通りだよ。だから今を全力で生きる……そうだよね」
優子は自分に言い聞かせるように言葉を紡ぎ、頷いた栞は昨日の続きを語り始める。


ハァハァッ……クリムゾンレッドのベビードール姿で五人の男たちに取り囲まれる不安と性的期待で自然と息が荒くなる。
「オマンコや口マンコ、尻の穴にまでオレたちのチンポを咥え込んで善がり啼きするエロイ奥さんは発情期を迎えた牝犬のようだな。牝犬らしく首輪をつけようか」
「ウッ、いやっ……」
大型犬用首輪を首に巻かれ、Dカンに通したベルトが留められるとプルッと全身に震えが走る。
「アァッ~、太い首輪の存在感がすごい。首を曲げるのも苦労するしワンちゃんにされた気分になる」
「発情期の牝犬に誘われて盛りのついた雄犬のようにキャンキャン吠えるのは俺たちの本意じゃないから静かに嬲ってやるよ。奥さん、犬歩きしようか」
「えっ、どうすればいいのですか??」
「奥さん、赤い犬用首輪がよく似合っている、リードをつけて犬歩きしてみよう……奥さんは発情期を迎えた牝犬、フェロモンを撒き散らせて雄犬の俺たちをその気にさせてみなよ」
カチッ……ハァハァッ……首輪にリードをつながれると両脚が震えて頬が紅潮し、心臓はドクドクと早鐘を打ち口から飛び出してしまいそうになるほど興奮する。

「可愛い牝犬ちゃん。散歩するんだよ……奥さん、早く犬になりなよ」
ピシッ……ベビードール越しに尻を打たれると脳天まで電気が走り、二度目を打たれる前に四つ足で歩き始める。
ドクドクッ……ハァハァッ……大好きな旦那様が見ている。
ハァハァッ……牝犬になった私が四つん這い歩きすると息を弾ませて見てくれている。
熱い、股間だけではなく全身が火照り、ベビードールが朱に染まる肌を隠してくれることに安堵する。
犬歩きで疲れた膝や手足を休ませようとするとリードを引かれて尻を打たれる。
「アンッ、いやっ、痛いっ……ぶたないで、何でも言うことを聞きます」
牝犬となって首輪につないだリードで引かれる英子の抗議する声は甘く尾を引き、取り囲む男たちの股間と嗜虐心をくすぐる。


彩―隠し事 221

栞 新たな一歩 -10

歩きながら覗き込む栞に視線を合わせることなく表情を強張らせた優子は進行方向に視線を向けたまま口を開く。
「うん、私の想像を超えているから驚いて声が出なかった。栞が望んでというか、栞の企みでご主人と雨宮さんを手玉に取ったんだよね、そうだよね??」
「そうだと思うけど、自分でもよく分からない。私の性的好奇心のせいなのか、それとも大好きな旦那様の寝取られ願望を叶えてあげたいのか……多分両方だろうけど、後悔してないよ。クククッ、監督がね、優子によろしく伝えてくれって言っていたよ」
「私は絶対ダメ、出来ない」
「分かっている、でも付き合っている人がいるんでしょう??旦那様が優子んちに泊まることを許してくれるまで聞かない。その時は納得するまで徹底的に問いただすからね、ウフフッ、楽しみだなぁ」
優子の返事を求めるわけでもなく屈託のない笑顔で空を見上げて両手を大きく伸ばす。
「エッチな妄想を振り払うには仕事をするに限る。午後は頑張んなきゃ……プロジェクトのデータ分析は任せてね」

午後の栞は自ら口にした通り卑猥な妄想を振り払おうとするかのように仕事に集中し、最初の内はチラチラ様子を見ていた優子も安堵と共に午後の予定をこなしていく。
終業時刻になると栞は今日も夫と待ち合わせの約束をしていると早々に帰路に就き、残った課員も一人、また一人と退室して課長と優子だけが残る。
「前任の課長から鍬田さんと深沢さんは仲が良くていつも一緒だと聞いていました……金魚のウンチもいつまでもくっついているわけじゃないですよね。あっ、失礼な言い方をしました。謝ります」
「いいえ、自分でもそう思います。学生時代からの親友で親にも言えないことも相談し合う仲ですから……それはそうと、課長から見て私と栞、どっちが金魚でウンチはどっちだと思いますか??」
「えっ、苛めないでください。失言でした、全て取り消します」
「ウフフッ、自分でもそう思いますと言いましたよね。その上で、金魚かウンチか教えてください」
「強いて言えば、金魚は鍬田さん、深沢さんがウンチですね。深沢さんに聞かれたら反対のことを言いますが……顔が赤くなります、もう許してください」
「ウフフッ、分かりました。でも、乙女心が傷ついたので忘れるためには……お酒まで望みませんがコーヒーはご馳走していただかないと。どうですか??」
「分かりました、私の不注意で傷つけた乙女の心が癒されるようお供いたします。私はあの頃と変わっていないので洒落たカフェなど知りません。お店選びはお任せしていいですか??」

「ここは昔の乙女が二人で仕事帰りによく立ち寄るカフェです……久しくお会いしていませんが奥様はお元気ですか??」
「元気ですよ。今は近くのお店でパート勤めしています。鍬田さんと一緒に仕事をすると伝えると何といったか分かりますか??……浮気しようと思ってもまた振られるだけだから、諦めなさいと言われました。すべて、お見通しですよ」
「クククッ、アキは変わらないね」
「鍬田さんに振られて気落ちしている私を慰めてあげるからついておいでと言われた結果が結婚。私には過ぎた妻です、愛しています……あっ、ごめんなさい、着信です……えっ、妻からです」
一瞬、驚いた表情を見せた課長はその場でスマホに話しかける。
「もしもし、誰と一緒だと思う??……鍬田さんとコーヒーを飲んでいる……嘘じゃない、本当だよ……えっ、ちょっと待って、聞いてみるから……妻が代わってくれというんだけど、いいかな??」

「アキ??久しぶりだね、昔のままの声、懐かしいなぁ……こちらこそ、課長にはお世話になっています。クククッ、変なことを言わないでよ……いいの??お伺いします。話したいよね……栞も一緒に??どうかな、最近ご主人とラブラブで今日もサッサと帰っちゃった……分かった、誘ってみる。楽しみにしている。代わるね、バイバイ」
優子からスマホを受け取った課長は笑顔で話し、最後に「……分かった、買って帰る。うん、伝える」と告げてポケットに収める。
「鍬田さんとは縁のない運命のようです。妻に買い物を頼まれているようではだめですね。一縷の望みも絶たれました、諦めます」本気とも冗談ともとれる表情の課長はわざとらしくガッカリした表情を作り、ハァッ~と溜め息をつく。
「そうだ……それはそれとして、鍬田さんと深沢さんのお二人を絶対にお連れしろと言われました。助けると思ってお願いします」
優子もまた課長と浮気するのもいいかなと思っていた気持ちを旧友である奥様と話して水を差される。

店を出たところで課長と別れ、健志の声を聴きたいと思う気持ちを吹っ切るために夫の好きなビールのつまみを買って帰ることにする。
プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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