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彩―隠し事 50

土曜日の午後   

前ボタンのデニムスカートにざっくりセーターを合わせた彩に倣い、チノパンとTシャツを着けてデニムジャケットを羽織る。
「彩はセーターなのに健志は上着があるの??」
「バッグを持たないから財布や小銭ジャラジャラを入れるポケが必要だろ」
「そうか、分かった。何処に行くの??」
「彩は元気かもしれないけど、オレはダメだ。彩が相手でも二回は頑張りすぎた、お日さまが黄色いよ。目的もなく歩きたい……デートのようだからダメかな??」
「いいよ、嬉しいかも。セックスが目的の付き合いみたいなもんだけど、会う度、時間の許す限りアレだけじゃね」

駅へ続く坂道を歩き始める二人は言葉を交わすことがなくても不安に思う事はなく、求め合う手は自然とつながる。
微風と戯れる彩の髪がサワサワと揺れて、乱れ髪を掻き揚げる手の白さと艶のある黒髪との対比が清潔な色っぽさを感じさせて健志の頬が緩む。
「どうしたの??面白い景色があった??」
前を向いて歩いていたはずの健志が横目で見ながら彩を気にしていたように、彩もまた健志の様子を気遣っている。

「あれっ、タケちゃん、デートなの??」
「そうだよ、こうして手をつないで歩くだけでウキウキするのは久しぶりだよ」
健志はつないだ手を顔の前まで持ち上げて、顔を綻ばせ、
「彩さん、この人は、え~っと……」
「私はキャバ嬢なの、タケちゃんはお客様。ややこしい紹介は必要ないよね。タケちゃんをよろしくね、彩さん。急いでいるから、これで失礼するね。お店で待っているからね」
開け放った窓から一陣の風が吹き込み、あっという間に反対側の窓から出て行くような爽快な空気を残し、振り返ることなく頭上で手を振りながら遠ざかっていく。
呆気にとられたような表情でキャバ嬢だと名乗った女を見送った彩は、健志を覗き込んで、
「今の人と寝たことがあるでしょう??食事をするのと同じようにやっちゃいそうな人。好き嫌いがはっきりしていて、好きなものならパクッと食べちゃう……間違えている??」
「うん、そうかもな。買い物に付き合ってくれって言われたんだけど、途中で雨が降ってきたんだよ。偶然、ラブホが目の前、ここで雨宿りしようかって、どちらともなく口にした」
「部屋に入ったら、雨が止むのを待つ間にすることをしようって、スッポンポンになっちゃった??」
「彩は超能力があるみたいだな、大体あっているよ」

立川駅前からペデストリアンデッキを北に向かい、伊勢丹とモノレール北駅の間を通り高島屋を過ぎてパレスホテルに入る。
ピザに物足りなさを感じていた健志がランチバイキングを食べようと声をかけると、
「うん、いいよ……アレッ、ちょっと待って……もう少し後じゃダメ??」
彩の視線の先には15時から始まるスイーツバイキングの案内がある。
「彩はスイーツ.バイキングの方がいいのか??」
「ダメ??サンドイッチやフルーツもあるからいいでしょう??」
「よし、出直そうか。その前に今日は土曜日だから予約しとこう」

ホテルを出て、どうしようかと思案顔の健志に彩はニヤッと悪戯っぽい笑みを送る。
「今日は土曜日。昔、エアグルーブが男たちを蹴散らして天皇賞を勝ったレースを覚えている……最近はやってないけど、運試ししない??健志と一緒ならツイテルって確認したい。どうかな??」
「分かった。ウィンズまで5分ほど歩くよ……日曜はセントライト記念、今日は阪神でローズステークスだったかな」
立川駅を北口から南口に移動してゲームセンターの脇を通り過ぎてウィンズに向かう途中、彩はコンビニが入るビルの看板にオモチャ屋を見つけると乾いた舌に唇を這わせて滑りを与える。

ウィンズに着いた二人は新聞をざっと見て、
「彩は分からないから、エアグルーブに乗っていた武豊騎手。それ以外は健志が選んで、健志が女神さまに愛されているかどうか分かるわよ」
「女神さまが彩に変身しているかもしれないから頑張ろう」
新聞を穴が開くほど睨みつけた健志は、マークカードに記入する。
健志が選んだモズカッチャンと彩の言う武騎手の乗るリスグラシューの2頭軸マルチ3連単で相手に、カラクレナイ、サトノアリシア、ブラックスピーチ、メイショ―オワラ、ヤマカツグレースの5頭の馬番をチェックして購入金額300円で合計9000円と共に発券機に投入する。
「当たりそう??何通りなの??」
「2頭軸マルチの相手5頭は30通り。18頭立てだから4896通り。単純に数学的確立からは163分の1、大丈夫だろう」
阪神競馬場11R、発送時刻15時35分を待たずに、丁度いいよと促してホテルに戻る。
彩は途中、コンビニの前でわざとらしく顔を上げて、大人のオモチャ屋さんの位置を確かめる。

スイーツバイキングの開始早々というのに満席に近く、予約してあったことでホッとする。
彩はこのホテル自慢の地元産のハチミツ使用のロールケーキ、立川ロールに頬を綻ばせ、フルーツ満載のタルト、抹茶フィナンシェ、バナナプリン、メロンショートケーキ、黒ビールのムースやクレープと呆気にとられるほどの食欲を見せる。
彩に食欲を奪い取られた格好の健志は、健啖ぶりに笑みを浮かべてペペロンチーノを食べる。

「満足した??」、「食べすぎちゃったみたい」、「多摩川を見ながらのんびり歩いてみようか??」、「そうだね、まだ4時過ぎだもんね」
立川北駅でモノレールに乗って柴崎体育館で降車、新奥多摩街道を渡って多摩川に向かう。

緑地公園は犬の散歩をする人、親子やグループでボール遊びをする人、ジョギングやロードバイクで颯爽と駆ける人など土曜日の午後を楽しむ人たちで溢れている。
雑木が茂る場所を多摩川に向かって入ると人はいなくなり、緑地公園で遊ぶ人たちの喧騒も聞こえなくなる。
「食べすぎちゃったかなぁ??今日はヨガをしなきゃ、有酸素運動って効果があるんだよ」
調べてあげるよと言った健志は、セーターの裾をたくし上げて真っ白な腹部を丸見えの状態にしてブラジャーをずり上げ、乳首に吸い付き、前ボタンスカートのボタンを外していく。
「だめ、いやっ、見られちゃう。やめて……」
「大丈夫、ここには誰も来ないし、どこからも見えない。彩の素晴らしい身体を自然の中で見てみたい」

おとぎ話

カップ焼きそば 3/3

ウグッウグッ、フグフグッ……手をペニスの付け根に添えて顔を前後する。
「上手だよ。沙希も気持ちよくなってくれよ、セックスは二人で気持ちよくなるのが大切なんだよ……よし、おいで」
両脇に手を差し入れて抱き起した柏木は唇を重ねて濃厚なキスをする。
沙希の唾液と自らの先走り汁が混じり合った滑りを舐め取り、舌を侵入させて歯茎や上顎に舌を這わせる。
「ハァハァッ……どうしていいか分かんない、気持ち良くてフワフワする、私の身体じゃないみたい」
「よし、今度はオレが沙希の身体をきれいにしてあげる」

股間や乳房を隠すことを許さずに立たせた沙希の身体は要所要所に柏木好みのムッチリ感があり、店で見る印象と違っていたことに目を見張る。
泡だらけにした身体の股間と胸の膨らみを残して足指から首まで手の平を這わせ、乳房に手を伸ばすとブルッと震える。
「私の身体は変じゃない??他の人と比べたことがないから自信がないの」
「お店ではデートの申し込みに客が列をなしているんだろう??可愛いよ、自信を持っていい。オレの保証じゃ信じられないかもしれないけどな」
「信じる、柏木さんだから信じる……ハァハァッ、苦しい、心臓がバクバクしている。そこは恥ずかしくて我慢できない、自分で洗いたい……」
「ダメだよ。風呂から出たらベッドに寝かせてアソコもココも舐めたり吸ったりして、沙希のマンチャンが嬉し涙を流すまで許さないよ」
「いやっ、そんな事を言わないで……ハァハァッ、苦しい。それより、アソコもココもって何処なの??まさか……違うよね、いやんっ、ハァハァッ」
「沙希の考えていることは分からないよ。楽しみにしていなさい……、オレは先に出るから、きれいに洗ってくるんだよ」

下腹部を打つほど昂奮したペニスを沙希に見せつけるようにして身体を拭いた柏木はバスルームを後にし、後ろ姿を見送った沙希は、
「自信たっぷりで嫌な男……他のお客様のように私に媚びたり威張ったりしない。いつでもマイペース……そんなところが好きなんだけど、ウフフッ。ココをきれいにして、念のため後ろも、いやんッ」
昂奮する自分を冗談めかした独り言で冷ましながら股間と背後に指を伸ばす。

クリスマスのビンゴ大会で当たったクロエの香水をつけようかと一瞬迷ったものの、無理に大人ぶるよりも普段のままの自分でいようと心に決めて、この日のために用意したピンクのブラとショーツを着ける。
ふんだんに使った刺繍は華美になることなく清楚な雰囲気を保ち、ハーフバックショーツが優しく包んでくれる身体を柏木が気に入ってくれるかと気にかかる。
よしっ……パシッ……沙希は自らを励ますように声を出し、両手で頬を叩いてパジャマ代わりの半袖Tシャツと短パンを着けてバスルームを出る。

短パンから伸びる白くて張りのある太腿は風呂上がりのせいもあって微かに朱に染まり、艶めかしさにゴクッと唾を飲む。
「眩しい、沙希には驚かされるばかりだよ。夜のアルバイトが勉強の邪魔にならないかと心配していたけど、この部屋を見る限りそんな心配はなさそうだし……オッパイもカッコいいし、腰や腿のムッチリ感はそそる。抱きたくなるよ」
「私にも飲ませて」
床に座って水割りを飲む柏木に声をかけると両手を広げて招き寄せ、腿を跨いで座らせる。
「恥ずかしいから少し酔いたい、飲ませて」
カラカラッ……グラスを傾けて水割りを口に含むと氷が音を立て、これからの時間を後悔する事はないかと二人に問いかける。
ゴクッ……沙希の背中に手を回して口移しで水割りを流し込むと薄く作ったはずなのに目元をポッと朱に染めて目を閉じる。
「美味しい。優しくしてね……息をするのが苦しいの、横になりたい」
お姫様抱っこでベッドに運んだ沙希を横たえ、苦し気に息をする唇にキスをしてそっと舌を侵入させると飲んだばかりのウィスキーの香りが残っている。
ウッウゥッ~、ハァハァ~……動きがなく、されるがまま堪えていた舌がおずおずと動き始めて手は柏木の腕と背中を擦る。
柏木の手は腰を擦り、脇腹を撫でて胸の膨らみに手を添える。
ウッ……「大丈夫だよ、力を抜いて。息を吐いてごらん……そう、それでいいよ」
「ごめんなさい、こんな風にして欲しかったの。緊張してるのかぁ、なんか震えているみたい……私の、自分の事なのに分からない」

目を閉じなさい……うん、これでいいの??……沙希のオッパイを見ちゃうぞ。
半袖のために剥き出しの腕に指を這わせ、沙希が目を開けようとすると、目を開けちゃダメと柏木の声がかかる。
柏木の指が腕を這った後に鳥肌が立ち、それは全身に広がっていく。
「くすぐったいような、気持ちが好いような……オッパイを触られたらもっと善くなるかも……アンッ、恥ずかしい。太っているなんて言っちゃ嫌だよ」
Tシャツの裾に指をかけると、アンッと声を漏らして身体をくねらせる。

脱がせたシャツを顔に被せて視線を遮り、有無を言わさずパンツも脱がせてピンクの下着姿にする。
「沙希の白い肌に優しくて可憐なピンクの下着がよく似合っているよ」
指先がピンクのブラジャーの縁をなぞり、大きすぎることなく小さくもなくオレ好みだよと話しながら腹部に移動して臍を一周する。
「くすぐったい……ハァハァッ、なんか昂奮する。特別の事をされてないのに身体の芯が熱くなってくる」
ショーツの縁をなぞり、内腿を刷いて鼠径部を撫で上がると、両足がフルフルと震え、ハァハァッと息を漏らして鼻孔が開き、口は閉じることがなくなる。
内腿や鼠径部、ショーツの縁を撫でていた指が会陰部を擦ると何を言われたわけでもないのに両足を開いて愛撫を催促するようになる。そのまま割れ目の中心に沿って撫でると、指の後を追うようにして染みが出来る。
「焦らしちゃ嫌……何だか分からないけど叫びそうになっちゃう。私の気持ちを鎮めて」
親指を除く四本の指で割れ目を覆うようにして手の平の付け根を下腹部から恥丘に押し当て、体温を伝える意識を込めて圧迫する。
「アンッ、ウッウゥッ~……気持ちいいけど、続けられるとお漏らししそう」

ビチャビチャッ、柏木の舌は音を立ててショーツ越しに割れ目を舐め、手は腿を撫でて尻を揉む。
ウッウッ、イヤッ……ショーツは滲み出た花蜜と柏木の唾液で濡れそぼち、左手の甲で間断なく喘ぎ声を漏らし始めた口を抑え、右手はシーツを掴んで眉間に皺を寄せる。
沙希の胸の内にあるドロドロとした思いが肌を通じて伝わってくる。
若さを象徴する肌の張りがしっとりと滑りを帯びたようで、可憐な少女が成熟した女性に変貌する直前の輝きを放ち、喘ぎ声は声を殺した忍び泣きにも似る。
「ウッウッ、いぃ、そこ、アッアァァ~、いやっ、気持ちいぃ、もう、ダメ……いれて、我慢できない」

あっけなく昇りつめた沙希はハァハァッと荒い息を漏らして柏木が股間に押し当てたティッシュを挟んだまま、はにかんで頬を朱に染める。
「今の沙希は可憐な少女だけど、近い将来には好い女になるだろうな」
「ほんとう??また会ってくれるでしょう。エッチしてもらったけど、これはデートじゃないからね……ウフフッ」
「沙希がイヤじゃなければ、好い女に成長するのを確かめたい。次は背中やオッパイを舐めて足や腕を擦り、全身を愛撫攻撃で感じる処を探り当てたい」
「ウフフッ、私は柏木さんに育ててもらって好い女になるんだね、嬉しい」
チョコレート焼きそばを美味そうな表情で食べた褒美としては十分に満足できる。
近寄りがたいほどの好い女になる日を見ることが出来るだろうかと眩しそうに沙希を見る。


<<おしまい>>

おとぎ話

カップ焼きそば 2/3

一瞬、思いつめたような表情に変化した沙希は直ぐに笑顔を取り戻し、柏木の顔を覗き込む。
「何かエッチな事をお願いすると思っていたでしょう??期待を裏切ってごめんなさい」
「沙希ちゃんに純な男心を弄ばれるとは思っていなかったよ」
「クククッ、本当??ドキドキしているか確かめてもいい??」
言うが早いか両手を左右に開いてぶつかるようにして身体を預け、柏木も抗うことなく座ったままで後ろに倒れながら受け止める。
覆いかぶさる格好で抱き留められた沙希は柏木の胸に頬を押し付けて、満足げな笑みを浮かべる。

「可愛いな、沙希ちゃんは……こんな恰好で抱きしめると、キラキラ輝く瞳が目の前にくるだろ、眩しすぎてドキドキするよ」
「ほんとう??確かめるよ、好いでしょう??」
柏木のシャツを捲り上げて剥き出しにした左胸に右耳を押し付け、鼓動を確かめようとする。
「嘘吐き、ドキドキしてない。大人の余裕なの??私なんか心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどドキドキしているのに……ほら」
柏木の首に手を回して顔に胸を被せる。
胸の膨らみが口や鼻を覆い、息苦しくなった柏木が沙希の上半身をずらそうとすると、
「ダメ、このままが好いの。息をするのが苦しくなったらオッパイを揉んだり舐めたりすると隙間ができるよ、知っているでしょう??……私は初めてじゃないし、22だよ。今日は私の希望を叶えてほしいの」

こうまで言われて今更できないというほど柏木は野暮でも聖人君子でもない。
それに、股間は早く自由にしてくれとピクピク跳ねる。
沙希の腰を抱くように添えていた両手が動き始め、指先に力を込めて尻を揉む。
まだまだ若い沙希の尻は熟す前の堅さが残り、短パン越しとは言え腿の裏を撫でても反応が薄い。
背中に手の平を這わせ、脇腹を刷くように指先を滑らせても望むような反応が得られない。
身体を入れ替えて沙希を仰向けの格好にし、肘や膝で身体を支えて体重をかけないように気遣いながら鼻孔を膨らませてハァハァッと荒い息を漏らす唇にチュッと音を立ててキスをする。
「いいんだね、後悔しないね」
「いやっ、今更そんなことを聞かないで、恥ずかしい」
顔を背けて目を閉じ、柏木にすべてを任せるとでも言うように全身から力が抜けていくのが伝わる。

青いシャツ越しに胸の膨らみに触れると閉じた目はそのままでビクッと反応し、ゆったり伸ばして開いていた手を握り、奥歯を噛み締めて緊張を隠しきれない。
柏木の指先が閉じた唇をなぞり、頬を撫でて唇を重ねる。
「ウッウゥッ~……だめっ、気持ちいぃ、ウッ、クゥッ~」
「可愛いよ……悪戯っ子には、お仕置きしなきゃ。覚悟しなさい」
「チョコ焼きそばをごちそうしたのにお仕置きされる私は可哀そう。こんな風にギュッと抱っこされたかったの」
閉じていた眼を見開いて、今更できないとか、きれいごとで誤魔化すことは許さないと瞳は訴える。
喋り出しそうな口を閉じさせるためにキスをする。
濃厚になりすぎないように注意しながら、閉じた唇を開けさせるために舌でなぞり唇を甘噛みする。その間も手は休むことなく腰を撫で脇腹を擦って乳房の大きさを確かめるかのように優しく揉み始める。
「ハァハァッ……こんな風にされたかったの、嬉しい。シャワーを浴びてから、お願い……お風呂の用意はできているの」

昨日までは一介の客とキャバ嬢に過ぎなかった二人が白昼の風呂で身体を寄せ合う。
「強引すぎる女は嫌い??」
「強引な女性は嫌いだけど、チョコ焼きそばを好む女性は好きだよ」
「クククッ、好きと嫌い、どっちが優先するの??……聞かせて」
「沙希も言っただろう、オレはポジティブシンキングの男だって」
沙希ちゃんから沙希と呼び名が変化したことで動悸が激しくなり、お客様とキャバ嬢の関係から、ほんの少し関係が濃密になったことに安堵する。

「そんなに経験が多い方じゃないから上手じゃないと思うの、どうすればいいか教えてね」
ボディシャンプーを柏木の身体に直接ふりかけ、両手をブラシ代わりにして胸を擦り首や背中、脇腹を撫でまわす。
「立ち上がって縁に座ってくれる??このままじゃ、足やなんかを洗えない」
「無理しなくていいよ」
「こんな風にしたかったんだもん。妄想の世界に入り込むと勉強に集中できない……勉強に身が入らなくなったら責任を取ってくれる??」

沙希の反応を持て余す柏木は、わざとらしく口元を歪めて肩をすくめ、バスタブの縁に座る。
「ほんとうに頭にくる。魅力的なハダカンボを目の前にしても半立ちのまま、お店では私を誘うお客様が列をなしてるって言うのに。それに……アルバイトに文句は言わないけど、お客様に心を許すなって言う柏木さんの言葉を守っているのに」
ゴクッ……沙希は昂奮を隠そうともせずに唾を飲み、両足の膝下をざっと洗って太腿に手を這わせる。
太腿を洗い終えても手の平は腿を離れることなく撫で続ける。

「沙希、オレのモノに触れてごらん……そうだよ、手の平で包み込むように握りなさい。温かいだろう……擦ってごらん、もう少し優しく。気持ちいいよ、沙希」
「いやっ、ハァハァッ、大きくなってきた……すごいっ……ゴクッ、いいの??私の手の中で気持ち良くなってくれているの??」
「そうだよ、沙希が上手だから気持ちよくなって昂奮しているんだよ」
「教えて??どうすればいいの??」
「手の平にチンチンを乗っけて、反対の手でタマタマを受けるようしてゆっくり動かしてごらん……そうだよ、沙希は上手だな。こんな事ばかり勉強しているんじゃないだろうな??」
「どうかしら……スゴイッ、何もしてないのにチンチンがピクピクしてる」
「チンチンの先っぽを舐めてごらん……クゥッ~、たまんない、気持ちいいよ。次は歯を立てないようにして口の中に……そうだよ、ゆっくりでいい……沙希の口の中は温かいからオレは気持ちいいけど、沙希も気持ちよくならなきゃダメだよ。苦しくなったらすぐに吐き出していいからね」

おとぎ話

カップ焼きそば 1/3

ピンポ~ン……「は~い、直ぐに開けるから待って……」
「こんにちは、本当に来ちゃったよ」
「いらっしゃい。本当に来てくれるかどうか、すごく不安だったから20分ほど前からカーテンの陰に隠れて通りを見ていたんだよ……上を見上げた時は見つかると思ってドキドキした。ごめんなさい、急に誘ったりして。それより、場所はすぐに分かった??」
「悪いけど、上がってもいいかな??」
「ごめんなさい。この部屋に男の人を迎えるのは初めてだから昂奮していた。どうぞ、お上がりください」
「ありがとう、これはオミヤゲ」
「えっ、これって本店でしょう??私がこの店のスイーツを好きだって言ったのを覚えていてくれて、本店まで行ってくれたの??ねぇ、そうなの??」
「川を越えればすぐだろう、わけないよ」


「勉強を楽しんでいる??」、「うん、好きな事だから楽しい」、「そうか、勉強もアルバイトも好きなままでいてくれよ」
男の目は娘を見るような慈愛と優しさに満ちている。
「今日も三杯で終わりなの??」
「そうだよ、セットに追加一本で水割り三杯。これでオシマイ、飲み終えたら帰るよ」
「うん、分かった。柏木さんて食べるのが好きですか??興味ありますか??」
「食通とは言えないけど、初めての食べ物って興味あるよ」
「ふ~ん、今まで食べた中で、これは珍しいって言うのは何ですか??」
「高知空港のウツボ定食、中国でセンザンコウ、タドリ。タイで虫の素揚げ。そんなところかな」
「ウツボ定食にセンザンコウ、タドリ、虫の素揚げ……食べちゃいけないものも含まれていませんか??」
「ワシントン条約。その時は気が付かなったし何の肉か分からないまま食べちゃったからなぁ……」
「そうなんだ、タドリって現地語ですか??」
「カエルだよ、田鶏って書くらしいよ、本当か嘘か知らないけどね。出張した時に現地工場で仲良くなった人が福建省の海岸から500㎞ほど離れた実家へ帰るときに招待してくれて、歓待を受けた時の食事。飲物は青島ビール」
「ビールは好きじゃないんでしょう??」
「ビールしかなかったから、しょうがない。ジュースはスイカとクワイ」
「クワイ??正月のクワイ??あれがジュースになるんですか??」
「クワイだって言うし、缶にはクワイらしい絵を描いてあったよ」
「なんか楽しそう……柏木さんの話ほど珍しくないけど、うちに焼きそばがあるんだけど食べに来ませんか??」
「こんな話の後じゃ断りにくいけど、沙希ちゃんの家はまずいだろう」
「どうしてですか、私は構いませんよ……地図を用意しときました。受け取ってください。いつ来てくれますか??」
「困ったなぁ。じゃぁ、明日でもいいかなぁ??」
「いいですよ。柏木さんて案外とせっかちですね、私は今日でもいいけど、アフターは付き合ってくれないもんね」
最後は切り口上で話す沙希に押し切られる格好で約束する。


「女の人の部屋に慣れているんですね、すごく落ち着いているしキョロキョロしない……私なんか柏木さんが通りを歩いてくるのを上から見るだけでドキドキしたのに……ほらっ、ねっ」
柏木の手を取った沙希は左胸の膨らみを気にする様子もなく押し付け、心臓の鼓動を確かめさせる。
「すごいでしょう??柏木さんはどうなの??……やっぱり、あ~ぁ、昂奮しているのは私だけでバカみたい。独り住まいの女の部屋でドキドキしないし、オッパイに触れてもドキドキしないなんて感じ悪い……ウフフッ」
「大した経験があるわけじゃないけど、馬齢を重ねて面の皮が厚くなったのかもしれないね」
柏木の左胸に手の平を押し付けても激しい鼓動を感じることは出来ず、にこやかに笑みを浮かべるだけの表情を見た沙希は、わざとらしく憂いを浮かべた表情を怒りに変化させ、最後には苦笑いする。

夏の日差しを浴びて火照った身体にエアコンの効いた部屋は心地好く、窓は二人の邪魔をしようとして侵入を図る眩い夏の陽光を反射してギラギラ光る。
白い短パンに青シャツを着けて袖をロールアップした沙希は若さに溢れて眩しく、それが柏木の性的好奇心の芽生えを抑えてくれる。
シンプルにさえ見える片付いた部屋に頬を緩め、机と本棚にある本の背を見て安心する。
「今の視線は娘がまじめに勉強しているか監視に来た父親のようで感じ悪い」と、軽口をたたく。

一時の昂奮が冷めた沙希は、
「水割りを作りますか??」
「えっ、沙希ちゃんて一人で水割りを飲んでいるの??」
「違いますよ、柏木さんのために用意したんです……言いたい事は分かっています。学生であることを忘れていません、たまには無駄な事をして気持ちのバランスを保つ努力をしないと……そう思うでしょう??」
「うん、人は成長する過程で年齢に応じて経験すべき事、経験した方が好いことが色々あるけど、あれもこれも経験しとくことは好いことだし必要だと思うよ。一見、無駄と思える経験も反面教師って事も含めて役に立つと思う」
「お店でもそうだけど、柏木さんてどんなことも悲観的に考えないですよね」
「意識しているよ。空元気でもいいからポジティブにってね。悲観的な見方をすると筋肉は硬直するし、考えも過去や内側に向いちゃうだろう」
「じゃぁ、私もポジティブシンキングでご馳走します。カップ麺だけど、美味しいと思ったら一つだけ私の希望を叶えてください。約束ですよ」

「チョコレート焼きそばは、どうでしたか??」
「う~ん、なんと言えばいいのかなぁ……不味くはないし、どちらかと言えば美味い。焼きそばもそうだけど麺類は好きだしチョコはよく食べるよ。液体ソースの封を破いた瞬間に漂う匂いがチョコ、嫌いになるわけがないし、いい意味で期待を裏切られた感じがする」
「そうでしょう。友達に勧めたら額に手を置いて、あんた熱がないって言われたんですよ。酷いと思いません??」
「その人の感想だから憤慨する方が大人げないと思うけど、バレンタインデーにはうけるんじゃないかな??」
「今年のバレンタインデー前に発売されていたんですよ。それはそうと、美味しいって言ってくれたんだから、お願いを聞いてくれますね」
「絶対にとは言えないよ。拒否する権利も留保させてくれるね」
「クククッ、どうしようかな……それでは二つ希望を言うから柏木さんが選んでください。それが譲歩できるギリギリの条件です」
「困ったいじわる娘だな、沙希ちゃんは……お手柔らかに頼むよ」
「いいですよ。一つ目は同伴名目でデートしてもらう……二つ目は……二つ目は、思っていたことは恥ずかしくて口に出来ないから普通にデートしてもらう。二つの中から選んでください」

彩―隠し事 49

土曜日の倦怠    

昨夜は会員制バーで奈央や沙耶の乱交を見せられて昂奮し、その場で他人の視線を気にすることなく健志に貫かれて満足の証をバギナの奥深くで受け止めた。
この部屋に戻ってからも身体の奥で燻る昂奮は冷めることなく、ついには健志の悪戯によって火を点けられ、心地良い充足感を与えられた。
一晩で二度目の満足を得た彩と健志はじゃれ合う余裕もなくシャワーで汗を流し、疲れた身体を癒すために素っ裸のまま抱き合うようにして眠りについた。

腕枕をする健志の右手に抱きかかえられるようにして泥のように眠る彩は、カーテンの隙間から忍び込んだ陽の光に顔をくすぐられて目が覚めた。
健志を起こさないようベッドから抜け出ようとすると、抱きかかえる右手に力を込めて離れまいとする。
もしかすると彩よりも先に起きているのかと寝顔を見つめても、そんな気配はなく頬にチュッと唇を合わせると満足そうに口元を緩めて寝返りを打ち、その隙に乗じてベッドから下りて健志のシャツを羽織り窓際に進む。
さすがに素肌にシャツ一枚を着けただけの彩はカーテンで身体を隠すようにして駅周辺に視線を向ける。

土曜日を行楽地で過ごそうとする人の車は街を離れ、この街で買い物をしようとする人は駅周辺を目指している。
人見知りする質の彩は人が集まる場所では離れた位置に場所を取り、人々の話や行動を見るのがいつの間にか習慣になっていた。
その習慣は、ことさらにマンウォッチングを意識するものではないが、自然と人を観察することが多くなっていた。
そんな彩だけに土曜日の車や人の動きを見るだけで、人々が何を目指しているのかと想像してしまう。
ある人は些細な幸せを求めて、また、ある人は幸せを運ぶために朝早くから動いている。
ベッドからガサゴソと健志が動く気配が伝わる。

夏を思わせるような眩い陽光に顔を照らされた健志は右目を瞑り、左目を眇めて窓の方向に視線を移す。
「ウフフッ、おはよう。気持ちいい陽射しで身体を温められると健志に注入してもらった元気がグングン育っていくのが分かる」
「うん??よく分かんないけど、よかったね」
「分かってもらえないか……残念。そんな顔をしないで、怒っているんじゃないから。彩が何を考えているか分からなくて当たり前だもん。そのまま待っていてくれる??何か作るね」
「悪いね、もう少しゴロゴロさせてもらうよ。そうだ、朝は冷凍ピザで好いだろう??」
シーツを蹴とばして仰向けになった健志の股間は隆々と力が漲り、彩は呆気に取られて思わず口を押える。

「えっ、うそ。嘘でしょう??昨晩は二回も熱いのを受け止めたんだよ、彩じゃ満足できないの??」
「反対だよ。しっとりと吸い付くような彩の肌に触れると満足の際限がなくなっちゃうんだよ」

「そうなの??じゃぁ、起き抜けに一発やっちゃう??……嘘だよ、本気にしないでよ。クククッ、健志は本当に彩の事が好きなんだ、ふ~ん」
寝ころんだまま両手を広げて腰を突き出そうとする健志に嬉しそうな表情を返した彩はキッチンに向かう。
歩きながらボールペンを簪代わりにして黒髪を器用に夜会巻きにした彩のうなじに色気を覚えた健志の股間が一層昂奮し、鈍痛を覚えて顔を顰める。

冷凍ピザなどで簡単に朝食を済ませたタイミングで時計は11時を示し、顔を見合わせた二人は苦笑いを浮かべる。
「ねぇ、聞いてくれる??」
「いいよ、どんなこと??」
「勘違いされるかもしれないけど、怒らないでね。彩は本名じゃないし旦那様がいるって事は話したでしょう。でも、健志との関係を続けたいの……おかしい??」
「オレは彩の事が好きだから今の話は嬉しい。でも、結婚していることなどリスクは彩の方が大きいから、オレの希望は言わない。すべて彩次第で良いよ」
「うん、そう言ってくれると思っていた。すべて信じる……健志と今の関係になる切っ掛けになったSMクラブやAV撮影の見学は仲の好い友達に誘われたからなんだけど、ずっと昔から、エッチな思いを抱えていたの。中学時代だか高校生だったか、はっきりしないんだけど着替える処を見られてすごく昂奮して見せつけるようなことをしちゃったの」
「ふ~ん、オレも見たかったなぁ。あっ、ごめん、話の腰を折るつもりはないんだけど……それで??」
「AV撮影を見た時に、何て言うのかなぁ、お世辞とも違うような気がするし、まぁ、いいや。彩にその気があれば連絡してくれって言われたの、どう思う??」
「正直に言うと、オレは嫌だな。大好きな彩がAV男優さんとエッチするのを見て遠く離れた場所で見ず知らずの男がチンコをおったてて昂奮するのは堪えられない……我がままだって言われれば返す言葉はないけどね」
「フフフッ、そう言ってもらうと嬉しいかも……じゃぁ、健志も加わって複数での同室プレイみたいなことは??」
「昨日のバーみたいな事なら堪えられると思う。昼間は清楚で上品な彩が満月の日に奔放で淫らな女に変身して享楽に耽る」
「満月の夜って事は凡そ月一って事だね。月一で淫らで奔放な女に変身する、健志は淫らな彩に付き合ってくれる??いろんな所に連れてってくれる??」
「俺の知っている事なんて大したものじゃないけど、彩がもういいって言うまで付き合うよ」
「うん、ありがとう。絶対にそうしたいって事じゃないけど、彩が望んだ時は、ねっ……健志の初体験はいつ、どんな人とだったの??」

「高校の卒業式が終わって次の日曜日、当時付き合っていた同級生。はっきり覚えているよ」
「ふ~ん、意外と遅いんだ。彩は高校一年の時、同い年で初恋の人。出会いは小学生の時だけどずっと片思いだったの、高校は別だったけど……レモンの味がする甘酸っぱい想い出……初めての時はスムーズにできた??」
「入試を終えて直ぐに神戸、福原の店に行って、もうすぐ好きな人と初めてエッチする積りなんだけど、どうすればいいか教えてくれって頼んで研修済みだったからまずまずだったかな。その帰りに三ノ宮駅近くにあるホテルも予約したしね」
「あのさぁ、健志の初体験は同級生じゃなくソープのお姉さんじゃないの??」
「そうなんだけど、オレの中じゃ同級生が初体験の相手って決めていたから、良いんだよ」

彩の初恋から初体験、その後の想い出話などを聞きながら、ゆっくり刻む時の流れに温かい風を感じていた。
「出かけようか、外には何かあるかもしれないよ」
突然の誘いに微かな緊張をしながらも、うん、と彩は応える。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

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