想いを巡らす 二日目 54
ハァハァッ・・・絡み合っていた舌と重なり合っていた唇が離れても、気持ちは結ばれたままの証のように唾液が糸を引いてつながり、激しい呼吸が穏やかになっても見つめ合う視線は熱く燃える。
ドクドクと音が聞こえるほど胸を打っていた鼓動が静かになり、赤く燃えるような瞳が平静に戻る。
「夜の港ってなんか不気味だね・・・海面を取り囲むように明かりが照らしているのに真っ暗でブラックホールみたい。夜の海は底なしで何もかも飲み込んでしまいそう」
「彩もそう思うんだ、オレも同じような事を思ったよ。好い事も悪い事も何もかも飲み込んでしまいそうに思ったけど今は違うよ。彩がそばにいてくれるから心に余裕が出来た」
ウフフッ・・・会心の笑みを漏らして椅子代わりに腿に座ったままで下半身をグリグリ動かし、痛くはないはずだけど渋面を浮かべたのを見て、健の顔を胸に抱きしめる。
「男の人は分らないけど女はね、好きな男に頼られているって感じるとすごく幸せな気分になるんだよ・・・彩がそばにいると余裕が出来るんだ。ウフフッ、嬉しい」
暗い海が何を飲み込むのかを話題にすると、好ましからざる話につながる事を直感して二人は黙り込む。
互いにイヤな話題から逃げた事は感じても不快になることはなく、それが今の心地好い関係を続ける方法だと理解する。
テーブルに置いたビールとジントニックを手に取り、夜の港を見ながらアルコールが身体の隅々にまで行きわたる余韻に酔いしれる。
腿に座る彩の腰に回した手のぬくもりが気持ちを蕩かし、彩の事が好きだと言った健の言葉を思い出すと穏やかな気持ちになる。
「たまに会うからかもしれないけど、健といる時間のほとんどは身体の何処かが繋がっているでしょう。外を歩く時は手をつないでくれるし、今みたいに腿に座ったり、腿に座らない時は身体を寄せあったり・・・寝る時は腕枕をしてくれるしセックスでつながるのは勿論、身体が触れあわない時って24時間の内どれくらいかなぁ??」
「そうだな、トイレタイムの他は思い浮かばないなぁ。大好きな彩とくっついていたいと思う気持ちを偽ろうと思わないだけだよ、オレは」
「彩もそう・・・毎日、望む時間に会う事が出来れば違ったかもしれないけど、今は健といる時間を大切にしたいの、一時も無駄にしたくない。他人の目があっても手をつないでくれるから心が乱れることが無い、安心できる」
「セックスが全てじゃないけど、なくてもダメ。身体と心、すべてが繋がりたいと思えばセックスする。心がつながっていたいと欲すれば手を繋いだり身体を寄せあったりすると満足できる」
「うん、同感だけど、手を繋ぐと心が繋がるの??」
「そうだと思うよ。ピンキーリングって自分を強くアピールしたいときは右手につければ好いって言うだろ??そして、恋心を伝えたいときや恋人が欲しい時は左手につけるとも言うよね・・・気持ちと身体が一体化したい時に左手の小指を意識すればいいって事じゃないの??」
「ふ~ん・・・彩と気持ちが繋がっていたいと思うから身体を寄せたり手をつないだりするんだ。セックスが目的じゃないんだ??」
「そう言われると困るなぁ、彩の身体が一番の目的かも知れないよ」
「クククッ・・・今日、最後の一発、挑戦してみる??」
「出来ればそうしたいけど、やめとく・・・その代わり今日は、この格好のままで寝てくれる??真っ赤なベビードールの中は赤いヒモパン。目覚めは染み一つない彩の白い肌を包む真っ赤な包装紙を剥ぐ事から始めたいから」
「期待するよ、いいの??」
「一晩寝れば元気回復間違いなし。次に会うまで、彩の記憶を身体と心に刻んどくために頑張っちゃうよ」
「クククッ、ほんとう??信じる。チンチンと舌や指、全身を総動員して忘れられないように啼かせて、健に抱かれて善がり啼きしたい」
ウフフッ・・・クククッ・・・彩は美味そうにビールを飲み健はジントニックを口に含む。
「ジントニックを飲ませて」
健はグラスを突き出して、
「オレ風味じゃないジントニックをどうぞ」
「口移しじゃないんだ・・・フフフッ、ジントニックの本当の味は口移しじゃ分からないもんね。ジントニックの好きな健だから大切に扱いたい、そうでしょう??」
「まぁね、オレだってジントニックの味が分かるわけじゃないけどね」
「じゃぁ、目の前のサクランボに舌を伸ばさないのはどうして??」
真っ赤なベビードールは白い肌を透けて見せ、乳房の先端は佐藤錦にも似て愛らしい。
「ペロペロ舐めてベビードールがグッショリになっても、そのまま寝てくれる??平気だって言うなら舐めちゃうけど、着替えるって言うと朝の楽しみが無くなっちゃうもん」
「そうだね。健の言う通り、グショグショになったベビードールじゃ我慢できない、着替えちゃうかハダカンボで寝るかだね・・・そんな事を冷静に考えられるんだ、彩のそばにいても・・・ふ~ん」
「当り前だろ、冷静でいられない方がおかしいよ」
「どうして??気にいらないな・・・彩を腿に乗っけて抱っこしてるのに冷静でいられるは気にいらない」
わざとらしく口を尖らせ、頬を膨らませるのを見ると思わず佐藤錦を味わいたくなってしまう。
「あのさぁ、昨日から何度満足の証を放出したと思う??彩が相手でも限度ってものがあるよ、頭の芯は冷静だよ」
「クククッ、そうだね・・・キスで許してあげる」
目を閉じた彩は口を尖らせてキスを待ち、そんな彩を好ましく思う健は唇を近付ける。
想いを巡らす 二日目 53
優子と円華に刺激されて燃え上がった彩のアナル、若いカップルの野外アナルセックスを見て昂奮した彩とホテルのベッドで、そして、ばれない浮気は浮気じゃないと言い放った優子の喉を目がけて放出したのを合わせて三発。
その上、昨日は久しぶりの逢瀬に昂奮して二回も爆ぜた。
さすがに彩を相手とは言えペニスの付け根が感じる鈍痛に近い違和感のせいで四発目は叶わず、独りバスルームを出た健はリビングルームでジントニックを手にしてバスルームと同じ横浜港の夜の景色に見入る。
港湾施設の照明が取り囲む海面は真っ暗で、見つめる人間の持つ邪悪な気持ちを一つ残さず飲み込んでしまうような不気味さを感じる。
昼間の港は陽光を反射してキラキラと輝き、未来に何の不安も感じることはなかった。
バスタイムを楽しむ彩が早く戻って欲しいと思う。
彩と一緒なら真っ暗な海に飲み込まれても堪えられる気がするし、どんな境遇になっても楽しめるかもしれない。
「お待ちどうさま・・・バスソルトを使っていつものように入浴できたから気持ち良かったよ。暗いけど彩の好きな海も見えて、最高の気分」
真っ赤で透け感のあるベビードールを着けた白い肌はバスタイム直後とあってわずかに朱を帯び、太腿や腕など肌が直接見える場所は成熟した大人の女性らしく柔らかみを帯び、見つめる健は自然と口元を綻ばせる。
満足感や幸福感を漂わせる健の視線に満足した彩は、嫣然と微笑みながらその場で一回りして、
「彩の事を独り占めにしたい、他の男には触れさせたくないって言ったのは本当なの??」
「本当だよ。それどころか、今は他の男の視線にさえ触れさせたくないと思うよ」
「フフフッ・・・彩の事が大好きなんだ。いっそ、ポケットに入れていつでも一緒にいれば好いのに・・・何を飲んでいるの??ジントニックか、彩は風呂上りのビールが好き」
顔や髪、衣装と違って気遣いの行き届きにくい後姿が凛とした彩が好きだと言う健の言葉を思い出し、冷蔵庫の前に立って腰の位置を高くして肩を丸めることなく前屈みになり、これ以上はないほどゆっくりと優雅にビールを取り出す。
目の前の鏡の中にいる健は見られている事を知らぬ気に、グラスに口を付けたまま下半身に見入っている。
健が見つめているだろう太腿の裏側が自然と火照る。
「ねぇ、なにを見てるの??何処を見てるのよ??・・・太腿の裏に視線をビシバシ感じて熱いんだけど・・・」
「うん??どうして分ったの??・・・あっ、鏡があるのか。気が付かなかったよ。何を見ていたかって??見ても良し、使えばなお良いオレの宝物を見ていたよ」
「ありがとう、お礼を言っとくね・・・スケベな視線だったよ。使い過ぎで役に立たなくなったチンチンの代わりに視線で犯されるようないやらしさがあった・・・ウフフッ・・・隣に座っても良い??」
「好いよ、どうぞ」
健の座る1人用ソファを見つめた彩は手を差し伸べようともしない事に口を尖らせ、しょうがないと言いたげに肘掛に座る。
「豪華なソファだから肘掛も広くて座り心地が良さそうだね」
「いじわる・・・手を退けて。手が邪魔」
肘掛にあった健の手は追い払われて膝の上にあり、そこもまた邪険に振り払われる。
「彩は、ここが好い・・・ダメ、ちゃんと支えてくんなきゃ」
振り払った手を取って自らの腰に回し、
「これで良い、彩の事を可愛いって思っているならキスして、好い女だなぁ、やりたくなっちゃうよって思ったらキスして。彩のムチムチな身体を腿に乗っけて腰に手を回す、こんな幸せな事は他にないよって思ったらキスして・・・どうする??」
「可愛い彩を腿に乗っけて、支える手で成熟した好い女の感触を確かめる。こんな事をしているとやりたくなっちゃうな」
「クククッ、キスは3回で許してあげる」
健の首に手を回し、瞳の奥底にある言葉にならない思いを感じ取ろうとしてじっと見つめる。
逃げたり怯んだりすると好きだという思いは嘘になる。健の視線は怯むことなく彩を見つめ返す。
好きとは言っても、愛しているとは言わない。
不倫の関係の二人には、愛するという言葉は重過ぎる。
瞳の奥に宿る禁断の言葉を読み取って二人は安堵する。
「彩の事が好きだよ」
「彩も健が大好き」
健の首に回した手から力が抜けて背中を抱き、強い力を宿して見つめていた瞳が優しさを帯びて目を閉じる。
健は背中に回した左手で彩を支え、右手指が眉毛や閉じた瞼を撫で、鼻梁から唇へとなぞって一周したあと手の平で頬を撫でる。
存在を確かめるような手の動きに彩の心は熱くなり、可愛く尖らせた唇を突き出す。
可愛いよ・・・アンッ・・・健の囁き声に彩は喘ぎ声で応え、唇を重ねられるとむしゃぶりつくように押し付けて、舌を絡ませる。
ハァハァッ・・・真っ赤な瞳は表現する言葉を見つけられない二人の気持ちを代弁し、再び唇を重ねて舌を絡ませて唾液を交換する。
両手は互いの背中や髪をまさぐり、健の手は乳房を揉みしだく。
想いを巡らす 二日目 52
バスルームから見る景色は前日と変わることなく夜の横浜港が広がり、ベイブリッジの主塔が白く輝いている。
「すごかったよ。優子や円華に嬲られて燃え上がった彩のオチリに思い切り吐き出したはずなのに・・・クククッ、まだまだ若いね、私たちは・・・ここで、もう一度試してみる??」
「いいよ、入れちゃおうか・・・明朝のおはようセックスがなくても好いならね」
「ウ~ン・・・此処で夜景を見ながら後ろから突かれても、今日の健なら、起き抜けに念入りなフェラをすれば出来るような気がするけどなぁ??」
彩の身体を昂奮の絶頂に追いやった優子と円華が帰った後も二人の痴戯は止むことなく、若いカップルのアナルセックスを見ながら股間を濡らし、ワンピースのボタンを外して見られるか見られないかと言う積年の卑猥な思いを満足させた。
円華との散歩で命令と強制で露出散歩の真似事で得た快感を忘れる事が出来ず、自らボタンを外し、ついにはパブリックスペースのはずのホテルの廊下で素っ裸になってフェラチオを施した。
健の猛り狂ったモノに奉仕する。それも廊下で素っ裸になっている情景を思い浮かべると、奉仕する快感が被虐感を燃え上がらせて股間は濡れ、気が狂わんばかりの欲情に包まれた。
健も同ように昂奮したのか、急き立てるようにベッドに連れられて、繋がる事を望むと後ろから火傷しそうなほど熱い剛棒に貫かれた。
そこから先の記憶はなく、お湯を満たしたバスタブで健の腕に支えられて唇を合わされていた。
今は、健の胸に背中を預けて目を閉じている。
昨日、駅で健に出迎えられてからの出来事が走馬灯のように脳裏をよぎる。
とても一日余りでの事と思えないくらいの経験をした。
目を閉じたまま、そっと股間に指を伸ばすと湯の中でも熱い蜜の滴りを感じる事が出来る。
「彩、何をしているの??・・・満足してないの??」
「アウッ、ウフフッ、気持ち良い・・・そうよ、彩は満足してないの。セックスに貪欲なのを知ってるでしょう??彩を満足させられない人は好きじゃない・・・クククッ、どうする??・・・アンッ、いや、そんな事・・・ヒィッ~・・・本当にしてもらっちゃうよ」
背後から抱きかかえる健の手が乳房をヤワヤワと揉み、髪を掻き分けて首筋を舐め上がって耳の裏をベロリと舐める。
ヒィッ~という悲鳴にも似た悦びの声に満足した健は、耳朶を甘噛みしながら息を吹きかけて一瞬とはいえ身体を硬直させる反応に満足し、乳房を揉む手が先端を摘まんでコリコリ刺激する。
「彩は感度が好いから好きだよ。セックスの感度が好い人は感受性が豊かで自分の周りの変化にも敏感なはず。それは周囲への気配りにも通じるだろうし、彩のセックス好きは清楚で淑やかさの裏付け。彩のスポーツ好きはセックスに通じるし新陳代謝が活発になり染み一つないこの肌を支える裏付けだしね」
「それってさ、褒めてる??彩の魅力は全てセックス好きが元になっているって言われているような気がするんだけど??」
「そうだよ、彩の魅力の根源はセックス。彩がセックスを放棄すると・・・クククッ」
「怒るよ・・・」
彩、怒んないで聞いてくれるかと話し始めた健は、
ほとんどの鳥はメスよりもオスの方が美しいしオスが立派な家造りを競ってメスの気を惹こうとする種もある。
美しく着飾るのは天敵の目標になりやすいけど、自分の子孫を残すために命懸けで着飾っているんだろうな。
セックス相手の選択権はメスにあるからオスは一生懸命に着飾り、家造りに精を出す。
魚や哺乳類ではメスを獲得するためにオスは戦いで自分をアピールする。
それは少しでも強い子孫を残そうとする種としての本能かも知れないけどね。
鳥や魚、ほ乳類の多くはメスが受動的立場でオスを選択するけど、彩は違う。
淑やかでおとなしそうに見える彩は自分でも人見知りで引っ込み思案だって言うけど、自分を曲げてまで相手に迎合しない。
自ら積極的にオスを選択する手段がセックス。
大抵の男は一目惚れした女の気を惹こうとして手段を尽くそうとするけど、彩の判断基準は気付いているか、どうかは別にしてセックス。
セックスが判断基準だから、男から見てそれが彩の持つ妖しい魅力になる。
間違えているなら指摘して欲しい、彩に気にいられるために直ぐに考えを修正するけど、どうかな??
「えっ、急にそんな訳の分んない事を言われても・・・めんどくさい事を考えるのは嫌だから聞くけど、セックスが判断基準ってのは好い事なの??」
「彩に関しては、好いに決まってるよ」
「彩に関してはって事は、普通はダメなんだ??」
「そうじゃないよ。他の女性のセックスアピール度に比べて彩の魅力はスゴイって事だよ。決してセックスの他はダメって事じゃないよ。セックスの魅力が淑やかさの裏付けだし、彩の魅力のベースにあるって事」
「あのさ、仮にキャバクラに行ったとするでしょう・・・嫌われるでしょう??」
「クククッ、こんな面倒くさい事を言うと嫌われるだろうな。彩が相手じゃなきゃ言わないよ、こんな事・・・」
「ふ~ん、そうなんだ・・・身体だけじゃなく、言葉遊びの波長も合うって思ってくれているんだ」
想いを巡らす 二日目 51
「早く開けて、見られちゃう・・・早く、早く・・・」
脱ぎ捨てたワンピースを拾い上げた健は、離れた位置から全裸にオープンブラと靴を履いただけで恥ずかしがる彩を見つめて焦る様子もなく頬を緩める。
彩は、無人の廊下は静まり返っているものの、エレバーターホールや締まったドアが突然開いて宿泊客が姿を現すのではないかと思うと、自らワンピースを脱ぎ棄てた事も忘れて羞恥に慄く。
今更ながらホテルの廊下はパブリックスペースであると思い知らされ、静寂が悪夢を予兆させて不安は益々大きくなっていく。
「お願い、早くドアを開けて・・・ワンピースを頂戴、不安って言うより怖いの。心臓が口から飛び出してしまいそうなほどドキドキしてる」
素っ裸の身体を抱きかかえるようにしてドアの前で蹲る彩は声を潜めて哀願する。
元来、嗜虐心が強くないと思っていた健は、何かが音を立てて弾けたように自分の中で熱いモノが湧きあがる。
「彩・・・オレの中で何かが弾けたような音がした。彩の事が好きだし大切に思うけど、今は残酷な気分になっている・・・」
蹲る彩に近付いても、いつもの優しさを感じさせることはなく、無言のまま股間が顔にくっつくほど尚も近付いていく。
健の嗜虐心を感じ取った彩は、自らの被虐心を昂ぶらせて目の前で突き出さんばかりの股間に手の平を這わせて上下に擦り、上目遣いに潤んだ瞳を向ける。
「出来るね、彩」
うん・・・言葉には出さずにコクンと頷いた彩はファスナーを下ろして指を侵入させると、ピョンと音を立てて出てきたような気がするほど元気なペニスが姿を現す。
「ハァッ~、すごい。若い二人のアナルセックスを見ても元気にならなかったチンコが、こんな処でハダカンボになった彩を見て昂奮してるの??ホテルの廊下で全裸になった彩はいやらしい??」
「あぁ、いやらしいよ。彩ほどスケベな女を見た事ないよ」
「そうなの??彩よりもエッチな女を見た事ないの・・・もっとエッチな気分にしてあげる」
目の前でそそり立つペニスに呼び寄せられるようにして指で支え、亀頭に滲む先走り汁を塗り広げて竿の裏筋に沿って撫で下ろし、陰嚢を手の平で支えて見つめていると新たな衝動が生まれる。
ペニスの根元を支え、目を閉じると意識しないうちに自然と顔が近付いていく。
ペニスが放つ熱気を感じるほど近付いた時、健の手が髪を掴んで股間を突き出す。
予期していたこととは言え場所を考えると口を閉じて抗うものの、男の力に敵うはずもなく顔に押し当てられたペニスで擦られ続けると根負けしたように口への侵入を許してしまう。
「アウッ、ウググッ・・・ウゲッ・・・」
昂奮で我を忘れたようにペニスは喉の奥を突き、彩は苦しそうに喘ぐものの吐き出そうとするどころか顔を前後して刺激を与え、満足感を与えて望むような動きに変化させる。
クチャクチャ、ヌチャヌチャッ・・・温かい口腔に含まれて柔らかな舌に絡みとられると健の強引さは影を潜めて掴んだ髪を離し、視線は宙を睨んで次の瞬間には目を閉じる。
「ハァハァッ・・・気持ち良い??ねぇイイの??アソコを触っても好い??彩のマンコを自分で弄ってもいいの??」
クチュクチュ、ヌチャヌチャッ・・・場所柄も弁えずフェラチオで被虐心を燃え上がらせる彩は、自分の女の子を弄っても好いかと問いながら早くも指を伸ばして湿った悦びの音を響かせる。
フグフグッ・・・ヌチャヌチャッ・・・彩が燃え上がれば燃え上がるほど、興奮していた健は冷静さを取り戻して背後を窺う。
二人の淫靡な行為が立てる卑猥音の他は静寂を保ち、様子に変化は見られない。
「彩、立ちなさい。続きはベッドでするよ」
「ハァハァッ・・・分った。恥ずかしい、こんな処で・・・」
健に抱きかかえられるようにしてヨロヨロと立ち上がった彩は部屋に入ってベッドに向かい、そのまま倒れ込んでしまう。
俯せに倒れ込んだ彩に覆い被さり、髪を掻き分けながら首筋を爪の先で撫でると上半身を震わせ、耳に息を吹きかけて、
「彩は好い女だよ。高級娼婦にも勝る男心を蕩かせる好い女・・・髪の匂いも好いし、染み一つない肌はベルベットのように繊細で扱いにことのほか気を付けなきゃいけない。上手に加工すると手触りの良さや光沢が生きる・・・すべすべして手を滑らせるだけで気持ち良いよ」
健の手は言葉と共に首から腰まで感触を確かめるように撫で下り、目に見えない産毛を一本、一本立たせる積りで撫で上がる。
「いぃ、もっと言って、彩は好い女だ、オレだけのモノだって言って」
「彩はオレだけの女だ。女でいる時はオレだけのモノだ」
「あぁ~ン、嬉しい。女でいる時は健だけのモノ。夫といる時は女じゃなく妻、そうだよね??それでいいんだよね??」
「そうだ、ご主人といる時は妻であれば好い。掃除をして料理をしていればいい、彩に女の悦びを与えるのはオレだけだ」
「我慢できない、繋がりたい・・・健といる時、望めばいつでも女になれるって信じさせて・・・」
想いを巡らす 二日目 50
海風の悪戯で太腿の付け根付近まで捲り上げられたワンピースの裾を押さえることもなく周囲に人がいないかと視線を巡らす。
「良かった、誰もいない。彩のアソコを見てもいいのは健だけ・・・う~ん、今日は例外で優子と円華にも許可を与えたけどね」
国際橋を渡り始めると心地好い風が彩の好きな海の香りを運んでくれる。
右河岸には、みなとみらい地区の建物群が聳え立ち、左側にはコスモワールドが煌びやかに輝きライトアップされたコスモクロックが華麗な姿を見せる。
建物の窓から洩れる明かりや街灯の光が港を照らし、この街らしい華やかな夜景を映す。
その中でもひときわ華麗な姿を映すのがライトアップされたコスモクロックで、水面に映る姿に見惚れていると緑色にライトアップされていたのがレインボーカラーに変身する。
「見て、きれいだよ。昨日、個室居酒屋から戻る途中に万国橋から見たライトアップされた日本丸もきれいだったけど、この国際橋から見る景色も好いね。みなとみらい地区の近代的な建物とカップルで賑わうコスモワールドを繋ぐ国際橋、その先には港町と世界を繋ぐ日本丸、夢が広がる街だよ・・・そう思うでしょう??」
「イヤンッ、また・・・」
健が、そうだねと返事する前に悪戯な海風が彩にまとわりつき、ワンピースの裾と戯れる。
夜景を楽しむカップルがいる橋の上では捲くれ上がる裾を放置する事も出来ず、両手で防ぐと健の手が伸びて胸のボタンを外してしまう。
「止めて、お願い・・・見られちゃう」
「自慢の身体、見せてやりなよ」
「本気で言ってる??彩のオッパイを他の人に見せても平気なの??」
「ダメだ、見せちゃダメだよ。彩のご主人にも見せたくないくらいだよ」
「えっ・・・本気だと嬉しいって言ったらどうする??」
「・・・そうだな、彩を俺のモノにできるって喜ぶけど、それが彩の幸せかどうか分らないからなぁ」
「上手く逃げたね・・・でも、不倫って切ないね。自分に正直になるほど切なくなる・・・」
「ごめんね、変な事を言って・・・戻ろうか??」
外されたボタンを嵌めることなく歩き始めた彩は健の腕を取り、
「触っても好いよ・・・健と一緒なら、他人の視線を意識しながらスリルを楽しむ事が出来る・・・こんな事を言うと嫌いになる??」
さりげなく周囲に視線を巡らして自分たちに注目する人がいないのを確かめた健は、彩の問いを無視して隙間から手を侵入させて剥き出しの乳房を鷲掴みにする。
「アンッ、すごい、乱暴な動き。いつもの健と違う・・・こんな処で彩のオッパイを掴んで興奮しているの??」
「あぁ、興奮してるよ。いつものオレには出来ない事をしているんだから凄いスリルだよ」
ここはどうかな、と言ってさりげなく股間に触れた彩は、堪えきれない嬉しさを表情に浮かべて脇腹をつつく。
「しょうがないだろ。周りの人を気にしながらオッパイをモミモミするスリルを味わっているんだからオレも息子も興奮するよ。彩が魅力のない女性ならチンチンをおっ立てたりしないけどね」
「クククッ、もう一度言って。彩に魅力を感じるからチンチンが勃起するんだって・・・早く、早く言って」
「何度でも言うよ。彩が好い女だから、彩の事を抱きたいって思っているからチンポが勃起するんだよ」
「クククッ・・・なんてことを言うの、恥ずかしいでしょう。健となんか一緒にいられない・・・」
拗ねた振りをして駆け出した彩を追いかける。
追いついて胸に抱きしめ、有無を言わせずに唇を重ねる。
フグフグッ・・・ハァハァッ・・・真っ赤に染めた瞳は欲情に燃える。
「アソコのカップルが見てるよ。好いの??」
「いいさ、オレの彩を見せつけてやるんだよ・・・もう一度・・・」
再び唇を重ねた二人は人目もはばからずに身体をまさぐり合い、健はボタンを外したままの隙間から手を忍び込ませて乳房を揉みしだく。
「ダメッ、見られちゃう・・・あんっ、いや、感じちゃう、立っているのが辛い」
「そうか、じゃぁ、オッパイを弄るのは止めて・・・ここはどうだ??」
新たに下腹部のボタンを外して手を侵入させ、愛液を滴らせるバギナに指を這わせる。
「ウッ、ウゥッ~、だめ・・・そんな事を・・・早く戻ろうよ。続きはベッドで、ねっ、満足させてくれるまで寝かせないよ」
橋を渡り、海沿いに遊歩道を歩いてホテルに戻った二人はエレベーターに乗り、目的のフロアで降りる。
エレベーターホールから廊下に出ると一番奥まった位置に目的の部屋のドアが見える。
「部屋に戻るまで待てない。熱いの、身体が熱い・・・こんな事をすると嫌いになる??」
健が止める間もなくワンピースの前を開き、股間に白濁液の跡を残す白い肌をさらけ出すばかりか、ワンピースを脱ぎ棄てて平気な顔でその場で一回りする。
「彩・・・」
健の声で我に返った彩は視線に入るドアをアチコチ見まわし、湧き起こった羞恥に頬を染めて足早にドアに向かう。