―7
再びハンカチを股間に近付けると桜子は、
「興奮する……両手を縛られているからハンカチをアソコに入れられそうになっても反抗できない。ドキドキが止まらないし、心臓が爆発しちゃいそう」
「桜子が言った、拘束されて知る自由だね……スタイルが良くて可愛い子羊ちゃん、苛められて善がり啼けば自由になれるよ」
「東京にいた頃は身持ちの固いキャバ嬢、今は真面目な先生のふりをしているけど本当の私はアソコにハンカチを挿入されて悦ぶようなエッチな女。それを知っているのは、あなただけ」
「オレだけが本当の桜子を知っているのか。クククッ、オレと一緒の時は何も隠さず、気取ることなく素の桜子でいいんだよ」
「ありがとう……エッチでスケベな私の身体で遊んで。あなたとの時間を想い出して夜毎、クチュクチュ自分で慰めている女を満足させてくれるでしょう」
「入れるよ」
「恥ずかしい。ハンカチを挿入されて気持ち善くなっても笑わないでね」
桜子が見つめる鏡の中の女は素っ裸で後ろ手に縛られて自由を奪われ、濡れそぼつハンカチを挿入されて悦びに打ち震える痴態を晒す羞恥で全身が朱を帯びる。
妖しい期待で両脚はフルフル震え、唇は乾き、息をするのも苦しくなって口を開けてハァハァッと荒い息を漏らす。
「オレの言葉に合わせるんだよ。息を吸って、吐いて……入れるよ」
男の指示に従って桜子がスゥッ~と音を立てて息を吸い込み、ハァッ~と息を吐き、吐ききった瞬間にハンカチを持つ男が指に力を込めると、花蜜を溢れさせるオンナノコに姿を隠す。
「えっ、ウソ、全部入っちゃった。奥まで……ねぇ、大丈夫??とれる??取れなくなっちゃ嫌だよ」
真に迫る桜子の言葉は冗談とは思えず、男はどう答えていいものか逡巡する。
「ハンカチは全て入っちゃったよ。ねぇ、取れるよね??大丈夫だと言って」
自ら男性経験は多くないと言い、そう聞いた男は、長身でスタイルが良く容姿端麗な見た目や話し方から、よほどの自信家でない限り声をかけにくいのだろうと納得していた。
その桜子が挿入されたハンカチを取り出せるのかと不安に苛まれる様子を見て、過ぎたるは猶及ばざるが如しという言葉を思い起こす。
待ち合わせ場所でオレを見つけた桜子が駆け寄ろうとすると、周囲の男たちは二人を見比べてオレに羨望の眼差しを向け、女性たちは容姿端麗な桜子が軽やかに駆ける姿を嫉妬混じりで見つめる。
そんな桜子がセックスの悦びに打ち震えて快感を貪る女になれば凛として気品のある佇まいに成熟した女性の持つ色気が加わり、男たちの憧れの対象から高根の花であることに違いはないが手を伸ばして摘めない花ではないと思わせる色気を漂わせるだろう。
見知らぬ男の腕の中で身悶える桜子を想像したくないと思うものの、今は精一杯、嬉し泣きさせてみたいと相反する妄想の中で苦笑いする。
「ねぇ、どうしたの??私の身体に飽きちゃったの??」
「そんなことは、あるはずがない……見てごらん」
両手を背後で縛った桜子を鏡の前で立たせ、背後から抱きしめた男は濡れそぼつ割れ目に指を添えて小陰唇を左右に開く。
「イヤッ、ハァハァッ、私のオマンコってこんななの??変じゃないよね??」
「どうかな??嬉し涙でグジュグジュに濡れているしハンカチをツンツンすると、とめどなくマンコ汁が溢れる。これを引っ張ったり伸ばしたり、クククッ、可愛いな。見えるだろう??」
「アンッ、気持ちいい、ビラビラで遊ばれるなんて……意地悪なあなたが好き。あなたのオモチャにされたい」
「クククッ、可愛いな。今の言葉を後悔させてあげる……もう一度目隠しするよ」
再び目隠しを施した男は抱き上げた桜子をベッドに寝かせ、
「直ぐに戻るから、このままの格好で待っていなさい」と、優しく声をかけて額にチュッと唇を合わせる。
「ハァハァッ、怖いけど昂奮する。今日のあなたはいつもと違うんだもん……」
「いつもと同じだと思うけど……もしかすると、桜子のような好い女と付き合うので気取っていたのかもしれないな」
「ウフフッ、そんなことを思ってもいないくせに。でもいいの、奥様がいても私はあなたが好き……」
「……そうか……好い子で待っているんだよ」
男は桜子の想いの深さに頬を緩めるものの直ぐには返す言葉が浮かばず、照れくささもあってその場を離れてバスルームに向かう。
桜子は、奥様がいても好きだと口にしたことを男が負担に思ったのだと思い、そんな言葉を口にしたことを悔やんで唇を噛む。
戻ってきた男は桜子の両脚の間で背を向けて座り、
「桜子が着けていたバスローブの紐で両手を縛ったから、今度はオレのを使って両足を縛っちゃおうか……」
桜子の両足を自らの腹の前で交差させて有無を言わさず縛った男は身体を反転させ、
「両手両足の自由を奪ったから桜子を煮て食おうと焼いて食おうとオレの意のままだな。怖いだろう??」
「えっ……ハァハァッ、目隠しされて自由を奪われても怖くなんかないもん。好きな男が私の身体で遊んでくれるんだよ、興奮する、ハァハァッ……」
アメニティグッズとして用意された歯ブラシの封を解き、手の甲を刷いて感触を確かめた男は触れるか触れないかの微妙なタッチで下腹部を擦る。
「くすぐったい……イヤンッ、気持ち善くなってきた」
歯ブラシは嫋やかな動きで肌を這い回り、両手両足を拘束された桜子は抗うことを忘れて与えられる性感に身悶える。
産毛を一本、一本起こされるような繊細なタッチは桜子の身体の奥に眠る性感を呼び起こす。
身体の火照りを抑えることができず、頬は朱に染まり身体は芯から熱くなり、好きな男に抱きつきたいのに拘束されていてはそれも出来ない。
「桜子、これからが本番だよ。意地悪な男は大嫌いって言うかもしれないな」
―8
歯ブラシは上半身を這い回り、下腹部や胸の膨らみは繊細な動きで性感を煽り、肩から膨らみの縁を通り下腹部に向かう時は強めの刺激で刷毛の感触を意識させる。
「気持ちいい……30年生きてきたけど歯ブラシが私を悦ばせる性具だと今の今まで知らなかった」
「塾の先生として生徒に教える知識が一つ増えたね」
「いじわる。今どきの中学生は私よりも知識が豊富、教えてあげるにはもっと色々経験しないと……私の先生はあなた」
「クククッ、両手両足を縛って身動きできないようにした素っ裸の可愛い桜子がオレの生徒。それでは、レッスン1。質問に答えるんだよ」
歯ブラシが胸の膨らみを刷き、男は、
「桜子くん、先生の質問に答えるんだよ。ここは何て言うんだ??」
「ハァハァッ……オッパイです」
「そうだね。じゃあ、ここは??」と、言いながら刷毛で膨らみの先端をツンツンとつつく。
「チク……私のオッパイの先端で素敵な男性に愛されるのを待っている乳頭、あるいは乳嘴ともいう」
「さすがに先生だね。多分、完璧な答えなんだろうな……乳腺の問題は終わり。次は此処だよ」
歯ブラシと一緒に持ってきた綿棒を掴んで臍の周囲をなぞり、下腹部でクルクル円を描いて戯れる。
「くすぐったい……オッパイの次は、ウフフッ、興奮する。目隠しをされて両手両足を縛られるのって妄想が膨らんでゾクゾクする」
男は右手に綿棒を持ち、左手の歯ブラシで大陰唇を撫でる。
「マン毛が邪魔だなぁ。歯ブラシが肌に届かないよ……マスターの店に行った日の夜はこれを剃り落しちゃおうか、どう思う??」
「ハァハァッ、イヤンッ、そんなことを言わないで。ツルツルの赤ちゃんマンコにされることを想像するだけで息をするのも苦しくなっちゃう……ウグッ、ハァハァッ」
「次に桜子と二人きりになった時はこれを剃毛して……興奮してムスコがビンビンになっちゃったよ」
「息子って……あぁ、そういうことね。自分の初心さが嫌んなっちゃう」
歯ブラシは恥毛に絡みながら割れ目の縁を撫で、綻びから覗く赤い花弁は溢れ出る蜜にまみれて妖艶な姿を晒す。
「桜子の身体で遊ばせてもらうよ……その前に歯ブラシは仕事を終えたから収納庫に入れとこうか」
花蜜にまみれたハンカチを摘まんだ男がグイッと引き抜くと、シュッと液体が迸る。
「イヤァ~、見ないで、恥ずかしい……あなたが……あなたが私のオンナノコにハンカチを挿入して、忘れた頃にグイッと引き抜くから……お漏らししちゃった。笑わないでね」
「顔まで飛んでこなかったけど胸に届いたよ。勢いがいいなぁ、桜子は若いよ」
「もう、恥ずかしいのを堪えているのに揶揄うなんて……嫌いになっちゃう」
嫌いになっちゃうという言葉に苦笑いを浮かべた男は胸にまで届いた迸りをそのままにして、マン汁を吸ってグチョグチョのハンカチで歯ブラシを包み、涸れることなく花蜜を溢れさせる源泉に押し当ててグイッと押し込み、柄を掴んでゴリゴリとハンカチ越しに膣壁を刺激する。
「ヒィッ~、ウッウグッ、イヤンッ、乱暴に扱われて気持ち善くなっちゃうなんて……もっと、もっと、いやらしいことをして。スケベでいやらしい女だって言って」
「クククッ、歯ブラシの次は綿棒の出番だよ。ホテルのアメニティグッズっていやらしいな」
「えっ、綿棒で何をするの??」
「隅々まできれいにするんだよ。綿棒で細かい場所の掃除をしたことがあるだろう??」
ハンカチに包んだ歯ブラシを泉の源泉に挿入したまま左手で割れ目を開いた男は、右手に持つ綿棒でクリトリスをつつく。
「アンッ、なに??どうしたの??指や舌の感触とは違う。イヤンッ、気持ちいい」
包皮を突き破って尖り切るクリトリスの周囲を綿棒がなぞり、男の腹部を抱えるように両足を拘束された桜子は腰を妖しく蠢かして与えられる刺激に身悶える。
綿棒は磁気を帯びたようにクリトリスから離れることはなく、ツンツンつついたり、周囲をなぞったりと妖しい刺激を与え続ける。
「アンッ、クゥッ~、気持ちいい……痺れるような、ゾクゾクするような変な感じ」
アウッ、イヤッ、クゥッ~……溢れる蜜にまみれた綿棒でクリトリスをつつき、ビラビラが作る深い溝をなぞると桜子は悦びに震える声を漏らし、艶めかしく下半身を蠢かす。
「二度とお漏らしをしないように封をしちゃおうか」
「えっ、なに??どういうこと??怖いことをしちゃイヤだよ」
目隠しされたままの桜子は男がしようとすることを見ることをできず、言葉の意味や触れる肌の感触で意図を探るしかない。
「桜子の割れ目はパックリ開いて芳しい香りを撒き散らしている。ウットリするほどいい匂い、可愛いなぁ……うん??ここに小さな穴が隠れている。ここが悪さをしたのかもしれないなぁ……塞いじゃおう」
割れ目を大きく開き、小さな穴をあからさまにした男は綿棒をわずかに挿入する。
「うそっ、イヤッ、やめて……オシッコの穴を弄られても気持ち善くなんかない。悪戯しないで、おねがい……恥ずかしい」
「これはオシッコの穴なのか、フ~ン。オレのシッコ穴とは形が違うから分からなかったよ。恥ずかしいという言葉を聞くと、止めるわけにはいかないなぁ」
綿棒を支える指に力を込めて半分ほどを押し込み、ピンッと弾くと、ヒィッ~、イヤンッと艶めかしい声を漏らす。
―9
マン汁にまみれたハンカチで包んだ歯ブラシで膣壁を擦りながら出し入れを繰り返し、それに合わせて尿道に挿入した綿棒を弄る。
「ウグッ、クゥッ~、気持ち善いのか、どうなのかも分からなくなってきた。ダメッ、アソコがジンジンして痺れるような感じがする……ねぇ、私はどうなっちゃうの??」
「桜子は桜子のまま、変わることはないよ……強いて言えば、高嶺の花だと思っていた女性の隠れていた色気が滲み出て、俺にも可能性があると思い声をかけられることが増える。たぶんね……信じるだろう??」
「信じる……フフフッ、いろんな男性に声をかけられるのか……桜子さん、ホテルに行きませんか。どうしよう、困っちゃうな」
「さすがに最初からホテルに行こうと誘う男はいないだろう。食事かな、それとも何かのイベントに一緒に行こうとか」
「クククッ、私が他の男に誘われるとイヤ??」
「あぁ、イヤだよ。そんな男がいたら、ぶっちめてやる」
「嬉しい、私をホテルに誘う男がいたらボコボコにしちゃうんだ……興奮する、私って荒々しいことが好きなのかも。ねぇ、我慢できない、あなたが欲しい」
「スケベな桜子にオレのフランクフルトソーセージを食べさせてやるよ」
「欲しい、フランクフルトを私のお口にぶち込んで……」
両足の拘束を解き、身体を入れ替えた男はダラダラと先走り汁を滴らせる分身を桜子の顔に擦り付ける。
「イヤンッ、ヌルヌル、ジュルジュル……アァ~ン、気持ちいい」
目隠しで守られていない頬や口の周囲を汚されても嫌がるどころか、漏らす声は甘えを帯びて艶めかしく開いた口はオトコを咥えようとして顎を突き出す。
自らの腹を打たんばかりにそそり立つ分身は両手を拘束されたままの桜子が咥えようとしても意のままにならず、フンフンと鼻を鳴らして不満を表す。
「可愛いな、桜子は。オレのチンポを欲しいって言えば食べさせてあげるよ」
「……いやな男。私を苛めて楽しいの??」
それには答えず、桜子を跨いだまま腰を引き、屹立する分身を唇に押し付ける。
目隠しのせいで押し付けられたペニスを見ることはできず、後ろ手に縛られた両手を使うことも出来ない桜子は唇に触れる感触を頼りに口を開けてパクリと頬張る。
一旦咥えたモノを逃がすまいとして喉の奥深くまで咥え込み、ウグウグと苦しそうな声を漏らしながら舌を絡ませる。
「プファ~、ウグッ、ウググッ、ハァハァッ……フランクフルトソーセージじゃなくボロニアソーセージを一息で飲みこもうとしたような感じ。すごいんだもん、今日のあなたは……」
「両手を縛って目隠し、オマンコに歯ブラシとハンカチ、小便穴に綿棒、桜子をオモチャ扱いしているんだよ。興奮しないわけがない……」
「嬉しい、私の身体でいっぱい遊んで、気持ち善くなって。ねっ……」
食事や会話を楽しむ口を犯す分身は唾液にまみれた舌が与えてくれる刺激に酔いしれ、左手にハンカチ、右手に歯ブラシを摘まんで淫靡な刺激を与える。
「アンッ、ダメ、そんなモノで気持ち善くなりたくない。ウッ、ウグッ、イヤァ~ン」
「クククッ、こっちはどうだ??」
ハンカチと歯ブラシが出入りする刺激で桜子が身悶えると尿道に挿入した綿棒は妖しく震え、男は目の前で揺れる棒を咥えて出し入れを繰り返す。
「イヤッ、そんなことをされるとオシッコが漏れちゃいそう……あなたが欲しい、あなたのモノを入れて」
「うん??オレのモノが欲しい??分からないなぁ、はっきり言ってくれないと分からないよ」
「いじわる。こんな男を好きになる私はバカな女。嫌いになっちゃおうかな……でも好き、オチンチン、あなたのオチンチンで啼かせて、おねがい」
「いい子だよ、ぶっといソーセージをぶち込んでやるよ。名残り惜しいだろうけど、これは抜いちゃうよ」
ハンカチごと歯ブラシを引き抜き、綿棒を抜き出した男が後ろ手に拘束した紐に手を伸ばすと、
「いいの、このまま縛られていた方が昂奮する。目隠しもされたままがいい」
羞恥心を露わにして囁くように思いを告げた桜子は頬を朱に染める。
素っ裸で横たわる桜子を跨いだ男は体重をかけないように気遣いながら目隠しのせいで乱れた髪を手櫛で整え、頬を擦る。
「桜子とオレは身体も気持ちもつながるんだよ」
男は桜子を抱きしめたまま起き上がり、対面座位の体勢になり唇を合わせる。
ヌチュヌチュ、グニュグニュッ、男の舌が唇を割って侵入すると桜子の舌先がツンツンと応え、引き抜くと追いかけるように出てきて宙で絡み合う。
舌先が戯れた後は互いの唇に押し入るようにして舌を重ねて擦ったり、歯茎や上顎を舐めたりと息をするのも忘れて濃厚なキスを交わす。
「プファッ~……キスで逝っちゃいそうになった。でも、まだつながってないよ。私に魅力がないなんて言わないでしょう??」
「桜子に魅力がないと言えるほどの好い女と付き合ったことがない」
「クククッ、褒めている積り??これまでに抱いた女性と比べられるのって嬉しくない」
「そんな積りで言ったんじゃないけど、ゴメン……お詫びのしるしで桜子がしたいようにしていいよ」
桜子の額に唇を合わせ、わざとらしくチュッと音を立てた男は上半身を倒して仰向けに横たわる。
「下の口がダラダラ涎を垂れ流してフランクフルトを食べたいって催促しているよ……どうぞ、召し上がれ」
「欲しいの、早く入れて。あなたの、ぶっといボロニアソーセージを食べさせて」
「どうぞって言っているだろう??見えなくても、手が使えなくてもオレのモノはカッチンカッチンになってそそり立っているから入るよ」
「ほんとうに意地悪なんだから……いいよ、入れてくれないなら自分で食べちゃうもん」
男を跨いだ桜子は両足を踏ん張り、股間にオトコを誘おうと蠢かす。
「アンッ……いた、オチンチンがいた。逃げちゃダメ……ウッウッ、クゥッ~、来る来る、ヒィッ~、すごい」
背後に隠れて男から見えない両手を固く結び、唇を噛んだ桜子が股間を蠢かすと男の分身はダラダラ涎を垂れ流す下の口に飲み込まれていく。
「ウグッ、ウッ、温かい……ニュルニュルする桜子に包まれるのが気持ちいい」
桜子の腰に手を添え、ベッドのクッションを利用して突き上げると桜子はあっけなく昇りつめる。
「クゥッ~、イヤッ、いいの……ヒィッ~、逝っちゃう、いいの、気持ちいい」
―10
身体も気持ちも満足した二人は愛を語る場所をバスルームに移してゆったり浸かる。
足を伸ばした男の腿を跨いだ桜子は胸に背中を預け、背後から抱きかかえてくれる逞しい腕を擦りながら話しかける。
「両手を縛られて目隠しエッチをすればモテルってほんとうなの??」
「たぶんね、オレはそう思うよ。桜子を一目見て惹かれる男がいたとする……桜子は背が高いし可愛いというよりも美人。そのうえ、立ち居振る舞いが洗練されて凛としている。好い男であればあるほど桜子に気後れしてしまい、誘いたい自分よりも気後れする部分が勝ってしまう」
「それは褒め過ぎじゃない??」
「桜子はとびっきりの好い女だよ。自分でも気付いていると思うけど、誘いたいと思っている男たちが遠巻きにウロウロしている。最初の一声を掛ける切っ掛けと勇気がない。セックスに目覚めた桜子の本質は変わらなくても凛とした部分が柔らかくなるから声をかけやすくなる」
「男性に媚びを売るってことじゃなくても……そうなの??」
「桜子は好感を持った男にゴロニャ~ンするのに時間がかかる。その部分が好意を持つ男たちにバリアだと感じさせていたんだけど、自然と薄れると思う」
「嬉しいような嬉しくないような、あなたはそんな私をどう思うの??」
「さっきも言ったろ、そんな男がいたらぶっちめてやる」
「ウフフッ、嬉しい……そうだ、鈴木君と望月君って生徒がいるんだけど、どうして知っているの??」
「鈴木は浜松が本社の自動車メーカーの創業者の姓だし望月姓は静岡と山梨に多いから言ってみただけだよ。あとは競輪選手で鈴木と渡辺姓も多い気がする」
「なんだ、私をストーキングしているのかと思って喜んだのに……ストーカーじゃなくて、ざんねん」
背後から抱きしめた桜子の首筋に舌を這わせ、息を吹きかけるとブルッと震えて、ウッウッ、アンッと艶めかしい吐息を漏らす。
男の右手が下腹部を擦り、左手が胸の膨らみの先端を摘まむと、アンッ、イヤッ、気持ちいいと吐息が喘ぎ声に変わり、男の腕に添えた手に自然と力がこもる。
「爪を立てると痛いよ」
「ごめんなさい。気持ち善くって、つい……」
「いいんだよ、怒っているわけじゃない。今は桜子と二人っきり、なにがあっても楽しい」
「ウフフッ、あなたは私に惚れている。正直に言っちゃえばいいのに……ねぇ、なにを聞いても怒らない??」
「桜子の言葉なら、どんなことでも腹は立てないって分かっているだろう」
「うん、答えがほしいってわけじゃないけど、聞きたいの……高浜さんとは同期入社なんでしょう??その高浜さんが言ったんだけど、あなたは入社時に奥様とお子様がいたって本当なの??」
「ほんとうだよ。履歴書に妻と一歳の息子ありと書いた」
「浪人してないでしょう、奥様とは幼馴染とか??」
「違うよ。一年近く通ったスナックのママだった。で、ある日、子供ができたらしいと言われて、結婚式は3年の秋、両親に結婚の意志を告げた時に入籍した……以上」
「もっと色々聞きたいことがあったのに、以上って宣言されちゃ、しょうがないね。もう一つだけ、結婚を前提に付き合っていたの??」
「そんなことは考えたこともないよ。お互いに都合のいい相手、赤ちゃんが宿んなきゃ結婚することはなかった」
「子供が出来て責任を取ったってことなの??」
「責任なんて考えたこともない。5年先、10年先の目標はあるけど、今大切なのは目の前のことを一つ一つ処理すること。子供が出来たなら、二人で育てればいい。そう思ったから結婚しようって言った」
「結婚を考えたことのない相手でも??」
「嫌いならベッドを共にすることもなかったし、結婚しようと言った時から大好きになった……その頃よりも今はもっと好きになった」
「愛しているって言わないのは、今でも愛する人を待っているからなの??」
「クククッ、誤解しないでくれよ。あの頃は女性を二つに分けていた。したい女としたいと思わない女……したい女は好きな女性、そのうちの一人に赤ちゃんができた」
「ひどい男ね、女をやりたいか、やりたくないかで分けるなんて」
「あの頃は穴があればってことで、美人なら竹輪でもって頃だったからな」
「やっぱりひどい男。私は美人の竹輪??そうなの??」
「桜子は美人の竹輪じゃないさ。言っただろう、とびっきりの好い女だよ」
「ウフフッ、よく分からないけどあなたの言葉を信じる……奥様に申し訳ない気持ちになるけどね」
「妻はオレと二人の時間を楽しんでくれるから喜びは二倍に、悲しいときは二人で分かち合うから半分になる。女性に嫌われるようじゃ嫌だよと言うけど、オレはその言葉を素直に受け取っている」
「クククッ、身勝手なのか奥様に素直なのか嫌な男。浮気は奥様公認ってこと??」
「それは違うよ、オレは浮氣をしない。オレはいつも本気,浮ついた気持で女性と付き合うのは相手にも自分にも、そして妻にも失礼。オレは誰が相手でも常に本気だよ」
「悪い男と狡い男っているけど、あなたは……」
「オレは狡い男。そんなに褒めんなよ、照れちゃうよ」
「狡い男って認めておいて、褒められていると思うなんて図々しい」
「妻との時間は本気。桜子との時間も本気……世間の評価は狡い男ってことになるんだろうな。桜子がそんなオレを嫌いになるならしょうがない……」
「残念でした。私はあなたを嫌いになってあげない……好きなんだもん。連絡してくださいって書いたメモを渡して手に入れた男なんだから」
「そうか、ありがとう。桜子の顔を見たい、身体の向きを変えてくれよ」
「イヤッ、今はあなたを正面から見ることができない。恥ずかしいもん」
「それじゃあ、もう一度目隠しをするけどいいの??」
「今日のあなたは強引……」
「オレは強引で身勝手な男だよ、嫌いにならないでくれよ」
「強引なあなたを嫌いじゃないし、傲慢ではないよ。キスするって約束してくれたら身体の向きを変えてあげる」
「キスでもマン舐めでもなんでも約束するよ」
「クククッ、いやらしい」
―11
「ウゥゥ~ン……イヤンッ、くすぐったい……ねぇ、もう朝なの??」
「どうかな、カーテンを開けるよ」
「ウッ、眩しい……目を開けられない」
「クククッ、桜子が大好きな目隠しをしようか??」
「イヤンッ……昨夜、目隠しされて散々遊ばれて恥ずかしい思いをしたことが蘇る」
「オレのことが嫌いになったか??」
「もぉ~、何度も言わせないでよ。嫌いになってあげないって言ったでしょう??」
「クククッ、可愛いなぁ。お腹が空いてない??」
「ウ~ン、ウフフッ、その前に、もう一度、ダメ??時間がない??」
「10時の約束でここからなら30分くらいだから時間はあるよ」
「ふ~ん、時間はあるんだ……なんか、この部屋は暑い。脱いじゃおうかな」
これまで感じたことのない艶めいた表情で見つめられた男はゴクッと唾を飲み、身じろぎも出来ずにナイトウェアを脱ごうとする桜子に手を重ねる。
「ゴクッ、脱いじゃダメなの??」
「当たり前だろ、桜子のナイトウェアを脱がせて少しずつ露わになる肌に触れる楽しみを奪わないでくれよ」
「ふ~ん、私は自分の欲望に忠実な女。あなたは私の欲望を満足させてくれる稀有な男性に見えるけど……私は間違えている??」
「間違えちゃいない……眩しい陽光に照らされた桜子の肌を見たり触れたりするのはオレだけだよ……」
「うん……他の男に見せたり触らせたりしちゃダメだと言って。目隠しで視覚を奪われ、後ろ手に縛られて身体の自由を奪われるとゾクゾクするほど気持ち善かったの……身体だけではなく、心も縛られたい」
「桜子の身体と心を同時に縛っちゃおうか……」
男が桜子の2ウェイバッグに視線を向けると、
「えっ、なに??変なモノは入ってないよ。何か気になるの??」
「バッグの中じゃなく、ベルトを借りるよ」
外したショルダーベルトと桜子を見比べた男は、
「オレを信用してくれるだろう」と言いながら、ベルトを桜子の首に巻いてナスカンで留める。
「桜子、これは首輪とリード。ワンコは首輪とリードで動きを制約されるけど、飼い主に安全を与えてもらえる……元はショルダーベルトだけど、桜子の首に巻くと首輪とリードになって身体と気持ちを拘束する。分かるだろう??」
「ハァハァッ、イヤンッ……首輪を付けられただけで興奮する」
男から離れようとするとリードを引かれて許されず、それを気にする様子もなく嬉しそうに笑みを浮かべる桜子は自ら上半身を揺すって首輪に与えられる刺激を楽しむ。
「苦しい。リードを引っ張らないで……でも、首輪につながるリードで動きを制約されるのって嬉しいかも、ウフフッ」
「ごめん……」
オレはリードを引っ張っていないから桜子が動かなければ首が締まることはないよ、という言葉を飲み込んだ男は言葉を続けて、
「桜子の身体や気持ちに関係なく首輪とリードでオレは自在に操れる。オレだけの女だよ、いいね:
「うん……好きな男に束縛されるのって嫌じゃない。離れていても信じているとか、気持ちがつながっていると言われるのも嬉しいけど、首輪とリードで操られるのってゾクゾクするほど気持ちいい」
「可愛いよ。好い子にはご褒美を上げなきゃいけないな」
引き寄せた椅子の肘掛けにリードに見立てたショルダーベルトを縛り、桜子の両肩に手を置いて瞼に唇を合わせると目を閉じる。
「身体の緊張を解いて、オレのことを信じるんだよ」
「アンッ、そんなことを言われると自然と身体が震える」
身体は緊張し、笑みを浮かべようとしても自然と表情が強張る桜子を抱きしめて額に唇を合わせ、そのままそっと寝かせる。
「ハァハァッ、縛られたり目隠しされたり、あなたの意外な一面を見せられた。最後はいつものように優しいのがいい、このままだと家に帰っても興奮が冷めない」
仰向けに横たわる桜子に覆いかぶさった男は頬を擦り、髪を撫でる。
「アァァ~ン、知ってる??女は髪の手入れに時間をかけるでしょう。その髪を好きでもない男に触られると不快になるの……」
「そうなんだ、ふ~ん」
笑みを浮かべた男は桜子の言葉を意に介することもなく髪を撫で、きれいに整える。
「オレに触れられるのも嫌だし、不快になるか??」
「知っているくせに、イヤな男。あなたが私の身体に触れる場所が性感帯になるし、それは言葉でも同じ。あなたの言葉が私の耳を通じて脳を蕩かし気持ち善くしてくれる……知っているでしょう??」
「クククッ、可愛いな……」
再び左右の頬に手を添えた男は覆いかぶさるようにして覗き込み、間近で見つめられる桜子は圧迫感で目を閉じる。
「恥ずかしい……」
「見つめられると思うから恥ずかしいんだろう。閉じたままでいればいい」
閉じた両瞼に唇を合わせて舌先を這わせた男は目を閉じたままの桜子に向けて微笑む。
身体のラインを確かめるかのように男の手はナイトウェア越しに脇腹から腰を経て膝までなぞり、反転すると内腿を付け根まで撫で上がり、鼠径部から下腹部に至るとサワサワと撫でまわる。
「服を着ている時はスタイルの良さを強調するけど、こうして触れると腰回りや太腿、下腹部は成熟した女性らしい柔らかみを感じる。見かけよりもエロイ身体だよ」
「クククッ、褒められていると思ってもいいの??」
「勿論だよ。神様は人間にセックスを楽しむことを許してくれたけど、本能の欠片みたいなものも残っていると思う。男たちは自らの子供を残すために競争するし時には暴力的になる奴もいる。女は男を誘うために実利的な意味を持って艶めかしい身体を誇る。桜子は男を誘う魅力に長けているよ」
「クククッ、普通にエロイ身体って言えばいいのに……優しく、暴力的に私の身体を召し上がれ……」
捲りあげたナイトウェアを顔と両手に引っ掛けた状態で露わになった腋下に舌を這わす。
「イヤンッ、そんな処を舐めちゃイヤッ。起きたばかりだから脇の下は臭わない??」
「ウ~ン、好い匂いがする。桜子の好ましい匂いで嫌な臭いじゃないよ」
チュッ、チュッ~……腋下に吸い付いた男はわざとらしく音を立てて吸い上げる。
「くすぐったい。クククッ、変態っぽくて好き、もっともっと、いろんなところを舐めて……次に会う時まで忘れられない記憶を刻んで」