―2
部屋に戻った二人は互いの顔を見ることも出来ず、桜子は荷物の整理を終わると、
「暑いから汗を流したくなっちゃった。お風呂の準備をしてくるね」と、言い訳じみた科白を口にしてバスルームに向かう。
男もまた、窓辺に立ってうわの空で景色を見つめ、桜子がバスルームに姿を消すと、フゥッ~と息を吐いて苦笑いする。
「しょうがねぇな、いいおじさんが何やってんだか……」
「何か言った??」
「えっ、桜子のような好い女と二人きりになって焦るオレはだらしないなと独り言を言ったよ」
「ほんとう??私も初心な少女時代に戻ったような気がする」
友人に誘われた店で、桜子がそっと手渡してくれたカードから始まった付き合いを振り返るとオレがリードしたことがあったかと忸怩たる思いになる。
「東京に行くのは土日が好いんだろう??」
「えっ、マスターの店??本当に行けるの??」
「桜子と一緒に来るって約束したからな。嘘吐きになりたくない」
「土日が好いけど、あなたの都合次第で休みを取る。農業って手抜きを出来ないでしょう??」
「それは桜子も同じだろ、大人の事情で中学生の生長点を摘むのはまずいだろう。先生の仕事は茎や根っこの端っこで成長するために細胞分裂を繰り返す手助けだろう」
「そんな風に考えたことはないけど、農業に携わるあなたらしい表現で納得した。成長の手助けをするのは間違いない。先輩の話しだけど、志望校に受かりました先生のお陰ですって報告されると受験のためだけに教えているわけじゃなくても、やっぱり嬉しいって」
「そうだよ、桜子に教わって向日葵のように太陽に向かって成長し、大きな花を咲かせる……オレはその邪魔をしたくない。それに、いい先生とは生徒を自分よりもほんの少しでもいいから立派な人に育てることだろう」
「私は向日葵を育てているの??ふ~ん、小っちゃい頃の夢だったし今更ながらいい仕事に就いたと思う……あなたの農業も夢が叶ったの??」
「そうだなぁ……流れに逆らうことなく流されるまま生きる主義だから昔からの夢と言うわけではないよ。製造業や農業などモノを作る仕事が好きだけど」
「ふ~ん、そうなんだ……汗を流したい。脱がせてくれるでしょう」
抱き寄せてセーターの裾に手を伸ばすと、
「待って、恥ずかしいから何か飲ませて……おねがい」
ミニバーを開けてワインとグラスを2脚取り出すと、1個でいいのにと囁き嫣然と微笑む。
無駄のない所作でワインオープナーを使い、冷えたグラスに注いで喉を潤して二口目を含むと目を閉じて身体を寄せてくる。
ゴクッ、喉を鳴らして流し込まれたワインを飲み込み、閉じた目を開いて、美味しいと呟く桜子の目元が羞恥で微かに赤く染まる。
男は言葉を口にすることなく愛おしく思う気持ちで口元を緩め、再び桜子が目を閉じると唇を合わせ、背中を擦る右手が腰まで下りて親指と人差し指の間にセーターの裾を引っかけてずり上げると、密着させた身体を離して脱がせやすくしてくれる。
脱がせたセーターをソファに投げ、パンツの腰部に差し入れた指でプリンとした尻を滑らせると足元に滑り落ちる。
下着姿で立ち尽くす桜子の全身を見るために二歩下がると、それまでの毅然とした態度が消えて目を伏せ、両手は下着越しに胸と股間を守ろうとする。
「待ち合わせの時、スタイルの好い桜子が白パンツとモコモコオーバーサイズセーター姿でオレに向かって走ってくる姿。近くに居た男たちは羨望の視線をオレに向け、女性たちが嫉妬交じりに桜子を見つめていたのに気付いた??」
「ほんとうなの??気付かなかった。あなただけを見ていたもん」
「そんなことを言われるとドキドキしちゃうよ。今は桜子の本当の姿を見たい……何も隠すことのない姿をね」
「ハァハァッ、私だけ裸になるの??……自分で脱ぐのは恥ずかしい」
「勘違いしちゃダメだよ。汗を流すために風呂に入るんだろう??」
「そうか、そうだったね……脱がせてくれるでしょう??」
胸と股間を守っていた両手をだらりと下げた桜子は静かに目を閉じる。
右手を尻に添えて抱き寄せ、左手でプラジャーのホックを外す。
「下着を脱がすのに手間取られるとイライラするけど、上手過ぎる男は信用できないヤツだった」
「嫌なことを思い出させちゃったね、ゴメン」
「ごめんなさい……奥様や私以外の女性に嫉妬しないと決めていたけど、つい自分のことを、ごめんなさい。私の身体や心にあなたの記憶を刻んで……」
「桜子はオレの女だよ」
「アンッ、ゾワゾワする。もう一度言って」
「可愛い桜子は誰にも渡さない。近寄るヤツはぶっちめてやる」
言い終わると同時にショーツに指を掛けたまま跪くと足元まで滑り落ち、桜子は胸の膨らみに続いて股間の飾り毛まで男の目の前に晒す。
男は右手を桜子の尻に左手を腰に添えて抱き寄せ、股間に顔を埋めて大きく口を開けて甘酸っぱい匂いで胸を満たして顔をブルブルと震わせる。
「ウッ、クゥッ~、イヤッ、洗ってないのに、そんなことを、恥ずかしい……」
「そんなことって、どんなこと??はっきり言ってくれないと分からないし、桜子のココもコレも、み~んなオレのモノだよ」
舌が花蜜を滴らせる泉に潜り込んで壁を擦りながら出入りを繰り返し、鼻頭が敏感な花芽をくすぐる。
抱きかかえていた両手を離しても桜子は逃げるどころか男の頭に手を添え、自ら股間を男の顔に押し付ける。
「ヒィッ~、身体中を電気が走るようにゾクゾクする……もっと、もっと気持ち善くなりたい……」
押し付けるだけでは満足せず、中腰になって股間をウネウネと蠢かし、
「ちょうだい、オチンポが欲しい。ナメナメしたい」
跪いたままの男を抱き起こしてベルトを外し、下着と一緒にズボンを下ろしてソファに座れと誘導する。
ジュボジュボ、ジュルジュルッ……ハァハァッ、咥えていたペニスを右手で握り、口の周りの汚れを拭おうともせずに上目遣いに男を見つめる瞳は欲情で燃える。
―3
昂ぶる獣欲に支配される二人は唇を合わせ。互いの肌を擦り下半身を押し付け合う。
ウッウッ、ウグッ、ジュルジュルッ、クゥッ~、ハァハァッ……息をすることも忘れて貪り、唾液を啜りあった二人は唇を離すと赤く燃える互いの瞳を覗き込み、思いを共有していることに安堵する。
「ニーチェが、深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗くと言ったでしょう。あなたの瞳の奥を見たけど、私と同じような思いで見つめていたと感じた……間違っている??」
「ニーチェは肯定的に使った言葉じゃないと思うけど、言葉の真意を別にしてオレの気持ちを表現するのに間違いがない。オレはこんなに桜子のことが好きだけど、桜子はどうかなって覗き込んだ」
「ウフフッ、私も……あなたが私と同じくらい好きだと思ってくれているかなって、瞳の奥に隠れている思いを探ろうとした。あなたには奥さんがいる……ニーチェの真意と違うと言ったけど、浮気や不倫を怪物と考えれば間違えてないよ」
「そうか、そうだな……風呂に入ろうか」
男は衣服を脱ぎ捨てて裸になり、桜子を横抱きにしてバスルームに向かう。
「フゥッ~、背中越しに抱っこしてもらうのは久しぶり。私が連絡しなきゃ、縁が切れちゃったの??」
「う~ん、どうかな。何度も言うけどオレは自信家じゃないし傷つきやすいから、桜子ほどの好い女を誘って断れたらどうしようって考えると踏ん切りがつかなかった」
男の足を跨いで胸に背中を預け、背後から抱きかかえてくれる腕に手を添えてリラックスしていた桜子は向きを変えて両手を首に回し、男の瞳を覗き込む。
「ほんとう??信じてもいいの??」
「嘘じゃない。縁を切られるのを恐れていた」
「女はね、好きな男の言葉なら何でも信じたいの……二人のルールを提案するから聞いてくれる??」
「従うよ……聞かせてもらおうか」
「その前にキスして……」言い終えた桜子は口元を緩めて静かに目を閉じる。
そっと、唇を合わせると、
「ダメ、大人のキスが欲しい……」
閉じた目を開いて見つめる桜子は、男の瞳の奥にまで届く妖しい光を宿して欲情を隠そうともしない。
一瞬、たじろいだ男は桜子の欲情に吸い寄せられるように抱き寄せて濃厚なキスをする。
ジュルジュル、ニュルニュルッ、舌を絡ませて擦りあったり、唾液を啜ったり、流し込んだりを繰り返した二人が唇を離すと、離れがたい思いから唾液が一本の細い糸となって二人をつなぐ。
「ハァハァッ……あなたのキスは、いつでも私を幸せな気持ちにしてくれる。そして私は際限なく欲張りになる」
「オレとキスする度に幸せな気持ちになる。もっともっとキスして、もっと幸せになりたいと思ってくれるのか??」
「そうだよ、それで提案なんだけど……これから毎週、日曜日に連絡する。大好きって一行だけでも書く、それが途絶えた時はあなたと会いたくないと思った時……この提案はどう??」
「分かった、オレも桜子が好きだって返信するよ」
「ウフフッ、奥様に申し訳ないけど二人のルールができて安心した。これからは、いつ連絡が来るかなって心配しなくても済みそう」
ジュルジュルッ……ウッウッ、アンッ…手の平に吸い付くような気がするこの感触が懐かしい……ハァハァッ、もっと……安心した二人は一年半に及ぶ空白を埋めようとして濃厚なキスをしながら肌をまさぐり、息を弾ませる。
「我慢できない。オチンチン頂戴……口に入れてくれれば落ち着けるような気がする」
男は桜子の頬に両手を添えて表情を緩め、バスタブの縁に座って股間を突き出す。
桜子は両足の間ににじり寄り、半立ちのオトコを見つめたまま内腿を擦り、見せつけるようにして乾いた唇に舌を這わせて滑りを与える。
計算し尽くしたような色っぽい行為は男を刺激してやまず、半立ちのオトコがムクムクと起き上がる。
「まだ何もしていないのに、オチンチンがこんなに元気に……どうしたの??」
「オレの言うことを聞かずに桜子に従う親不孝モノだよ」
「この子は素直に私の言うことを聞いてくれる、ウフフッ……好い子にはご褒美をあげるね」
宙を睨むペニスに伸ばした指で鈴口から滲み出る先走り汁を亀頭部に塗り広げた桜子は、
「偉そうに踏ん反り返って宙を睨むこの子はよく見ると可愛い……ウフフッ、ソーセージのようだけど、ウインナーほど小さくはない、フランクフルトとボロニアソーセージ、どっちかなぁ??大切なのは、味だよね。確かめてみよう」
楽しそうに亀頭を撫でて竿を擦り、上目遣いに見つめる桜子の瞳はねっとりと男に絡み、視線の愛撫で手の中のオトコは一層猛り、火傷するほど熱くなる。
根元から亀頭までペロリと舐め、尖らせた舌先が鈴口を押し広げようとするかのようにツンツンつつく。
「ガマン汁がダラダラ涸れることなく出てくる。私の手で可愛がってほしいの??それとも、お口の中に入りたいの??……はっきり答えないと遊んであげない。もう一度聞くよ、お返事しなさい」
竿を握った右手を上下しながら、
「このまま、手の中で爆発したいの??……お返事がないね……それでは、ジュボッ、ジュルジュルッ……フゥッ~、このまま、お口の中で気持ち善くなりたい??お返事は??」
一旦、口に含んで卑猥な音と共に顔を上下した桜子は、右手に握った竿を上下しながら話しかけると手の中のオトコは意思を持っているかのようにピクピクと反応する。
「ウフフッ、好い子ね。私のお口の中で気持ち善くなりたいとお返事できたもんね」
男の顔を一切見ることなく左手の指先で亀頭をニュルニュルと撫で、再びパクリと口腔に収めて喉の奥まで飲み込んでいく。
頬を閉じたり膨らませたりしながら顔を上下し、唾液まみれにした舌を絡めると男は桜子の頭に手を添えて、
「ダメだ、これ以上されると我慢できなくなる」
「プファッ~、ハァハァッ……ベッドに連れてって……」
「その前に……」
ボディソープを振りかけた肌を擦り、互いを思う気持ちだけを残して汗と共に流した二人はバスルームを後にする。
―4
ベッドに戻っても、さぁ、今からセックスを始めようとは言えず、切っ掛けを掴めないまま二人は窓辺に立つ。
「桜子と一緒に同じ夜景を見たいと思っていた。信じてくれるだろう」
「うん、信じるけど、連絡してくれないから私から催促しちゃった。最初のデートも私が誘ったようなものだし、もっと強引なのが好いな……奥様がいるのを承知で言っているんだけどね、迷惑??」
「迷惑じゃないさ。浮気って言う言葉があるらしいけど、浮ついた気持で付き合うのは相手にも自分にも失礼、オレはいつでも本気。桜子と過ごす時間を本気で大切にしたいと思っている」
「ひどい男……奥様を本気で愛しているけど、それ以外の女性との時間も浮ついた気持じゃなく本気で付き合う。私なら絶対に夫にはしない。だけど、恋人としては理想的かもしれない」
「恋人として理想的と言ってくれるだけで嬉しいよ。いいところを見せないといけないな」
男は自分を狡い男だと自覚している。
妻を愛していると言うことに嘘はないが、妻以外の女性に惹かれる気持ちを抑えきれないことがある。
桜子に対して、オレは浮ついた気持で付き合うんじゃない本気で好きだと言うのも嘘ではない。
窓際で自分が住む街の夜景に見入る桜子の背後に立った男は首筋に息を吹きかけ、髪の生え際に沿って舌を這わせるとブルッと身体を震わせ、イヤァ~ンと艶めかしい声を漏らす。
「イヤァ~ン、寒くないのに身体が震えちゃう」
「クククッ、可愛いな。中学生が憧れる美人でスタイルの好い桜子先生がオレの前では可愛い女に変身してくれる……まさか、イヤァ~ンなんて艶めかしい声で授業しているんじゃないだろうな??」
「色っぽい声で授業はしないけど、I love you。I don't need a hero、 I need you。この言葉は大切しなさいって言ったよ」
「オレも桜子先生に教わりたかった」
「それじゃあ、私の身体を相手に自由課題ってことで答えを示してみなさい
……採点してあげる」
男は背後に立ったまま耳の裏に息を吹きかけながら乾いた舌で産毛の感触を意識しながらサワサワと這わせる。
「アンッ、ゾワゾワするし、クククッ、鳥肌が……でも、あなたがいつもしてくれることで陳腐だわね。もっと、創造性のある答案が欲しい」
背後から抱きしめたまま、右手に自分の右手を重ねて握り、桜子が指に力を込めて握り返すとはぐらかすように手を離し、指を一本ずつ根元から先端に向かって揉んでいく。
中指が終わると人差し指、その次は薬指と揉まれ続けると、疲れていると思ったことはないのに身体の芯から解れて温かくなっていくのを意識する。
「アァ~ン、気持ちいい。指を揉まれるだけで気持ち善さが身体の芯や気持ちに届いて、四肢を伸ばして温かい水に浮かんで何も束縛されず自由ているような気がする」
右手を重ねて指を揉み解しながら左手は腹部から胸に撫で上がり、うっとりする桜子が顔を仰け反り気持ち善さに酔いしれると男の手は首を擦り、唇が首筋で戯れる。
「この格好で指を揉まれたのは新鮮だけど、その後は気持ちいいけど驚くような愛撫じゃないから、ぎりぎり合格」
「桜子先生は厳しいな……このまま夜景を見て動くんじゃないよ」
「いいけど、怖いことはしないでね」
ハンカチを手にして再び桜子の背後に立った男は目隠しで視覚を奪う。
「怖いけど昂奮する」
「視覚を奪うだけじゃつまんないな……」
桜子の羽織るバスローブの紐をほどいて淡いピンク色に染まる肌を露わに曝す。
「窓の外にいる男の子が桜子のオッパイを見つめてズボンの中に右手を入れたよ。もしかすると塾の生徒かもしれないな……マン毛も見せてあげようか」
「イヤァ~ン、明日から授業ができなくなっちゃう。見られたくない、許して、おねがい」
高層階のこの部屋を覗き見る場所があるはずがないと分かっていても、久しぶりに会った男に視覚を奪われて妄想を膨らませる桜子は、自ら発する声で羞恥と恐怖を昂らせる。
「鈴木君と望月君が覗いているよ。服を着ている桜子先生は高根の花だと思う上品で清楚な女性だけど、服で隠した身体はエロくてオンナを意識させるってさ」
「鈴木君も望月君も生徒の中にいる。ねぇ、本当に覗いているの??嘘でしょう??」
「嘘じゃないよ。桜子のオッパイを見つめて顔を赤くして……アララッ、ズボンの中に手を入れて、クククッ、オチンチンを弄り始めたよ」
「うそ、ウソでしょう??」
「嘘じゃないよ。そうだ、オッパイだけじゃなくオマンコも見せてあげようか」
バスローブを肩から滑らせて一糸まとわぬ姿にした桜子を背後から抱きかかえる男は、
「目隠しを外すよ……見なさい」
薄明りにした部屋の灯りと、視界に入る限りこのホテルよりも高層のビルがなく曇天のせいで窓は鏡のように桜子の姿を映し出す。
「イヤンッ、ハダカンボの全身が映っている。恥ずかしい……あれっ、覗き見する人の姿がない。やっぱり嘘だった」
「いるよ。見えるようにしてあげる……」
外した目隠しを再び付けて、
「どうだ、二人が見えるだろう??」
「イヤッ、目隠しされると隠れて覗き見する鈴木君と望月君が堂々と姿を現した。ズボンの中は見えないけどオチンチンを弄っているのが分かる」
「オッパイをクチュクチュされる桜子を見せてあげようか」
手の平に吸い付くような胸の膨らみの感触に頬を緩め、上下に揺すると重さが伝わる心地好い感触に酔い男の動きが止まる。
「大きくないから不満なの??」
「クククッ、オレが惚れているのを知りながら拗ねるふりも可愛いよ」
胸の膨らみを優しく擦っていた男の手に力がこもり、乳房が歪になるほど揉みしだかれると、イヤァ~ンと艶めかしい声が漏れる。
「ゴメン。窓に映った可愛い桜子の裸身を見ていると興奮が過ぎた」
耳に触れるほど近付いて囁き、乳房で戯れていた両手は腹部まで撫で下りて臍の周囲をなぞり、下腹部を圧迫したり擦ったりしながら続く愛撫を桜子に意識させる。
―5
人並み以上の容姿を持ちながら170cm超えの身長のせいで誘ってくれる男は少なく、他人が想像するほど桜子の男性経験は多くない。
地元に戻って塾の講師になる前、東京でキャバクラ勤めだった時に店の常連だった高浜が退社したけど同期入社以来の友人だと言って連れてきたのが桜子を羽化登仙の境地に誘おうとする柏木だった。
場所柄、仕事帰りや接待名目の客が多く、白パンツにネイビーブルーのカットソー、グレーのジャケットを合わせた柏木は長身でもあり新鮮に映った、
桜子に気のある素振りを見せなかったが話しかけると嫌がる風もなく相手をしてくれて、相槌を打つ時に身体に触れても期待したような反応はなかった。
その夜、自宅に帰り寝ようとしても寝つけず、もしかすると一目惚れかと苦笑いした。
十日ほど後に高浜が来店した時に柏木は同行しておらず、いつでもいいからお二人をお迎えできれば嬉しいなと、はしたない言葉を口にしてしまった。
それほどの日を置かずに高浜は柏木を伴って来店してくれた。
前回と違ってシャドーストライプのチャコールグレースーツにホワイトシャツを着けてペイズリー柄のネクタイを締めた柏木の隣に座ると、一目惚れしたかと思ったことが確信に変わり、さりげなくネクタイがバレンシアガ製であることを確かめた。
この日の桜子は高浜の視線を気にすることなく柏木を見つめ、それに気付いた高浜は黙って首をすくめ、後日、桜子ちゃんは柏木と付き合っているだろうと言われるほど、あからさまだったらしい。
特別の関心を寄せようとしない柏木に不満を覚えた桜子は悪戯心を抑えることができず、お客様に対して一度もしたことがなかった太腿に両手を添え、指先に力を込めて性的な連想を催させようとした時も自然な風で桜子の髪を一撫でするだけで終わった。
普段、お客様に髪に触れられると不快に思うことが多かったが、この時は全身の力が抜けて男の身体に寄り添いたいと思う気持ちを抑えるのに苦労した。
お見送りの時、高浜様には秘密で連絡くださいと書いたメモを渡すと翌日、スマホに着信があった。
デートの約束をして待ち合わせのホテルのロビーに現れた男は満面の笑みで包み込んでくれ、その後の二人の時間を期待せずにいられなかった。
店のお客様との同伴で一人では入れそうもない高級店で食事を一度ならず経験していたが、男は桜子の期待を裏切らないようにと、オレは高級な店を知らないから今日は普段通りのオレに付き合ってもらうよと告げて、アクアライン経由で房総半島に向かった。
クジラ料理専門店での食事は地魚も含めて店主の自慢を超える満足感で自然と笑みが浮かび、午後から夜を期待せずにはいられなかった。
50男との初デートは期待した大人の遊び心を見事に裏切られて連れていかれたのは、鴨川シーワールドだった。
男の腕を掴んで水槽を見る内に自然と笑顔になり、シャチのパフォーマンスで豪快な水しぶきを避ける頃には身体よりも先に心が通じ合っていた。
「帰ろうか。もう一つ見せたいものがある」
と、言う言葉は海をキラキラ照らしながら昇る朝陽を男の腕に抱かれて見る期待を抱いたが車はアクアラインに向かい夕陽を見ることだった。
カップルや家族連れに交じって、海ほたるの展望台で潮の匂いを胸いっぱいに吸い込んで夕陽を見ながら満足そうな男の横顔を見る内に、奥様のいる男にこれ以上の期待を抱くのは間違いだったと思うようになっていた。
アクアラインを都心に向かって走る車中で夕食をしようと誘われた時は苦い思いで下着などお泊りセットを入れたバッグを無意識で抱えて、はいと応じた。
お台場にあるホテルに着くと男は小さなバッグを持ってフロントに向かった。
食事を終われば家に送ると言われてデートは終わりかなと思っていたら予期せぬ展開に心が弾んだ。
食事を終えて男が予約していた部屋に入ると、ワインクーラーに浸かったシャンパンが用意されており、しゃれた店は知らないと言った男の言葉を想い出して新鮮な驚きと、きっと以前にも同じことをされた名前も顔も知らぬ女性に嫉妬心が芽生える。
周囲の建物から洩れる明かりや街路灯が暗い海を煌びやかに照らし、レインボーブリッジを走る車のライトが果てることなく続く景色がバスルームの窓に一幅の絵のように広がる。
バスタブに浸かった桜子は背後から抱きかかえてくれる男に身体を預け、明かりが海を照らしレインボーブリッジを走る車のライトを見つめても飽きることがなく、そんな眺望と共に味わうシャンパンは男の胸に顔を埋める予感と共に目元を朱に染めて心臓は早鐘を打つ。
目隠しされたせいで目の前の出来事は見えず、男と初めて会った日から初めての夜まで走馬灯のように蘇る。そうだ、あの日も目隠しされた。
「初めての時も目隠しされた。視覚を奪われると触覚や聴覚、嗅覚などが鋭敏になり性感も高まるはずだよと言った。すごいの、身体も気持ちもビリビリ敏感になって、あなたの指や舌だけではなく言葉や吐く息さえもが私の性感を昂らせるの」
「そうだった、初めての時も目隠しをした……今日は手を縛っちゃおうか」
バスローブの紐を拾い上げた男は桜子の両手を後ろ手に縛ってしまう。
「痛くない??我慢しなくていいからね」
「イヤッ、今は優しさなんか欲しくない。痛いくらいにギュッと縛ってほしい」
「クククッ、可愛いな……」
目隠しで視覚を奪い、後ろ手に縛って桜子を支配した男は背後から包み込むようにして両手を股間に伸ばし、花蜜を滴らす割れ目の感触に支配欲を満足させる。
「独り寝の夜はあなたに優しく愛されることを夢見てオンナノコを濡らしていたけど、本当のあなたは私の想像よりも意地悪……目隠しだけじゃなく両手の自由を奪われた。ウフフッ、ゾクゾクする」
そんな言葉を聞きながら男の舌は耳の裏を這い、耳朶を甘噛みして桜子がブルッと震えると首をゾロッと舐め上がる。
「すごいことになっているよ。ドロドロの蜜が涸れることなく溢れている……舐めてごらん……美味しいだろう??」
割れ目で戯れる指が蜜を掬い取って桜子の唇に擦り付けると、静かに口が開いて指をしゃぶり、舌がねっとり絡みつく。
「オレのモノをしゃぶられているような気がするほど気持ちいい。成績の好い生徒にご褒美だってしていないだろうな??」
「ウフフッ、妬いているの??どんなご褒美か経験させてあげる」
言い終えた桜子は抱きかかえる男の手からすり抜けるようにして身体の向きを変え、そのまましゃがみ込みざま宙を睨む怒張を口に含む。
―6
宙を睨む男のモノは口の中に納めてもビクビクと跳ね、喉の奥を突いたり上顎を刺激したりと落ち着く気配がない。
「ウグッ、グゥッ~、ゲボッ……ハァハァッ」
苦しさに耐えかねる桜子がオトコを吐き出して荒い息を漏らすと、
「ゴメン、苦しかったか。興奮が過ぎたようだ、ほんとにゴメン」
「謝らないで、久しぶりに会えたんだから何をされても新鮮で嬉しい……記憶に残るエッチがしたい。あなたとのエッチを身体に刻んで、次に会う時まで消えない記憶で寂しさを封じて欲しい」
仁王立ちの男はオトコを頬張る桜子の髪を撫でて耳朶を弄り、アァ~ンと艶めかしい悦びの声を漏らすと目隠しをされた桜子には見えないけれど、口元に不敵な笑みを浮かべる。
「マスターの店に行って美味い酒と料理に舌鼓をうち、その夜は東京タワーの見えるホテルで桜子の身体を舐めまくって味わい尽くす……その日が待ち遠しく思うほど記憶を刻んどくよ」
「私の全身、オッパイもオマンコもジュルジュル舐められるの??ねぇ、そうなの??」
「そうだよ。ダラダラ、ジュルジュルとマン汁を溢れさせるオマンコを突き出すまで舐めて、口とオマンコにオレのモノを捻じ込んでヒィヒィ言わせる」
「イヤッ、そんなことを言われると我慢できなくなる。ねぇ、アソコをクチュクチュしてほしい」
「久しぶりに味わう桜子の口マンコを存分に犯すまで我慢してくれよ」
言い終えた男は桜子の頭に両手を添えて動きを封じ、股間を突き出して喉の奥深くまで猛るペニスを押し入れる。
「ウッウグッ、ウググッ、ゲボッ……ハァハァッ……喉の奥をグイグイするんだもん、ハァハァッ、息が出来なくて苦しかった」
後ろ手に縛られていては顔を拭うことも出来ず、先走り汁混じりの唾液を滴らす顔を見せまいとするかのように俯いたまま顔を上げようとしない。
「顔を見せてくれよ。俯いたままじゃ見えないだろう」
「だって、喉の奥を突かれて唾液が口の周りを汚しているのが判るもん。見られたくない。涙は目隠しが隠してくれるけど、口の周りは……」
「おいで……桜子のすべてを見たい。気になるならオレがきれいにしてやる」
両脇に差し入れた両手で抱き起こした桜子を左腿に座らせて左手で身体を支え、右手を頬に添えて口の周りの唾液を舐め取り、そのまま唇を合わせてキスをする。
「アンッ、きちゃないのに舐めたりキスしたりしても平気なの??」
「桜子はオレのことを汚いから触れたくないと思うことがあるか??」
「そんなこと、あるわけがない。あなたのことは全てが好き」
「オレも桜子のことならすべて愛おしい。もう一度キスしてくれるだろう??」
唾液が糸のように伸びて二人をつなぐほど濃厚なキスをした二人は離れると頬を緩める。
男が目隠しを外すと桜子は眩しそうに見つめてすぐに目を伏せ、後ろ手に縛った紐を解こうとすると、
「イヤッ、縛ったままで可愛がってほしい。縛られていると何も隠すことができないし、何より抗うことができないから身体と気持ちが感じるまま自由になれる」
「可愛いな、桜子は。不自由の中の自由、分かるような気がする……目隠しに使ったハンカチだけど、此処へ仕舞っておこうか」
左手を桜子の腰に添えた男は右手に持ったハンカチを股間に押し当てて力を込める。
「えっ、イヤッ、なにするの??こわい」
「ハンカチを桜子のオマンコに隠しとくだけだよ。足の力を抜くんだよ、いいね……息を吐いて、吸って……ゆっくり、吐いて……」
桜子がゆっくり息を吐き、全身の緊張が解けるのに合わせて指に力を込めるとハンカチは割れ目に姿を消していく。
「なに??どうしたの??」
「ハンカチをポケットに入れただけだよ……目隠しに使ったハンカチは桜子のポケットに入れといた」
「私はカンガルーじゃないしドラえもんでもないけど、私の身体で遊ばれるのって嫌じゃない」
「そうか、桜子は自分の身体をいやらしい男に弄ばれるのが好きなのか、困った癖があるんだなぁ」
「うそ、あなただけだって知っているくせに、イヤな男」
「イヤな男か、可愛い桜子に嫌われたくないなぁ……立ち上がってごらん」
手を添えて立ち上がらせた男は窓ガラスに映る股間を見るように指示し、ズルッと勢いよく引き出す。
「ヒィッ~、イヤッ、内臓が引き出される……私のアソコが壊れていない??」
「オマンコは上品さを失っていないよ。生徒も同僚の先生たちも、桜子がこんなにマン汁をダラダラ滴らせるスケベなオマンコを隠しているとは思っていないだろうな」
「そんなことを言わないで、鈴木君や望月君、先生たちの顔を想い出して気が散っちゃう。今はあなただけを見ていたいし感じたい」
「オレの琴線を刺激する術をよく知っている。オレだけを見ていたいなんて言われるとドキドキしちゃうよ」
「ウソばかり、あなたは余裕綽々で私の心の奥まで見通して意地悪する。ウフフッ、その意地悪で気持ち善くなっちゃうイケナイ女が私なの」
「窓に映した桜子ははっきり見えないから、あの鏡を見なさい。ほら、よく見えるだろう」
素っ裸で後ろ手に縛った桜子を壁に設えられた鏡に正対させた男は、オマンコから引き抜いてマン汁まみれのハンカチを咥えてチューチュー音を立てて吸い付く。
「イヤンッ、音を立てて、そんなことを……アソコをハンカチで遊ばれるよりも恥ずかしい」
「あれっ、吸い尽くしちゃったのかなぁ……もう一度ポケットに入れようか」
ハンカチを股間に近付けると、恥ずかしいと一言漏らしながらも妖しい誘惑を抑えることができず、両脚を開いてわずかに腰を落とし、挿入されやすい格好になる。