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彩―隠し事 312

転生 -17

ソファに座ったまま対面座位でつながる二人は湧き上がる性欲をぶつけ、身体が満足するまで互いを貪り絶頂に達した。
対面座位でつながったまま彩の両手は健志の首を巻き、健志は彩の背中と腰に添えて身体を支える。
「今はまだ金曜日、日曜日まで続けるの??」
「彩はヨガやスキューバで鍛えているだろうけどオレは体力が持たないよ」
「ふ~ん、そうなの??健志の身体に必要以上の脂肪が付いていないのは抱かれて肌を接しなくても見ればわかる。玄関のシューズ、あれはランニングシューズでしょう??」
「オレのことは何でもお見通しなんだね。でも、セックス耐久レースは止めようよ」
「うん、二人でいるならエッチなしでも幸せな気持ちになれる……アンッ、オチンチンが抜け出ちゃう」
「男はダメだな。いつまでも彩とつながっていたいと思うのに満足すると意思に反して萎んじゃう。ゴメン」
結合を解こうともせずに彩を抱きかかえたまま立ち上がりバスルームに向かう。

バスタブの縁を跨いだ瞬間に萎みかけたペニスは抜け出てザブンと音を立てて座ると二人の間に白濁液が浮かび上がる。
「えっ、オチンポが萎んじゃったから精液がドロッて浮き上がった……流れ出た精液って行き場を失って可哀そう」
健志が洗面器で掬おうとすると、
「捨てるのは可哀そう……健志と彩をつないでくれる大切なモノだよ」
二人の間で漂う白濁液を掻き混ぜて溶かしきった彩は満足の笑みを浮かべる。
「オレのモノを大切に扱ってくれてありがとう」
泡にまみれてセックスの残滓と共に汗を流し、精液交じりの湯と淫蕩な気持ちもシャワーで洗い流した二人はさっぱりした様子でリビングに戻る。

アルコール摂取で卑猥な思いが蘇ることを避けてミネラルウォーターで喉を潤すと彩は無言でPCを見つめ、意を汲んだ健志は日経先物トレードの準備をする。
時刻を確かめると時間の経過は思ったより遅く22時25分を指している。
「始めるの??」
「そうだよ。どれくらいの利益が欲しい??5万、10万??それとも……」
「明日の買い物代だけあればいい。今日の目標は彩の仕事中に達成しているでしょう」
NY市場の寄り付き前に日経先物を売でエントリーし、開場後5分と待たずに3ティック下がったところで清算して取引を終了する。
「終わったよ」
「うそ、4分しか経ってないよ、どうなったの??」
キーボードをいくつか叩いて表示を変えた健志は、
「見てごらん、これが今の取引の利益で手数料を引いて8万9千円ほどあるだろ」
「ねぇ、株式取引って誰でもこんな簡単に儲かるの??」
「そうはいかないよ。いつでもこんな簡単に利益に結び付くなら皆がPCに張り付いて国は破滅しちゃうよ。農業や漁業も含めてモノを作る人がいるから歌手や俳優、芸術家やユーチューバーと言われる人たちも成り立っていると思うよ……今は女神さまが彩に嫉妬してオレの気を惹こうとして勝たせてくれたんだよ」
「えっ、ちょっと待って……言葉を変えると、女神さまは健志に惚れているから、そばにいる彩から奪おうとして勝たせてくれたの??」
「そう思うけど、オレの誤解かなぁ」
「健志がここまで自信家だと思っていなかった。でも自信家って嫌いじゃないよ……彩はこれからもやらないけど、もう少し教えてくれる??」

米国経済の大きさや世界経済への影響力で日本市場に限らず米国市場の影響は大きい。
9月の今は米国では夏時間、日本時間で22時30分開場、今日は21時30分に経済指標の発表があった。
経済指標は株式取引にとって厄介なモノで、強い数字が出ればいいというものでもない。
経済が良好な時期の強い指標は引き締め策を連想させて売が優勢になることもあるし、経済が不調なときの弱い数字は経済対策を連想させて買を誘発することもある。
で、弱小個人投資家のオレは難しいことを考えても判らないから寄り付き早々の動きの中で目標利益を得たらサッサとパクリと頬張る。
考えれば判るなどと自惚れないのがオレの主義。

「ふ~ん、思ったほどの自信家じゃないんだ。つまんない」
「そうだよ、正直に言うと自信家じゃない。だから先物取引に臨んでは目標を定めて、その目標達成のための手段を考える。彩を失いたくないというのが目的、そのための我慢なら厭わない」
「健志にとって先物取引と彩とどちらが大切なの??」
「彩に決まっているだろ、だから彩といる時にPCをオンにしたことがない」
「ウフフッ、分かっていたよ。確かめたかっただけ……身体が満足したから眠くなっちゃった」

腕枕をして横たわる健志は天井を睨み、
「彩とオレは身体を求めるのが付き合いの始まりだったけど満足してくれている??」
「満足しているよ、これまでも分かっていたけど健志は彩の身体だけが目当てじゃなく全てを抱いてくれる。彩は身体だけじゃなく全てを抱いていてくれる健志が大好き。そうでしょう??」
「勿論だよ、彩のすべてが大好きだし、愛している」
「これまで好きだと何度も言ってくれたけど、愛していると言ってもらったのは多分、今日が初めて、そうでしょう??」
「ごっことは言え夫婦、好きなだけじゃ足りない。オレの正直な気持ちだよ」
「うん、好きなだけじゃダメ。愛されていない妻は不幸だもん。好きな人ってたくさんいるでしょう、女優、歌手、行きつけの店の女子。妻は特別な存在じゃなきゃイヤ」
「可愛いよ、愛している」
「うん、彩も健志を愛している。転生、生まれ変わったらこんな風になりたいって夢。夫婦ごっこって楽しいね……おやすみなさい」
「おやすみ……チュッ」
閉じた瞼にチュッと音を立てて唇を合わせる。
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ちっち

Author:ちっち
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