彩―隠し事 255
愛欲 -1
親友を信じて隠し事なく話してくれる栞に対して秘密を抱えていた優子も、夫には秘密で付き合っている男の存在と離れていても心と身体を抱いてくれていると実感できるプラチナチェーン下着を仕事中にも付けていると打ち明けた。
隠し事を打ち明けて一か月ほど経ち新たな秘密を共有したという事実が二人の仲を一層親密にし、仕事の段取りは勿論、二人で摂る昼食も目を合わせるだけで以心伝心となり時には一緒に昼食に出る松本が驚くほどである。
立秋を過ぎ処暑が近くなってもまだまだ暑さが残り、立秋は大暑の間違いではないかと文句の一つも言いたくなる。
優子がリーダーを務めるプロジェクトが本格的に動き始め、対外折衝も課長任せでなく自ら前面に立つようになった。
私的な時間には人見知りするし目立つことを好まず一歩も二歩も下がることが多い優子が、仕事に臨むと元来の真面目さや己に厳しい克己心の強さもあって責任感を押し出して気弱さは姿を見せることなく振舞うことが多く、一歩引いて清楚な人妻と仕事に臨んではスイッチが入ると親友の栞でさえ驚くほど思い切った行動をする二つの顔が違和感なく姿を見せる。
優子の二面性に加えて健志と付き合う彩、ジキル博士とハイド氏のように二つの顔だけではなく、優子はもっと複雑な女かもしれないと思いいたると自然と笑みがこぼれる。
「どうしたの、思い出し笑いをして……セックスから離れすぎているんじゃないの??」
「えっ、思い出し笑いだと思ったの??そうか、そうだよね、思い出し笑いか。暑いからね。課長には直帰の許可をもらっているけど休憩するかこのまま解散するかどうする??」
「セックスレスで欲求不満のようだから優子の愚痴を聞いてあげる。仕事に臨む優子は信頼できるリーダーだけど性的にはまだ私の方が先を歩いているように思うけど、どうかな??」
「はいはい、セックスに関しては栞が私の師匠です、間違いございません」
「あぁ~、バカにしてる。ウフフッ……それより、SMショークラブを覚えている??この近くだよね……行ってみる??」
「えっ、あの店に??行かないよ、いやっ、絶対いや」
「クククッ、そんなにムキにならなくていいのに、じゃぁ、何か食べようよ。お腹が空いた」
会員の栞に連れられて行ったその店に後日、彩と名乗って一人で訪れてエログで密かに曝していたM性感を露わにして見ず知らずの客の前で下着一枚になって縛られたことが健志と出会うきっかけになった店であり、その時、彩に縄化粧を施した妖子は健志とも親しく三人の付き合いは続いている。
そんな事があるので栞の急な提案に同意するわけにはいかず、栞の何か食べたいという言葉に同意する。
SMショークラブの近くということは健志の最寄り駅でもあり、この街のことが分からないわけでもない。
「栞、何を食べたい??私の嗅覚で好みの店を探してあげる」
「そうだなぁ、好い女が二人でイタリアンってどう??」
「いいね……クンクン、イタリアンの匂いはこっちから漂う」
鼻をひくつかせた優子は確信ありげに指さした方向に歩き始める。
「あった、おしゃれな店だよ。ここでいいよね」
「いらっしゃいませ……今日はお二人ですか??分かりました、お席にご案内いたします……どうぞ、すぐにお水をお持ちいたします」
優子に親しげな表情を見せたフロアースタッフがいなくなると栞はメニューに視線を落とす優子に、
「この店の常連なの??オーダーは優子に任せる」
スズキのアクアパッツァ、ピッツァ.マルゲリータ、フォカッチャ、モッツァレラチーズサラダとスモークサーモン、白ワインなどを手際よくオーダーする優子を見ながら栞は想像を巡らす。
「ねぇ、優子、この店は何度目なの??」
「ウフフッ、分かる??」
「常連だと気付かせようとしているでしょう??忍ぶれど色に出でにけり我が恋はものや思うと人の問うまで、って歌があるけど優子は忍ぶのを止めて白状した今は聴いてほしくて仕方がないみたいね」
「えっ、そんな風に感じる??そうか、そうかもしれない……美味しい、冷えた白ワインが喉を通る感じって大好き。彼はワインの白が好き、肉料理でもよく冷えた辛口の白。アンッ、プラチナチェーン下着が割れ目に食い込んじゃう」
健志の住む街で同じ空気を吸っているのだと思うと気分が高揚して能弁になる優子は自然な風で周囲のテーブルに視線を巡らせながら声を潜める。
親友を信じて隠し事なく話してくれる栞に対して秘密を抱えていた優子も、夫には秘密で付き合っている男の存在と離れていても心と身体を抱いてくれていると実感できるプラチナチェーン下着を仕事中にも付けていると打ち明けた。
隠し事を打ち明けて一か月ほど経ち新たな秘密を共有したという事実が二人の仲を一層親密にし、仕事の段取りは勿論、二人で摂る昼食も目を合わせるだけで以心伝心となり時には一緒に昼食に出る松本が驚くほどである。
立秋を過ぎ処暑が近くなってもまだまだ暑さが残り、立秋は大暑の間違いではないかと文句の一つも言いたくなる。
優子がリーダーを務めるプロジェクトが本格的に動き始め、対外折衝も課長任せでなく自ら前面に立つようになった。
私的な時間には人見知りするし目立つことを好まず一歩も二歩も下がることが多い優子が、仕事に臨むと元来の真面目さや己に厳しい克己心の強さもあって責任感を押し出して気弱さは姿を見せることなく振舞うことが多く、一歩引いて清楚な人妻と仕事に臨んではスイッチが入ると親友の栞でさえ驚くほど思い切った行動をする二つの顔が違和感なく姿を見せる。
優子の二面性に加えて健志と付き合う彩、ジキル博士とハイド氏のように二つの顔だけではなく、優子はもっと複雑な女かもしれないと思いいたると自然と笑みがこぼれる。
「どうしたの、思い出し笑いをして……セックスから離れすぎているんじゃないの??」
「えっ、思い出し笑いだと思ったの??そうか、そうだよね、思い出し笑いか。暑いからね。課長には直帰の許可をもらっているけど休憩するかこのまま解散するかどうする??」
「セックスレスで欲求不満のようだから優子の愚痴を聞いてあげる。仕事に臨む優子は信頼できるリーダーだけど性的にはまだ私の方が先を歩いているように思うけど、どうかな??」
「はいはい、セックスに関しては栞が私の師匠です、間違いございません」
「あぁ~、バカにしてる。ウフフッ……それより、SMショークラブを覚えている??この近くだよね……行ってみる??」
「えっ、あの店に??行かないよ、いやっ、絶対いや」
「クククッ、そんなにムキにならなくていいのに、じゃぁ、何か食べようよ。お腹が空いた」
会員の栞に連れられて行ったその店に後日、彩と名乗って一人で訪れてエログで密かに曝していたM性感を露わにして見ず知らずの客の前で下着一枚になって縛られたことが健志と出会うきっかけになった店であり、その時、彩に縄化粧を施した妖子は健志とも親しく三人の付き合いは続いている。
そんな事があるので栞の急な提案に同意するわけにはいかず、栞の何か食べたいという言葉に同意する。
SMショークラブの近くということは健志の最寄り駅でもあり、この街のことが分からないわけでもない。
「栞、何を食べたい??私の嗅覚で好みの店を探してあげる」
「そうだなぁ、好い女が二人でイタリアンってどう??」
「いいね……クンクン、イタリアンの匂いはこっちから漂う」
鼻をひくつかせた優子は確信ありげに指さした方向に歩き始める。
「あった、おしゃれな店だよ。ここでいいよね」
「いらっしゃいませ……今日はお二人ですか??分かりました、お席にご案内いたします……どうぞ、すぐにお水をお持ちいたします」
優子に親しげな表情を見せたフロアースタッフがいなくなると栞はメニューに視線を落とす優子に、
「この店の常連なの??オーダーは優子に任せる」
スズキのアクアパッツァ、ピッツァ.マルゲリータ、フォカッチャ、モッツァレラチーズサラダとスモークサーモン、白ワインなどを手際よくオーダーする優子を見ながら栞は想像を巡らす。
「ねぇ、優子、この店は何度目なの??」
「ウフフッ、分かる??」
「常連だと気付かせようとしているでしょう??忍ぶれど色に出でにけり我が恋はものや思うと人の問うまで、って歌があるけど優子は忍ぶのを止めて白状した今は聴いてほしくて仕方がないみたいね」
「えっ、そんな風に感じる??そうか、そうかもしれない……美味しい、冷えた白ワインが喉を通る感じって大好き。彼はワインの白が好き、肉料理でもよく冷えた辛口の白。アンッ、プラチナチェーン下着が割れ目に食い込んじゃう」
健志の住む街で同じ空気を吸っているのだと思うと気分が高揚して能弁になる優子は自然な風で周囲のテーブルに視線を巡らせながら声を潜める。