彩―隠し事 163
海の見えるホテル -1
後部席に移動した彩がスカートスーツをワンピースに着替えようとすると健志はさりげなくルームミラーの角度を調節して覗き見ようとし、ミラーの中で視線が絡んだ彩は気付かない振りをする。
上着に続いてスカートも脱いで丁寧に畳み、健志を挑発するようにシャツを脱いでブラジャーの中に手を差し入れて形を整え、キャミソールに着替えてプラチナチェーン製下着に指を這わせる。
ミラーの角度から彩の股間は見えないはずなのに手の動きで妄想を膨らませて昂奮で乾いた唇に舌を這わせる健志が色っぽい。
「昂奮する??男性が湧き上がる性欲を抑えて我慢する姿って色っぽい……」
「今日の彩は大人だな、楽しい三泊になりそうだ」
「あなたが知らない隠し事があるの。それが何か確かめたいなら彩の身体に聞いてくれる??フフフッ」
シートの背後から手を伸ばした彩がカットソーの裾から手を入れて下腹部を擦ると、車は小さく蛇行する。
「怖い、ちゃんと前を見て運転してよね」
「ごめん、下腹部にゾクッとするような風が吹いた」
「風??……こんな風に??」
背後から顔を近付けた彩は、フゥッ~と耳に向けて息を吹く。
フフフッ……新たな悪戯を予期していた健志は肩をすぼめて刺激を耐え、運転を誤ることなく真っすぐ走らせて笑みを漏らす。
「クククッ……もし事故ったら新聞やテレビに載っちゃうね。独身男性と結婚している女性の不倫カップルが高速道路で事故、車中でよからぬ行為に耽っていた模様って」
後部席から戻った彩は裾をヒラヒラさせて、
「すっきりした、これで仕事から解放された気分。ねぇ、気になる??ルームミラーじゃ見えなかったでしょう……彩の下着を見たい??」
「見たいけど事故は避けたいからホテルに着くまで我慢する」
「ふ~ん、つまんない……今週は今日のこの日のこの時間を楽しみに仕事を頑張ったのに楽しみにしていたのは彩だけ、つまんないなぁ。健志がつまんない男だったなんて期待外れもいいとこ」
「クククッ、拗ねた振りする彩も可愛いな……会えない時間の彩が何をしているのか気になってしょうがないんだよ、話を聞かせてくれないか」
「好いけど、仕事の話はつまんないでしょう??」
「そんなことはないけど職務上のことをペラコするのは良くないだろう……それに本当の彩、オレの知らない彩のことは話さなくていいよ」
「どうして、本当の私を知りたくないの??彩だけでいいの??」
「あぁ、その方がいい」
「……私は健志のことを好きなのに、健志は彩の身体だけがあればいいって言うの??そうなの??」
「そうじゃない。オレは彩が好きだよ。彩にはご主人がいる、本当の姿を知ればもっと知りたい、すべてをオレのモノにしたいと思うかもしれない。それはすべてを無くすことになるかもしれない……だから、今の彩だけを知っていればいい」
東京郊外で高速に乗った車は都心を通過して首都高から京葉道路を東に向かう。
目的地は房総半島だと確信できたが何処に行くのかとはあえて聞かないし、健志も教えようとしない。
走り去る景色をボンヤリ見つめる彩は健志の言葉を思い出す。
「本当の姿を知ればもっと知りたい、すべてをオレのモノにしたいと思うかもしれない。それはすべてを無くすことになるかもしれない……だから、今の彩だけを知っていればいい」
物足りなく思う自分と、身体を接することが絶えて久しいとは言え夫のいる立場で健志との付き合いを継続するにはそれがいいと思う自分、二人の自分の想いがせめぎ合う。
健志の横顔を盗み見る。
夫よりも早く出会っていたら夫婦となっていただろうか……不倫相手としては満足できるけど夫としてはどうだろう……
「オレの顔に何かついているか??」
陳腐な問いかけに脳裏をよぎる妄想を捨て去り、
「どんな場所とホテルを用意してくれたのかなぁって想像していた」
「彩は海が好きって言っていただろう??海の見えるホテルで、夜の海を見ながら風呂に入り、朝は陽光が目覚まし代わりになると思うよ。それに食事も満足できると思う……彩の満足度がオレの彩に対する思いと同じだと評価してもらっていいよ」
「えっ、そうなの??彩は健志に好かれていたいから、百点満点を付けるホテルだって期待する。赤点だと彩と健志の相性は良くないってことだね、ウフフッ」
海は一向に見える気配もなく街の灯りも少なくなって車内を静寂が覆う。
不安を感じることなく三連休を二人で過ごす期待で身体が火照る。
「ねぇ、憶えているでしょう。健志といた先週、学生時代からの親友が不倫相手に誘われて男五人を相手の乱交パーティに行くって連絡があったことを……」
「憶えているよ……」
「びっくりするほど大きいモノや大蛇のように太くて恐ろしく見えるモノを経験したり、前と後ろの穴に同時に入れられたりエッチは知らない事がまだまだあるって人ごとのように言っていた……名前などは省いて聞いた話を教えてあげる」
公園のベンチで栞と昼食を摂りながら聞いた乱交パーティの話しを栞の口調を真似て繰り返す。
カヲルの部屋でM字に開いた両足を椅子に縛られて初対面の男女の前で飾り毛を剃り落とされてバイブオナニーさせられて昇り詰めた……そんな記憶で股間を濡らしながらも冷静さを意識して栞の経験を話し終える。
健志は途中で相槌を入れるわけでもなく運転を続け、興味がないのかと思ってガッカリしたが股間の膨らみを見て自然と頬が緩む。
「オレの事を見て笑うなよ……大好きな彩と月曜までいられるから喜んでいるのに」
「クククッ、車の中に充満する彩の匂いに昂奮してモッコリしているの??」
「今なら誰もいないから彩に襲いかかっても止める人はいない。その彩はエッチな親友の話しでオレを挑発するワルイコ、ムスコが昂奮してもしょうがない」
「今日の彩はオオカミが好きかも。オオカミさんの此処はどうなっているのかな??」
「お嬢さん、高速を降りるまで我慢してくれないかな。何度も言うけど事故は嫌だろう」
「あらっ、オオカミさんは昂奮しやすい質なの??じゃぁ、これで我慢する。このままにしといてね」
彩の指がチノパンのファスナーを下ろし、下着の中から半立ちのペニスを摘まみだす。
車は横芝光インターを降りて北東に向かう。
後部席に移動した彩がスカートスーツをワンピースに着替えようとすると健志はさりげなくルームミラーの角度を調節して覗き見ようとし、ミラーの中で視線が絡んだ彩は気付かない振りをする。
上着に続いてスカートも脱いで丁寧に畳み、健志を挑発するようにシャツを脱いでブラジャーの中に手を差し入れて形を整え、キャミソールに着替えてプラチナチェーン製下着に指を這わせる。
ミラーの角度から彩の股間は見えないはずなのに手の動きで妄想を膨らませて昂奮で乾いた唇に舌を這わせる健志が色っぽい。
「昂奮する??男性が湧き上がる性欲を抑えて我慢する姿って色っぽい……」
「今日の彩は大人だな、楽しい三泊になりそうだ」
「あなたが知らない隠し事があるの。それが何か確かめたいなら彩の身体に聞いてくれる??フフフッ」
シートの背後から手を伸ばした彩がカットソーの裾から手を入れて下腹部を擦ると、車は小さく蛇行する。
「怖い、ちゃんと前を見て運転してよね」
「ごめん、下腹部にゾクッとするような風が吹いた」
「風??……こんな風に??」
背後から顔を近付けた彩は、フゥッ~と耳に向けて息を吹く。
フフフッ……新たな悪戯を予期していた健志は肩をすぼめて刺激を耐え、運転を誤ることなく真っすぐ走らせて笑みを漏らす。
「クククッ……もし事故ったら新聞やテレビに載っちゃうね。独身男性と結婚している女性の不倫カップルが高速道路で事故、車中でよからぬ行為に耽っていた模様って」
後部席から戻った彩は裾をヒラヒラさせて、
「すっきりした、これで仕事から解放された気分。ねぇ、気になる??ルームミラーじゃ見えなかったでしょう……彩の下着を見たい??」
「見たいけど事故は避けたいからホテルに着くまで我慢する」
「ふ~ん、つまんない……今週は今日のこの日のこの時間を楽しみに仕事を頑張ったのに楽しみにしていたのは彩だけ、つまんないなぁ。健志がつまんない男だったなんて期待外れもいいとこ」
「クククッ、拗ねた振りする彩も可愛いな……会えない時間の彩が何をしているのか気になってしょうがないんだよ、話を聞かせてくれないか」
「好いけど、仕事の話はつまんないでしょう??」
「そんなことはないけど職務上のことをペラコするのは良くないだろう……それに本当の彩、オレの知らない彩のことは話さなくていいよ」
「どうして、本当の私を知りたくないの??彩だけでいいの??」
「あぁ、その方がいい」
「……私は健志のことを好きなのに、健志は彩の身体だけがあればいいって言うの??そうなの??」
「そうじゃない。オレは彩が好きだよ。彩にはご主人がいる、本当の姿を知ればもっと知りたい、すべてをオレのモノにしたいと思うかもしれない。それはすべてを無くすことになるかもしれない……だから、今の彩だけを知っていればいい」
東京郊外で高速に乗った車は都心を通過して首都高から京葉道路を東に向かう。
目的地は房総半島だと確信できたが何処に行くのかとはあえて聞かないし、健志も教えようとしない。
走り去る景色をボンヤリ見つめる彩は健志の言葉を思い出す。
「本当の姿を知ればもっと知りたい、すべてをオレのモノにしたいと思うかもしれない。それはすべてを無くすことになるかもしれない……だから、今の彩だけを知っていればいい」
物足りなく思う自分と、身体を接することが絶えて久しいとは言え夫のいる立場で健志との付き合いを継続するにはそれがいいと思う自分、二人の自分の想いがせめぎ合う。
健志の横顔を盗み見る。
夫よりも早く出会っていたら夫婦となっていただろうか……不倫相手としては満足できるけど夫としてはどうだろう……
「オレの顔に何かついているか??」
陳腐な問いかけに脳裏をよぎる妄想を捨て去り、
「どんな場所とホテルを用意してくれたのかなぁって想像していた」
「彩は海が好きって言っていただろう??海の見えるホテルで、夜の海を見ながら風呂に入り、朝は陽光が目覚まし代わりになると思うよ。それに食事も満足できると思う……彩の満足度がオレの彩に対する思いと同じだと評価してもらっていいよ」
「えっ、そうなの??彩は健志に好かれていたいから、百点満点を付けるホテルだって期待する。赤点だと彩と健志の相性は良くないってことだね、ウフフッ」
海は一向に見える気配もなく街の灯りも少なくなって車内を静寂が覆う。
不安を感じることなく三連休を二人で過ごす期待で身体が火照る。
「ねぇ、憶えているでしょう。健志といた先週、学生時代からの親友が不倫相手に誘われて男五人を相手の乱交パーティに行くって連絡があったことを……」
「憶えているよ……」
「びっくりするほど大きいモノや大蛇のように太くて恐ろしく見えるモノを経験したり、前と後ろの穴に同時に入れられたりエッチは知らない事がまだまだあるって人ごとのように言っていた……名前などは省いて聞いた話を教えてあげる」
公園のベンチで栞と昼食を摂りながら聞いた乱交パーティの話しを栞の口調を真似て繰り返す。
カヲルの部屋でM字に開いた両足を椅子に縛られて初対面の男女の前で飾り毛を剃り落とされてバイブオナニーさせられて昇り詰めた……そんな記憶で股間を濡らしながらも冷静さを意識して栞の経験を話し終える。
健志は途中で相槌を入れるわけでもなく運転を続け、興味がないのかと思ってガッカリしたが股間の膨らみを見て自然と頬が緩む。
「オレの事を見て笑うなよ……大好きな彩と月曜までいられるから喜んでいるのに」
「クククッ、車の中に充満する彩の匂いに昂奮してモッコリしているの??」
「今なら誰もいないから彩に襲いかかっても止める人はいない。その彩はエッチな親友の話しでオレを挑発するワルイコ、ムスコが昂奮してもしょうがない」
「今日の彩はオオカミが好きかも。オオカミさんの此処はどうなっているのかな??」
「お嬢さん、高速を降りるまで我慢してくれないかな。何度も言うけど事故は嫌だろう」
「あらっ、オオカミさんは昂奮しやすい質なの??じゃぁ、これで我慢する。このままにしといてね」
彩の指がチノパンのファスナーを下ろし、下着の中から半立ちのペニスを摘まみだす。
車は横芝光インターを降りて北東に向かう。