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彩―隠し事 149

隠し事 -1

彩の帰宅時刻が近付いても寂しいと思うことはなく、翌週の三連休は夫が不在ということで予定した旅行を話題にして話が弾む。
確かめたい事はあるけれど、一週間どんなところに行くのかと思いを巡らす方が楽しそうだと言う彩の言葉が切っ掛けで話しは途絶えてしまう。
会話は途絶えても寄り添った身体を通じて感じる温もりや鼓動が気持ちもつながっていると信じられて不安に思うことがない。

カヲルの部屋での出来事や訪ねて来た時の想像もしていなかった卑猥遊戯は彩の気持ちと身体の奥底に秘かに棲みついていた妖しい思いを刺激したような気がする。
遠い昔の淫靡な行いを切っ掛けにして恥ずかしい姿を見られてゾクゾクするような悦びに打ち震えることを秘かに妄想していたが、もっと妖しく禍々しい思いがその奥に隠れているのを思い知らされて彩自身が驚いている。
そんな事が脳裏をよぎると彩の手は自然と自らの身体を這い、股間に着けたプラチナ製の下着の存在を思い出させる。

「ねぇ、これは離れている時もずっと着けていなきゃダメ??」
「オレは彩の希望に沿った積りだけどな。離れている時もオレは彩の事を思っていると信じてもらうためのプレゼントだけど……これを渡しとくよ」
手の中にスッポリ治まる小さな紙袋は糊付けしたところに健志のサインがしてあり、封を解くと分かるようになっている。
「鍵なの??外したくなったら外してもいいの??」
「オレはいつでも彩の味方だよ。彩の結論を尊重する」
「ずるい言いかた。どうするか彩が決めればいいって言われても、外す事なんかないと思っているでしょう……でも、もらっとく」

刻々と近付いてくる帰宅時刻を確かめた二人は来週末の旅行について話し合い、旅行準備をした彩と金曜の退社後、待ち合わせることにして場所や時刻は彩が改めて連絡することにする。
ゴルゴンゾーラペンネなどで昼食を済ませ、卑猥な思いを封じたまま伝えきれない言葉を口にすることもできずに身体を寄せあう。
言葉で伝えることも大切だが、正しく伝える言葉が見つからない時は身体を寄せ合うことで思いが通じることもある。
来週までの別れの時が近付き穏やかならざる気持ちになっていたのが互いの身体を接しているだけで安らぎを覚え、次に会うときの期待で平静になってくる。
「ぼつぼつ出ようか」
「うん、送ってくれる??」

金曜日の終業後、直接実家へ行ったということにして通勤着のスカートスーツに着替えた彩は仕事が出来る女の雰囲気を醸し、見つめる健志に昼間は淑女、夜は娼婦という言葉を思い出させる。
「なに??どうしたの??ジロジロ値踏みするように見られるのって好きじゃない」
「オレの知らない本当の彩を見たような気がする。昼間の彩は清楚で上品、後ろ姿がすっきりして姿勢が好い。ご主人が浮気をしていると聞いたけど、それ以上の愚痴や悪口は言わない……昼間の本当の姿とオレが知る夜や週末の彩、どっちも好い女だよ」
「ウフフッ、彩は謎の多い女なの??褒めてもらったと思うことにする」

「明日からパンツを穿くかどうかは別にしてこのプラチナ製下着を着けて出社するでしょう、仕事で接触する人は気付くかなぁ??」
窓外を走る景色を見ていた彩はスカートを捲り上げて股間を丸出しにし、健志の視線が正面から無毛の股間に向くと舐めて滑りを与えた指を割れ目に沿って上下する。
「そんな恰好を見せられたら気が散って事故を起こしそうだよ」
「そうなの??しょうがないなぁ……もう少し先、コンビニを過ぎたら狭い路地があるから入ってくれる」
「駅じゃなくていいんだね……この道だね、左へ入るよ」

車一台が通れるほどの狭い道は左右に立ち並ぶ家々の壁が並んで玄関がなく歩く人もいない。
「ここでいい、止めて……この先は川沿いの散歩道で今日の暑さじゃ歩く人もいないだろうし、この道を通る人もいない」
「なんとなく、そんな雰囲気を感じるけど……まさか……」
「そうだよ、そのまさかだよ……カヲルが帰った後、しなかったでしょう。この子を空っぽにしとかないと好い女を見てフラフラ付いて行くかもしれない、ウフフッ」

スカートに皴が出来ることを意に介する様子もなく股間だけではなく尻も丸見えになるほど捲り上げて車の前後を見回し、
「誰も通らないと思うけど見ていてね」
言うが早いか健志の股間に手を伸ばしてファスナーを下ろし、陰毛に隠れるようにして縮こまっているペニスを引き出してパクリと口に含む。
驚いた表情を見せた健志は彩の行為を止めることもなく前後を確かめて剥き出しになった白い尻に手を伸ばしてプラチナチェーンをなぞり、尻から太腿へ続くムッチリとした感触に頬を緩めて下半身の力を抜き、背もたれに身体を預けて目を閉じる。

温かい口腔に包まれてネットリと舌が絡みつく感触が心地好く、彩はフェラチオを施しながら楽しんでいる様子に安堵する。
「ジュボジュボ、ジュルジュルッ……ウグッ、プファッ、ハァハァッ、初めてフェラチオを強制された時はセックスの時はこうするんだって納得したけど、その後はあまり好きじゃなくなった。いつからかなぁ、彩のお口の中でムクムク大きくなると気持ち善くなってくれているんだって愛おしく思えるようになったのは……ウフフッ」
竿の根元に左手指を添えて再び咥え、右手で陰嚢をヤワヤワと擦り始める。
「お口の中に出してね、金曜まで健志の感触を忘れないようにしたい。こんな下着を穿かせた人を忘れずに呪ってやるの、女を怒らせると怖いわよ」
口元を汚している先走り汁と唾液混じりの滑りを気にする様子もなく、手の中のペニスをヤワヤワと擦りながら上目遣いに見つめる艶めかしさに我慢の限界を悟った健志は、
「ごめん、出ちゃう……気持ち善くて我慢できない」
「えっ、そうなの。お口に出してね……ウグウグッ……ウグッ、グゥッ~、ウッウッ……ウプッ、フゥッ~、ハァハァッ……」

喉を目がける満足の証を全て受け止めた彩は涙の滲んだ瞳を健志に向けて頬を緩め、口を開いて白濁液を見せつけて次の瞬間にゴクッと喉を鳴らして飲み干してしまう。
「ウフフッ、昨日したばかりなのに濃くて熱い健志のモノが彩の口の中に広がった。美味しい……次に会う金曜まで健志の記憶が刻まれた」

川沿いの道に出ると、
「ここでいい、ここからは歩いて帰る」と告げて健志の返事を待たずに下車して歩き始める。
後ろ姿は凛として格好良く、颯爽と歩く姿を見ていると昼間の本当の彩とデートをしてみたいものだと独り言を漏らす。
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ちっち

Author:ちっち
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