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彩―隠し事 137

覚醒 -13

空腹を刺激する匂いで目覚めた彩は、母猫のそばで丸くなり安心して眠る子猫のように健志に抱かれて熟睡したことを思い出す。
十人余りの見ず知らずの男女の前で下着も含めて全て脱がされて股間を丸見えの恰好で椅子に拘束され、飾り毛を剃り落とされてオモチャで嬲られた挙句あろうことかオナニーまでさせられた……そんな記憶が蘇り手首に視線を移し、腿を擦ると微かにではあるけど縄の痕が残っている。
蘇った記憶が現実だったと思っても羞恥を覚えることはなく、思い切り泳いだ後のような爽快感が身体を包み誰に見せるわけでもなく自然と笑みが浮かぶ。

シャッ~……カーテンで隠れていた陽光が健志の手で招き入れられる。
「眩しい……目を開けられない」
「クククッ、可愛いよ」
抱き起した彩の両方の瞼に、チュッとキスをして、
「これで目を開けられるだろう??」
「うん、健志のキスのお陰……食欲をそそる匂いがするのだけど朝食の用意をしてくれたの??」
「お姫様はコーヒーと紅茶、どちらがお好みですか??」
「執事に任せます」
「ありがとうございます。それでは、少々お待ちください」

健志が運んできたのは、湯気が立ち昇るリンゴとチーズのトースト、クラムチャウダーとカップになみなみと注がれたミルクティ、それとアボカドとグリーンサラダで、それを見た彩は、
「これはいつもの朝食と同じなの??」
「いつもはシリアルとミルクティ、野菜と果物の残りものに蜂蜜を加えたジュースくらいだよ……ベランダに出ようか??」
「眩しいのはキスで治ったけど、起きたばかりで歩けない」
微笑みと共に楽々と抱え上げてベランダの椅子に座らせて額に唇を合わせると口を尖らせて、そこじゃないと拗ねた振りをする。
そんな彩にとびっきりの笑顔を見せて背を向けトレーを運んでくる。
フォークで突き刺したアボカドを彩の口に近付けて、
「彩とノンビリ朝食を食べる。至福の時間だよ……キスよりも美味いアボカドの方が好きだろう」
「朝日に守られて美味しい食事を摂る……今日は土曜日、明日もこんな朝食が好いな。それと今日はのんびり過ごしたい」
「そうだね、そうしよう……可愛い彩を見るのがすごく眩しいよ」
「お日さまのせいじゃなく彩が眩しいの??……美味しい食事を用意してくれたお礼で彩の衣服を決めさせてあげる」

食事を終えた彩は白い短パンとデニムシャツを着けて健志の前でクルリと回り、
「可愛い??惚れ直す??ねぇ、どうなの??」と、囁く。
健志は問いかけに答えず、プリンとした尻を撫で短パンから伸びるムッチリとした太腿に手を這わせてシャツ越しに胸の膨らみを鷲掴みする。
クゥッ~と鼻を鳴らした彩は、
「下着を脱がせてくれるの??」と、嫣然と微笑んで健志の気勢を見事にかわす。

映画を見たり音楽を聴いたり、雑誌を見ている内に時間はゆったりと過ぎていく。
寄り添って座った時は手をつないだり肌をまさぐったりとそばにいることを確かめ合い、視線を絡ませて瞳の奥に宿る妖しい思いのまま唇を重ねる。
離れている時、健志のそばを彩が通ると尻や太腿に手を伸ばす。
「クククッ、痴漢に触られましたって訴えちゃおうかな」
朝食が遅かったこともあり夕食までのつなぎでパンケーキを焼いて空腹を満たし、オーダーしたアクセサリーが出来上がったと連絡があったので家を出る。

早く行こう、そのままの恰好でいいよと彩を急かす健志は白パンツにネイビーブルーのシャツを着けてパーカーを羽織る。
「彩と色がオソロなんだ、ウフフッ……どんなアクセサリーか楽しみ。ねぇ、ネックレスなの??短パンのままでいいということはアンクレットかなぁ??」
健志は微笑むだけで答えようとしない。
駅近くの繁華街に向かいカヲルの住むマンションから距離のある雑居ビルの前に立つ。
一階にコンビニ店、花屋が入るビルのギシギシと怪しい音を立てて昇るエレベーターを二階で下りる。
「着いたよ、この店だよ」
siiverとだけ書いた営業内容不明の表札が掛かる店に入る。

「早かったな。この女性が付けるのか??……白い短パンにデニムシャツとサンダル。清潔感とスポーティ、色気もある。似合うと思うよ」
「オレもそう思う……ここじゃまずいだろう」
「隣の部屋に用意してあるよ。部屋って言っても寝室だけどな」
挨拶もそこそこに男二人は彩を不安にさせる意味不明の会話を続け、店主は隣室のドアを開ける。
寝室だという言葉通り部屋にはベッドと冷蔵庫しかなく、壁には幾つかの衣類が掛けられている。

「何をするの??変な事をしちゃ嫌だよ。ねぇ、健志、どういうことなの??」
「今からアクセサリーを試着するんだよ。彩、すべて脱いで素っ裸になりなさい」
「そんな、嫌、出来ない。ちゃんと説明して、どう言うことなの??寝室って、まさか??」
「誤解しているようだけど、説明するから聞いてくれるね」
健志と離れていても二人がつながっている証を彩が忘れないように下着を用意した。
健志の言葉に合わせて店主が彩に示したのは、プラチナ製だがネックレスともアンクレットとも見えない品物だった。
「これは何??これがアクセサリーなの??」
「そうだよ……こうすると分かるだろう。離れていてもオレはいつも彩の股間にいる。彩に用意したのはプラチナ製の下着……下着のようなモノかな」
「貞操帯とは違うの??」
「違うよ。オナニーはできるし着けたままセックスもできる。下半身に触れる度、オレの事を思い出せるはずだよ」

「なぁ、俺がいるから彼女は困っているんだろう。試す間、俺は部屋を出ているよ……前後の目印代わりに小っちゃいけどダイヤを付けといたよ、それとその鈴はダイヤの下のフックにナスカンで留めるようにしてある」

「二人っきりになったから早く抜いじゃいなよ。彩の裸を見たいからって間違えた振りで入ってきちゃうかもしれないよ」
「分かった」
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
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夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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