彩―隠し事 93
期待 -6
「終わったぁ……さぁ帰ろう。約束だよ、今日は優子んちでお泊りするんだからね」
「うん、いいよ。約束だから……」
いつもは尽きることのない会話を楽しめる栞と過ごす夜だけど今日は棘の様なモノがどこかに突き刺さっている。
「栞君、ちょっといいかな??」
「はい……直ぐに済むと思うから待っていてね」
何かの書類を指差して説明する課長と栞の様子に性的な匂いを感じることはなく、出来る男は公私の区別、セックスと仕事を混同することはないのだと改めて思う。
詳しく聞いたことはないが、健志は会社勤めを自ら辞して、今はいわゆるディトレーダーとして身過ぎ世過ぎしていると言っていた。自嘲するように口にした言葉の意味を今度、詳しく聞いてみようと決める。
「お待ちどうさま。今日の仕事はすべておしまい。優子んちに帰ろう」
途中で買い物を済ませて帰宅後は二人並んでキッチンに立つ。
「ねぇ、優子、ご主人の浮気は続いているの??」
「そのようね。出張は土日や休日を挟んでってことが多いから、切れてないと思う」
「ふ~ん、私なら絶対に許さない。優子はえらいと言うのかバカなのか、私には理解できない」
「栞がそんな事を言う……それこそ私には理解できない」
「クククッ、それが、そうじゃないの。後で話すから聞いてね。誰かに話したいんだけど信用できる人じゃなきゃね。優子様、クククッ」
「なんだかわからないけど、ご主人に代わってとっちめてあげるから覚悟して」
夕食の準備が終わった時間に合わせたように夫が帰宅する。
「あっ、あなた、おかえりなさい。今日は栞が泊まるからね」
「こんにちは、お邪魔しています。今日は泊めてもらいます」
「いらっしゃい。いつも優子がお世話になっているようで、ありがとうございます」
「とんでもないです。優子のお陰で仕事も楽しいし、私の方が世話になりっぱなしです」
挨拶を終えた三人は、それぞれの隠し事を胸の奥に隠して食事を始める。
三者三様の隠し事のせいで、よそよそしく始まった食事と会話も美味い料理を食べれば気持ちも和らぎ、笑顔と共に食べ終えることが出来た。
「あなた、急かす積りもないし直ぐにとは言わないけど早めにお風呂に入ってくれる??……あれっ、急かしているか、ごめんなさい」
「分かった、少し休憩したら入るよ」
入浴後、先に休ませてもらうよと言う夫にお休みの挨拶をした優子と栞は顔を見合わせて、どうする、一緒に入ろうかと視線で確かめ合う。
「どうしたの??縄の痕じゃないの??」
二人で楽に入るほどには大きくないバスタブに身体を接するようにして浸かり、いつものように優子の肌を擦る栞の胸に残る模様を指差す。
「分かる??分かるよね。亭主に縛られちゃったの……浮気がばれたってことは言ったでしょう」
「うん、聞いた。聞いたけど、それで縛られちゃったの??許してくれたの??」
「優子、落ち着いてよ。許してくれなきゃ離婚でしょう??浮気がばれたせいで仲が良くなったって言うとどうする??」
「うそ、そんな事はないでしょう??浮気の罰で縛られちゃったんでしょう。正直、話を聞くだけで混乱する」
「落ち着いて聞いてね。ダメ、昂奮してきた。思い出すだけで濡れちゃう……確かめてくれる??いい??立つよ」
バスルームの温度でのぼせたわけではなく、浮気がばれたことで夫に甚振られたことを思い出した栞は頬を上気させて股間を濡らす。
優子の目の前で立ち上がった栞の股間は飾り毛が無くなり太腿にも縄模様が残っている。
「どうしたの??ご主人に剃られちゃったの??その表情は違うの??栞の事なのに、すごく混乱している。何が何だか全然わからない、どうしたの??」
「優子に褒めてもらえるとは思ってないけど、私はどちらかと言うと性的に奔放なタイプ。でも、旦那様が大好きだから浮気はそんなに経験がなかったのは知っているでしょう??」
「うん、エッチなお店に何度か連れて行ってもらったけど、それなりに身持ちが固いのは知っている」
「そうなんだけど、課長に抱かれちゃったでしょう。旦那様に言われちゃったの……他の男に抱かれただろう??感じ方が変わった、スケベ女の性感を誰かに開発されただろうって……それでね」
栞をキッチンの床に押し倒した夫は、浮気をしただろう。僕以外の男に抱かれて気持ち善かったのかと責める。
「浮気なんてしていない。あなたの事を心から愛しているって知っているでしょう」
「栞の気持ちが僕を愛してくれているのは知っている。他の誰にもなびかないのは分かっているよ……身体はどうだ??栞の身体が他の誰も受け入れないって言いきれるのか??どうだ??」
「そんな事を言われても私には証明する方法がないよ」
「そうだな、身体に聞いてみよう」
体重をかけないように気遣いながら仰向け倒した栞に馬乗りになり、左手で両手を掴んで動きを封じて衣服を引き千切らんばかりに脱がせて下着だけにする。
「覚悟しろよ。栞の事が好きだから、このまま何もなかったことにして納得するわけにはいかない。分かるね??」
「あなたに疑われるのは不本意だけど、納得してもらうためなら何をされても我慢する」
椅子を退けたテーブルの下に栞を移動させて四本の足に手足を縛り、大股開きで万歳の恰好に拘束する。
「栞……僕以外のチンポをオシャブリしたことがあるかどうか答えなさい」
「あなた、信じてください。私はあなたを愛しています。心から愛しています、本当です」
「それは信じているよ。僕が聞きたいのは他人のチンポを咥えたかどうかってことだよ……しょうがないな、正直に答えない栞が悪い。覚悟しなさい」
夫は包丁を手にして峰で腹部を擦り、鳩尾から胸の谷間へ滑らせてブラジャーを切り裂いてしまう。刃先でブラジャーを右と左に分けて膨らみを剥き出しにする。
「いやっ、許して。怖いの、今日のあなたはいつもと違う。いつものあなたはもっと優しいのに……」
包丁を手にしても凶器として使うはずがないと信じている栞は言葉とは裏腹に恐怖を感じることなく、性的遊戯の小道具として蜜を溢れさせる。
何かの本で読んだ時、愛する夫には寝取られ願望があるのではと思ったことがあったけど、それを強く意識する。
そんな考えに至ると課長に抱かれたことを匂わせつつ否定することが夫の性感を刺激する事だという思いにたどり着く。
「ねぇ、それでどうなったの??最後は許してもらえたの??」
優子の問いに、
「焦んないでよ。整理しながら順に話すから」
「終わったぁ……さぁ帰ろう。約束だよ、今日は優子んちでお泊りするんだからね」
「うん、いいよ。約束だから……」
いつもは尽きることのない会話を楽しめる栞と過ごす夜だけど今日は棘の様なモノがどこかに突き刺さっている。
「栞君、ちょっといいかな??」
「はい……直ぐに済むと思うから待っていてね」
何かの書類を指差して説明する課長と栞の様子に性的な匂いを感じることはなく、出来る男は公私の区別、セックスと仕事を混同することはないのだと改めて思う。
詳しく聞いたことはないが、健志は会社勤めを自ら辞して、今はいわゆるディトレーダーとして身過ぎ世過ぎしていると言っていた。自嘲するように口にした言葉の意味を今度、詳しく聞いてみようと決める。
「お待ちどうさま。今日の仕事はすべておしまい。優子んちに帰ろう」
途中で買い物を済ませて帰宅後は二人並んでキッチンに立つ。
「ねぇ、優子、ご主人の浮気は続いているの??」
「そのようね。出張は土日や休日を挟んでってことが多いから、切れてないと思う」
「ふ~ん、私なら絶対に許さない。優子はえらいと言うのかバカなのか、私には理解できない」
「栞がそんな事を言う……それこそ私には理解できない」
「クククッ、それが、そうじゃないの。後で話すから聞いてね。誰かに話したいんだけど信用できる人じゃなきゃね。優子様、クククッ」
「なんだかわからないけど、ご主人に代わってとっちめてあげるから覚悟して」
夕食の準備が終わった時間に合わせたように夫が帰宅する。
「あっ、あなた、おかえりなさい。今日は栞が泊まるからね」
「こんにちは、お邪魔しています。今日は泊めてもらいます」
「いらっしゃい。いつも優子がお世話になっているようで、ありがとうございます」
「とんでもないです。優子のお陰で仕事も楽しいし、私の方が世話になりっぱなしです」
挨拶を終えた三人は、それぞれの隠し事を胸の奥に隠して食事を始める。
三者三様の隠し事のせいで、よそよそしく始まった食事と会話も美味い料理を食べれば気持ちも和らぎ、笑顔と共に食べ終えることが出来た。
「あなた、急かす積りもないし直ぐにとは言わないけど早めにお風呂に入ってくれる??……あれっ、急かしているか、ごめんなさい」
「分かった、少し休憩したら入るよ」
入浴後、先に休ませてもらうよと言う夫にお休みの挨拶をした優子と栞は顔を見合わせて、どうする、一緒に入ろうかと視線で確かめ合う。
「どうしたの??縄の痕じゃないの??」
二人で楽に入るほどには大きくないバスタブに身体を接するようにして浸かり、いつものように優子の肌を擦る栞の胸に残る模様を指差す。
「分かる??分かるよね。亭主に縛られちゃったの……浮気がばれたってことは言ったでしょう」
「うん、聞いた。聞いたけど、それで縛られちゃったの??許してくれたの??」
「優子、落ち着いてよ。許してくれなきゃ離婚でしょう??浮気がばれたせいで仲が良くなったって言うとどうする??」
「うそ、そんな事はないでしょう??浮気の罰で縛られちゃったんでしょう。正直、話を聞くだけで混乱する」
「落ち着いて聞いてね。ダメ、昂奮してきた。思い出すだけで濡れちゃう……確かめてくれる??いい??立つよ」
バスルームの温度でのぼせたわけではなく、浮気がばれたことで夫に甚振られたことを思い出した栞は頬を上気させて股間を濡らす。
優子の目の前で立ち上がった栞の股間は飾り毛が無くなり太腿にも縄模様が残っている。
「どうしたの??ご主人に剃られちゃったの??その表情は違うの??栞の事なのに、すごく混乱している。何が何だか全然わからない、どうしたの??」
「優子に褒めてもらえるとは思ってないけど、私はどちらかと言うと性的に奔放なタイプ。でも、旦那様が大好きだから浮気はそんなに経験がなかったのは知っているでしょう??」
「うん、エッチなお店に何度か連れて行ってもらったけど、それなりに身持ちが固いのは知っている」
「そうなんだけど、課長に抱かれちゃったでしょう。旦那様に言われちゃったの……他の男に抱かれただろう??感じ方が変わった、スケベ女の性感を誰かに開発されただろうって……それでね」
栞をキッチンの床に押し倒した夫は、浮気をしただろう。僕以外の男に抱かれて気持ち善かったのかと責める。
「浮気なんてしていない。あなたの事を心から愛しているって知っているでしょう」
「栞の気持ちが僕を愛してくれているのは知っている。他の誰にもなびかないのは分かっているよ……身体はどうだ??栞の身体が他の誰も受け入れないって言いきれるのか??どうだ??」
「そんな事を言われても私には証明する方法がないよ」
「そうだな、身体に聞いてみよう」
体重をかけないように気遣いながら仰向け倒した栞に馬乗りになり、左手で両手を掴んで動きを封じて衣服を引き千切らんばかりに脱がせて下着だけにする。
「覚悟しろよ。栞の事が好きだから、このまま何もなかったことにして納得するわけにはいかない。分かるね??」
「あなたに疑われるのは不本意だけど、納得してもらうためなら何をされても我慢する」
椅子を退けたテーブルの下に栞を移動させて四本の足に手足を縛り、大股開きで万歳の恰好に拘束する。
「栞……僕以外のチンポをオシャブリしたことがあるかどうか答えなさい」
「あなた、信じてください。私はあなたを愛しています。心から愛しています、本当です」
「それは信じているよ。僕が聞きたいのは他人のチンポを咥えたかどうかってことだよ……しょうがないな、正直に答えない栞が悪い。覚悟しなさい」
夫は包丁を手にして峰で腹部を擦り、鳩尾から胸の谷間へ滑らせてブラジャーを切り裂いてしまう。刃先でブラジャーを右と左に分けて膨らみを剥き出しにする。
「いやっ、許して。怖いの、今日のあなたはいつもと違う。いつものあなたはもっと優しいのに……」
包丁を手にしても凶器として使うはずがないと信じている栞は言葉とは裏腹に恐怖を感じることなく、性的遊戯の小道具として蜜を溢れさせる。
何かの本で読んだ時、愛する夫には寝取られ願望があるのではと思ったことがあったけど、それを強く意識する。
そんな考えに至ると課長に抱かれたことを匂わせつつ否定することが夫の性感を刺激する事だという思いにたどり着く。
「ねぇ、それでどうなったの??最後は許してもらえたの??」
優子の問いに、
「焦んないでよ。整理しながら順に話すから」