彩―隠し事 92
期待 -5
自室に戻った優子は翌日の仕事の確認や準備を済ませてベッドに入る。
特に意識することなく自然に胸の膨らみに手が伸びてヤワヤワ揉みしだき、アンッと甘い吐息が漏れる頃には優子が彩に変身している。
ドアの向こうに夫がいると言うのに瞼の裏に浮かぶのは優しく微笑む健志の笑顔。
不倫と言う言葉は好きではなかった。
ましてや永遠の愛を誓った夫が私以外の女性と愛し合うとは思ったこともなかった。夫の不倫を知って悶々と過ごしていた時、学生時代からの親友である栞に連れられて会員制SMショークラブに行った。
後日改めて、そのクラブに一人で行くと優子の顔を覚えていてくれたのですぐに会員になることが出来て彩と名乗った。その日のうちに下着一枚になってSMショーのモデルとなって縛られた。
その時、客として彩の痴態を見ていた健志と後日、偶然出会う機会があり、付き合うことになった。
健志との付き合いが始まった今、男と女、あるいは夫と彩である私との違いを実感している。
過去を振り返ってみると夫は不倫を始めた頃、私との関係が疎遠になり、ベッドを共にすることが無くなった。
その後、これは想像だが、不倫相手と安定した関係になると私への後ろめたさで言葉や態度が優しくなり、プレゼントを用意することが多くなった。
私自身を省みると、夫の不倫に対する腹いせで私もと思ったこともあったが、戸籍上とはいえ妻であることで不倫を否定してきた。
夫や夫婦と言う事に思い悩んでいたものの、健志と関係が出来てからは罪悪感に苛まれることもなく、夫のように下手な言い訳をする事もなく健志との時間を楽しんでいる。
自分でも不思議に思うほど夫に優しくできるし、見え透いた嘘で不倫相手に会うと分かっていても優しく送り出すこともできる。それは、健志と会うことが出来るからかもしれないが……
元々、人見知りする質で控えめに振舞うことが多い優子だが、何かのタイミングでスイッチが入ると自分だけではなく周囲の人も驚くほど大胆になる事がある。
不倫に走るまで思い悩んだものの、一旦、吹っ切ると健志との付き合いを後悔することもなく大胆に振舞うことが出来るのは、優子の元々の性格なのか、それとも男と女の違いなのかと不敵な笑みを浮かべる。
そんな事を考えていると股間が熱くなり乳房に添えた手が自然と股間に伸びる。
「ダメ、今日はオナニーをしない」と、天井に向かって呟く。
他人に肌を見られるかもしれないというスリルを味わいたい思うこともあったし、屋外で逞しい男に貫かれると言う妄想に耽ったこともある。
昔、まだ高校生だった頃、隣家の男の子に着替えを見られて昂奮したこともある。SMクラブで衆人環視の中、下着一枚残して縛られて股間が濡れるほど昂奮したし、健志とも屋外でスリルを楽しんだこともある。
今日は、路地の奥で健志に貫かれた。
分別あるはずの大人が性的欲望を抑えることなく、場所を弁えずに貪り合っただけかもしれないが彩にとっては大切な時間であり想い出だ。
そんな記憶を大切にしたい。オナニーで快感に飲み込まれると忘れてしまうような気がする。
走馬灯のように脳裏を巡る記憶を追っている内に睡魔に誘われたようで我に返った時は朝になっていた。
「おはよう……朝早くからありがとう」
「あっ。おはよう。直ぐに用意できるから新聞でも見ていて」
テーブルに着いた夫はテレビを点けて新聞に目を通す。
「優子、新規プロジェクトの進捗状況はどうなの??」
「予定を上回るペースで進行している。メンバーが頑張ってくれているお陰ね」
「そうかもしれないけど、それも優子の人徳ってヤツだよ。力にはなれないけど頑張れよ」
「えっ、そんなことを改めて言われるとびっくりしちゃうよ。そんなことより、朝食の用意が出来たよ、食べて」
「いただきます……こんな時に申し訳ないけど、来週末、出張の予定が入っちゃったんだ」
「しょうがないよ。大変ね、ご苦労様としか言えないけど」
残業の結果を確認してまとめなきゃいけないので早めに行くよと言う夫を見送り、後片付けをするうちに自然と笑みが浮かぶ。
「来週か、再来週だと思っていたから得した気分。ウフフッ……昨日、久しぶりに刺激的なデートをしたから丁度いいかもしれない」
独り言を漏らし、片付けのペースが自然と早くなる。
「おはよう、栞。早いわね」
「あっ、優子、おはよう。今は仕事が楽しくて、優子のお陰だね」
「そんな事はないよ。私こそ栞には直接、間接に色々と世話になっているのに……挫けそうになったときは愚痴を聞いてくれて、アドバイスをしてくれた。ありがとう」
「おはよう、早いね。君たちのお陰で私の評価も上々らしいよ……常務に報告することがあるから席を外すよ」
「おはようございます、課長。優子と二人で課長の留守をしっかり守ります」
「アハハッ、頼むよ、栞君」
「栞、課長とはその後どうなの??」
「ウフフッ、順調だよ。課長が元気過ぎて私は自分の身体を心配するくらいだよ……ねぇ、優子んちに泊めてよ。課長とのことを教えてあげる」
「うっ、うん……いつ??……えっ、今日??構わないけど、ご主人は大丈夫なの??」
近くに人がいないのを確かめた栞は声を潜めて、
「それがね、私の浮気に気付いたようなの。私が意地悪くしたり、遊びで命令したりすると喜んでいるかもしれないって言ったことがあるでしょう??」
「うん、聞いたような気がする。それで……」
「一か月くらい前なんだけど、他の男に抱かれただろうって突然言われたの」
「えっ、それで……それで、どうしたの??」
「気持ち善かったか、僕に抱かれるのとどっちが好いんだって……その場で、キッチンの床に押し倒されて素っ裸に剥かれてアソコの匂いをクンクン嗅がれて、指で中を確かめられた」
「そんな事をされて、ご主人との仲は大丈夫なの??」
「おはようございます」
「おはようございます」
「さぁ、仕事をしなきゃ。続きは夜ね、夫の反応は私でさえびっくりしたんだから、優子もびっくりするよ、ウフフッ」
自室に戻った優子は翌日の仕事の確認や準備を済ませてベッドに入る。
特に意識することなく自然に胸の膨らみに手が伸びてヤワヤワ揉みしだき、アンッと甘い吐息が漏れる頃には優子が彩に変身している。
ドアの向こうに夫がいると言うのに瞼の裏に浮かぶのは優しく微笑む健志の笑顔。
不倫と言う言葉は好きではなかった。
ましてや永遠の愛を誓った夫が私以外の女性と愛し合うとは思ったこともなかった。夫の不倫を知って悶々と過ごしていた時、学生時代からの親友である栞に連れられて会員制SMショークラブに行った。
後日改めて、そのクラブに一人で行くと優子の顔を覚えていてくれたのですぐに会員になることが出来て彩と名乗った。その日のうちに下着一枚になってSMショーのモデルとなって縛られた。
その時、客として彩の痴態を見ていた健志と後日、偶然出会う機会があり、付き合うことになった。
健志との付き合いが始まった今、男と女、あるいは夫と彩である私との違いを実感している。
過去を振り返ってみると夫は不倫を始めた頃、私との関係が疎遠になり、ベッドを共にすることが無くなった。
その後、これは想像だが、不倫相手と安定した関係になると私への後ろめたさで言葉や態度が優しくなり、プレゼントを用意することが多くなった。
私自身を省みると、夫の不倫に対する腹いせで私もと思ったこともあったが、戸籍上とはいえ妻であることで不倫を否定してきた。
夫や夫婦と言う事に思い悩んでいたものの、健志と関係が出来てからは罪悪感に苛まれることもなく、夫のように下手な言い訳をする事もなく健志との時間を楽しんでいる。
自分でも不思議に思うほど夫に優しくできるし、見え透いた嘘で不倫相手に会うと分かっていても優しく送り出すこともできる。それは、健志と会うことが出来るからかもしれないが……
元々、人見知りする質で控えめに振舞うことが多い優子だが、何かのタイミングでスイッチが入ると自分だけではなく周囲の人も驚くほど大胆になる事がある。
不倫に走るまで思い悩んだものの、一旦、吹っ切ると健志との付き合いを後悔することもなく大胆に振舞うことが出来るのは、優子の元々の性格なのか、それとも男と女の違いなのかと不敵な笑みを浮かべる。
そんな事を考えていると股間が熱くなり乳房に添えた手が自然と股間に伸びる。
「ダメ、今日はオナニーをしない」と、天井に向かって呟く。
他人に肌を見られるかもしれないというスリルを味わいたい思うこともあったし、屋外で逞しい男に貫かれると言う妄想に耽ったこともある。
昔、まだ高校生だった頃、隣家の男の子に着替えを見られて昂奮したこともある。SMクラブで衆人環視の中、下着一枚残して縛られて股間が濡れるほど昂奮したし、健志とも屋外でスリルを楽しんだこともある。
今日は、路地の奥で健志に貫かれた。
分別あるはずの大人が性的欲望を抑えることなく、場所を弁えずに貪り合っただけかもしれないが彩にとっては大切な時間であり想い出だ。
そんな記憶を大切にしたい。オナニーで快感に飲み込まれると忘れてしまうような気がする。
走馬灯のように脳裏を巡る記憶を追っている内に睡魔に誘われたようで我に返った時は朝になっていた。
「おはよう……朝早くからありがとう」
「あっ。おはよう。直ぐに用意できるから新聞でも見ていて」
テーブルに着いた夫はテレビを点けて新聞に目を通す。
「優子、新規プロジェクトの進捗状況はどうなの??」
「予定を上回るペースで進行している。メンバーが頑張ってくれているお陰ね」
「そうかもしれないけど、それも優子の人徳ってヤツだよ。力にはなれないけど頑張れよ」
「えっ、そんなことを改めて言われるとびっくりしちゃうよ。そんなことより、朝食の用意が出来たよ、食べて」
「いただきます……こんな時に申し訳ないけど、来週末、出張の予定が入っちゃったんだ」
「しょうがないよ。大変ね、ご苦労様としか言えないけど」
残業の結果を確認してまとめなきゃいけないので早めに行くよと言う夫を見送り、後片付けをするうちに自然と笑みが浮かぶ。
「来週か、再来週だと思っていたから得した気分。ウフフッ……昨日、久しぶりに刺激的なデートをしたから丁度いいかもしれない」
独り言を漏らし、片付けのペースが自然と早くなる。
「おはよう、栞。早いわね」
「あっ、優子、おはよう。今は仕事が楽しくて、優子のお陰だね」
「そんな事はないよ。私こそ栞には直接、間接に色々と世話になっているのに……挫けそうになったときは愚痴を聞いてくれて、アドバイスをしてくれた。ありがとう」
「おはよう、早いね。君たちのお陰で私の評価も上々らしいよ……常務に報告することがあるから席を外すよ」
「おはようございます、課長。優子と二人で課長の留守をしっかり守ります」
「アハハッ、頼むよ、栞君」
「栞、課長とはその後どうなの??」
「ウフフッ、順調だよ。課長が元気過ぎて私は自分の身体を心配するくらいだよ……ねぇ、優子んちに泊めてよ。課長とのことを教えてあげる」
「うっ、うん……いつ??……えっ、今日??構わないけど、ご主人は大丈夫なの??」
近くに人がいないのを確かめた栞は声を潜めて、
「それがね、私の浮気に気付いたようなの。私が意地悪くしたり、遊びで命令したりすると喜んでいるかもしれないって言ったことがあるでしょう??」
「うん、聞いたような気がする。それで……」
「一か月くらい前なんだけど、他の男に抱かれただろうって突然言われたの」
「えっ、それで……それで、どうしたの??」
「気持ち善かったか、僕に抱かれるのとどっちが好いんだって……その場で、キッチンの床に押し倒されて素っ裸に剥かれてアソコの匂いをクンクン嗅がれて、指で中を確かめられた」
「そんな事をされて、ご主人との仲は大丈夫なの??」
「おはようございます」
「おはようございます」
「さぁ、仕事をしなきゃ。続きは夜ね、夫の反応は私でさえびっくりしたんだから、優子もびっくりするよ、ウフフッ」