2ntブログ

ホテル -22



目覚めたアユは男の腕に抱かれていることに安堵し、顔も身体も動かすことなく男に寄り添ったまま静かに息を吐く。
「うん??起こしちゃった??ごめん、カーテンを閉めるのに立ち上がっちゃったからね」
「そうなの??本当だ、暗い……あなたに抱いてもらった時も薄明り、目が覚めても薄明り。薄明りが似合う女かなぁ??」
「アユは明るい場所が似合うよ。夜も昼も光があるから影が出来る。男は陰に魅かれる。夜のネオンが作る影はいかがわしくて妖しい魅力があるし、昼間の太陽が作る影は決して見た通りではなく隠している魅力がある事を教えてくれる。昼間のアユは一目惚れするほど立ち居振る舞いが美しい」
「フフフッ、昼間の私が作る影の秘密を教えてくれる」
「簡単だよ、ただ一言、絵を描くのが巧い。実物よりも好い男に描いてもらえるとは思わなかった」
「それだけ??絵を描くのが上手な人はいっぱいいるよ」
「絵を描くのが上手な人はいるだろうけど、アユほどセックスに貪欲で絵を描くのが上手な人がいるかなぁ??」

「クククッ、教えてあげる。“叫び”で有名なムンクだけど母や姉の死に直面、それと色男だったから恋愛地獄を彷徨って愛と死に翻弄されたの。ラファエロも女性関係で苦労したんだよ、彼の死後、相手の女性は修道院に入ってラファエロとの愛を全うしたとも言えるけど……日本では、そうね、岡本太郎さんの母親、岡本かの子さんが有名だよね。時代が違うから、現代人の倫理観だけで解釈するのはどうかと思うけどね……」
「そうか、アユも芸術家のDNAを持っているからスケベなんだ、ふ~ん」
「そうかも……私自身、今まで気付かなかったけど、あなたに会って才能が開花した。クククッ、エッチかどうか判定してね」

腕の中からすり抜けて素っ裸で寝る男の股間に移動する。
アユを満足させてくれたペニスは元気だった昨夜の面影もなく萎れてだらしなく股間にぶら下がる。
「暴れん坊チンチンはどこに行っちゃったかと思うほど萎れて元気がない」
「しょうがねぇだろう。若いアユに満足してもらおうと必死に頑張ったんだからな」
「あなたは十分に若いし、私は三十を過ぎているんだよ。若さを誇る歳でもない」
竿を手の平で受けて擦り、陰嚢をヤワヤワと揉んでも元気になる気配もない。
「あ~ぁ、や~めた」
男と同じく素っ裸のまま眠りについていたアユは股間から這い上がり、胸の膨らみを擦りつけて怒った振りをする。
「そうか、アユを満足させられないオレを嫌いなっちゃったか。しょうがないよ、ごめんな」
「クククッ、私のふくれっ面が可愛かった??嬉しそうにしてるもん、ねぇ、怒った振りをする私を可愛いと思った??」
「可愛いよ。蠱惑的っていうのかな、光と影、オレの気持ちを惑わすほど可愛い」

押さえつけるようにして身体を重ね、アユの両手を左手一本で掴んで頭上で固定する。
「いやんっ、怖い。哀れな私は襲われちゃう、オオカミの顔が近付いてくる」
顔を近付けた男はそれ以上、何をすることもなくただ見つめ続ける。
羞恥で頬を染めた顔を背けようとしても、手首を掴む手の肘を顔に添えてそれを許さず、反対側に動こうとすると右手を頬に添えて許さない。
「恥ずかしがるアユを見ると苛めたくなる」
「いやっ、意地悪……許して、ダメ??どうして??」
「小っちゃい男の子が大好きな女の子に意地悪するのと同じかなぁ。気持ちをうまく伝えられない焦りから訳の分かんない行動をするような……」
「フフフッ、分かるような気がする。あなたにもそんな経験があるの??」
「残念ながらオレにはない。男友達と遊ぶばかりで女の子に興味はなかったよ」
「クククッ、それで、18歳の時、ソープで初体験を済ませたんだ」
「それは違う。オレの初体験は当時付き合っていた同級生、ソープのお姉さんはセックスを教わった先生」
「ふ~ん、自分の人生を偽っちゃうんだ……ふ~ん」

瞳に意地悪な笑みを湛えて見つめるアユに欲情した男は太腿で股間を圧迫しながら乳房をヤワヤワと揉み始める。
両手を掴まれて自由が利かないアユは身体を揺すっても逃れることが出来ず、噛みつこうと顔を上げても避けられてしまう。
「オオカミに食べられるのが嫌で抗う可愛い子ウサギちゃん。どんな風に料理されたい??」
上体を被せられて動きを封じられた上に腿で股間を擦られながら乳房を揉まれ、耳元で囁かれてはアユに抗うすべもなく、
「オオカミさんがあなたなら食べられたい。どんな風に料理されても幸せ、あなたの身体の一部になれるんだもん。いつもと違う事をされたい、私の身体で遊んでほしい」

唇を重ねてキスした男が離れると、
「フフフッ、なんか熱い棒を押し付けられたみたい。これで終わりじゃないでしょう??食べて、オオカミさんに食べられたいの……早く」
「アユ、自分の言葉を忘れるなよ。ゴメンなさいって言っても許さないからね」

脱ぎ捨ててあったガウンの紐をアユの首に巻いて両端に手首を縛りつける。
「アユ、動くと首が締まるよ。気をつけなさい、分かったね」
「ウグッ、グゥッ~、怖い、少し動いただけでも首が締まる……ねぇ、大丈夫??」
「大丈夫だよ、首が締まるかどうかはアユ次第だから」
「うん、あなたの言葉を信じる。カーテンを開けないの??」
「夜はいいけど、昼間はダメだよ、こんな掃き出し窓みたいに足元までガラスが入っているんだから」
「もしかして……そうなの、高いところが怖いの??夜ははっきり景色が見えないから平気なんでしょう??」
「うるさい」
意地になって否定する男の言葉にアユは意地悪な笑みを浮かべる。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
雨ふりはもっと嫌・・・ワガママワンコです

夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード