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彩―隠し事 82

栞がお泊り-1     

火曜日の午前中は通常業務をこなし、午後は栞と松本に声を掛けて会議室にこもって新規プロジェクトの方向と目的を伝えて議論を深めていく。
特に重要な事として二人に話したのは、当分の間、小さな成功を積み上げて三人の信頼感を増して大きな土台を構築することに尽力しようということ。
信頼感が増せば相談や議論もスムーズに進むだろうし状況判断も正確になるはず。
松本が最後に、
「これまでも鍬田さんの仕事ぶりを参考にしてきましたが、これからはロールモデルとしてキャリアアップのお手本にさせていただきます」
と、話した時は、
「あらっ、松本さんも好きな男とエッチな事をすれば感性が磨かれるし積極的な生き方が出来るようになるよ」と、言いそうになるのを笑って誤魔化した。

栞の告白や前日退社前に課長に栞との関係を告げられた事もあって、二人の様子を何気ない振りで注視していたが不倫の気配はみじんも感じさせず、性的な場面での栞の抜け目なさに舌を巻く。

栞と並んで駅へ向かう途中、
「優子、今日はお泊りさせてくれるでしょう??約束だからね……」
今朝、改めて確かめた限りでは乳房に残った縄の痕はほとんど気付く事はないと思ったものの、そういう事に関しては勘のいい栞だけに一瞬、返事を躊躇してしまう。
「夫には優子んチでお泊りするって言って出たから帰るわけにはいかないし、断られたら課長を誘っちゃおうかな……それしかないよな、可哀そうな栞ちゃん」
胸の前で指先を弄りながら上目遣いに優子を見る栞の甘え上手に、彩もこれを健志に試してみようと不埒な事を考える。

「ねぇ、どうなの??今日の私を家なき子にしないでしょう??」
「分かった、好いよ。条件は……変な事をしないでね。ご主人のチンチンならしょうがないけど、他人棒を舐めたりしゃぶったりしたお口で私を嬲ったりしないでね」
「えっ、優子……金曜から日曜にかけて何かあった??以前の優子は絶対にそんな事は言わなかったよ……ねぇ、誰に抱いてもらったの??ご主人??それとも……浮気しちゃったの??」
「そんな事をするわけないよ。私にできるはずないでしょう??」
「そうだね。勿体ないなぁ、優子なら大抵の男が並んで順番を待つのに、クククッ、課長は並ばせないけどね」
すれ違う人や追い越す人に気付かれないように小声で話すものの、楽しげに話す優子と栞は他人の目を引かないわけもなく、会話の内容に顔を顰める人やクスッと笑みを漏らす人など反応も様々で、それに気づいた優子は栞をつついて注意を促す。
「クククッ、私たちは注目を浴びているの??それは、ちょっと……優子、駅まで走るよ」
「待ってよ」……突然、走り始めた栞を追う優子は、マリンスポーツやヨガに興じている事もあり難なく追いついて余裕綽々で並んで走る。
「ハァハァッ……優子と私の差は少しずつ開いていく。何か始めようかなぁ……」
息を荒げる栞は難なく走り切った優子を眩しそうに見て表情を緩める。
「私の通っているプールに行く??泳ぐのって気持ち好いよ、水に抱かれて束縛するものを何も感じないの。自由を満喫できるよ」
「水に抱かれるよりも男の人に抱かれる方が好きだけど、考えとく。その気になったら、お願いするね」

話しに夢中になっていても車窓の景色が最寄り駅の見慣れたものになると、
「着いたみたい、下りるよ」
「えっ??あっ、本当だ。やっぱり優子はしっかりしている」

改札口を出るのを待っていたかのようなタイミングで夫から、残業になっちゃったから夕食は必要ない、連絡が遅くなってゴメンと連絡があり、優子は、栞が泊まるんだけど、駅に着いたところだし何か食べて帰るから気にしないでと返信する。
スマホを覗き込んだ栞は、「浮気……なの??」と、優子の顔を覗き込み、

「言い訳じみた処がないから、本当に仕事みたい」と、答える。
「フフフッ……浮気は悪い事だと思っているんだ。可愛い処があるじゃない……私なんか、課長に抱かれながら、こんなに気持ちいいんだから帰ったら旦那に優しくしてあげよう。気持ち良さのお裾分けって思ったもん」
「えっ、罪の意識ナシで居直っているの??最悪、ご主人が可哀そう」

駅前で食事を済ませた二人はスパークリングワインを買って家路につく。
帰宅した優子はすぐに風呂の準備を始め、栞は用意してきた化粧品や下着、翌日の衣服をバッグから出して、勝手知ったる家、ワインクーラーに氷と水を張ってスパークリングワインを冷やす。
「どうする、一人ずつ??それとも一緒に入る??」
「クククッ、一分一秒を争うようにお風呂の準備をしたのは、ご主人の帰宅前にお風呂で遊びたいって言う意思表示でしょう??好いよ、優子んちに留めてもらうのだから従うよ。さぁ、入ろう、優子の背中もアソコもお尻も洗ってあげる」
「もう、変な事を考えるだけで栞の事を出禁にしちゃうからね」

栞が静かにバスタイムを済ませるわけもなく、優子の背中を洗ってあげると言って最初は大人しく言葉通りにしていたものの、徐々に手は脇腹から胸の膨らみに伸びてヤワヤワと揉み始める。
「ねぇ、何処を洗って欲しいか言って、優子の事が大好きなんだもん」
学生時代からこんな事を繰り返して優子の性感帯を知る栞に耳元で囁かれては堪える術もなく、アンッと艶めかしい吐息を漏らして乳房に伸びた手に自らの手を重ねてしまう。
「ダ~メ、そんな事をしたら洗えないでしょう……それより、一つ聞いてもいい??」
「なに??どうしたの??」
「この何か擦ったような痕、これはどうしたの??優子らしくないよ」
「えっ、そうなの??気付かなかったけど、どんな痕??私らしくないって、どういう事??」
「ごめん、気に障る言い方だったら謝る。ごめんなさい……ずっと前、学生時代にアルバイト先で火傷をしたことがあったでしょう??火傷痕が残ったらどうしようって心配したのを覚えてる??……この白い肌に擦れたような痕、あの時の優子を思い出すと、ウフフッ……でも、色っぽいよ。」

栞の手が乳房を揉み先端を摘まんで唇が首筋を這っても優子は抗うことはせずに背中を預けて快感に酔っているように見える。
「優子も、こんな風にしたかったの??久しぶりに楽しもうね」
優子の肌を知る栞の与えてくれる快感に酔う気持ちもあるが、変に抗って脇腹に残る縄の痕を詮索されたくないという気持ちもある。
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ちっち

Author:ちっち
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