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彩―隠し事 338

転生 -43

逃げ出したくなるほど熱いシャワーを浴びた健志はボディソープで汗とセックスの残滓を洗い流してバスタブに浸かり、気持ちと肌に残る彩の感触を思い出して心地好い時間に酔いしれる。
思わず漏れる笑みを隠そうと、ゴホンと空咳をしたタイミングで彩がバスルームを開ける。
「どうしたの??風邪??」
心配する様子もなく、揶揄うような声をかけ、胸を左手で股間を右手で覆い身体を斜にして女の秘所を隠すようにして入ってくる。
羞恥を忘れずに清楚な女性に戻った彩を見て顔を綻ばせる。
「何か付いている??彩の顔を見て笑うなんて……イヤな男」
「何度目かな、いやな男って言われるのは」
「嫌よ嫌よも好きのうちって言うでしょう??ウフフッ、嬉しい??……ねぇ、好いって言うまで目を閉じていて」
広くはないバスタブの中で身体を丸めるようにして彩に背中を向けて目を閉じると、シャァ~、バシャバシャとシャワーが彩の身体と床を打つ音が聞こえ、健志は覗き見したくなる気持ちを押さえつける

「開けてもいいよ……彩も入っていい??」
足を延ばしてバスタブに背中を預ける格好で両手を広げると股間を右手で覆った彩は恥ずかしそうに入ってくる。
いつものように太腿を跨いで顔を見つめ合う格好にはならず、背中を向けて両足の間に座り込んだ彩は、
「後ろからギュッとされて彩はオレの女だって言われたい」
右手で包み込むように抱き締めて左手は彩の左手に被せるようにつなぎ、耳元で思いを告げる。
「彩とは会うたびに新しい発見がある。彩を見ていると自然と笑顔になるような気がする。向かい合っても好いし後ろ姿も魅力的、何かを拾うために屈んだ時、顔にかかった髪を掻き揚げる様子、すべてが好きだよ。こんな彩をいつまでも独り占めにしていたい」
「嬉しい。女として褒められることに慣れていなかったけど健志との時間を刻むにつれて自信が湧いてくる。褒めて、健志に褒められると元気になれる」

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花……スラリと伸びた茎の先で華麗な花を咲かせる芍薬は匂いも華麗、芍薬と牡丹は同じボタン科だけど牡丹は艶やかに枝で咲いて座っている女性のようにも見える。百合は清楚な雰囲気で凛とした佇まい……彩は小柄だけど全体のバランスがいいから芍薬に例えてもおかしくない。フフフッ、付け加えると、歩く姿は百合の花の後に、後姿は菊の花」
「えっ、どういう意味??」
「言葉の通りだよ。幾重にも重なる花弁は中心に向かっているけど、窄まりの周囲の皺のようにも見える。オレの誕生月は9月で花札では菊、10点札は菊の花に盃。彩の尻を見ながら飲む酒はさぞや美味いだろうな」
「もう、褒めてって言ったのに揶揄われた気分……フンッ」
振り向いた彩は頬を膨らませて抗議し、それがまた健志の琴線に触れる。
「可愛いなぁ……怒った振りをする彩の提灯のような顔も可愛いよ」
「えっ、提灯??……彩の顔が膨れているって言うの??どうせ彩はプクチャンだよ」
「やっぱり可愛いなぁ。拗ねた振りや怒り顔を好ましく思えるって惹かれている証拠だろうな」
繋いでいた左手を解いて両手でギュッと抱きしめる。
「痛いよ、そんなに強く抱きしめられると息ができない。クククッ、痛いけど、幸せ……彩とキスしたいと思っているでしょう??」
痛いという声が弾み、身体を入れ替えていつもの体勢になった彩は、
「お風呂ではこの方が落ち着く……オチリに健志、アソコにオモチャを入れて善がるようなエロイ彩でも嫌いにならない??」

健志は言葉を口にすることなく彩の頬に両手を添えて顔を近付ける。
ハァハァッ、ハァッ~、健志に見つめられる彩の呼吸は自然と荒くなり、ハァッ~と息を吐くと同時に目を閉じる。
そんな彩に頬を緩める健志は額に掛かる髪を指先で整えて、チュッと唇を合わせる。
「こんなじゃ、ダメって言いたいけど……ハダカンボで向かい合っているんだよ。濃厚なキスじゃないと嫌って言うけど、クククッ、激しいエッチの後だから許してあげる」
「見つめられると照れちゃうな、恥ずかしいよ」
「ねぇ、質問に答えて。エロイ彩でも嫌いにならない??」
「オレは彩と会う機会を与えてくれた神様に感謝している……彩は二つの顔を使い分けて気持ちと身体の平静を保っている。清楚で貞淑な妻であり仕事をバリバリこなす彩、オレはその片鱗しか知らないけどね。もう一人の彩は目の前にいるエロイ彩で好きだよ」
「人は誰でも隠し事を持ってもいいって言うんでしょう。何度か聞いたけど、もう一度聞くね。確かめたいの……健志は、彩と名乗る目の前の女の全てを知りたくないんだね??」
「正直に言えば自分でも分からない……想像だけどオレの知らない昼間の彩は清楚で上品に見えるけど身体と心の奥に淫らな部分を隠している。彩はオレの部屋から見る夜景が好きだと言っただろ。夜の街が煌びやかに見えれば見えるほど陰も濃くなる。オレは日陰の彩だけ知ればいい、日向の彩を知ろうとすると縁が切れそうな気がする」
「健志の目に彩はそんな風に映っているんだ。謎があるって好い女の条件だとも言ったよね……ウフフッ、昼間の彩は秘密。健志は目の前のエロイ彩を愛してくれればいい。エッチな彩を満足させてくれないと嫌いになっちゃうよ」
「スケベな彩に嫌われないように頑張るよ」
「クククッ、彩を満足させるのは大変だよ。もう一度する元気がある??」
「冗談だろ??嫌われてもしょうがない、許してくれよ」
「クククッ、彩も満腹。趣向を凝らしてくれれば別腹でもう一度は大丈夫な体力は残っているけどね」

淫蕩な光を宿して見つめた彩が目を閉じると健志は左手で彩を抱き寄せ、右手で頬を擦って唇を合わせる。
舌を伸ばして侵入させた彩は絡めたりつつき合ったりしながら唾液を交換する濃厚なキスで息が続く限り貪り合う。
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ちっち

Author:ちっち
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さむいのも嫌
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夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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