偽者 ~PRETENDER~ -50
佐緒里と内藤 -22
「休憩か……公園のベンチって気持ちじゃなさそうだし、ラブホって気にもならないし、そうだなぁ……」
「ラブホでもいいわよ、疲れちゃったんだもん。お口で一回、お尻で一回、もう一度してほしいなんて言わないから安心していいよ。ねぇ、疲れた。こんなに疲れているから帰れない」
本当に卑猥な気持ちを隠していないかどうか佐緒里の顔を覗き見た内藤は、その可愛さに相好を崩す。
「分かった、駅の向こう側になるけど休憩するのにいいところがあるよ。ソコまで歩けるか??」
「クククッ、今にも倒れそうだとか、一歩も歩けないとは言ってないでしょう」
佐緒里の手を取り、ペデストリアンデッキから駅通路を抜けて反対側に歩き、一階がコンビニのビルの前に立ち、
「着いたよ。佐緒里が好みそうな休憩場所があるよ」
「えっ、うそ……ここはオモチャ屋さんじゃない。興味はあるけど休憩出来ないよ」
コンビニの上階を見上げた佐緒里は看板を確かめて不満の言葉を口にする。
「オモチャ屋さんは二階。目的の店は、その上だよ」
コンビニ脇を通って三階に上がり、慣れた様子で受付を済ませた内藤に従って狭い廊下を進む。
何がと問われても、そんな気がするとしか言いようがない淫靡な空気が漂い、立ち止まりそうになるのを内藤の腕にしがみついて休憩したいと言ったのは自分だと叱咤して後に続く。
MとS、二つの文字で表示したドアが並び内藤はMと表示したドアの取っ手に手をかける。
取っ手を引くと、目がくらむような赤い椅子の様なモノとその奥には赤いベッドが設えられている。
ゴクッ……唾を飲み、崩れ落ちそうになる身体を内藤にすがって必死の思いで堪えた佐緒里は内藤を見上げて、
「なに??ここは、ラブホじゃないでしょう??何なの??」
佐緒里の背中を押して部屋に入った内藤は後ろ手にサムターンを回して鍵をかける。
カチャッ……
「ヒッ、どうしたの??」
「鍵をかけただけだよ」
ハァハァッ……興奮と不安を隠しようもない佐緒里は息を弾ませて内藤の手を固く握り視線を巡らす。
椅子らしきモノは両足を大きく開かないと座りようもなく天井や壁のあちこちに鎖がぶら下がり、手枷の様なものが付いているモノさえある。
ウグッ、ゴクッ……ベッドの天井部分と奥の壁は鏡張りで、その手前の壁も片方が大きな鏡で部屋の中は余すところなく三つの鏡のいずれか、あるいは二つに映り込むようになっている。
「ねぇ、ほんとうにラブホじゃないの??」
静寂に堪え切れずに不安を和らげようとして間が抜けた質問だと思うものの、問いかける。
「ラブホじゃなくレンタルルームとなっているけど実態は同じで営業許可の違いだろ。聞いた話だけど、ラブホによってはデリヘル利用を断るところもあるらしいけど、ここは大歓迎って営業方針で便利らしいよ」
「聞いた話でもいいからどういう事か教えてくれる??お客様によって色んな事が話題になるから勉強のため、ねっ」
「初めての場合、店に電話して女性の好みを伝えて指定されたホテルで部屋を取る。男は部屋番号を伝えて女性が来るのを待つわけだけど、ラブホやビジネスホテルでは訪問客お断りってところもあるらしいよ」
「ふ~ん、内藤さんはデリヘルを利用したことがあるの??」
「ないよ。好みを伝えたとしても、どんな人が来るかって想像するのはオレの趣味じゃない」
あなたと呼んでいたのが内藤さんと変わったのは緊張が完全に解れていないからだろう。
「こんな場所で立ったままじゃ疲れが取れないだろう。ベッドで寝るのもよし、椅子に座るのもよし楽な恰好になりなよ」
「いじわる、こんな部屋で楽な恰好なんて……」
壁面の鏡を見ながらベッドに近付き用意された二つのバスケットに目を止める。
一つ目にはバスタオルが入り、二つ目を引き寄せて覗き込んだ佐緒里は、エッと呟いて手を離す。目を閉じてゴクッと唾を飲み込みバスケットの中身を取り出し始める。
「すごい、こんなものを使う場所なの??」
内藤に話すわけでもなく、思ったままの言葉を呟く佐緒里の声は震え、身体が不自然に揺れて立っているのも辛そうに見える。
「佐緒里……大丈夫か??」
「えっ……うん、大丈夫だと思う。見て、すごいの、これは鞭でしょう。これも鞭だ、これは名前が分からないけど口に咥えさせるものでしょう、ローソクもある。これは分かる、首輪とリード……ハァハァッ、だめ、心臓が口から飛び出ちゃいそうで胸が痛い」
「試してみれば、この程度の事かと思って落ち着くかもしれないよ……ここへ来てごらん」
ギロチン台の横に立つ内藤の視線から逃れる術もなく、上気した佐緒里は吸い寄せられるようにフラフラと近付いていく。
ギィッ~、ギロチンの上部が引き上げられると、
「ここには佐緒里とオレしかいない。オレが佐緒里の事を傷つけるはずがないし、興味があるだろう??」
「あなたと二人の時は何も隠さず本当の自分を曝け出してもいいだよね。こういうのも興味がある。試してみたいけど怖い……これでいいの??」
三つの穴に顔と両手を乗せた佐緒里の身体は自分でも分かるほどブルブル震え,
腹部と肩を上下して荒い息を漏らして鏡を見つめる。
ギィッ、ギロチンの上部が下ろされて首と両手首が固定されて身動きできず、鏡の中の佐緒里は腰を突き出す惨めな恰好になっている。
「なんか昂奮する。こんな格好にされたら鞭で打たれてもローソクを垂らされても逆らいようがないよね……そんな事をされて悦ぶ人がいるの??」
「オレには分からないけど、いるんじゃないの。エロ動画を見たことがあるだろう??」
「ああいうのって作り物でしょう??現実と同じかなぁ」
「試してみようか、その前に……」
ボタンを全て外して赤みを帯びた白い肌を剥き出しにしたシャツを首の周りで丸め、ジーンズを引き下ろしてしまうと佐緒里の身体を守るのはマフラーのようになったウールシャツだけになってしまう。
「鏡で確かめてごらん、可愛い子羊が鞭で打ってくださいと言っているような格好だろう」
「いやっ、恥ずかしい。痛くしないでね、どんな感じなのか経験したいだけだから……おねがい」
佐緒里の瞳は潤みを帯びて内藤の姿をはっきり捉えているかどうか定かではない。
「休憩か……公園のベンチって気持ちじゃなさそうだし、ラブホって気にもならないし、そうだなぁ……」
「ラブホでもいいわよ、疲れちゃったんだもん。お口で一回、お尻で一回、もう一度してほしいなんて言わないから安心していいよ。ねぇ、疲れた。こんなに疲れているから帰れない」
本当に卑猥な気持ちを隠していないかどうか佐緒里の顔を覗き見た内藤は、その可愛さに相好を崩す。
「分かった、駅の向こう側になるけど休憩するのにいいところがあるよ。ソコまで歩けるか??」
「クククッ、今にも倒れそうだとか、一歩も歩けないとは言ってないでしょう」
佐緒里の手を取り、ペデストリアンデッキから駅通路を抜けて反対側に歩き、一階がコンビニのビルの前に立ち、
「着いたよ。佐緒里が好みそうな休憩場所があるよ」
「えっ、うそ……ここはオモチャ屋さんじゃない。興味はあるけど休憩出来ないよ」
コンビニの上階を見上げた佐緒里は看板を確かめて不満の言葉を口にする。
「オモチャ屋さんは二階。目的の店は、その上だよ」
コンビニ脇を通って三階に上がり、慣れた様子で受付を済ませた内藤に従って狭い廊下を進む。
何がと問われても、そんな気がするとしか言いようがない淫靡な空気が漂い、立ち止まりそうになるのを内藤の腕にしがみついて休憩したいと言ったのは自分だと叱咤して後に続く。
MとS、二つの文字で表示したドアが並び内藤はMと表示したドアの取っ手に手をかける。
取っ手を引くと、目がくらむような赤い椅子の様なモノとその奥には赤いベッドが設えられている。
ゴクッ……唾を飲み、崩れ落ちそうになる身体を内藤にすがって必死の思いで堪えた佐緒里は内藤を見上げて、
「なに??ここは、ラブホじゃないでしょう??何なの??」
佐緒里の背中を押して部屋に入った内藤は後ろ手にサムターンを回して鍵をかける。
カチャッ……
「ヒッ、どうしたの??」
「鍵をかけただけだよ」
ハァハァッ……興奮と不安を隠しようもない佐緒里は息を弾ませて内藤の手を固く握り視線を巡らす。
椅子らしきモノは両足を大きく開かないと座りようもなく天井や壁のあちこちに鎖がぶら下がり、手枷の様なものが付いているモノさえある。
ウグッ、ゴクッ……ベッドの天井部分と奥の壁は鏡張りで、その手前の壁も片方が大きな鏡で部屋の中は余すところなく三つの鏡のいずれか、あるいは二つに映り込むようになっている。
「ねぇ、ほんとうにラブホじゃないの??」
静寂に堪え切れずに不安を和らげようとして間が抜けた質問だと思うものの、問いかける。
「ラブホじゃなくレンタルルームとなっているけど実態は同じで営業許可の違いだろ。聞いた話だけど、ラブホによってはデリヘル利用を断るところもあるらしいけど、ここは大歓迎って営業方針で便利らしいよ」
「聞いた話でもいいからどういう事か教えてくれる??お客様によって色んな事が話題になるから勉強のため、ねっ」
「初めての場合、店に電話して女性の好みを伝えて指定されたホテルで部屋を取る。男は部屋番号を伝えて女性が来るのを待つわけだけど、ラブホやビジネスホテルでは訪問客お断りってところもあるらしいよ」
「ふ~ん、内藤さんはデリヘルを利用したことがあるの??」
「ないよ。好みを伝えたとしても、どんな人が来るかって想像するのはオレの趣味じゃない」
あなたと呼んでいたのが内藤さんと変わったのは緊張が完全に解れていないからだろう。
「こんな場所で立ったままじゃ疲れが取れないだろう。ベッドで寝るのもよし、椅子に座るのもよし楽な恰好になりなよ」
「いじわる、こんな部屋で楽な恰好なんて……」
壁面の鏡を見ながらベッドに近付き用意された二つのバスケットに目を止める。
一つ目にはバスタオルが入り、二つ目を引き寄せて覗き込んだ佐緒里は、エッと呟いて手を離す。目を閉じてゴクッと唾を飲み込みバスケットの中身を取り出し始める。
「すごい、こんなものを使う場所なの??」
内藤に話すわけでもなく、思ったままの言葉を呟く佐緒里の声は震え、身体が不自然に揺れて立っているのも辛そうに見える。
「佐緒里……大丈夫か??」
「えっ……うん、大丈夫だと思う。見て、すごいの、これは鞭でしょう。これも鞭だ、これは名前が分からないけど口に咥えさせるものでしょう、ローソクもある。これは分かる、首輪とリード……ハァハァッ、だめ、心臓が口から飛び出ちゃいそうで胸が痛い」
「試してみれば、この程度の事かと思って落ち着くかもしれないよ……ここへ来てごらん」
ギロチン台の横に立つ内藤の視線から逃れる術もなく、上気した佐緒里は吸い寄せられるようにフラフラと近付いていく。
ギィッ~、ギロチンの上部が引き上げられると、
「ここには佐緒里とオレしかいない。オレが佐緒里の事を傷つけるはずがないし、興味があるだろう??」
「あなたと二人の時は何も隠さず本当の自分を曝け出してもいいだよね。こういうのも興味がある。試してみたいけど怖い……これでいいの??」
三つの穴に顔と両手を乗せた佐緒里の身体は自分でも分かるほどブルブル震え,
腹部と肩を上下して荒い息を漏らして鏡を見つめる。
ギィッ、ギロチンの上部が下ろされて首と両手首が固定されて身動きできず、鏡の中の佐緒里は腰を突き出す惨めな恰好になっている。
「なんか昂奮する。こんな格好にされたら鞭で打たれてもローソクを垂らされても逆らいようがないよね……そんな事をされて悦ぶ人がいるの??」
「オレには分からないけど、いるんじゃないの。エロ動画を見たことがあるだろう??」
「ああいうのって作り物でしょう??現実と同じかなぁ」
「試してみようか、その前に……」
ボタンを全て外して赤みを帯びた白い肌を剥き出しにしたシャツを首の周りで丸め、ジーンズを引き下ろしてしまうと佐緒里の身体を守るのはマフラーのようになったウールシャツだけになってしまう。
「鏡で確かめてごらん、可愛い子羊が鞭で打ってくださいと言っているような格好だろう」
「いやっ、恥ずかしい。痛くしないでね、どんな感じなのか経験したいだけだから……おねがい」
佐緒里の瞳は潤みを帯びて内藤の姿をはっきり捉えているかどうか定かではない。
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