男と女のお話
アナアキー
「クククッ、ほんとう??浮気は悪い事じゃないんだ……ふ~ん、柏木さんの言葉とは思えない」
「オレは清廉潔白、浮気なんか、とんでもないって言うと思った??」
「下ネタは口にするけど、一度も私を誘わないし触ろうともしない。案外と真面目な人だと思っていた。開店早々に来てセットに延長1本で帰るって、奥さんが怖いの??」
「当たり前だろう。怖い人がいるから宵の口遊びに歯止めがかかって間違いを起こさない……ギリギリ許してもらえる範囲でエミちゃんに会いにきているんだよ」
「クククッ、信じていいのかどうか分からないなぁ。善人の仮面をかぶったワルかもしれない、一度だけ私の手を握ったんだよ」
「えっ、そんな事をした??記憶がないなぁ……いつ??」
「手が疲れているって言ったら指や手の甲をマッサージしてくれたでしょう??優しく包み込んでモミモミ、気持ち良かったなぁ……柏木さんなら、手じゃない処をモミモミしてもいいよ」
「えっ、肩こり??それとも足や腰が疲れてる??」
「真面目にそんな事を言うの??……つまんないから、マッサージの話はオシマイ。誰でも浮気はしてもいいの??」
「そんな事は言ってないよ。絶対にダメって言わないだけだよ。するも良し、しなければもっと良し。見つかった時はウダウダ言い訳をしない、絶対にしちゃいけない人もいる」
「へぇ~、浮気をしちゃいけない人がいるんだ。どんな人??」
「一番は政治家。国会って予算や外交の承認など重要な仕事もあるけど、立法府って言われるように法律を作るのが第一義だと思う。法律を作る人が法律を遵守するのは勿論、道徳的にも尊敬できる人じゃなきゃまずいと思うよ」
「言われてみれば、そうだね……政治家に対して他に思う事がある??」
「政治家になろうなんて奴はロクなもんじゃねぇだろ。すべてじゃないけど政治じゃなく性事に携わって私は立派な人です、投票の際は私に……恥ずかしくって絶対に言えねぇな、オレには」
「随分とアナーキーな言い方をするんだね。意外だなぁ……」
「アナーキーとは古風な表現をするんだね、意外だなぁ……それより、アナアキーはエミちゃんだろ??オレは穴を埋める道具を持っているけど」
「えっ、アナアキーって……アハハッ、ひどい冗談。穴ってアソコのこと??そりゃ、穴はあるけど最近は使ったことないなぁ。私の穴は用不用説で退化してなくなっちゃうかも、ねぇ、穴の維持に協力してくれない??」
「よせよ、オジサンにそんな事を言うと本気にしちゃうよ」
「あらっ、冗談だと思ったの??真面目な話だよ。柏木さんは若い、オジサンじゃないよ……その顔、笑うときは楽しそうに声を出すけど、今のようにはにかんで口元と目元を緩めるときって笑窪が出来るでしょう??チャーミングって言うかキュート、悪戯好きの男子って言う感じで好きだよ」
「エミちゃんにそこまで褒められると嬉しいけど、照れちゃうな」
「そう、その顔だよ。オミズ女子が安心する表情、邪気がないって言うかヤリタイっていう雰囲気がゼロ。無視されたみたいで逆に誘いたくなる……夜はモテルでしょう??」
「そんな事はないよ。身体が接するほど近くに座ってくれて、美味い水割りを作ってくれるし、話の相手をしてくれる。それだけで幸せだよ」
「ねぇ、今度、なにか食べに連れてってよ、同伴込みで、好いでしょう??」
「無理に誘わなくても開店早々に行くのに、強制ならしょうがないけど」
「ごめんなさい、同伴目的じゃないから食事の後、サヨナラしてもいいよ」
「ごめん、オレの方こそ言い方が悪かった。じゃぁ、来週でいいか??」
「うん、約束だよ。絶対だよ、嘘じゃないよね」
「約束する、同伴もいいよ。それ以上のことは言わないから安心して」
「今、そんな事を言わなくてもいいのに。柏木さんが相手なら雰囲気に流されちゃうかもって思っているのに、つまんない」
「オレは小心で真面目、揶揄わないでくれよ。行きたい店とか食べたいモノとかってある??」
「何でもいい、ファミレスでも好いから任せる」
「そうか……う~ん、鉄板焼きにしようか??」
「無理しなくてもいいのに、嬉しい。待ち合わせ時刻は??」
「10分くらい歩くけどいいかな??」
「うん……手をつないでもいい??ウフフッ……この辺りが地元なの??」
「違う、関西生まれだよ。学生時代、最初は溝の口に住んでいたんだけど遊び優先で引っ越してきた」
「ウフフッ、遊び優先か……じゃぁ、問題。通り過ぎた交差点は曙橋で、この先に東橋ってあるでしょう、川がないのにどうしてだ??」
「実はこの下にある。暗渠になっちゃった。ゴメンね、知らない、どうしてって言わなくて。着いたよ、ここだよ」
「お店から近いけど知らなかった。おしゃれで洒落てる」
「柏木さんと初デートで緊張しているからメニューも任せます」
「分かった、オレは肉でも白ワインなんだけど、赤の方がいい??」
「柏木さんと同じのが好い」
「バーニャカウダー、タコの何とかってのとサーロインステーキをミディアムに近いウェルダンで、あとは適当に作ってよ。ワインの銘柄は任せるからキンキンに冷えた白で」
「ごちそうさま。デザートのシャーベットまで全部美味しかったです。ありがとうございました……また、会いたいな。同伴なしの純粋デート、だめっ??」
「いいよ」
「今日は、アナアキーを確かめてもらえなかったけど諦めてないからね、ウフフッ」
<<おしまい>>
「クククッ、ほんとう??浮気は悪い事じゃないんだ……ふ~ん、柏木さんの言葉とは思えない」
「オレは清廉潔白、浮気なんか、とんでもないって言うと思った??」
「下ネタは口にするけど、一度も私を誘わないし触ろうともしない。案外と真面目な人だと思っていた。開店早々に来てセットに延長1本で帰るって、奥さんが怖いの??」
「当たり前だろう。怖い人がいるから宵の口遊びに歯止めがかかって間違いを起こさない……ギリギリ許してもらえる範囲でエミちゃんに会いにきているんだよ」
「クククッ、信じていいのかどうか分からないなぁ。善人の仮面をかぶったワルかもしれない、一度だけ私の手を握ったんだよ」
「えっ、そんな事をした??記憶がないなぁ……いつ??」
「手が疲れているって言ったら指や手の甲をマッサージしてくれたでしょう??優しく包み込んでモミモミ、気持ち良かったなぁ……柏木さんなら、手じゃない処をモミモミしてもいいよ」
「えっ、肩こり??それとも足や腰が疲れてる??」
「真面目にそんな事を言うの??……つまんないから、マッサージの話はオシマイ。誰でも浮気はしてもいいの??」
「そんな事は言ってないよ。絶対にダメって言わないだけだよ。するも良し、しなければもっと良し。見つかった時はウダウダ言い訳をしない、絶対にしちゃいけない人もいる」
「へぇ~、浮気をしちゃいけない人がいるんだ。どんな人??」
「一番は政治家。国会って予算や外交の承認など重要な仕事もあるけど、立法府って言われるように法律を作るのが第一義だと思う。法律を作る人が法律を遵守するのは勿論、道徳的にも尊敬できる人じゃなきゃまずいと思うよ」
「言われてみれば、そうだね……政治家に対して他に思う事がある??」
「政治家になろうなんて奴はロクなもんじゃねぇだろ。すべてじゃないけど政治じゃなく性事に携わって私は立派な人です、投票の際は私に……恥ずかしくって絶対に言えねぇな、オレには」
「随分とアナーキーな言い方をするんだね。意外だなぁ……」
「アナーキーとは古風な表現をするんだね、意外だなぁ……それより、アナアキーはエミちゃんだろ??オレは穴を埋める道具を持っているけど」
「えっ、アナアキーって……アハハッ、ひどい冗談。穴ってアソコのこと??そりゃ、穴はあるけど最近は使ったことないなぁ。私の穴は用不用説で退化してなくなっちゃうかも、ねぇ、穴の維持に協力してくれない??」
「よせよ、オジサンにそんな事を言うと本気にしちゃうよ」
「あらっ、冗談だと思ったの??真面目な話だよ。柏木さんは若い、オジサンじゃないよ……その顔、笑うときは楽しそうに声を出すけど、今のようにはにかんで口元と目元を緩めるときって笑窪が出来るでしょう??チャーミングって言うかキュート、悪戯好きの男子って言う感じで好きだよ」
「エミちゃんにそこまで褒められると嬉しいけど、照れちゃうな」
「そう、その顔だよ。オミズ女子が安心する表情、邪気がないって言うかヤリタイっていう雰囲気がゼロ。無視されたみたいで逆に誘いたくなる……夜はモテルでしょう??」
「そんな事はないよ。身体が接するほど近くに座ってくれて、美味い水割りを作ってくれるし、話の相手をしてくれる。それだけで幸せだよ」
「ねぇ、今度、なにか食べに連れてってよ、同伴込みで、好いでしょう??」
「無理に誘わなくても開店早々に行くのに、強制ならしょうがないけど」
「ごめんなさい、同伴目的じゃないから食事の後、サヨナラしてもいいよ」
「ごめん、オレの方こそ言い方が悪かった。じゃぁ、来週でいいか??」
「うん、約束だよ。絶対だよ、嘘じゃないよね」
「約束する、同伴もいいよ。それ以上のことは言わないから安心して」
「今、そんな事を言わなくてもいいのに。柏木さんが相手なら雰囲気に流されちゃうかもって思っているのに、つまんない」
「オレは小心で真面目、揶揄わないでくれよ。行きたい店とか食べたいモノとかってある??」
「何でもいい、ファミレスでも好いから任せる」
「そうか……う~ん、鉄板焼きにしようか??」
「無理しなくてもいいのに、嬉しい。待ち合わせ時刻は??」
「10分くらい歩くけどいいかな??」
「うん……手をつないでもいい??ウフフッ……この辺りが地元なの??」
「違う、関西生まれだよ。学生時代、最初は溝の口に住んでいたんだけど遊び優先で引っ越してきた」
「ウフフッ、遊び優先か……じゃぁ、問題。通り過ぎた交差点は曙橋で、この先に東橋ってあるでしょう、川がないのにどうしてだ??」
「実はこの下にある。暗渠になっちゃった。ゴメンね、知らない、どうしてって言わなくて。着いたよ、ここだよ」
「お店から近いけど知らなかった。おしゃれで洒落てる」
「柏木さんと初デートで緊張しているからメニューも任せます」
「分かった、オレは肉でも白ワインなんだけど、赤の方がいい??」
「柏木さんと同じのが好い」
「バーニャカウダー、タコの何とかってのとサーロインステーキをミディアムに近いウェルダンで、あとは適当に作ってよ。ワインの銘柄は任せるからキンキンに冷えた白で」
「ごちそうさま。デザートのシャーベットまで全部美味しかったです。ありがとうございました……また、会いたいな。同伴なしの純粋デート、だめっ??」
「いいよ」
「今日は、アナアキーを確かめてもらえなかったけど諦めてないからね、ウフフッ」
<<おしまい>>
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