お伽話
心花 -30
「ほどほどにね・・・するべき事が残っているでしょう??私にも・・・」
振り返った典哉が目にしたのは真っ赤なベビードールを着けた白い肌が入浴直後という事もあって乳白色に輝く心花の色っぽい姿。
「どうしたの??私がベビードールを着けるとびっくりする??赤がいいって言ったのはフミヤだよ」
「上品な色気にドキドキする」
頭の天辺から足元まで舐めるように身体を見回し、右から左から心花の背後まで矯めつ眇めつ見た典哉は見開いた瞳を宙に向けて、フゥッ~と息を吐く。
「似合わない??それともエロさが足りない??」
「似合ってるし可愛いよ、嘘じゃない・・・ミカの違った顔を見るたびに抱きたくなる。明日、無事に家に帰れるか心配になるよ。干からびてカラカラになるまで生気を吸い取られたらどうしよう??」
「私のような好い女にすべてを吸い取られるのは本望でしょう??違うの??」
そうだな・・・と、つぶやいてグラスを口にする典哉の股間に手を伸ばした心花は口を尖らせる。
「嘘つき・・・・・」
「オレは嘘つきか??小っちゃいママなのが気にいらないか??・・・緊張や昂奮が過ぎるとそんな事があるんだよ。今のオレがそんな状態だな、エロっぽいミカの新たな一面を見て頭が消化できずにいる」
「クククッ・・・休ませてあげる。このままで寝るから朝は・・・ねっ、気持ちよく起こしてね」
カーテンを引いてフットライトだけを残してすべての明かりを消し、ベッドに入った二人は見つめ合う。
「ミカとは名前だけを交換しただけだね。苗字も住所も知らないまま・・・明日もこのままかな??」
「怒らないで聞いてくれる??・・・明日、別れるきにフミヤの連絡先だけ教えてくれる??」
「どうして??」
「フミヤと付き合うと私の生活のほとんどを占めそうな気がするの・・・それは幸せなことだと思うけど、これまで仕事を最優先で頑張ってきただけに、それでいいのかなって感じる部分が残ってる。すごく失礼でわがままなお願いだけど許してくれないかな??」
「う~ん・・・失礼とは思わないけど、わがままだと思う・・・わかった、いいよ。ミカの気持ち次第、連絡をもらえなきゃ振られたと思って諦めるよ」
「ありがとう・・・でも、そんな簡単に分かってもらえるのも寂しい気持ちもするけどね。フミヤの事は忘れられないと思うの・・・たぶん、連絡することになると思うけど一週間か二週間、仕事が人生のすべてじゃないと確信できるまで」
「待ってるよ、ミカが結論を出すのを。焦らなくていいからね・・・寝ようか」
「うん、腕枕」
典哉の腕を枕にして横たわり、眠ろうとして目を閉じても睡魔は遠ざかるばかりで穏やかな寝息を聞くと気持ちが騒ぐ。
典哉と付き合いたいと思うものの、それは仕事に集中できなくなりそうで、どちらも失いたくないと迷う心花の気持ちを知らぬげに一人で夢の世界で遊ぶ典哉の邪魔をして起こしたくなる。
恋愛から遠ざかりすぎたせいなのか、あるいはこれまでの男運の悪さが臆病にさせるのか好きな男の胸に飛び込むことが出来ない。
起こさないように気遣いながら顔の向きを変えると目の前にその胸がある。
そっと指先で胸を撫でてみる。
ウ~ン・・・ス~ス~・・・目を閉じたまま一瞬、顔をしかめたものの直ぐに何事もなかったかのように癪な寝息を漏らす。
本当に私の事を大切だと思っていれば、連絡するかどうか分からないと言っても平気なままでいる神経が理解できない。
連絡してこないはずがないと自信があるのか、あるいは好きだというのが嘘で一時の遊び相手が向こうから飛び込んできたと思っているのか不安になる。
胸に置いた指先に力を込めて睡眠の邪魔をする勇気もない。
連絡するかしないかの選択権は留保したものの、嫌われることを恐れている。
明日、私のすべてを教えるとフミヤはどんな顔で喜んでくれるだろうか。
喜んでくれるはず、そんなことを考えるうちに夢の世界の住人になっていた。
目覚めた典哉は静かにベッドを降りてミネラルウォーターで喉を潤す。
ベッドの心花は屈託なく幸せそうな寝顔を見せて清楚で理知的な雰囲気を壊す事はない。
今日が最後になるのだろうか、それとも連絡をもらえるだろうかと考えると昨夜と変わらない寝顔を見るのが苦しくなる。
ゴクッ・・・昂奮をミネラルウォーターで冷ました典哉は心花に添い寝するように横たわり、頬に手を添えて肌の感触を確かめ首から腕へと撫でていく。
手の甲を擦り、指を絡めると握り返してくる。
「気付かないと思っていた??くすぐったいから目が覚めちゃうよ・・・私にも飲ませて」
典哉が心花に触れたのはミネラルウォーターを飲んだ後で今の言葉には矛盾があり、それが気持ちに余裕を生む。
口移しに飲ませてそのままキスをする。
「ウフフッ・・・目が覚めて手を伸ばすと好きな男の肌に触れるって幸せ」
典哉を蕩かす笑みに一瞬の影が差す。
この幸せと仕事の達成感を得ることは両立するだろうかと不安が心花の脳裏をよぎる。
俯せの心花の背中から腿まで手を滑らせて、
「柔らかくて清潔感があってエロさも兼ね備えている。ミカの肌に触れると吸いこまれて同化するようで気持ちが落ち着くよ」
「いかにも色気たっぷりのエロイ女子は好きじゃないの??」
「一日中エッチしたいわけじゃなく洒落た店で買い物や食事もしたい。エロ過ぎると気が散って食事も楽しめないだろう??・・・女子の身体にもTPOを求めたい、もちろん、その前にオレがTPOを弁えなきゃいけないけどね」
「クククッ、フミヤがエロを忘れるのは難しいんじゃない・・・今日は日曜日、今日のフミヤは紳士??それとも狡猾な狼なの??」
「どうかな・・・赤いベビードールを着けたミカは欲情を刺激する小悪魔。愛に飢えた紳士は赤いベビードールと白い肌に刺激されて獣に変身する」
「ほどほどにね・・・するべき事が残っているでしょう??私にも・・・」
振り返った典哉が目にしたのは真っ赤なベビードールを着けた白い肌が入浴直後という事もあって乳白色に輝く心花の色っぽい姿。
「どうしたの??私がベビードールを着けるとびっくりする??赤がいいって言ったのはフミヤだよ」
「上品な色気にドキドキする」
頭の天辺から足元まで舐めるように身体を見回し、右から左から心花の背後まで矯めつ眇めつ見た典哉は見開いた瞳を宙に向けて、フゥッ~と息を吐く。
「似合わない??それともエロさが足りない??」
「似合ってるし可愛いよ、嘘じゃない・・・ミカの違った顔を見るたびに抱きたくなる。明日、無事に家に帰れるか心配になるよ。干からびてカラカラになるまで生気を吸い取られたらどうしよう??」
「私のような好い女にすべてを吸い取られるのは本望でしょう??違うの??」
そうだな・・・と、つぶやいてグラスを口にする典哉の股間に手を伸ばした心花は口を尖らせる。
「嘘つき・・・・・」
「オレは嘘つきか??小っちゃいママなのが気にいらないか??・・・緊張や昂奮が過ぎるとそんな事があるんだよ。今のオレがそんな状態だな、エロっぽいミカの新たな一面を見て頭が消化できずにいる」
「クククッ・・・休ませてあげる。このままで寝るから朝は・・・ねっ、気持ちよく起こしてね」
カーテンを引いてフットライトだけを残してすべての明かりを消し、ベッドに入った二人は見つめ合う。
「ミカとは名前だけを交換しただけだね。苗字も住所も知らないまま・・・明日もこのままかな??」
「怒らないで聞いてくれる??・・・明日、別れるきにフミヤの連絡先だけ教えてくれる??」
「どうして??」
「フミヤと付き合うと私の生活のほとんどを占めそうな気がするの・・・それは幸せなことだと思うけど、これまで仕事を最優先で頑張ってきただけに、それでいいのかなって感じる部分が残ってる。すごく失礼でわがままなお願いだけど許してくれないかな??」
「う~ん・・・失礼とは思わないけど、わがままだと思う・・・わかった、いいよ。ミカの気持ち次第、連絡をもらえなきゃ振られたと思って諦めるよ」
「ありがとう・・・でも、そんな簡単に分かってもらえるのも寂しい気持ちもするけどね。フミヤの事は忘れられないと思うの・・・たぶん、連絡することになると思うけど一週間か二週間、仕事が人生のすべてじゃないと確信できるまで」
「待ってるよ、ミカが結論を出すのを。焦らなくていいからね・・・寝ようか」
「うん、腕枕」
典哉の腕を枕にして横たわり、眠ろうとして目を閉じても睡魔は遠ざかるばかりで穏やかな寝息を聞くと気持ちが騒ぐ。
典哉と付き合いたいと思うものの、それは仕事に集中できなくなりそうで、どちらも失いたくないと迷う心花の気持ちを知らぬげに一人で夢の世界で遊ぶ典哉の邪魔をして起こしたくなる。
恋愛から遠ざかりすぎたせいなのか、あるいはこれまでの男運の悪さが臆病にさせるのか好きな男の胸に飛び込むことが出来ない。
起こさないように気遣いながら顔の向きを変えると目の前にその胸がある。
そっと指先で胸を撫でてみる。
ウ~ン・・・ス~ス~・・・目を閉じたまま一瞬、顔をしかめたものの直ぐに何事もなかったかのように癪な寝息を漏らす。
本当に私の事を大切だと思っていれば、連絡するかどうか分からないと言っても平気なままでいる神経が理解できない。
連絡してこないはずがないと自信があるのか、あるいは好きだというのが嘘で一時の遊び相手が向こうから飛び込んできたと思っているのか不安になる。
胸に置いた指先に力を込めて睡眠の邪魔をする勇気もない。
連絡するかしないかの選択権は留保したものの、嫌われることを恐れている。
明日、私のすべてを教えるとフミヤはどんな顔で喜んでくれるだろうか。
喜んでくれるはず、そんなことを考えるうちに夢の世界の住人になっていた。
目覚めた典哉は静かにベッドを降りてミネラルウォーターで喉を潤す。
ベッドの心花は屈託なく幸せそうな寝顔を見せて清楚で理知的な雰囲気を壊す事はない。
今日が最後になるのだろうか、それとも連絡をもらえるだろうかと考えると昨夜と変わらない寝顔を見るのが苦しくなる。
ゴクッ・・・昂奮をミネラルウォーターで冷ました典哉は心花に添い寝するように横たわり、頬に手を添えて肌の感触を確かめ首から腕へと撫でていく。
手の甲を擦り、指を絡めると握り返してくる。
「気付かないと思っていた??くすぐったいから目が覚めちゃうよ・・・私にも飲ませて」
典哉が心花に触れたのはミネラルウォーターを飲んだ後で今の言葉には矛盾があり、それが気持ちに余裕を生む。
口移しに飲ませてそのままキスをする。
「ウフフッ・・・目が覚めて手を伸ばすと好きな男の肌に触れるって幸せ」
典哉を蕩かす笑みに一瞬の影が差す。
この幸せと仕事の達成感を得ることは両立するだろうかと不安が心花の脳裏をよぎる。
俯せの心花の背中から腿まで手を滑らせて、
「柔らかくて清潔感があってエロさも兼ね備えている。ミカの肌に触れると吸いこまれて同化するようで気持ちが落ち着くよ」
「いかにも色気たっぷりのエロイ女子は好きじゃないの??」
「一日中エッチしたいわけじゃなく洒落た店で買い物や食事もしたい。エロ過ぎると気が散って食事も楽しめないだろう??・・・女子の身体にもTPOを求めたい、もちろん、その前にオレがTPOを弁えなきゃいけないけどね」
「クククッ、フミヤがエロを忘れるのは難しいんじゃない・・・今日は日曜日、今日のフミヤは紳士??それとも狡猾な狼なの??」
「どうかな・・・赤いベビードールを着けたミカは欲情を刺激する小悪魔。愛に飢えた紳士は赤いベビードールと白い肌に刺激されて獣に変身する」