おとぎ話
可愛い女
「ねぇ、お願いがあるんだけど聞いてもらえない??」
「いいよ、どうすればいい??」
「簡単に返事しても大丈夫なの??」
「頭のいい君の言う事だから、私に出来ない事を頼むわけがない。合理的に考える人だと思っているから」
「合理的か、可愛くない女だよね。今日、飲みに連れて行って欲しいの」
「珍しいね、君がそんな事を言うの」
「だめ??私は可愛くない女だから、しょうがないけどね」
「いや、行こう。楽しい方じゃなくじゃなく悪い酒のようだけどいいよ」
「仕事が思い通りに運ばなかったの・・・」
「そうか、判った。今日は定時で上がる??」
「うん、早くこの場を離れたい」
「店は私が選んでいいね??後で連絡するよ」
「ごめんなさい、ムリ言って」
「そんな事はないよ。それより、場所は判りやすかった??」
「1階のタイ料理店で食べたことがあったからすぐ判った。階段を上がった事はなかったけどね・・・いいお店だね」
「タバコは吸わないし、匂いも嫌いだけど。ここで他人の吸う葉巻やパイプタバコの匂いや漂う煙を見ているのは嫌いじゃないよ」
「私はシガーバーって初めて入ったけど、大人の男のお店って感じだね」
「オレもこの店の雰囲気が好きなんだ。それより何を飲む・・・任せてくれる??」
「うん、任せる」
「彼女にキッス・イン・ザ・ダークを。オレはブッカーズのロックをお願いします」
「暗闇でキス・・・意味深な名前だね」
「クククッ、勘繰りはナシだよ。仕事の愚痴を聞こうか??どうする??」
「愚痴を聞いて欲しかった訳じゃないの」
「おや・・・」
どうぞ・・・カウンターには深紅のキッス・イン・ザ・ダークと艶のある濃い琥珀色のブッカーズのロックが差し出される。
「きれい・・・」
「甘いし見た目に騙されて飲み過ぎちゃだめだよ。結構、強いからね・・・」
「ふ~ん、飲みすぎてみようかな・・・」
「意外だね、甘え上手なんだ・・・」
「うそっ、そんなことを言われたことがない。自分でも思うけど私は可愛げのない女だから」
「誰かに言われたことがある???」
「う~ん、はっきり言われたことはないけど、男性の視線がそう言っているような気がする」
「オレの視線にも感じてた??」
「あなたは違う。自信家だから、私に負けるとは思っていない・・・違う??」
「半分当たりで残りはハズレ」
「そう、当たったのは??」
「自信家は当たり。君に負けると思っていないの部分は考えたこともない」
「自信家なんだ??」
「そう、自信はあるよ。出来ることには自信がある、できないことには自信がない」
「言われてみれば・・・苦手かなと思う事は、後輩にも平気で聞いてるね・・・私も、こんな事を知らないのって思うような事を聞かれた事がある」
「そうか、そんなに情けない事を聞いたか」
「フフフッ、そんなとこが好き・・・あっ、勘違いしないで人間として好きってことだよ」
「可愛いね・・・」
「えっ・・・」
「お酒はあまり強くないのかな、目の縁が赤くなってるよ」
「なんだ、そっちか・・・飲みなれてないから。何度も言うけど、可愛くない女だから誘われる事もないしね」
「君は勘違いしてるよ。男が君を誘わないのは仕事が出来るし、美人でファッションセンスもフェミニン系でまとめた好い女。スキがなさすぎるんだよ」
「ウソ、そんなこと考えたこともない」
「君はシャープで好い女。少しスキを見せる女性を可愛いな、守ってやりたいなって思う男が多いよ」
「甘え上手は可愛い女??」
「そうだと思うよ。猫なで声でゴロニャーンじゃなく、素直に気持ちを表現すればいいんだよ」
「私は、頑張り過ぎているのかな??」
「断言できないけど、たぶんね。でも無理して合わせる事はないよ、それじゃ魅力が損なわれる。好い女に相応しい男が現れるよ」
「本当に??・・・なんか自信が湧いてきた、お代わりをください。酔ったら介抱してくるでしょう??」
「オレで良いならね。君が思っているより危険な男かもしれないよ」
「平然と言うところが自信家の表れだね。あなたになら壊されてみたい、甘え上手な女にしてくれる??」
「今日はやめとこう。酔った君の弱みに付け込んだりしたくない」
「そう、期待して損しちゃった。今日の事は忘れてくれると嬉しいな・・・休み明けにあなたの顔を見られなくなっちゃう」
「酔った君を一人で帰すのは不安だからホテルの部屋を取ろうか・・・」
「帰る・・・優しい振りをされると惨めになるから」
「今晩は手を出さないって約束する。目覚めて酔いが醒めていたら、告白させてほしい。付き合ってほしいと・・・返事は直ぐでなくてもいいから」
「ほんとう??嘘じゃないのね??・・・酔ってないと保証するから今、告白してほしいな」
「オレと付き合ってほしい。出来ることなら返事をすぐに聞きたい」
「ありがとう。こんな私でよかったら、あなたのそばにいたい」
「オレの方こそありがとう。これからオレの前では弱音を吐く、そしてオレに頼る・・どう出来る??」
「うん、その言葉を聞きたくて誘ったんだから・・・ホテルの部屋を取るんでしょう??」
<<< おしまい >>>
「ねぇ、お願いがあるんだけど聞いてもらえない??」
「いいよ、どうすればいい??」
「簡単に返事しても大丈夫なの??」
「頭のいい君の言う事だから、私に出来ない事を頼むわけがない。合理的に考える人だと思っているから」
「合理的か、可愛くない女だよね。今日、飲みに連れて行って欲しいの」
「珍しいね、君がそんな事を言うの」
「だめ??私は可愛くない女だから、しょうがないけどね」
「いや、行こう。楽しい方じゃなくじゃなく悪い酒のようだけどいいよ」
「仕事が思い通りに運ばなかったの・・・」
「そうか、判った。今日は定時で上がる??」
「うん、早くこの場を離れたい」
「店は私が選んでいいね??後で連絡するよ」
「ごめんなさい、ムリ言って」
「そんな事はないよ。それより、場所は判りやすかった??」
「1階のタイ料理店で食べたことがあったからすぐ判った。階段を上がった事はなかったけどね・・・いいお店だね」
「タバコは吸わないし、匂いも嫌いだけど。ここで他人の吸う葉巻やパイプタバコの匂いや漂う煙を見ているのは嫌いじゃないよ」
「私はシガーバーって初めて入ったけど、大人の男のお店って感じだね」
「オレもこの店の雰囲気が好きなんだ。それより何を飲む・・・任せてくれる??」
「うん、任せる」
「彼女にキッス・イン・ザ・ダークを。オレはブッカーズのロックをお願いします」
「暗闇でキス・・・意味深な名前だね」
「クククッ、勘繰りはナシだよ。仕事の愚痴を聞こうか??どうする??」
「愚痴を聞いて欲しかった訳じゃないの」
「おや・・・」
どうぞ・・・カウンターには深紅のキッス・イン・ザ・ダークと艶のある濃い琥珀色のブッカーズのロックが差し出される。
「きれい・・・」
「甘いし見た目に騙されて飲み過ぎちゃだめだよ。結構、強いからね・・・」
「ふ~ん、飲みすぎてみようかな・・・」
「意外だね、甘え上手なんだ・・・」
「うそっ、そんなことを言われたことがない。自分でも思うけど私は可愛げのない女だから」
「誰かに言われたことがある???」
「う~ん、はっきり言われたことはないけど、男性の視線がそう言っているような気がする」
「オレの視線にも感じてた??」
「あなたは違う。自信家だから、私に負けるとは思っていない・・・違う??」
「半分当たりで残りはハズレ」
「そう、当たったのは??」
「自信家は当たり。君に負けると思っていないの部分は考えたこともない」
「自信家なんだ??」
「そう、自信はあるよ。出来ることには自信がある、できないことには自信がない」
「言われてみれば・・・苦手かなと思う事は、後輩にも平気で聞いてるね・・・私も、こんな事を知らないのって思うような事を聞かれた事がある」
「そうか、そんなに情けない事を聞いたか」
「フフフッ、そんなとこが好き・・・あっ、勘違いしないで人間として好きってことだよ」
「可愛いね・・・」
「えっ・・・」
「お酒はあまり強くないのかな、目の縁が赤くなってるよ」
「なんだ、そっちか・・・飲みなれてないから。何度も言うけど、可愛くない女だから誘われる事もないしね」
「君は勘違いしてるよ。男が君を誘わないのは仕事が出来るし、美人でファッションセンスもフェミニン系でまとめた好い女。スキがなさすぎるんだよ」
「ウソ、そんなこと考えたこともない」
「君はシャープで好い女。少しスキを見せる女性を可愛いな、守ってやりたいなって思う男が多いよ」
「甘え上手は可愛い女??」
「そうだと思うよ。猫なで声でゴロニャーンじゃなく、素直に気持ちを表現すればいいんだよ」
「私は、頑張り過ぎているのかな??」
「断言できないけど、たぶんね。でも無理して合わせる事はないよ、それじゃ魅力が損なわれる。好い女に相応しい男が現れるよ」
「本当に??・・・なんか自信が湧いてきた、お代わりをください。酔ったら介抱してくるでしょう??」
「オレで良いならね。君が思っているより危険な男かもしれないよ」
「平然と言うところが自信家の表れだね。あなたになら壊されてみたい、甘え上手な女にしてくれる??」
「今日はやめとこう。酔った君の弱みに付け込んだりしたくない」
「そう、期待して損しちゃった。今日の事は忘れてくれると嬉しいな・・・休み明けにあなたの顔を見られなくなっちゃう」
「酔った君を一人で帰すのは不安だからホテルの部屋を取ろうか・・・」
「帰る・・・優しい振りをされると惨めになるから」
「今晩は手を出さないって約束する。目覚めて酔いが醒めていたら、告白させてほしい。付き合ってほしいと・・・返事は直ぐでなくてもいいから」
「ほんとう??嘘じゃないのね??・・・酔ってないと保証するから今、告白してほしいな」
「オレと付き合ってほしい。出来ることなら返事をすぐに聞きたい」
「ありがとう。こんな私でよかったら、あなたのそばにいたい」
「オレの方こそありがとう。これからオレの前では弱音を吐く、そしてオレに頼る・・どう出来る??」
「うん、その言葉を聞きたくて誘ったんだから・・・ホテルの部屋を取るんでしょう??」
<<< おしまい >>>