堕ちる・調教ー5
スイッチを切ることなく手にしたバイブの大きさと形状を確かめた瑞樹は、暗闇の中で誰にも見られることなく笑みを浮かべ、間違えることなく先端に舌を這わせパクリと口に含む。
ヴゥ~ンヴゥ~ン・・・くぐもった音に変化するとペンライトが瑞樹の顔を照らし、バイブを含んだ口元が灯りの中で丸見えになる。
ヌチャヌチャッ・・・ヴゥ~ンヴゥ~ン・・・そこだけが暗闇の中で明るく照らされても瑞樹は動きを止めることなく、竿部に舌を絡ませて顔を前後し、さも愛おしそうにフェラチオを施す。
新田を見つめる瑞樹の瞳は泣いているかのように潤み、焦点があっているのかさえ定かでない。
ペンライトが照らす中でバイブは口から引き抜かれ、別れを惜しむかのように唾液が糸を引く。ペンライトが誘導して下半身から股間を照らし、バイブもその後を追う。
バギナを弄っていたためにベビードールは、はだけてオープンショーツが隠し切れない恥毛を明らかに晒す。濃くはない恥毛が愛液にまみれて恥丘に張り付き、その奥に隠れているはずのバギナが丸見えになっている。
ウッウッ、アッアッアウンッ、アァ~ン・・・ライトに照らされてキラキラ光る花弁をかき分けてバイブは侵入し、二度三度と出し入れを繰り返すと、早くも艶かしい喘ぎ声を漏らし始める。
ライトに照らされた自らの秘所をバイブで慰める瑞樹は、闇の向こうで見ているはずの新田を意識して身悶える。
見えない視線に犯され、バイブに責めたてられる身体は昂ぶりを隠すことが出来ずに頂上近くまで昇りつめる。
「見てる??・・・ねぇ、見てる??気持ちいぃの・・・答えて、エッチな私に興奮する??」
瑞樹の股間を照らしていたペンライトが新田のペニスを照らす。
「エッ、うそ、すごいっ・・・私が真っ暗闇で独りエッチするのを見て、そんなになったの??嘘でしょう??」
「嘘なもんか、オレの大切な瑞樹が独りで気持ち良くなるのを想像するだけでココは、こんなに怒っちゃったよ」
「エッ、怒ってるの??私は貴男のモノだから??」
「そうだよ。オレの瑞樹がオレ以外、たとえ瑞樹の指やオモチャでも気持ち良くなるのは許せない」
「ウフフッ、嬉しい。私は貴男のモノ、無茶でもなんでも、そう言われると嬉しいの・・・」
「瑞樹はオレの女だ。オレ以外の男に目を向けるなよ」
「ほんとう??確かめても良い??・・・私は逃げたり隠れたりするから真っ暗な中で捕まえて・・・私の事が大切なら出来るでしょう・・・ハァハァッ・・・」
自分の言葉に興奮して息を荒げる瑞樹は真っ暗な中でカクレンボしようと言う。
「良いよ、ライトを消した瞬間にゲーム開始だよ。捕まえて瑞樹はオレの女だってことを身体に刻み付けてやる」
新田の股間でそそり立つモノを照らし、瑞樹の股間を蠢く卑猥な指をあからさまにしたライトがゆっくりと部屋を一周して家具の位置を確認し、闇の世界に戻っていく。
「ゲーム開始だよ。オレに捕まっちゃうとマンコや口だけじゃなく尻も犯されちゃうぞ。さぁ、逃げろよ」
「やだっ、やられちゃうの??良いよ、捕まったらね・・・いつまでも逃げるから」
ゴツンッ、痛っ・・・足元はおろか、指先さえも見えない真っ暗な中での鬼ごっこ、逃げ回ると言っても自由に動けるわけではない。
「大丈夫か??気を付けろよ、大丈夫なの??・・・そうか、声を出せば場所が分かっちゃうもんな。探すぞ・・・捕まえて、瑞樹を食べちゃうぞ」
クククッ・・・新田の独り言がおかしくて瑞樹は手で口を押さえたにもかかわらず含み笑いを漏らしてしまう。
瑞樹は素早く移動して耳をそばだて、新田の気配を探る。両手を伸ばし指先に神経を集中して記憶の中の障害物に気を配る。
衣擦れの音さえも防ごうとしてベビードールの裾を摘まみ、壁際に移動して一休みする。
たかが二人のゲーム、セックスの愛撫代わりと思っても負けたくはない。
ドクドクッ・・・右手を左胸に当てると、鼓動が新田に聞こえてしまうのではないかと心配になるほど激しくなっている。
ハァハァッ・・・ハァァ~、フゥッ~・・・荒くなる息遣いと鼓動を押さえようとして、大きく息を吐き、音を立てずにゆっくりと胸一杯に吸い込む。
新田は両手を左右に伸ばして触れるモノの正体を感覚で確かめながら大胆に移動する。
音を絶つことに注意を払う事もなく移動するため瑞樹は容易く、その位置を知り静かに遠ざかる。
堕ちる・調教ー4
「あぁ、嫌いになっちゃうよ・・・スケベな瑞樹が大好きなのに、それを見て興奮するオレを笑うような瑞樹は嫌いだよ」
「クククッ、笑わせないで・・・冷めちゃうよ、止めても良いの??」
「これを見ても冷めちゃうか??」
新田は股間にそそり立つ男根に指を添えて二度三度ピストン運動をする。
「クククッ・・・並んでオナオナする??・・・ダメッ、貴男は自分でしちゃダメ。私が必要なくなっちゃう。チンチンは私のモノなの、貴男は触っちゃダメ・・・見ていてね、エッチな事をするから見てくれなきゃ嫌。私のチンチンは私が興奮させるの」
両手の中指の先端に舌を這わせて滑りを与え、ベビードール越しに乳房の先端をクチュクチュ撫でる。
アンッ、ハァハァッ~・・・しどけなく開いた口が甘い吐息を漏らし、焦点の定まらない視線を新田に向ける。
ゴクッゴクッ・・・瑞樹の痴態を見つめる新田は興奮で乾いた唇を癒すために音を立ててジントニックを飲む。
「ねぇ、見てる??独りエッチするのを見られると恥ずかしい・・・」
「オレの視線を意識して恥ずかしいなら、見えないようにしよう」
「えっ、目隠しされるの、怖い。何も見えないのは怖い」
独りエッチを続けなさいと言い置いて新田は席を立ち、遮光カーテンを引いて月明かりを遮断し、アロマライトの灯りを消して真っ暗にする。
「いやっ、怖い。何処にいるの??・・・エッ、なに??どうするの??」
前も横も上も下も何も見えず、自分の指先さえも見えないほど真っ暗になって不安と恐怖に苛まれ始めた瑞樹は一筋のライトに照らされる。
「オレには見えるよ。真っ赤なベビードールを着た瑞樹が誰にも見られないと思ってオナニーしているのが丸見えだよ・・・続けなさい、誰も見てないから」
ペンライトが瑞樹の身体を照らす。
腹部を照らしたライトは舐めるように上がって、乳首を刺激する指が姿を現す。
「アンッ、スケベ・・・変な事ばかり思いつく、いやらしい男」
新田は無言でペンライトを操る。
乳房を照らしていたライトが股間をあからさまにすると瑞樹の指がその後を追う。
「ウフフッ、スケベなマンコガ寂しいって言ってるよ。その声がオレにまで聞こえる・・・可愛がってあげなさい」
股間を照らされるだけで真っ暗闇の中で見えるはずもないのに頷いた瑞樹は、指先に滑りを与えて股間に伸ばす。
オープンショーツを開いた左手を割れ目に添える。
暗闇で真っ赤に咲き誇る花弁が姿を現し、朝露に濡れたように艶々と輝くそれは可憐にさえ見える。
「見てね・・・昔はこんなじゃなかったのに、貴男に会ったせいでスケベになった私を見てね」
クチュクチュ、ヌチャヌチャッ・・・早くも指の蠢きと共にバギナは卑猥な音を奏で、その音を楽しむかのように新田はライトを消してしまう。
「続けなさい・・・瑞樹の魅力は目で確かめるだけじゃない。耳でも良い女だって思わせてくれるだろう??」
「ハァハァッ、いやらしい男・・・でも大好き。私がどれほどエッチな女か、耳で確かめて」
クチュクチュッ、ヌチャヌチャッ・・・ハァハァッ、いいの。気持ちいぃ・・・ヌチャヌチャ、グチャグチャッ・・・・・アンッ、アッアッ、ウググッ、ウゥッ・・・真っ暗闇の中に低く響く音は次第にねっとり粘っこいものになり、甘い吐息が間断なく漏れる。
ハァハァッ・・・クチャクチャ、グチュグチュッ・・・ウッウッ、アンッ・・・閉め切った窓とカーテンが通りを走っているはずの車の音を遮断し、部屋の中は新田が堪え切れずに漏らす荒い息とバギナが悦びを漏らす音、そして瑞樹の甘い吐息だけが支配する。
官能的な香りが充満する部屋は、二人を気だるく淫蕩な気持ちにさせ暗闇の中で見えるはずのない相手を想像して興奮を倍加する。
ヌチャヌチャッ・・・シュッシュッ・・・ゴクッ・・・ジュルジュルッ・・・アンッ、美味しい・・・暗闇の中でバギナを掻き回す指の音とベビードールのささやかな衣擦れの音が新田の想像をたくましくさせる。唾を飲んで一瞬の落ち着きを取り戻したものの、愛液にまみれた指を舐める音と美味しいと言う囁き声を聞くと股間は限界まで膨張する。
新田はバイブを手に取りスイッチを入れる。
アンッ、いぃの、マンチャンを弄ると気持ち良くなっちゃう・・・ヴゥ~ンヴゥ~ン・・・エッ、何??どうしたの??・・・真っ暗闇にまぎれて自らの指を股間に伸ばし、独りエッチで喜悦の声を上げていた瑞樹は突然の振動音に驚きの声を上げる。
灯りを点けることなく暗闇の中で新田はバイブを差出し、振動音の聞こえる方向に手を伸ばした瑞樹はそれを受け取る。
堕ちる・調教ー3
口腔を新田の舌が這い回り、与えられる快感と安心感で崩れ落ちそうになる身体を支えられる。
身体を支えながら新田の右手は腰を撫で、尻を擦る。
両足の間に入り込んだ右足が股間を刺激する・・・下半身を刺激され口腔を舌で凌辱される心地良さ。
刺激に飢える乳房を新田の胸に押し付け、自然な振舞いを装って左右に揺すりたてる。
ジュンッ・・・蜜の滴りを感じる。
「アンッ・・・いやっ」
「感じてくれているんだね・・・可愛いよ」
「イヤンッ・・・分かるの??恥ずかしい」
「恥ずかしい事なんてあるもんか。満員電車で目の前に立つ見知らぬ男に催したりしないだろう??オレだからだろう??気持ち良くなってくれて嬉しいよ」
瑞樹は新田の胸に顔を埋めて肩を震わせる。
「何が楽しいの??」
「ウフフッ・・・分かった??なんで泣いてんだよ、オレがいるのにって言ってくれると思ったのに」
「前にもあったろう、そう何度も引っかからないよ・・・可愛いな、瑞樹は。大好きだよ」
上目遣いに新田を見つめる視線の艶めかしさに股間が元気を取り戻す。下腹部に熱を感じた瑞樹は身体を押し付けて異変を確かめ、私の勝ちだねとばかりに口元を緩める。
「ウフフッ、熱い。私の身体で興奮してくれる貴男を見るのが好き・・・ねぇ、見たい??久しぶりに見せてあげようか??」
「スケベな瑞樹に挑発されたいな。我慢できないくらい興奮させてくれよ」
「クククッ、いいよ。襲われるのを覚悟して挑発してあげる・・・」
待っていてくれるね、と声を掛けてジントニックを飲み干し二杯目を作り始める新田を追う瑞樹の瞳は赤く燃える。
二杯目のジントニックを手にして素っ裸のままソファに座り、グラスを揺すってカラカラと湿った音を立てる。
氷が奏でる音を合図にしたかのように瑞樹は新田に近付いて片手を肩に置く。
「エッチな気分にさせようとして視覚と嗅覚を刺激する貴男は本当にスケベ」
「後でわずかに残っている視覚も奪っちゃうよ・・・興奮するだろう??」
「アンッ・・・目隠しされちゃうの??貴男の考えている事は分かる・・・触覚も奪おうと思っているでしょう??その後、縛られちゃうんだよね、いいよ、我慢する」
Mっ気のある好い女はワガママなもので、巧みに男の責めを自分好みに誘導する術を心得ている、それを承知している新田はあえて瑞樹の誘導に乗る。
瑞樹が満足するセックスは新田にとっても不満に思う事なく頂上に昇ることが出来る。
チュッっと音を立てて新田の頬に唇を合わせた瑞樹はテーブルのそばに戻って床に座る。
床を青く染めるアロマライトが、真っ赤なベビードールから伸びるムッチリな太腿も淡く照らして幻想的な景色をつくり、カーテンを開けた窓から忍び込む月明かりがユラユラと揺れる瑞樹を映し、妖しい魅力に新田はゴクリと唾を飲む。
前開きのベビードールのため瑞樹が動くたびに真っ赤なショーツが姿を現し、黒いモノがチラチラと見える。
「チョイと聞くけど、瑞樹が動くたびに股ん処にワカメが見えるんだけど、それはアレか??」
「そうだよ。貴男の大好きなヒモパンのオープンショーツを穿いているから・・・嬉しいでしょう??」
床に座って両足をM字に開きショーツの割れ目に指を添える。
「見える。オレの好きな股開きパンツだ。本当にヒモパンなの??・・・あっ、本当だ。瑞樹が結び目を解いちゃダメだよ」
股間から徐々に撫で上がった両手が乳房を揉み始める。
真剣に目を凝らして見つめる新田を見る瑞樹は、クククッと含み笑いを漏らす。
「うんっ??どうした??」
「だって、貴男にとって珍しくないはずのモノを真剣に見てるんだもん。おかしくって・・・」
「ヤナ感じだなぁ・・・いいよ、もう寝る。今日は疲れたから」
「ごめんなさい・・・続けるから見て、お願い。もう笑ったりしない・・・」
シュッシュッ・・・ベビードールがこすれて淫靡な音を立て、瑞樹の両手が胸を這い回る。
早々に気持ち良くなり始めたのを見つめられる瑞樹は、
「妬いちゃいけない、仕事だと思っても今日は念入りに抱いているんだろうなって思うと・・・ごめんなさい、私はワガママなの・・・アンッ、我慢出来ない。見てね、エッチな私を見て・・・」
ベビードール越しに乳房を揉んでいた右手を口に含んで指先を湿らせ、乳房の先端を弄る。
「アンッ・・・いぃの、気持ちいぃ。乳輪をなぞって乳首の先端をコリコリすると気持ち良いの。見てる??見てるの、エッチな私は嫌いになる??」
堕ちる・調教ー2
「あのね、瑞樹はひどく残念な誤解をしている。自分で思っている以上に好い女だし、オレにとっちゃ何物にも代えがたい宝物だよ」
「クククッ・・・自分でも好い女だって思っているよ、でも貴男に対する私は冷静ではいられないの、知ってるでしょう・・・私にとって他の男はどうでも良いし、貴男のそばに居たいだけ・・・それだけ」
そんな殊勝な事を言いながら、新田を意のままに動かして髪の毛1本から足指の先まで紗耶香の痕跡を絶対に残すまいと磨き上げた行為を微笑ましく思う。
先に出るよと言い置いてバスルームを出ようとすると、待ってと声がかかる。
バスタオルを手にした瑞樹は、
「ダメッ、知っているでしょう??今日は拭くのも私、動かないで立ってなきゃダメ・・・クククッ、これは邪魔だなぁ、こんな所に堅くてぶっとい棒をぶら下げて」
ぶら下がる事なく、宙を睨む新田のモノを見つめて隠しようのない嬉しさを声に滲ませて股間ばかりを丁寧に拭こうとする。
今にも唇を被せそうになるほど近付くので股間は尚もいきりたち、ついには先走り汁が滲み出る。
「意地悪だなぁ、瑞樹の事をこんなに大切に思っているのに分かってくれないのか・・・」
「ふ~ン、信じても良いのかなぁ??・・・今日も仕事にかこつけて何処かの誰かさんと好い事をしてきたようだし・・・どうしようかな??」
不安な気持ちをいささかも感じさせない言葉を並べ、拗ねた振りをして新田を困らせる。
「2日間だけど休暇を取ったから何処か温泉にでも行こうと思っていたけど、独りで行くことにするか、信用してくれない人と一緒じゃ楽しくないからな」
「ふ~ん、そうなんだ。今の仕事が一段落したら何処かに連れて行ってくれるって言ったのは嘘だったんだ・・・ふ~ん、良いよ、留守番してるから」
「フフフッ・・・先に出るよ。拭いてくれて、ありがとう」
「足を拭かなきゃダメだよ。平気で足跡を残して歩き回るんだから・・・分かった??」
振り返りもせずバスタオルを頭上で振って分ったよの言葉に替えた新田は、声を漏らす事なく笑みを浮かべる。
「もう、意地悪ばかり言うんだから・・・フフフッ、ウフフッ・・・」
聞こえよがしに愚痴をこぼした瑞樹の表情にも憂いは無く、影さえ見えなくなると声を立てて笑う。
素っ裸のまま、タンブラーに氷と水を入れて軽く掻き回し、グラスが冷えたところで水を捨ててライムを絞る。
ジンを注ぎ入れて静かにトニックウォーターで満たし、軽くステアして出来上がり。
ジントニックを一口飲んだ新田は満足そうに目を細める。
ビールグラスを冷凍庫に入れ、アロマライトを点けてエキゾチックな香りのイランイランをベースに調合してもらった官能的なオイルを数滴たらす。
部屋の灯りを落とし、カーテンを開けて月明かりを招き入れる。
床に置いたアロマライトが足元を青く照らし、部屋は月明かりが淡く覆う。
「ウフフッ・・・エッチな香り。私をその気にさせるために挑発してるの??それとも、よそでお気に入りの女を満足させたことに対するお詫びなの??」
真っ赤なベビードールを着た瑞樹は嫣然として薄明りの部屋の入り口に立ち、落ち着いたはずの新田の股間を刺激する。
「大好きな瑞樹の魅力を倍増しようと思って準備したんだけど、気に入ってくれた??」
「うん、こういうムード作りが好きだよ。五感を刺激するセックス、貴男に慣らされちゃったから・・・」
目隠しで視覚を遮らなくても薄明りにしたり灯りの色を変えたりするだけで刺激に敏感になる。爽やかでスッキリする香りがあるように官能をくすぐりエッチな気分になるものもある。
愛する男に聴覚や触覚を遮られると僅かな刺激に敏感になり、官能が豊かになる。満たされたセックスを行うと新田の汗の香りや吐く息さえも心地良く感じられて一体になりたいと思う。
ギャンブル好きでカジノに借金を作り、返済のために我が身を任せる女をスカウトする新田はセックスでも蕩かす腕を持つ。
新田が唾を飲む気配を感じた瑞樹は満足の笑みを漏らし、
「私の飲み物を用意してくれないの??」
ジントニックを一口飲んだ新田はグラスをテーブルに置き、冷凍庫からビールグラスを取り出してビールを注ぎ、瑞樹に手渡す。
「冷たい、こんな心遣いが好き・・・ゴクゴクッ・・・美味しい」
喉を鳴らして半分ほどを一気に飲んだ瑞樹は満足の笑みを浮かべ、キスを求めて目を閉じる。
そっと抱き寄せて唇を重ね、瑞樹の持つグラスを受け取りテーブルに置く。
「可愛いよ・・・真っ赤なベビードールが良く似合ってる。白い肌が映える」
「私が赤やピンク、オレンジの下着を着けるのが好きでしょう。貴男好みの女になりたいの・・・貴男色に染まりたい」
新田はそれ以上、何も言わなくていいとばかりに舌を押し入れ、背中を抱く手に力を込める。
一瞬、何かに抵抗するように強い光を帯びた瞳が閉じて膝から力が抜けていく。
堕ちる・調教ー1
「ただいま・・・」
「お帰りなさい・・・お風呂の用意できてるよ、すぐに入って」
「分った・・・入るよ」
瑞樹に視線を向けても部屋の掃除を止めることなく、顔を合わせようともしない。
従順に見えて頑固。たとえ新田が相手でも、気に入らない事があると頑として主張を曲げない瑞樹の性格を知り尽くしている積りなので、あえて異を唱えることなくバスルームに向かう。
頭から始めて全身にシャワーを浴び、バスタブに浸かって全身を伸ばして目を閉じる。
ホテルの部屋を出る新田を見送った紗耶香の視線が思い出される。
胸に憂いを秘めた様子が瞳に宿っていた。
「明日は店に出るまで用はないんだろう??レイトチェックアウトをフロントに告げとこうか??」
「えっ・・・良いの??そうしようかな」
明日は店をはねた後、カジノでセックスチェックを受ける事になっている。
自室で悶々とその事を考えるより、ここでゆっくりと過ごして店に出た方が気分的に楽かもしれないと思う。
1500万円の借金を作った事を知らないはずの新田の気遣いが今は嬉しいと同時に申し訳ないし心苦しい。
「そうしなよ。じゃ、充分なデポジットを入れてチェックアウトが遅れる事を言っとくからね」
自然な素振りで紗耶香の腰に手を回して抱き寄せ、唇を合わせる。
「ハァハァッ・・・ドアを開けたままで、キスなんて。ホテルの廊下って公道と同じなんでしょう??」
「駅前でキスしたのを忘れちゃったのか??」
「あっ、そうだった、思い出した・・・アンッ、濡れてきちゃった・・・」
「クククッ・・・それじゃ、ここで良いよ。もう一度シャワーを浴びてアソコをきれいにして寝るんだよ・・・次に会う時はお土産を楽しみにして良いよ」
バシャバシャッ・・・何か言いたげに潤んだ瞳で見つめられると仕事とはいえ心が痛み、その瞬間を思い出した新田は手にすくった湯で顔を洗い記憶を振り払う。
瑞樹の気配がする。
衣服を脱ぐ音が途絶えて入って来る準備が終わったと思った瞬間、パチッッと音がして前触れもなくバスルームの灯りが消されてしまう。
見えない瑞樹に向かって話しかける。
「瑞樹の腰から尻を経て太腿に続くムッチリラインが好きなのを知っているだろう・・・どうして、暗くするんだよ」
「誰かさんと比べられたら嫌だもん・・・」
窓から忍び込む月明かりに照らされた白い肌が妖艶に輝き、疲れているはずの股間に力が漲る。
「どうしたの??びっくりしたような顔をして・・・」
「好い女とは思っていたけど、これほどとは・・・おいで、いつものようにオレの腿を跨いで座りなよ」
「ダメ、そんな言葉で騙されたりしないから・・・出なさい、ここへ座りなさい。早く・・・頭から足まで、きれいに洗ってあげる」
こんな時の瑞樹に逆らっても得にならない事を学んでいる新田は、素直にバスタブを跨ぐ。
「えっ、ウソ、どうしたの??・・・してきたんでしょう??」
新田の股間のモノは腹を打たんばかりに隆々とそびえ立ち、薄暗い中でも驚きの表情がはっきり分かる瑞樹は声を漏らしたばかりの口を押え、残る手を伸ばしてペニスに指を添える。
「熱い・・・どうして??しなかったの??」
「やったか、やんなかったは別にして月明かりの中の瑞樹の美しい裸身を見た正直な反応だろうな」
「クククッ・・・嬉しがらせようとしているの??そんな事はしなくても良いよ」
瑞樹は嬉しそうに顔をほころばせ、早く座りなさいと手と表情で急き立てる。
スカウトを終えた女性と最後に会った日は必ず行う儀式のようなもので、逆らうことなくバスチェアーに座ると手加減することなくシャワーを浴びせかけられる。
全身に振りかけたボディソープを泡立たせ、ハァハァと息を荒げて磨き上げるが如くに洗う。
自分以外の女性の気配は一切残さないと心に決めたような洗い方で、逆らったり苦情を言えたりする雰囲気ではない。
手足の指に至るまでこれでもか言うほどに洗い、最後に髪を洗った瑞樹はようやく納得して顔を綻ばす。
「ウフフッ、これでようやく貴男は私のものになった・・・我慢してくれて、ありがとう」
「我慢だなんて、そんな事はないよ・・・妬いてくれているんだろう??外で何をしようがどうでも良い、なんて言われるよりいいよ」
「ほんとう??私の心の内をぶちまけたら貴男は何て言うんだろうって、それが気になるの・・・でも、そんな事は言わないよ。口にすることで生じるリスクを考えたら黙っている方が良いもん」
帰宅後の一つ一つが十二分に胸の内をぶちまけているよと言う思いを飲み込んで、苦笑いを浮かべる。