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彩―隠し事 190

獣欲 -4

下着を着けずにタオルを巻いただけで戻ろうかと思った彩は物欲しげに見られるのは嫌なので、バッグから取り出したベージュのフルバックショーツを穿いてセットのブラジャーを着ける。
鏡に映してみると身体のラインを美しく見せてくれるけれど、女性らしい色気に欠ける気がしてレースなど装飾のある下着を用意しなかったことが悔やまれる。
この期に及んで何を考えているのだろうと思うし直ぐに脱ぐことになるかもしれないけれど、直前まで美しく居たいと思うのが女。

「お待たせいたしました。汗を流してきました」
ジーンズとTシャツ、バッグを一まとめにして座っていたソファに置いた彩は、羞恥と不安や期待を綯い交ぜにして微かに朱に染めた顔を俯いたまま立ち尽くす。
「余計なことですが成熟した女性の持つしっとりとした色気が滲み出てゾクッとするほど美しいです」
「そんな風に褒められるのは慣れていないので恥ずかしいです」
「ないとは言わせませんよ。謙遜が過ぎると同性に嫌われますよ……それでは始めましょうか。タオルを外してください」
浮かべる笑みは清潔感があって羞恥や不安を薄めてくれるし言葉はくだけ過ぎることなく、あくまで事務的に進めてくれるので卑猥な思いを感じる自分を恥ずかしく思う。

外したタオルを折り畳んでジーンズやバッグのそばに置き、胸の膨らみや股間を隠したくなる自分を叱咤して銀細工師から外した視線を正面に向けてすっくと立つ。
「彩さんの白い肌を飾るのはプラチナもいいですが華やかな金もよく似合うと思います。下着は邪魔になるので脱いでください……後ろ向きになるので脱ぎ終えたら教えてください」
ハダカンボを見られるよりも下着を脱ぐ姿を見られる方が恥ずかしいこともある。
ブラジャーを外してショーツを脱ぎ、Tシャツとジーンズの間に挟んで、そっと息を吐き、
「脱ぎました」
「プラチナチェーンがよく似合っています。今度のアクセサリーも彩さんの美しさを際立たせると思います」
ヒッ……話しながら背後に回った男が金のチェーンが飾るはずの背中に指を這わせると彩の口から驚きの声が漏れる。
「このままで待っていてください」
再び先ほどのドアの向こうに姿を消す。

今着けているプラチナチェーン製下着を受け取ったのは雑居ビルの二階にある工房兼店のような場所で雑然としていたが、ここは住まいにしているような清潔感がある。
健志は友人でもあるこの男に彩を抱かせようとしているのだろうか……清潔感があるし指先まで手入れが行き届いているし細かい仕事する手は繊細な動きをする。
仕事で培った想像力とデリケートな動きをするあの手で身体をまさぐられたらどんなに気持ちいいだろうと妖しいときめきが芽生える。

姿を見せた男はスタンドミラーを運び、彩が全身を見ることのできる位置に置いて蹲り、プラチナチェーンに指を這わせる。
腰を一周する指は肌に直接触れることなくチェーンをなぞるだけなのに彩の心臓はドクドクと全身に熱い血を届け、口から飛び出してしまいそうなほど鼓動が早くなる。
前後の区別をするためと装飾ためにつけられたダイヤを撫でて、
「美しい女性にはダイヤが似合いますね。今度のアクセサリーにも付ければよかったかな……」ダイヤの部分は独り言のように漏らす。
ハァハァッ……肌が朱に染まり、腹部が波打つほど息を荒げているのを気付かないはずはないのに男の指は腹部から大陰唇の縁を通り、会陰部を経て尻の割れ目に隠れて再び腰を一周するチェーンにつながるのを確かめるように指を這わせる。

ハァハァッ……荒い息が落ち着く暇を与えられることなく男の指は恥毛を刈り取られた恥丘を撫で、言葉をかけることなく大陰唇に指を添えて真っ赤な花弁をあからさまにし、左右のチェーンで挟むようにクイクイとしごく。
「イヤッ、何を確かめているのか分からないけど遊ばれているようで堪えられない……」
「ごめんなさい……鍵をお持ちですか??サイズ合わせのためにゴールドチェーン下着と穿き替えていただきます」
抗議をする積りはなかったがプラチナチェーンを触れる男の動きに羞恥を覚え、それが密かな快感となって昂ぶる気持ちを言葉にすると男は客と細工師の関係に戻ってしまう。

バッグに入れてあった鍵を受け取ると、男は失礼しますと声をかけて錠を解いてプラチナ製下着を脱がせる。
二人しかいない部屋で、素っ裸で立つ彩を見つめる男はゴクッと唾を飲み、彩は自分の身体に性的感情を持ったとしか思えない男を前にして全身の血が渦巻き身体を動かすこともできなくなる。
マネキンが着けるゴールドチェーンの胸元をなぞる男は、
「チェーンはキヘイ編みと言う編み方で継がっています。ゴールドの輝きとエレガントさを活かせます。輝きは編み方に、豪華さは重さに比例していますので今までのプラチナチェーンよりもずっしり感じると思います…………」
男の説明が続くけれど遠くに聞こえる波の音のように意味がなく、身体は立っていられるのが不思議なほどフワフワと力が入らない。

「彩さん……彩さん、大丈夫ですか??」
「えっ、あっ、ごめんなさい……このゴールドチェーンで彩は縛られちゃうんだね。チェーンを着けている限り彩は健志の女で居られる。おねがいします」
股間と胸の膨らみをゴールドチェーンが飾り、腹部や腰を取り巻く金の輝きと重量は健志に拘束されていると実感できるものの普段の生活で着けていられるとも思えない存在感がある。
カチッ……着け終えたゴールドチェーンは真鍮製の小さな鍵で留められて彩から優子に戻れなくなるような重厚感と威圧感で彩の身体も心も縛る。

「サイズを確かめる前に全体の感じはどうですか??重さや窮屈で痛い箇所、その他にも何か感じたことなどをおっしゃってください」
「窮屈だとか痛いと感じる箇所はありません。ずっしりとした重さの重厚感、キラキラ輝き華やかでエレガント……他人に見せることができないのが残念だけど素晴らしいです」
男と二人きりでいることを忘れたように肌を這うチェーンを指でなぞり、身体の向きを変えたり捩じらせたりして輝きの変化に見入る彩の頬が紅潮する。
「しばらくそのままの姿勢を崩さないでください。サイズを確かめますので」
窮屈に感じる場所はないと言ったので緩みがないかを確かめるために腰や腹部のチェーンに沿って指を這わせ、所々でクイクイと引っ張ったりもする。
「腰や腹部のつなぎの部分のサイズは申し分ないようです。胸と股間のサイズを確かめますがデリケート部分なので丁寧に確かめさせていただきます」
男の言葉で心臓は早鐘を打ち、脚は震えて唇の渇きを堪えることができずに舌を這わせて滑りを与える。
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ちっち

Author:ちっち
オサシンのワンコは可愛い娘です

アッチイのは嫌
さむいのも嫌
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夜は同じベッドで一緒に眠る娘です

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